イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

とVS e, et, and

 イタリア語のeやフランス語のet、英語のandはとても便利な接続詞です。uomini e donne / hommes et femmes / men and womenというふうに、日本語の「と」と同様に、「男女」と、二つの名詞を列挙する際に使えるだけではありません。

 onesto e gentile / honnête et gentil / honest and gentle、「誠実で優しい」と、形容詞を並べるときにも使うことができますし、二つ以上の動詞や句、節、はては、文を並べるときにさえ、この接続詞が活躍します。

とVS e, et, and_f0234936_23524925.jpg

 たとえば、『Le Petit Prence』の原書、フランス語版ので、探してみると、次のような例が見つかります。

- J'aurais dû la juger sur les actes et non sur les mots.(句の並列)Elle m’embaumait et m’éclairait.(動詞の並列)[Chapitre VIII].

- Tu reviendras me dire adieu, et je te ferai cadeau d’un secret. (文の並列)[Chapitre XXI].

 今、日本語を教えている生徒さんは、イタリア人で、フランス語と英語を知っています。すでに知識があるどの言語でも、文の要素や文を並べるときには、接続詞一つ、e/et/andを間に入れればよかったので、日本語で話していても、ついつい

・パンを食べます、コーヒーを飲みます
・ローマは有名ですきれいです

といった具合に、動詞や形容詞、文まで「と」でつないでしまうので、「日本語の『と』は、イタリア語のeや英語のandと違って、名詞や代名詞しか並列できません。」と、注意を促しています。どちらの文も、「そして、それから」のような接続詞を使っても、言い換えることができるのですが、生徒さんが文を区切らずに、「食べ(て)、コーヒーを飲みます」、「有名で、きれいです」といった表現も、難なく言えるようになるのは、こういう表現を学んだ1か月後のことになるでしょう。

 冠詞も名詞の性・数も、動詞の主語の人称による変化もなく、そういう面では文法的に楽に見える日本語ですが、こんなふうに、ロマンス諸言語や英語とはメカニズムが違っていて、同じ手段が適用できないことも多いので、やっかいです。

関連記事へのリンク
- 覚えるために繰り返す (1512/2013)
- おおシャンゼリゼ (16/5/2012)
- イタリア語学習メルマガ第25号 「Il Piccolo Principe」
↑ 『星の王子さま』イタリア語版の一節を、イタリア語学習の聴き取り、かつ読解の教材として取り上げています。YouTubeの朗読音声へのリンクつき。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

by milletti_naoko | 2014-05-23 23:59 | ImparareL2 | Comments(0)