イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ハートとアッシジの甘い誘惑

 バレンタインだからと、ハート型の風船をよく見かけたけれども、心も風船と同じで、人から愛で満たしてもらうものと思っていませんか。せっかくのハートも、翌日にはすぐにしぼんでしまってはいませんか。

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Basilica di Santa Maria degli Angeli, Assisi 16/2/2014

 法や規則を守っているから、それだけで十分というのではなくて、しなければいけないことが頭で分かっているだけではなく、その必要を自分の心で感じて、そうして手や体を通じて実行していくことが大切なんです。

 今朝はぎりぎりにミサに間に合ったものの、後方にしか席が見つからず、おしゃべりがあったり、説教の声が遠かったりで、集中して、しっかり聞き取ることができませんでしたが、それでも、こうした言葉が心に残りました。説教では、神を念頭に置いて、心を満たす必要や心で大切さを感じる必要を説いたのだと思います。わたしは話を聞きながら、自分が置かれた状況や周囲の人々の評価がどうあろうと、しなやかでしたたかな心を持ち続けることや、「頭で分かっているけれど、実行できていないこと」の必要性を自分の心でしっかり感じ、行動に移すことの大切さを、改めて感じました。

 片づけ、エゴスキューの体操、食事療法、フランス語学習。目標とはうらはらに、怠け心や誘惑に負けてしまっていることの、いかに多いことか。

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 しばらく雨が降らないという予報が出ていたためもあって、花粉症の症状を緩和するために、この数日は、白砂糖・乳製品・アルコール・揚げ物・挽き肉を腸詰にした食品などを極力避けてきました。おかげで昨日は晴天の下を長く歩いたにも関わらず、花粉に苦しまずにすんだのですが(花粉がない標高の高い山を選んだからでもありますが)、帰りには、甘いものが大好きで、最近改築作業で疲れきっている夫が、「おいしい甘いものが食べたい」と言うので、帰り道にあるとびきりおいしい店に寄り、せっかくだからとわたしまで、写真左手の、レモン風味のバタークリームのおいしいケーキを食べてしまいました。夫は二つ頼み、チョコチップのついた方は半分分けてくれました。しかもホットチョコレートまで注文して、カロリーはとても高くなってしまったのですが、どのお菓子もとてもおいしかったです。

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 ちなみに店はこちらです。アッシジの駅前通りにあって、駅からも劇場、Teatro Lyricからもすぐ近くです。

 ウンブリアには丘の上にあったり、城壁に囲まれたりする趣のある中世の町が多いのですが、山歩きの帰りに、ケーキのおいしいお店で一息つこうというときには、少し不便です。たとえば、昨日登った山はスポレートのすぐ近くですが、スポレートにせよ、ペルージャに帰る途中にあるトレーヴィやスペッロにせよ、城壁の外に車を置いて、坂道を長い間上らないと、中心街でおいしい店を見つけることができません。たった4時間の登山ではありましたが、わたしは昨日は疲れ果てていたので、店の前に駐車できる、サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリのこの店を提案しました。夫が「これはおいしい」と喜んでくれたので、わたしもうれしかったです。

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 奥のテーブルに腰を下ろすと、窓からは、黄昏に包まれたアッシジの町が見えました。アッシジの中心街から離れているおかげで、この店は値段も安くて、写真のケーキなど三つが合計4.3ユーロ、ホットチョコレートが1杯2.5ユーロでした。ちなみにこの日の昼食は、家から持参した弁当で、山歩きのあとは、二人ともすっかりおなかを減らしていました。

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 ただ、あまりにもおいしかったので店が気に入った夫は、今朝も、サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会でのミサの前に、高速道路沿いのいつものバールではなく、ここで食べようと言うのです。花粉症対策に、ふだんは朝は飲み物だけ、食べてもみかんやオレンジだけにしているわたしも、このおいしいお店では誘惑に勝てず、「白砂糖」はありますが、「乳製品」がごく少ない、こちらのフルーツタルトですが、食べてしまいました。昨日夕方から今朝にかけて、前日のお菓子があだになってか、花粉症が急に悪化していたのです。

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 ただ、店が駅から近く、周囲に一方通行や進入禁止が多いため、店からは、サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会が、線路越しに大きく見えているにも関わらず、行きも帰りも、道路を間違えて、無駄にぐるぐると回ってしまいました。今日、教会への到着が、ミサ開始時刻の11時半になってしまったのは、そのためです。道に迷っても、アッシジの町並みが、こんなふうに目に飛び込んできて、うれしかったのではありますが。

