2013年 05月 24日
フランス語、第1地点通過
今日ようやく、この2冊の入門書を終えることができました。
モンテカッシーノへの巡礼中は、荷物にならぬようにとフランス語の学習書はいっさい運ばず、1週間、フランス語から離れました。それでも、一度勉強を中断して、月日が流れてしまうと、後で取り戻すのが大変なのが分かっていましたので、帰宅してから、再び入門書に取り組みました。
5月初めには、フランス語の『ABC』は、巻末の単語集が残るばかりになっていて、この単語集を、通訳の仕事での電車移動や待ち時間も利用して、勉強しました。本では、フランス語の基本単語の横に日本語で意味が添えてあります。基本単語を紙で隠して、日本語の意味に該当すると思われるフランス語を、自分で考えて書いてみて、正解ならそれでよし。間違ったら、その基本単語を、3回赤で書き直しました。
言語の学習というのは、直線的ではなく、らせん的に行うものであり、何もかも完璧に学んでから先に進むのではなく、重要な学習内容は、同じことを違った形で、何度か繰り返し学んでいく中で、徐々に確実に身につけていくのがいいのだ、そんなふうに外国語を教えるべきなのだ。イタリア語教授法を学ぶ中で教わったこういう知識を、自分がフランス語を勉強する際にも活用していて、「たとえフランス語の直説法現在の動詞が今確実に覚えられなくてもいい。これからいろいろな問題に取り組み、音声・読解素材に触れる中で、少しずつ定着していくだろう。」という姿勢でいました。
イタリア語でも、イタリアに暮らして働きながらイタリア語を自然に身につけていく人を対象とした研究では、移民は初めのうちは、直説法現在を、主語がどうあっても一つの形で適用するという大胆な、けれども何とか通じるイタリア語を話す時期が続きがちで、イタリアでの移住が長くなっても、接続法を正しく習得して、使いきれるのは、こうした移民のごく一部にすぎないという研究結果が出ています。
一方、わたしはイタリアに留学する前に、日本で、主に入門書・文法書や付属のCD、それから作文・翻訳添削の通信講座、イタリア語の本や映画、音声雑誌、イタリア人の友人とのメールの交換など、さまざまな教材や手段を使って、イタリア語を勉強していました。おかげで、イタリアの語学学校では初めから上級クラスに入ることができ、文法や単語の知識、ヒアリングや読解には、ある程度自信がありましたが、それでも、実際の会話の際に、いちいち考えずに、とんちゃくなしに話ができるようになるまでには、数か月かかりました。単なる頭の中の知識(memoria dichiarativa)から、実際に、ちょうど車を運転するように、無意識にイタリア語を操作できる力(memoria procedurale)に移行するには、イタリア語を使ってみる訓練を重ねる必要があって、それは、車の運転には、学科教習だけではだめで、技能教習・路上教習が不可欠なのと同じです。
話が横にそれましたが、ですから、『新・リュミエール』の巻末にある動詞活用表は、最初は、単なる参考資料と考えて、勉強するつもりがありませんでした。
それが最近は、病院や薬局、郵便局などで待つ時間が多いので、待合室に、『新・リュミエール』を持参して、紙で活用を隠して、一度できちんと言えたらそれでいいけれども、言えなかったら、活用が言えるまで、何度も繰り返し覚えることにしました。待ち時間は、番号の電光掲示板に時々目をやったり、周囲の人の動きを観察する必要もあったりして、本を読むには中断する機会が多すぎます。けれども、一つひとつの動詞の活用について、六つの人称変化を覚えるくらいなら、中断による支障がありません。
この数日は何かと用事が多くてよく外出するのですが、たとえば正午近くに帰って、午後1時からは昼食のしたくを始めなければいけないというときにも、こういう単純作業であれば、細切れの時間を活用することができます。「一度できちんと言えたら」と言っても、avoirやprendreなど、頻出動詞で、すでに活用が大体頭に入っているものを別にすると、きちんと覚えていなかったので、今見たばかりの動詞の活用や人称変化を、とりあえず、短期記憶に頼って言える程度という場合が、最初のうちはほとんどでした。
それが続けていくうちに、「現在分詞と直説法半過去は、直説法現在の1人称複数形から作るから、こうかな。」、「接続法現在は、直説法現在の3人称複数形から作られるからこうだろう。」と、語幹の作り方のきまりが頭に入り、活用や変化を知らないものでも、見当がつくようになりました。直説法単純過去と接続法半過去は、最後までこの二つの人称変化を、混同しがちでしたが、頭の中で単純作業を繰り返すうち、この二つの語幹が同じだということは頭に入りました。
まだ入門書を2冊終えたばかりです。かつてのイタリア語学習をふりかえっても、たとえ文法的には上級と言えるほど知識が習得できても、実際にコミュニケーションや読み書きがきちんとできるまでには時間がかかることは、十分に分かっているのですが、すでにイタリア語を習得した上で、フランス語を学ぶ場合には、語彙や文法の知識はまだまだでも、何となくイタリア語から連想して、こうかなと自分で適当に表現することができ、人の言うことや音声CDの会話や長い説明が、漠然と分かるという利点があります。今回、こうして一通りだけでも、動詞の活用法を見てみて、復習したことで、この「適当」な、「漠然」とした部分を、わずかではあっても、正確化・明瞭化できたのではないかと思います。
