イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

水がいっぱい人もいっぱい

 昨日、昼食後に、トラジメーノ湖を見に行こうと車で繰り出すと、湖畔の村は、サン・フェリチャーノもパッシンニャーノも、駐車場の手前から渋滞ができています。確かにふだんから、天気のいい日曜の午後は、地元の人や観光客が多いのです。けれども、昨日は、トラジメーノ湖の水位が25年ぶりに基準水位に立ち返った上に、さらに水位が上がりつつあるためか、いったいどこの観光地かといぶかるほど、日頃はほとんど車のないパッシンニャーノの村はずれの広大な駐車場まで、駐車できる場所が見つからないほどでした。いえ、実は一つだけ見つかったのです。場所がないなら仕方がないと、駐車場出口へと向かっていたら、幸い、右手前方の車が二つ出発し、ウィンカーを点灯させながら、その一つに停めようとしたのですが、なんと、後続車の男性が突然車から出てきて駐車場を占領し、さらに女性がやって来て、「目をつけたのはわたしたちが最初だ」と、当然の権利のように、声を荒げるのです。夫も憤っていましたが、わたしがなだめたのと、彼らの車がびっしり横につけて来たのとで、やむなく駐車場を、そしてパッシンニャーノの村を後にしました。いつもは穏やかな村の湖畔も、この日はラッシュアワーの東京の駅の出入り口のようにごった返していて、あまりゆっくりと自然や散歩を楽しめるような様子ではなさそうで、わたしは、駐車ができなくてかえってよかったと思いました。ただ先日、水位が+10cmの湖をせっかく見たのに、そのときはカメラを携帯していなかったので、水位計を撮影できないのだけが残念でした。

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Lago Trasimeno, Tuoro 16/2/2014

 この後、わたしたちが向かったのは、湖畔の村の中では人が少ないトゥオーロの、さらに村はずれにある公園です。いつ訪ねても、建設中で作業が進まぬように見える公園は、未完成なおかげか、車も人影もほとんどなく、これまでは多くとも、散歩中の人数人に出会うくらいだったのです。

 予想していたとおり、湖と接していた公園の一部は、地面が低いために、今はトラジメーノ湖の水が入り込んで、浮き島のように見えました。

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16/9/2012

水位が-140cmまで下がった2012年の夏には、こうして高い草に囲まれていた湖畔の塔は、

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16/2/2014

今はこうして湖の中にあります。左手に見えているのは、マッジョーレ島で、

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Lago Trasimeno, Isola Maggiore & Isola Minore, Tuoro 16/2/2014

現在はこんなふうに、小さいミノーレ島と並んで、いくつもの小さい浮き島の向こうに見えるのですが、

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16/9/2012

以前は砂浜が、マッジョーレ島にもっと近いところまで、続いていました。

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16/2/2014

 前から夫が言っていたように、公園の池は、湖の水を取り込み、水位は湖と同じなのでしょう。池の水位もかなり高くなっています。

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 公園の地面にはイラクサ(ortica)の若草がたくさん生えていました。花粉症対策に、乾燥葉を購入して、ハーブティーとして飲んでいるイラクサですが、肌が直接触れると、火傷のようにしばらくひりひりと痛むのが分かっているため、収穫はしませんでした。

 この公園でさえ、昨日はいつもより人がたくさんいました。そうは言っても、全員で二十人ほどだったでしょうか。木々や草越しではありましたが、おかげで、落ち着いた雰囲気の中で、いつもと違う湖の眺めや散歩を楽しむことができました。

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Cresce ancora il Lago Trasimeno
, avvolge gli alberi e i cespugli della riva. Sembrano molti isolotti verdi e c'è un fascino particolare.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2014-02-18 09:21
なおこさん、せっかくのトラジメ―ノ湖の湖畔の水位の見える場所まで行ったのに残念なことでしたね(^-^;
どこの国にもそういう非常識な方がいるのは、残念なことですが、よくこらえたと思いますよ~🌠家の夫もそういう時は、同じような感じで、なだめるのが私なのでよくわかります(笑)。たぶん、譲ってあげたことで、後々の行程をゆっくりと楽しめたのではないかと想像しています(^-^)。
本当に水位が戻って、美しい湖が、より美しくなったと思います♪
素晴らしいお写真に癒されます(*⌒∇⌒*)
イラクサってこういう葉だったんですね~(*゚∀゚)
手でさわったら、ヒリヒリするなんて初めて知りました!
日本にもあるのでしょうか?ちょっと調べてみますね♪
Commented by milletti_naoko at 2014-02-18 18:18
アリスさん、あのときは残念でしたが、結果的には静かな湖畔を散歩できてよかったと思います。最近は何でもないことがきっかけで、口論から死傷沙汰に及ぶという事件もイタリアではごくまれにでも発生している上、うちの夫は熱しやすいので、その場を離れてくれてほっとしました。ちなみに夫によると、話し方やアクセントから考えて、この3人連れは外国人だったようです。しかも、車内には子供もいたのがバックミラーで見えたようで、「子供の教育にもよくない」と夫が言っていて、わたしも、それは本当にそうだと思いました。