 エゴスキューの体操も、先週末から何かと慌しかったり、ことさらに関節が痛んだりしたので、1週間さぼっていたら、おとといの晩から、痛みのない眠る姿勢を見つけるのにさえ苦労するようになってしまったので、昨晩から再開しました。エゴスキューによると、痛みは姿勢のゆがみを教えてくれる大切なきっかけだそうで、花粉症にしても肩や腰の痛みにしても、食生活や姿勢に問題があったり、それを放置したりしていると、すぐに危険信号として症状を感じるというのは、ひょっとしたらありがたいことなのかもしれません。というわけで、最近は、体操や食事療法の必要を、頭だけではなく体でもつくづく感じていますので、しっかり続けていきたいと思いますし、片づけやフランス語学習についても、「頭から心へ、心から手へ」、心でもしっかり「頑張る必要」を痛感して、実践に移していくつもりでいます。

I Portali – Bar Pasticceria Panetteria
Via G. D’Annunzio, 11/A
Santa Maria degli Angeli, Assisi (PG)
Tel 075 8040047

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Vicino alla Basilica di Santa Maria degli Angeli, c'è un bar pasticceria i cui dolci sono talmente buoni che ci inducono in tentazione. Di conseguenza nel negozio pur sapendo che farò fatica a liberarmi dal male, cioè dai sintomi di allergia ai pollini, prendo qualche dolcetto anche se contiene latte, latticini e zucchero bianco. Ma è una vera delizia! Comunque, stamattina ho resistito la torta con crema di burro che mi piace così tanto.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2014-02-17 15:13
なおこさん、山歩きの後の甘いもの、最高に美味しいですよね(^-^)
このお写真からも、その美味しさ伝わってきますよ。(*⌒∇⌒*)
それに、このお店からのアッシジの町並みの黄昏は、とっても素敵ですね♪そう言えばシエナやサンジミニャ―ノもお店があるところまでは、坂道を歩かないとなかったですね♪それにお値段も優しいですね(^-^)
今回のお説教も、素晴らしいですね!私も実行できてないことが多く、耳がいたいですが…(笑)。
Commented by milletti_naoko at 2014-02-17 17:49
アリスさん、イタリアの中世の町は、遠近の町や強国などからの攻撃からの防衛のため、丘の上に築かれることが多く、眺めはすばらしいし風情があるのですが、疲れているときに、歩いて上るのはなかなか体力が要って、大変です。アリスさんも、トスカーナでいろんな町の坂道を歩かれたんですね! ケーキは、日本のショートケーキなどの味を思わせてとてもおいしかったし、大きなガラス窓から見えるアッシジの町もすてきでした♪ 地元の人が多いからか、裏手にある眺めのいい席は、2日とも空いていて、わたしたちが陣取りました。これだけおいしいのにこの値段とはうれしいです。アッシジ中心街では、一口で終わりそうなお菓子が3ユーロほどすることさえあることを考えると、なおさらのこと。

すてきなお話だったのに、集中して聴けなかったのが残念です。頭から心、心から手へ、わたしも頑張らなければ!!
Commented by ムームー at 2014-02-17 18:07 x
なおこさんこんにちは。
色々となさってるのに、考える機会があるの
ですね、ちゃんと心の窓を開けて聞いておられるのは
いつも思いますが素晴らしいですよね。
街並みをみているとのぼらないとお店にも
行けないのですねぇ、国を守るための
構造になっているのですね。
神戸に行った時もこういうところで暮らすのは
大変だろうなって眺めていました。
私の周りも高台ですから、夏は涼しいですけど
かなりの勾配をのぼらないといけないのです。
見晴らしはいいですけど、ゴミだしも
こけそうになります。
美味しいケーキに目が釘づけです~じゅるり~♪
今、お好み焼きを焼きましたの、なんでも
あまりものを入れました。
Commented by milletti_naoko at 2014-02-17 19:26
ムームーさん、わたしはカトリック教徒ではありませんが、自然を愛し、動物たちや弱い立場の人に優しい聖人、聖フランチェスコは大好きで、この教会は彼が最も心を寄せ、長く暮らし、かつ亡くなった場所でもある上、ミサの説教がすばらしいので、日曜のミサによく出かけています。

