2013年 05月 25日
飲まないのんべえ

日本のお客さんのうち、ビールが飲みたい方が何人いるかを聞かれて、尋ねたあと、「二人です。」とイタリア語で伝えると、「二人だけ? どの二人ですか。ああ…」と、イタリア語で話していたイタリア企業の方の口から、いきなり「のんべえ」という言葉が出たではありませんか。
実は、前日から共に行動をする中で、日本の方3名のうち、お一人はお酒を飲むのが好きで、一方、別のお一人はアルコールの類はいっさい飲まれないということが、分かっていました。
「のんべえ」と口にした方が、かつて大学で日本語を勉強したことがあることは知っていたのですが、わたしは驚いて、「のんべえなんて、おもしろい日本語をご存じですね。」と言いました。
そうして、実は、この方は、日本語で「のんべえ」という言葉を知っていて、それを口にしたのではなく、イタリア語で”Non beve.”と言いかけてやめたため、「のんべえ」と聞こえたのだと分かりました。「(そう言えば、この方は)お酒を飲まない(から、お酒を飲むのは残りの二人ですね。)」と言おうとしたわけですが、3人称単数が主語のとき、「酒・アルコール類を飲む」という動詞bereの活用形はbeveです。「酒を飲まない。」と言うのに、くだけた会話や方言口調では、beveの最後の音節を省略して、”Non be’.”と言うこともあるのですが、それまではすべて、日本のお客さんに対してだけではなく、わたしに対して個人的な場でさえも、非常に改まったイタリア語で話をされていたので、さっとわたしの頭が理解したのは、イタリア語の”Non be’.”ではなく、日本語の「のんべえ」でした。
「ああ、そうじゃなくて、”Non beve.”(この方は、酒は飲まれないんでしたよね。)と言いかけて、やめたんです。」と聞いて、勘違いだと分かり、そのあとは、日本側もイタリア側も、日本語の「のんべえ」が、イタリア語では「飲まない」という意味だとはおもしろいですねと、盛り上がりました。2杯目の中ジョッキを注文したお客さんに、他のお客さんが、「のんべえですねえ。」と、ほほえみながら言っていました。
そういうわけで、おいしいに違いないモンテファルコの赤ワインは、わたしも、この日は車を運転して帰らなければいけなかったので、一滴も飲まず(イタリアでは合法でも、日本人としては気になる上、お酒に弱いものですから)、瓶に半分以上もお酒が残ってしまっていました。
モンテファルコと言えば、2年前に通訳として同行したお客さんが、ウンブリア州のどの宿や店に行っても、モンテファルコの赤ワインを勧められて飲むことになったため、結局、「モンテファルコにも行ってみたい。」という希望が出て、皆で一緒に訪問したことがあります。昼食のあと、レストランから出ると、黒々とした実がたくさんなったオリーブの木があり、興味を持った日本のお客さんが、実を一つ摘んで、口にしたものの、すぐに「ああ、これはまずくて食べられない。」と、渋い顔をされていました。

写真は2枚とも、昨年春、夫が属する合唱団と共に、コルチャーノの姉妹都市である、南ドイツのペントリング市を訪問したときの、親善の夕べの写真です。南ドイツでは、レストランでも商店でも、ビールがとにかく安く、時には水より安いことさえあったので、びっくりしました。だからかどうか知りませんが、この会のときも、ドイツ側はもとよりイタリア側も「のんべえ」が大勢いて、にぎやかな楽しい宴となりました。
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In giapponese 'Chi ama bere (alcol) e beve molto'
si dice 'NOMBEE' e la pronuncia si assomiglia a 'Non be'" :-)
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関連記事へのリンク
- 彩なすブドウ畑
↑ 2年前に通訳の仕事で訪ねたモンテファルコの美しいブドウ畑。
- ドイツ親善旅行ご報告


「のんべえ」はイタリアでも話題となりましたかー。(^<^)
酒は楽しくの「のんべえ」が良いですね。
飲み過ぎで酔っ払いのんべえは嫌われ者です。
私も酒好きのんべえの一員です。(^^)/
ビールの美味しい季節となりました。

そうなんです。接待していたイタリア側の、このあとフィウミチーノまで送ることになっている方もワインを飲んでいたので、日本企業の方は、「え、イタリアでは合法なんですか?」と驚き、「日本では厳しくなって、ちょっと飲んでも罰金100万円なんですよ~。」、イタリア側は、「食事のときに飲むのは文化だから、ワイン1、2杯程度なら法律でも…… あ、日本企業の方、帰りの運転をかなり不安に思っているのかなあ。」こういうことについての日伊の法律や反応の差もおもしろいです。イタリアでは少量のアルコールの摂取は処罰の対象になりません。アルコールを出す店には、体重別・性別に、ビールやワインをどれだけ飲むと法の基準に引っかかる可能性があるかの目安を示した一覧表があることもあります。まあ、人によって、どこまでなら大丈夫という基準は違うでしょうし、わたしは、自分があとで車を運転するならお酒は飲まないことを貫くつもりではあるのですが。
きっと「のんべえ」という日本語を覚えて帰り、早速使ってみた人もいるのでは、、、
イタリアでは日本のように泥酔する人はいないと聞いた事がありますが本当ですか?
そうそう私も「のんべえ」です。
こちらでは、お酒やビールを飲むことが目的ではなく、あくまで食事や会話のお伴として飲む感じなので、羽目をはずす人への目が厳しいからか、泥酔した人や飲みすぎて迷惑をかけている人は、わたしは今のところ見たことがありません。おお、Fuselloさんものんべえですか!