ありがとうございます。水位が高くなって、以前とは違う、きれいな風景が見られるのはうれしいです。イラクサは、夏は草が高くなる上、イタリアでは野山に自然にすくすく生える雑草なので、登山を半ズボンでしている男の子の足に触れたり、わたしでも、草を手でかき分けたら中にイラクサもあったりして、しばらく赤くはれて大変だったことがあります。日本にもあるのでしょうか? イタリアで野山を歩く人は要注意、ピエモンテやトレンティーノの山や里でも見かけましたし、ミジャーナの家の周囲や湖付近など、低い土地にも生えています。
Commented by suzu-clair at 2014-02-19 00:24
水位が変化すると、
こんなに風景が変わるのですね。
貴重な風景を見たくなる人々の気持ちはとてもよくわかりますが、
そこで起こる小競り合いは、残念ですよね。

以前、美しい観光地の風景をきれいに撮られておられるブロガーさんが、
お写真の向こうでは、
じつは人がたくさんおられて、
いい場所をめぐってちょっとした争奪戦があったことなどを書かれていたことを拝見したことがあり、
自然に癒されたい、いい思い出を記念にしたいと思って訪れているはずなのに、
本来の目的を見失ってはもったいないな、
と思ったりしました。

かえって静かな場所での穏かな時間を過ごされて、
よかったですね。
公園の池の風景も、とても美しいですね。
水に満たされた、
落ち着いた静けさを感じるお写真に、
私も癒されました。
素敵なお写真を、ありがとうございます☆
Commented by milletti_naoko at 2014-02-19 00:43
すずさん、湖水に覆われて緑の草が姿を消し、小さな島がいくつも浮かんでいるような、不思議で美しい眺めを楽しむことができました。虚構の作品ではありますが、『源氏物語』にも葵祭りに際して見る場所を争う車争いの場面があったりしますから、こういう小競り合いは、残念ながら、古今東西を問わずあるものなのでしょうね。残念なことです。

でもおかげで、以前から気になっていた、水位が上がった公園をようやく見ることができたし、散歩も静かに楽しむことができました。すずさんに喜んでいただけたと知って、わたしもうれしいです。ありがとうございます♪
Commented by Masami at 2014-02-19 06:04 x
なおこさん、こんばんは♪

この所暖かくなってきたのと、春の声が聞こえ始めてきたのもあってか、湖に繰り出す人達も増えてきたのでしょうね!
それにしても、自分勝手な行動をとる人は何処にもいるものですね。
悲しいですが・・。
水位計を撮影できなかったのは残念でしたね!!

水が増えることによって、景色もこれほどまで変わるのですね~!
湖はやはり水に囲まれるとより美しく風情が増すものですね^^

Orticaが花粉対策に効くハーブティーとして飲まれているとは知りませんでした!
最後はゆったりと湖の散策を楽しまれたようで良かったですね~♪
Commented by milletti_naoko at 2014-02-19 08:26
まさみさん、こんばんは♪ 水に囲まれた木々、本当に風情がありますよね。ネス湖に注ぐ川の上流、Invernessの町では、川に島があり、その島が公園になっていて、木々が植わっていたことを、なつかしく思い出しました。

トラジメーノ湖は、夏は北欧からの観光客が多いのですが、年中通して、晴れた週末は、散歩をする地元の人が多いのです。それにしても、こんなに人が多いのも、こんなひどい行動を取る人にもびっくりしました。

Ortica、散歩のときは要注意ですが、最近はこのハーブティーばかり飲んでいます。花粉症に限らず、アレルギー症状全般に効果があるようです。最後は散歩が楽しめて、本当に終わりよければすべてよしだなと思いました♪
by milletti_naoko | 2014-02-17 23:59 | Umbria | Comments(6)