イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

EU市民の家族とシェンゲン協定1

 フィンランド当局及びフィンエアーの空港職員が、イタリアが発行するEU市民用の家族滞在証を、「紙製だから」という理由で有効書類として認めず、イタリア人配偶者を持つ日本市民に対して、搭乗拒否をしたり屈辱的な扱いをしたりするという問題は、鍵コメントで、フィンエアーからメールを受け取った読者の方からいただいた情報から見て、解決に近づきつつあるのではないかと願っています。

 読者の方が受け取られたメールには、フィンエアーが、「イタリアの滞在許可書の承認に関する問題については、国境警備のシェンゲン手引きのAnnex 22を訂正することで解決したと、フィンランド大使館移民局から確証を得ました」とイタリア語で書かれ、Annex 22の変更箇所(イタリアのEU市民用の滞在証の説明)を英語で記したものを引用してあります。個人あてのメールの内容ではあるのですが、より多くの人に関心があり、直接の利害がある上、本来は航空会社とフィンランド当局が、すぐにも公にし、わたしやとすかーなさんをはじめとして、この問題について苦情や質問を寄せている人に返事をするべきであるということを考えて、わたしの方で、日本語に訳してご紹介しました。フィンランド当局からの通達がフィンエアーおよび国境警備に行きわたって、移動の権利があり、必要な書類も所持されている方が、国籍は何であれ、二度とこれまでのような予期せぬ搭乗拒否やひどい対応に遭い、嫌な思いをされることのないよう願っています。

EU市民の家族とシェンゲン協定1_f0234936_6511874.jpg

 その一方、そういう通知が不徹底で行きわたらないことも十分に予想されるため、明日イタリアを発たれるこの鍵コメントの方のためにも、EU法で、わたしたちのシェンゲン協定加盟国内の移動に必要とされている書類は、「有効なパスポートと現在滞在している加盟国のEU市民家族用の滞在証だけ」であることや、かつ「滞在証が紙だという理由で無効扱いはできない」ことを記した箇所を、一応、ここに引用しておきます。こういう法律の引用の必要がないことを祈りつつ、また、万一の場合も、担当官が読んで再考し、あるいは本国に通達してくれて、状況の改善につながることを願いつつ。

(このあと、次の部分を書くまでの間に数時間経過しています。)

 先ほど、肝心の法律を引用する前にと、フィンエアーからのメールに記載されていた「国境警備のシェンゲン手引きのAnnex 22」なるものを調べていたら、手引きやAnnex 22が見つかった上、手引き内には、国境警備が参考にすべき法律も列挙してありました。というわけで、今夜はもう遅いので、わたしが上述した法の関連箇所は、明日にでもこの関連法律一覧に目を通したあとでお知らせすることにして、今日は、とりあえずこの英語版の 『国境警備のための実践的手引書』の添付書類、Annex 22のうち、紙の滞在証が有効か無効化に関わる部分をご紹介し、この手引書および添付書類の関連リンクを、記事の最後に挙げておきます。

 問題のAnnex 22は、シェンゲン協定加盟国が発行した滞在許可証(List of residence permits issued by member states)を、各国別に列挙したものです。うち31~32ページが、イタリアに、そして、うち「2. Residence permits in paper form」が、今回の一連のフィンエアー・フィンランド国境警備問題に関わる部分です。後者を引用すると、次のように書かれています。

Da “Annex 22, List of residence permits issued by member states

“ITALY
[…]
2. Residence permits in paper form
2.a Residence permits in paper form, issued in a new format in accordance with national legislation, valid for a maximum of three months, for one of the following reasons:
- Cure mediche (Medical treatment)
- Gara sportiva (Sporting event)
- Missione (Mission)
On 15 October 2013, Italy adopted a new residence permit in paper form to replace the one in use.
2.b The previous residence permit in paper form is still part of this Annex exclusively for cases of:
- Residence card with a permanent validity and issued before the entry into force of
Legislative Decree No 3 of 8 January 2007, in line with Directive 2003/109/EC and made equivalent by the Legislative Decree to the EC residence permit for long-term residents
- Residence card for family members of EU citizens who are the nationals of third countries, with a five-year or permanent validity (implementation of Directive 2004/38/EC)
- Carta d'identità M. A. E. (Identity card issued by the Ministry of Foreign Affairs) (see Annex 20)
- List of persons participating in a school trip within the European Union”

