2014年 05月 29日
にわにはにわにわとりがいる
というのも、教科書(”Corso di lingua giapponese. Volume 1”, Heopli)に
「田中さんの町は、きちじょうじです。きちじょうじには、公園や映画館があります。それから、……」という文章があるので、
「田中さんの町には何がありますか。」という問いに日本語で書いて答える課題を出していたら、生徒さんが、答えの最初に「には」と書いていたからです。これまでにも、場所を表す助詞の「に」と主題を現す助詞の「は」は、それぞれ何度もでてきているのですが、この「に」と「は」が一緒になって登場した「には」が何だか分からず、発音が[niwa]なので、「庭」のことだと思ったのでしょう。
さらに、生徒さんは、わたしが留守だった先週中に、「~冊」、「~本」、「~枚」、「~人」などなどという助数詞を、他の先生方から教わっていて、覚えるのが難しいと言っていました。イタリア語なら、本・鉛筆・絵はがき・人の数が「2」であれば、due libri/ due matite/ due cartoline/ due personeと、名詞を複数形にして、名詞のいかんに関わらず、数は「2」を表すdueを前置すればすみます。それが日本語の場合は、本なら「2冊」、鉛筆なら「2本」、絵はがきなら「2枚」、人なら「二人」と、名詞によって、助数詞が違ってくる上、「ふたり」のように、読み方が「に」とは違う場合もでてきます。しかも、イタリア語的発想をすると、「2冊の本を買いました。」、「二人の人がいます。」となるのですが、日本語で自然なのは、「本を2冊買いました。」、「人が二人います。」という表現です。日本語の名詞は、一見、性(男性名詞・女性名詞)も数(単数形・複数形)もないので、勉強しやすそうに見えますが、外国の方にとっては、こんなふうにひどく難しい点もあるのです。上の早口言葉には、助詞の組み合わせ「には」も、それと生徒さんが勘違いした「庭」も、助数詞を使った「2羽」も出てきます。それで授業の最後に、鶏の絵を描いて、言葉を説明した上で、早口言葉の練習をしたのでありました。生徒さんも、こういう難しさに出会って、悪戦苦闘の最中ではありますが、「これはおもしろいですね。」と楽しんで、練習してくれたので、うれしかったです。
冒頭の鶏の写真を撮ったのは、今年4月なのですが、その頃には、こんなふうに、りんごの花がきれいに咲いていました。
「にわにはにわにわとりがいる」と、わたしたちが聞いてすぐ理解できるのは、早口言葉を知っているということ意外に、イントネーションの変化やわずかな間、アクセントで、どこで言葉が切れるか、同じ[niwa]という発音でも意味が違うことが分かるからです。逆に、習っている最中の外国語がなかなか聞き取れないのは、「語彙が少ないので、言葉を知らない」、「文法が身についていないので、文法構造やそれぞれの語の関連が分からない」、「イントネーションやアクセントから、意図や文の構造を類推できない」といった理由のためだと思います。というわけで、外国語学習は、語彙や文法と共に、音声面からも多様な多量の情報に耳を慣らせていくことが、そしてその際は、とランスクリプトもあった方が望ましいと思います。
最近フランス語をすっかり怠けてしまっていることを反省しつつ、「きちじょうじには」の「には」を「庭」だと思ってしまった生徒さんの勘違いから、そんなことも考えました。
Lo scioglilingua giapponese che ho insegnato oggi durante lezione:
(in hiragana) にわにはにわにわとりがいる。
(pronuncia) /niwaniwaniwaniwatorigairu/
(con kanji) 庭には二羽鶏がいる。
(significato) Nel giardino ci sono due polli.
Potete dirlo velocemente?
にわとりの早口言葉いいですね~♪
響きがかわいいし、生徒さんも楽しみながら勉強できます!
なおこさんのような素晴らしい先生と出会えた生徒さん幸せです♪
こうして考えてみると、アクセントっていうのは重要な役割を果たしているのですね!アクセントぐらい・・・外国人なんだから間違えて当然と思っていた私のあさはかなこと・・・(笑)。よくテレビで外国人の方がしゃべっているのを聞いてそのアクセントおかしいぞ!というのがありますが、かなり日本語をしゃべれる人でもアクセントを習得するのは難しいということなのでしょうね。
そして助数詞も・・・そう言われてみれば外国人の方にとっては大変難しいことでしょう。なおこさんの記事を拝見しているとこのようなことに気が付けて勉強になりありがたいです。語学の学習をする時の参考になります(心がまえですが・・・(笑))。
いつもありがとうございます♪
旅行に行くからと、そのために少しでも勉強することは、それだけでもすばらしいと思うのですが、生徒さんは、3年間日本で、ある意味イタリアを代表して過ごされるので、とてもきちんとしたイタリア語を話される方でもありますし、日本語でもたとえ初級であるにしても、そういうふうに話すことができる手助けができればと考えています。助数詞も、ものやことによって言い方が変わるだけではなく、「いっしゅうかん」とか「よにん」だけれど「よんはい」「よんさつ」だとか、微妙に不規則なので、覚えるのは本当に大変です。せめては、早口言葉で息抜きをして楽しんでもらえたようで、うれしかったです。アリスさん、こちらこそ、いつもありがとうございます♪
マニアックに勉強してくれる学生もいますが、そこで例えば「ウサギは羽、アリは頭で数える事がある」など紹介すると、笑いが取れます。
この早口言葉は良いですね!僕も使わせていただきます。僕は「やゆよ」を組み合わせるひらがなと小さい「つ」を導入する際、「とうきょうとっきょきょかきょく」をよく紹介します。笑。しかしこれ、実際には存在しないってご存知でした?実際は特許庁だそうです。言いやすい!笑。
許可局、実際には存在しないんですか! いったいこういう早口言葉って、だれが考え出すんでしょうね。何はともあれ、覚えることが大変と青くなっている生徒さんに、少しでも楽しんで息抜きもしてもらえたようで、うれしかったです。この早口言葉を覚えるうちに、「には」という助詞の組み合わせの用法も、頭にしっかり記憶されることでしょうし。
私はもしやと思うのですが、なおこさんはイタリア人よりきれいなイタリア語を話すのではないかと。
私の周りのイタリア人はよーくイタリア語の文法を間違えます。特に遠過去とか。フィレンツェでよく言われたのはmi piaceではなく、フィレンツェではa me mi piaceと間違えた言い方をするらしいのです。ま、今回の内容とは関係ありませんが(ついつい脱線してすみません・・・)。
早口言葉は遊び心のある教材だと思います。ですからこれを取り入れたお勉強、楽しそうですね。イタリア語にも早口言葉ありますが今頭からポーンと抜けちゃいましたが。
イタリア語の早口言葉もおもしろいですよね。まだ幼かった姪たちと、早口言葉をどれだけ早く言えるかと、遊んでいた頃がなつかしいです。
私もイタリアで日本語を教える機会があるので、庭には・・・の早口言葉を使って文型&助数詞&アクセントの違いを親しみやすく教える方法、たいへん参考になりました!早速私も使ってみたいと思います。ありがとうございました。これからも応援しております!