2014年 01月 22日
完璧じゃない完璧なあなたが好き
前作同様、映画の冒頭は、物語の展開も映像も目まぐるしい感がありますが、見るうちに、昔の、そして今の自分を主人公たちに重ねながら、物語に引き込まれていきました。「見るかいのある作品だろうか」と思って、映画の評価を調べると、わたしがざっと見た範囲では、イタリアでの評価は不思議と低く、フランスとアメリカでは好評を博していました。わたし自身は、前作は見る価値はあると思いつつも、好きだと言えるほどではなかったのですが、この続編には感動しました。端々に光る言葉もあり、若者たちの揺れ動く心や不安、恋する思いを、温かく細やかに描いています。
わたしは昨晩、イタリアのテレビでイタリア語で放映されたのを見たのですが、ご紹介する予告編は、音声はフランス語と英語で、フランス語で話されている部分には、英語字幕がついています。
予告編にも出てくるように、理想の恋人を探し続けて、恋を重ねるグザヴィエたち。けれども、「王子さまやお姫様は現実には存在しない、おとぎ話の中にいるだけだ」と、友人たちに言われ、恋に落ちても、不安や迷いがつきまといます。
英仏合作のこの映画の、フランス語の題名は、『Le Poupées Russes』、英語の題名は『Russian Dolls』です。イタリア語では、『Bambole Russe』です。「ロシアの人形」という題名は、予告編にも一部出てきますが、次の場面の主人公の言葉によるものです。
人生でさまざまな異性に出会いながら、わたしたちの中にはいつも、「この人が本当に自分が探し求めている人だろうか、生涯連れ添う人だろうか」という思いがつきまとう。まるで、開けても開けても中から次の小さい人形が出てくるマトリョーシカ人形のように、恋を重ねていくけれど、いつでも、「これが本当に最後の人形だろうか、自分の求める伴侶だろうか」という迷いが去らない。
わたしが特に感動して、いいなと思ったのは、駅での恋の告白の場面と、その言葉です。映画をすでに見た方や、見るつもりのない方だけ、次のリンク先にフランス語で書かれたセリフをご覧ください。
- Oh My Bloogness – La scène de la gare entre […] , ou la fabuleuse déclaration d’amour dans Les poupées russes (*追記: 2020年4月現在、リンク先の記事がなくなっているため、リンクのみ削除しました。)
昨日見たイタリア語版を思い出しながら書いていますし、上の記事にはフランス語で書かれていますが、この場面の本来のセリフは英語のはずです。
「あなたは男性として申し分のない人だわ。」と言う彼女は、「ぼくは欠点だらけで、完璧なんかじゃない。君がそう信じ込んでいるだけだ。」という主人公に、「この世に完璧な人なんていないし、完璧はつまらない。欠点のある、そういうあなたの不完全なところに恋しているの。」と、自らの思いを率直に打ち明けます。
欠点も含めて、欠点を知りながら、そういう相手をとことん愛する。そういう彼女のひたむきさと純粋さに感動しました。そうして、吉野弘さんの詩、『祝婚歌』を思い出しました。(下記リンク参照)夫に、こういう態度と心で向き合えているだろうかと、反省しました。
とてもいい映画ですので、機会があれば、皆さんもぜひご覧ください。第一作を見た方が映画を理解しやすいとは思いますが、この作品だけ見ても、十分に楽しめることと思います。
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Film, "Les Poupées Russes"
L'ho visto ieri sera e mi è piaciuto molto. Bellissime le parole di Wendy alla stazione: "Je sais que tu n'es pas toujours parfait. Je sais que tu as des tonnes de problèmes, des défauts, des imperfections, qui n'en a pas ? C'est juste que je préfère tes problèmes. Je suis amoureuse de tes imperfections, tes imperfections sont belles. [...] Je sais que la plupart des filles se mettraient à genoux pour ce qui est beau. Et elles ne voient que ce qu'elles veulent. Mais je ne suis pas comme ça. Je ne vois pas juste ce qui est beau. Je m'intéresse au reste. J'aime ce qui n'est pas parfait. "
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LINK
- 西仏アパート映画その2
↑ 前作の『スパニッシュ・アパートメント』について。予告編映像あり。
- 『祝婚歌』 吉野 弘
- amazon.co.jp - ロシアン・ドールズ スパニッシュ・アパートメント2 [DVD]
↑ 音声は英語とフランス語で、字幕は日本語。
- amazon.fr - Les Poupées russes [DVD] (フランス語のみ)
- amazon.fr - Les Poupées russes + L'auberge espagnole [DVD]
↑ フランス語のみ。前作と続編が共に楽しめるのに、値段が安いのでお得。
- amazon.it - Bambole Russe [DVD]
↑ 音声はイタリア語とフランス語、字幕はイタリア語。
映画、続編のほうが良さそうな感じですね。わたしも観てみようと思いました☆
この映画、日本のレンタルビデオ店「つたや」さんなんかにあると観てみたいです!日本の地方では、ハリウッド映画ばかりしか上映してないというのが現実なので少し寂しいです('_')
最高の言葉ですよね。
よく、「自分を変えたい」ということをおっしゃる方がいらっしゃいますが、
自分でない何者かになるのではなく、
自分の不完全さを認められることができれば、
自分も他人も、そのままを受けとめることができて、
とても人生が楽しくなるのだということを、
私も強く実感しています。
↓の、こんまりさんの本、
私も2年ほど前に気に入って、ちょっと実践もしてみました^^
私の場合、
この本の中のごく一部に限っては、
そのとおりのやりかただと自分には合わないな、
とわかったところもありましたが、
それを含めて、
自分の今のライフスタイルや、大事にしたい点は何なのか気づくきっかけにもなってよかったです。
こんまりさんの、
大事なものを大事に扱うという姿勢も、
自分を大切にする、ということにもつながっていきますよね♪
そうそう、日本では、特に地方では、アメリカ以外の外国の映画は、よっぽど世界的に人気を博したり、賞を得たりしたものでないと、見られる機会が格段に少なくなりますよね。つたやにあるといいのですが。
わたしも、ときめかなければすべて捨てるところまではできないかもしれませんので、すべてが実践はできないかと思いますが、今本を読みながら、いかに自分の持ち物の中に、服でも食器でも、ときめきのない物が多いかに気づいて驚きました。夫の家にあったからとか、他人にいただいし、まだ着られるからもったいないからとか…… 本当に大切にするということは、単に手元に置くことではなく、心から大切にして、しばしば手をかけ、取り出して活用することなのだな、生殺し状態で、居場所はあっても目も声もかけられないよりは、感謝しながら処分した方が、捨てる物も、より活用される残った物も幸せではないかしらと、暮らしについて、身の回りについて、新たな視点から見つめ直すきっかけをくれたことだけでも、まずは感謝しています。物でも人でも大切にすることが、結局は、おっしゃるとおり、自分を大切にすることにつながっていきますね♪