 赤字で示したのが、紙製のEU市民用の滞在証(Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE)について記した部分です。掲示板に引用された外務省の方の言葉だったかに、「この紙製の滞在証がAnnex 22にない」とあったように記憶していますが、こんなふうに、紙製の滞在証も、今回メールで読者の方に通知があった改訂以前にもすべて存在していたわけです。

 読者の方がフィンエアーからメールを通して知ったAnnex 22の今回の改訂内容は、まだオンラインの文書には反映されていませんが、その紙の滞在証がどういう色をしていて、どの法に基づいて発行されたものかを、2種類の異なる紙製の滞在証について詳しく説明しています。(つづく)

Sulla questione dei casi d'imbarco negato e degli atteggiamenti autoritari nei confronti dei cittadini giapponesi coniugi di italiani da parte dei personali di Finnair e della Guardia di Frontiera Finlandese, una mia lettrice che partirà con Finnair domani ha ricevuto dalla campagnia aerea un'email che comunica: "abbiamo ricevuto conferma dall'ufficio immigrazione dell'ambasciata finlandese che i problemi relativi all'accettazione dei permessi di soggiorno italiani sono stati risolti con l'aggiornamento del documento Schengen Handbook's (Regulation-Manual) Annex 22" .

Mi auguro che i problemi siano stati veramente risolti e che la lettrice possa viaggiare senza problemi. Infine, spero che le autorità finlandesi rispondano alla mia email il più presto possibile per chiarire la questione a tutti.

Link riguardanti “Practical Handbook for Border Guards”
- ”Practical Handbook for Border Guards (Schengen Handbook) (pdf)
- ANP EU Monitor – Practical Handbook for Border Guards – State of play