アッシジは山の中腹に駐車場があるので、町並み自体は駐車場からほぼ平行に広がっているのですが、スポレートやトレーヴィとなると、丘のふもとや低位置の駐車場から高みにある中心街にたどり着くまでに、体力と根気が要ります。丘の上からは見晴らしもすてきなので、ふだんは散歩も楽しいのですが、この日はすっかり歩き疲れて、歩くのはもういいという感じでした。ムームーさんも高台にお住まいなんですね! 足元が危ないほど勾配が急だとは、大変ですね。

ケーキとってもおいしかったです♪♪ お好み焼き、いいですね。おいしそうで、うらやましいです~
Commented by toto at 2014-02-18 07:29 x
なおこさん、ごほうびのようなケーキ、いいですね。アッシジはまだ訪れたことがないのですが、いつかは行ってみたい場所です。
脳研究者の池谷裕二先生が「行動しなければ、脳はやる気を出さない」というようなことを話しています。いくら頭で考えていても、行動をとらないと、脳が働いてくれないそうです。なるほど、自分でやってみると本当にそうなので、いつもこの言葉を忘れないようにしたいのですが、、、。私はかなりさぼりがちです、、、。あぁ、人間ですね。
エゴスキュー体操というもの、初めて知りました。今、痛みを緩和する方法に興味津々です。ヨガを指導する立場として、日常に痛みがある人が、自分の身体を使ってどうやって対処していくかが私の課題です。エゴスキューの短い紹介ビデオを見ましたが、ヨガのポーズととても似ていますね。もっと調べてみます!
Commented by milletti_naoko at 2014-02-18 08:56
Totoさん、アッシジを始め、ウンブリアにはとてもすてきな町や風景がたくさんあります。いつかぜひいらしてくださいね! 以前に「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ」と読んだり聞いたりしたこともあって、おっしゃるように、手というか体を動かすことで、心や頭にそういう行動を起こせる、続けられる力が蓄えられていくということがあるのではないかなと、実はわたしも感じていました。フランス語の机上の勉強でも、いったん始めるとぐんぐん進むのに、あれこれ忙しいからと、時間があるときでも後回しにしてしまっていけません。

エゴスキューの体操にヨガに似たポーズがあるとは、夫にも言われました。いろいろなマッサージやスポーツの要素も取り込んでいるようですが、何より、すぐに効果があるのではなく、自分で日々の体操を通じて体のゆがみを直していくことで、痛みを取り去るという方法にも、理論にも納得したし、実際に自分がかつて、それで激痛から解放されているので、頑張ります!
Commented by poirier_aaa at 2014-02-19 00:22
なおこさん、わたしも最近よく

>「頭で分かっているけれど、実行できていないこと」の必要性を自分の心でしっかり感じ、行動に移すことの大切さ

のことを考えます。ある程度年齢が言って来たこともあると思いますが、このままでいいのか、本当にこれで満足なのかと考えるようになって、少しずつですが実行に移せるようになってきました。で、実行に移してみると気持ちがよくて楽しいのです。

行動全般をきりきり締め上げるというのではなくて、こうしたいからこれをやる、これをやると楽しいし気持ちがいいからやる、という気持ちで生活をオーガナイズしていかれたらいいなぁと思っているところです。

でも、なおこさんが甘いものの誘惑に負けてしまうこともあるとうかがって、ちょっと微笑ましくなりました。とても厳しく自分を律していらっしゃる方だと拝察しておりましたので。たまには必要ですよね、こういう特別なもの。
Commented by milletti_naoko at 2014-02-19 00:33
梨の木さんがおっしゃるように、「やらなければ」ではなくて、少しずつ実行してその気持ちのよさに目覚め、楽しさを積み上げて、習慣にしていくことが大切なのでしょうね。「やらなければ」ではなくて、そのあとにあるきれいに片づいた部屋や充実した自分の人生、毎日の暮らしを考えて、夢や理想に近づくためにとすると、確かに楽しそうです。ブログにはあれもせねばこれもせねばと宣言しているものの、宣言することで自分にはっぱをかけようという意図とうらはらに、実はできていないことがとっても多いのです。バタークリームのケーキは本当においしかったのですが、その後24時間目と鼻の症状が悪化したので、特に晴れた天気のいい日は、これから甘いものには気をつけなければと思います。いえいえ、甘いものは大好きなので、夫が買ってくれたチョコレートや日曜の大家族での昼食に出たチョコレートなども、しっかり食べていました。はめをはずすこと、あまり神経質になりすぎないことも、時には大切ですよね。

明日は朝、早くも復活祭前の家の祝福に教区教会から修道士さんたちが来ることになっているので、今から掃除の仕上げに励みます!
by milletti_naoko | 2014-02-16 23:59 | Gastronomia | Comments(8)