2冊の入門書の使用法については、『フランス語のABC』は、音声CDもついているので、音声も練習しながらですが、最初のうちは原則として、練習問題だけをノートに書いて、答え合わせをしていました。それが、フランス語は、イタリア語と違って、文字表記と音声の隔たりが大きいために、単語でも動詞の活用でも、やはり書いてみないと、正しいつづりが頭に入らないことが分かり、途中からは、こんなふうに、2冊の文法説明の大切そうな部分を、すべて書き写すようになりました。目で見て、自分の手で書いて、口に出して言ってみる。たとえば、『フランス語のABC』ですでに学習した内容を、『新・リュミエール』でも勉強するときには、活用を紙で隠して、まず覚えているかどうか確認してみる。こういうふうに学習に取り組むことで、単に2冊を読むだけよりは、内容が定着したのではないかと思います。
動詞の活用変化は、単純作業なので、待ち時間や細切れの時間は活用しやすいのですが、飽きもしやすく、本当に頭に入っているのかしらという疑問も頭をかすめます。そこで、それまで表に出てきた動詞の活用が、覚えられているかどうかを、時々こちらの問題集を解いて、確認しました。
フランス語学習を始めたときには、この問題集も少しずつ、該当する文法項目について、勉強していたのですが、たとえば「冠詞」についての練習問題に、まだ習っていない語彙や文法項目が混じっているので難しくて、3分の1ほど勉強しただけで、しばらく脇に置いていたのです。
この問題集の活用一覧表では、『新・リュミエール』と違って、頻出する重要な動詞だけについて活用を問い、会話ではあまり用いられないという直説法単純過去(passé simple de l’indicatif)や接続法半過去(imparafait du subjonctif)は、表から除外されています。おかげで、特に大切な動詞や活用を、重点的に復習することができました。
これからしばらくは、こちらのイタリア語で書かれた入門書や問題集・会話集、文法のまとめを、勉強していくつもりです。『Francese Corso Completo』は、導入の会話が、第1課からかなり長い上に、語彙も文法事項もてんこもりなので、昨年6月に、第10課まで終えたところで、脇に置いていました。音声も、最近はもっぱら『Bien-dire』のCDばかりを聞いているので、勉強再開と同時に、このCorsoの長い長い会話をたくさん収録したCDも、また聞いてみたいと思っています。日本語で書かれた入門書を2冊終え、『Bien-dire』で耳を鍛え、長い文やインタビューに慣れた今は、以前よりかなり理解できる部分が増えているのではないかと楽しみです。
さて、隔月間のフランス発フランス語音声雑誌、、『Bien-dire』も、巡礼に出かけている間に、最新号、5・6月号が届きました。最近は、ばたばたしていることもあって、ながら聞きしかしていませんが、日本語の入門書を終えたことを機に、少しずつでも、『Bien-dire』の精聴の時間を増やしていくつもりでいます。せっかくいい教材を買っていても、聞くだけで安心して、スクリプトで学習できずじまいという経験が、過去に英語でもイタリア語でもあるのですが、今回は、まだまだ入門書を終えたばかりでもあり、この精聴こそ、真の意味で、バランスの取れたフランス語の中級を目指すには欠かせないと思うので、頑張ります。
そうして、上記5冊のイタリア人向けのフランス語学習書をすべて終えることができたら、そこで初めて、すでに購入してあるDELF B1対策の問題集に挑戦し、
疑問点が出てきたら、すでにはりきって購入してあるこちらの文法書に相談するつもりでいます。
2013年に、フランス語の学習1000時間を達成しようという目標については、先週末、5月18日の時点で、これまでの学習時間の総計が284時間です。5月は仕事や巡礼、病院めぐりで、前半は学習時間がぐっと減ってしまったのですが、何とか持ち返せるように、努力するつもりでいます。
関連記事へのリンク
- 仏語学習進捗状況 (2013/3/5)
↑ 使用中の学習教材について、詳しく説明した記事へのリンクあり。
- 語学検定と言語観、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR) (2013/4/20)
↑ DELFとその対策問題集について。
今程なおこさんの過去記事、飛蚊症のことをを少し読ませていただいたのですが、大丈夫ですか?心配はないと言うことですが、体に不調があるとどうしても不安になってしまいますよね・・・一日も早く症状が改善をすることを祈っていますね!
どんな状況でも勉強を怠らないなおこさんは本当に尊敬すると同時に、何度も言っていますがなおこさんのブログからはいつも一杯の元気と勇気をもらっています!
実は新しい仕事を始めて今まで以上に英語に携わることも多くなり、最近は英語のブラッシュアップを始めていて、先日アルクの通信教材「TOEICのコース」を申し込み、今教材を待っているところなのですが、
なおこさんを見習って目標を達成できるように頑張るつもりです~!!
まだ暫く不安定なお天気が続くようですが、お体十分ご自愛下さいね。
また遊びにお邪魔させていただきます~♪
まさみさんこそ、母として妻として、そうして仕事もこなされてお忙しくいろいろなことをこなされているのに、そんなふうにほめていただけると、うれしいような恥ずかしいような。勉強は、特に言葉の勉強は昔から自分が好きなので、勉強にも力が入るのですよ。
まさみさんも仕事で使われることを通して、さらに英語を磨こうとしているなんて、すばらしい! アルクの通信教育は、わたしも過去にいくつか受講していて、そのうち完走したのは、ヒアリングマラソンと日本語教師養成プログラムなのですが、教材と受講者の支援、添削などの体制がしっかりしているので、やる気があれば、十分力もつくし、サポートもしてもらえると思います。お互いに頑張りましょう!
本当にどうしたのかと思うように天気が目まぐるしく変わり、急に寒くなりましたね。まさみさんも、お忙しいようですが、お体をどうか大切に。これからもよろしくお願いしますね♪