*2021年6月追記:確認すると、特にフィンランドのAnnex 22関連の文書で今は無効となっているリンクが多かったので、無効となっていたリンクを削除しました。

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- EU市民の家族用滞在証 / Carta di soggiorno per famiriare di cittadino UE (27/6/2012)
- 紙の滞在証でも入国の権利あり / Risposta da Euro Direct circa la Validità della Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE cartacea in altri Paesi Schengen (3/6/2014)
- フィンエアー問題中間報告 (14/6/2014)
- Appeal to Finnish Authorities (14/6/2014)
- それでもイタリアなワケ NEW! in トスカーナ - フィンランド大使館のお返事 (2014/6/13)
- EU市民の家族とシェンゲン協定2 / Familiari di cittadino UE e Accordi di Schengen 2 (23/6/2014)
-それでもイタリアなワケ NEW! in トスカーナ - フィンランド問題 最終報告 (2014/6/24)
- フィンランド国境警備からの返事、紙でも大丈夫 / Risposta - Tipi di carta e permesso di soggiorno cartacei accettati dalla Guardia di Frontiera Finlandese (25/6/2014)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by nagisamiyamoto at 2014-06-23 10:16
なおこさん、こんばんは
今回の件は、なおこさんも勿論関係のある話で非常に真剣に考えていらっしゃることが他の方のブログからも強く感じました。ただ、こういうブログというコミュニティの中でそれぞれが悩んで、そういう方が結構いて、お互いで情報協力して解決に向かうところがとてもいいことだと思いました。
みなさんの行動力と情報力に感服!貴重な情報をありがとうございます。
Commented by ayayay0003 at 2014-06-23 16:01 x
こんにちは。
なおこさんがいろいろと法律にのっとり、またこの問題で日本人がフィンエアーで搭乗拒否にあわないように調べられたおかげでたくさんのイタリア在住の日本人の方が助けられたと思います。まだまだ正式に通達されているかどうかわからないので、安全のために保険をかけておく必要(なおこさんが用意してくださった文書のコピー)があるとは思いますが・・・。
このように大変な問題を一個人の働きかけによってしか解決できないというところに外国で暮らすということの不便さを感じた私です。日本人である以上日本の国がどうにかしてくれたらいいのに・・・などとあまっちょろいことを思う私であります。
なおこさんは本当に素晴らしい方です。今回のことに同じ日本人として感謝致します、ありがとうございました(*^_^*)
Commented by とすかーな at 2014-06-23 16:21 x
なおこさん、さきほど、フィンエアー日本支社から返事がありまして、同様にAnnex 22を訂正したので、紙の許可証が受付可能なものになったと返事をもらいました。これで日本からの出国でのトラブルは避けられると思います。
もし明日出発される鍵コメさんがプリントアウトして持っていきたいということでしたら、メールを転送しますので、お知らせください。あ!ダメだ、もう出発していますね。。。
おっしゃる通り、現場まで情報がいきわたってない可能性もあるので、なおこさんの調べてくださったAnnex22などの部分も持って行ったほうがいいでしょうね。
私も今日中にブログに記事をアップしたいと思います。沢山の時間をかけて調べてくださってありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2014-06-23 18:26
なぎささん、フィンエアーを帰国に選んだがために、こんな問題が発生しようとは思いもしなかったし、他国でも紙の滞在証が拒否される恐れがあると知って、いろいろ調べてみたのですが、こういう問題自体をわたしが知ることができたのも、カンポさんが記事にしてくださったおかげだし、とすかーなさんや鍵コメの読者の方をはじめ、きっと多くの方が同じような問題に遭い、それではおかしいのではないかと、皆で多方面から攻めた(?)ことが功を奏しつつあるのではないかと思います。そういう意味で、遠くに暮らしていても、同じような境遇にある者どうしが情報を交換し合い、解決に向けて協力できるブログやインターネットの存在はありがたいですよね。こちらこそ、いつもお優しいコメントとすてきなフィレンツェ・トスカーナ情報をありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2014-06-23 18:38
アリスさん、そもそもはカンポさんが記事にしてくださって、他の方も並行して各所に問い合わせてくださったおかげだと思います。私が何かしたとしたら、非があるのは紙の滞在証を発行するイタリアではなく、紙だからと認めないフィンランド側だということを、Europe Directに問い合わせて突き止めたということでしょうか。どちらが間違っているか分からないのでは、思い切って手も打てませんもの。まだまだフィンランド当局から返事がありませんので、とりあえずは今日出発される読者の方が行きも帰りも何事もなく無事に旅をされることを祈っています。まだ問題が解決せず、フィンランド当局から返事がない場合には、奥の手を使うことも検討していますが、コネを使ったり、忙しい方の手を煩わせたりすることはできれば避けたいので、その必要がないことを願っています。

いえいえ、アリスさん。曲がったことは許せない性質ですし、自分にも関わる問題ですので、できるだけのことをしようと思っただけのことです。書こうと思いつつ書けていない手紙が多く、フランス語も掃除もさぼりがちでいけません。先週は日本語の講座が一段落したことですし、今週から少しずつ頑張ります!!
Commented by milletti_naoko at 2014-06-23 22:07
とすかーなさん、フィンエアー日本支社からもそういう連絡があったんですね! イタリア支社の返事に数日遅れているものの、そういう形で、フィンランド当局が滞在証を有効な書類として受け付けると認めたことが、フィンエアーの日本支社にまで伝わったということは、当然国境警備への指導も入ったはずで、心強いですね。

ご提案をありがとうございます。鍵コメさんも日本への帰国には問題ないかもしれないのですが、ひょっとしたら日本からの出発に際して、空港の係員に連絡が徹底していない可能性がないとは言い切れないので助かります。もし鍵コメさんからメール転送の依頼があれば、また改めてお願いいたしますね。

どういたしまして。今後は、理不尽な搭乗拒否やひどい扱いで、もう日本の方が苦しまれることがないように祈っています。カンポさんやとすかーなさん、まゆみさんをはじめ、掲示板に情報を載せてくださった方々など、皆が情報を発信・共有してくださって、ある意味連携して、多方面からフィンランドやフィンエアーに呼びかけることができた、そのおかげだと思います。非があるのがフィンランドだと教えてくれたEurope Directにも感謝しています。
Commented by カンポ at 2014-06-24 00:10 x
なおこさん、
ここまで徹底的に調べてくださり、実際にアクションを起こしていただいてありがとうございました!今回の里帰りに関して私はフィンエアーを避けるという手段をとってしまい、結局問題から逃げてしまってましたので・・。
これで、ヘルシンキを経由する沢山の日本人の方が助けられると思います。再度お礼申し上げます!
今日あと数時間で中国東方航空で日本出発です。この便は別の意味で大変ですが・・・。(笑)
Commented by milletti_naoko at 2014-06-24 00:28
カンポさん、どういたしまして。こちらこそカンポさんが問題を知らせてくださったおかげで、わたしもとすかーなさんも、そして、情報をいろいろと探していた読者の方も、あちこちに苦情を訴えて、問題が解決しつつあるのではないかと思います。(まだ確証がないのが残念です。北欧の国というのは、返事や対応が早いと思っていたのですが。)滞在証が紙製でも、法的には、協定に加盟する他の欧州諸国に自由に出入国ができると分かって、わたし自身安心もしました。いざと言うとき、間違っているのが相手方だと分かっていれば、打つ手や態度も決まってくるので、他国でも出入国に問題が起こる可能性があると教えていただいたことにも感謝しています。ただ、搭乗や出入国に難癖をつけるのはフィンランド当局が悪いけれど、事の原因はイタリアが発行する滞在証が紙製であることではなく、古いCartaをそのまま応用したがために、英語訳はresidence cardとあるべきなのにpermit of stayとなっていることではないかという気がしました。この点は、イタリアの関係当局に、だめもとでも、いずれ何らかの形で訴えるつもりでいます。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2014-06-24 00:29
カンポさんへ(上からの続きです)

中国東方航空での移動も、本当に別の意味で大変そうですね。どうか無事に日本に帰国をすることができますように。カンポさんの映画情報に、いつもいろいろ教えていただいていて、こちらでのテルマエ・ロマエの上映を楽しみにしています♪ ブログやブログ村というのは、何だかイタリア在住日本人情報交換回覧板みたいなところがあって、おもしろいし、役に立つこともあって便利ですね。せっかくの日本で過ごす日々、どうか十分に楽しんでくださいね。Buon viaggio!
Commented by patata at 2014-06-24 00:41 x
なおこさん、こんにちは。
フィンエアーの件、無事解決の方向に進んでいるのですね、本当に良かったです(私は何もしてないわけですが・・・)お忙しい中で確認を続けられていたなおこさん・・・心からありがとうございました!
私もなおこさんのように、将来は情報を共有できるような立場になれれば良いのですが!
今回、私はなおこさんのお人柄に改めて惹かれました♡
Commented by kazu at 2014-06-24 00:58 x
どうにか解決しそうで、ほんとに良かったですね。ハラハラしていましたが、なおこさんはじめ、皆さんの努力が報われそうでほっとしています。私は旅行だけですが、それでも何らかの事情が発生して入国を拒否されたらどうしよか、日本領事館はこんな時本気で助けてくれるのかと少し怖くなりました。今日は、イタリア語の先生に、なおこさんのこの記事の話をしますと、2003年~2004年辺りの古いままの形式が直されないままになっているのかも知れないとおっしゃっていましたが、何にしても根本的な問題はまだ残っていそうで、とにかくEUレベルのICチップのカードに変わってくれることが一番のようですね。

実はこのイタリア語の先生も、少し前から日本の在留カードには偽変造防止のためのICチップが搭載されたといって、顔写真の付いたプラスチックのカードを見せてくれました。このカードを携帯していないと分かれば罰金が5万円科せられるのだそうです。今日の授業は、半分この話題でしたが、外国の方達が異境の地に住むのは日本もイタリアもご苦労があるのだとつくづく思い知った次第です。
Commented by milletti_naoko at 2014-06-24 06:35
Patataさん、こんばんは。フィンエアーの日本支社とイタリア支社から、航空券を買ったお二人にこういう連絡があったということで、どうか問題が無事解決していますようにと祈っています。どういたしまして。行ってみたい北欧の国もありますし、許可証の様式や他のシェンゲン協定加盟国の対応いかんは、わたし自身にも関わることです。そんなに言っていただけるほどりっぱではないのですが、日々少しずつ前進すべく頑張ります。
Commented by milletti_naoko at 2014-06-24 06:40
かずさんも心配してくださっていたんですね。ありがとうございます。本当に、いざというとき頼りにしたい大使館や領事館の対応に何だか不安が出てくる問題ではありましたね。同僚のルーマニア語の先生にも、将来的に問題を避けるにはプラスチック製にした方がいいと勧められましたが、カード製は便利な反面、非EU国籍者として指紋などの情報を簡単に照会されるという側面もあります。かずさんのイタリア語の先生もいろいろと苦労をされているんですね。イタリア語を先生について習っていらっしゃるんですね。すばらしい!
Commented by Onopy at 2014-06-25 03:17 x
EU市民の家族とシェンゲン協定2のほうにコメントを残したのですが無事に通過できました 滞在許可証とパスポートの提示で一切質問もありませんでした。なおこさま、トスカーナさま本当にいろいろ調べていただきありがとうございます。こういった情報があったので何かあっても対処できる、という安心感がありあまり不安になることなく通過できました。私も出発前の2週間余りで問い合わせている間、各関係各所にいろいろと感じることもあったのですがまた後日書かせていただきたいと思います。
Commented by milletti_naoko at 2014-06-25 06:31
Onopyさん、長旅でお疲れでしょうに、さっそくのご連絡をありがとうございます。質問もなく無事に通過されたとのことで、本当によかったですね。実は今晩になって気づいたのですが、昨朝、フィンランド国境警備からの返事が届いていました。内容は記事に引用したことと重複するようなことを簡潔に英語で書いてあって、イタリア発行で出入国を認められる滞在許可書を列挙していたのですが、それで、フィンエアーについてはOnopyさんがイタリア支社から、とすかーなさんが日本支社から大丈夫という通知を受け、肝心のフィンランドの国境警備もOKを出していて、この3点すべてにちゃんと連絡が行きわたっているので、きっと皆さんご無事に通過できることでしょう。Onopyさんも出発前のお忙しいときに、いろいろお問い合わせなどされて、本当にお疲れさまでした。皆の抗議や苦情と問い合わせで、ようやく重い腰をフィンランド側が上げたものと解釈しています。国境警備からのメールもまた蛇足とは思いつつ、一連の関連記事に締めくくりをつける意味で、また簡単に書くつもりでいます。
Commented by Onopy at 2014-06-25 17:14 x
なおこさまもお疲れさまです。イタリア人の友人がフィンランド人はRigidだから避けたほうが賢明だよ、などとアドバイスしてくれましたが、フィンランドは一度間違いと分かれば修正対応は早いような印象です。在伊フィンランド大使館からも同様の返事が私のところに今日届きました。これでフィンランドでの入国拒否問題は今後なさそうですね。ただ、私の疑問は今まで実際に「紙だから」という理由のみで飛行機にも乗れなかった方は精神的苦痛も実質的な損害も出ているでしょう。日本での思わぬ滞在費や航空券の変更に伴う追加料金などもしこの方の滞在許可証がEU法の下に発行されたものであればEU DIRECTの方が言うように損害賠償できそうですがどうなのでしょう。
Commented by Onopy at 2014-06-25 17:21 x
また、夫がクエストーラに助言されて2週間ほど前に在フィンランドイタリア大使館に問い合わせた際、担当の大使館のイタリア人の方は「2014年1月19日から紙の滞在許可証は禁止されている」とイタリア大使館としてはなんの手助けもできないとおっしゃっていました。その時はクエストーラからは紙でも有効と聞いており、万一フィンランド国境で何かあれば問い合わせて助けてもらえるだろうか、と期待して問い合わせをしてい、たのに思わぬ返事で唖然としてしまいました。そしてこの2週間その対応を反芻してみるとイタリア大使館なのに明らかにフィンランド当局と足並みをそろえていて移民局とは異なる見解でした。 本来ならば大使館はイタリア政府の異国での出先機関としてその国民とその家族を守るべきなのでは?もしフィンランド当局とイタリア当局の意見が異なっているのなら私たちが今までやってきたような調査をして必要ならば調整するべきだったのでは、と憤っていますがどうでしょうか?
Commented by milletti_naoko at 2014-06-25 18:22
Onopyさん、フィンランドではありませんが、北欧の人と仕事をしたことがある人が、「仕事が正確で、期日をきちんと守って、いつも穏やかで冷静だ」と言っていました。間違ったことを正しいと思い込んでいる間は断固として譲らなかったのが、間違いと分かってすぐに訂正したのだと思います。フィンランド国境警備からの最初のメールは、謝罪や説明は一切なく、「以下の紙の滞在許可書・許可証だけを承認する」という簡潔なものでしたが、今朝「心配している日本の方のためにも、メールを公表してもいいか」と尋ねると、15分後にOKと返事があり、しかも「この件についてのあなたの心配はよく分かります。私の名前入りで公表してもいいし、必要な方には知らせてあげてください」、「いい夏になりますように」と書いてくれていたので、何だかうれしくて、わたしもすぐにお礼の返事を送りました。謝罪の言葉がないのは、賠償責任の問題もあるし、謝罪はしない文化なのかもしれませんね。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2014-06-25 18:24
Onopyさんへ(上からのつづきです)

わたしも搭乗拒否を受けて、旅程の変更や新たな航空券の購入を余儀なくされた方は、賠償を請求する権利があると思います。今回改訂されたシェンゲン手引きのAnnex 22や国境警備のメールに記された、承認される紙製のイタリア発行の書類を見ると、結局はいつ発行されたどんな形式のものでもいいように思えるのですが(近いうちに記事にします)、ひょっとしたらそれに当てはまらない紙の許可書・滞在証もあるかもしれません。でも、いずれにせよEU市民家族として移動の権利はあるはずで、EU法には万一書類に不備があっても、出入国にあたっては他の資格を証明する書類で代用できないか模索し、ビザの取得を助けることと書かれているように思います。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2014-06-25 18:24
Onopyさんへ(上からのつづきです)

フィンランド側は、英語表記がpermit of stayなので、Carta di soggiornoがresidence cardに該当するとは思いつかず、それならば一されたプラスチック製のものではないといけないと考え、それで「紙製ではいけない」と伊大使館にも通知し、大使館もそういうものと思い込んだのではないかと思います。本当は「EU市民家族用の滞在証」(residence card of EU citizen)なのに、英語でのそういう表記が一切ないために、一般の「滞在許可書」と混同され、紙製はいけないということになり、この誤解が空港や入国審査における詰問や搭乗拒否につながったのではないかと。Europe Directの自らを非とする判断を知って、ようやくその誤解に気づいたのではないかと思いますが、それにしてもイタリア大使館も、法を読み返せば打つ手はあることに気づけたはずなのに、頼りないですね。フィンランドもイタリアも、どちらも自分が正しいと思い、これだけ問題が起こっているのに、互いに連絡を取らなかったことも、困ったものです。
by milletti_naoko | 2014-06-22 23:54 | Sistemi & procedure | Comments(20)