2014年 06月 30日
806ページ目の悲喜劇

ところが、800ページあたりになって、新しく登場した人物が、なんとこのフランス人作家の別の冒険小説、『海底二万里』の主人公であること、そして、『海底二万里』に描かれた時代から、かなり時が経過していることが分かりました。そして、さらに読み進めると、この主人公の生い立ちや人生を、最初から詳しく語り始めているではありませんか。
『海底二万里』を読むつもりがないのであれば、このまま気にせずに『神秘の島』を読み続ければいいだけです。けれども、わたしはすでに『海底二万里』も購入しています。800ページを過ぎたあたりから、『海底二万里』の主人公の将来や人となりが分かってしまった上に、806ページまで読み進めてから、このまま読み続けては、『海底二万里』を読む楽しみがなくなってしまうことに気づきました。本文だけで600ページ近くもあるフランス語の小説は、筋や内容が分かってしまえば、読む楽しみが半減します。というわけで、あまり躊躇せずに、本文が残すところ60ページ余りとなった『神秘の島』をひとまず脇に置いて、先に『海底二万里』を読み終えることに決め、昨晩さっそく冒頭の一節を読みました。

L’année 1866 fut marquée par un événement bizarre, un phénomène inexpliqué et inexplicable que personne n’a sans doute oublié. Sans parler des rumeurs qui agitaient les poplulations des ports et surexcitaient l’esprit public à l’intérieur des continents, les gens de mer furent particulièrement émus. […]
「いったい何事が起こったのだろう」と、『神秘の島』を読みかけていなければ、最初の一節が興味をかきたてたと思うのですが、すでに漠然と、起こったことが想像できます。とは言え、まだ害は最小限なので、できるだけ早く『海底二万里』を読み終え、『神秘の島』も読了するつもりでいます。
1866年と言えば、日本では翌年に大政奉還が、翌々年に明治維新があり、大きな転換を迎えて、近代化・軍国化への道を進んでいったわけですが、ジュール・ヴェルヌの小説も、この頃に書かれたものが多く、彼の作品を読みながら、この時期には、アメリカの南北戦争が終結し、イギリスをはじめとする欧米列強による植民地政策を進めていた時代でもあって、世界全体が大きな転換を迎えていたのだと、改めて感じました。

夫からは、「もう残り少ないんだから、今の一冊を読み終えてからにしたら?」と言われたのですが、『海底二万里』を楽しんで読むためにも、『神秘の島』をよりよく理解するためにも、やはり、『海底二万里』を先に読むことにします。
実は、今日から金曜日まで、夫は、同僚でもある友人と二人で、南の島に出かけています。というわけで、今年度は日本語の講座も終了したことですし、この5日間は、しばらくさぼっていたフランス語学習を再開する意味でも、『海底二万里』を読み進めていくつもりです。
Finalmente stavo per finire “L'île mystérieuse" di Jule Jules Verne ma nel romanzo ora è comparso il protagonista di un altro romanzo, "Vingt mille lieues sous les mers" e il libro comincia a narrare la sua vita. Quindi se continuassi a leggerlo, mi dimezzerebbe il piacere della lettura di "Vingt mille lieues sous les mers", anzi mi toglierebbe la voglia e motivazione di leggerlo. Dunque, ho deciso di leggere quest'ultimo prima di finire “L'île mystérieuse".
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 離れ島でサバイバル、仏語で読む『神秘の島』 / “L'île mystérieuse" di Jules Verne (7/3/2014)
- フランス語で読む夏2 / Lettura in francese 2 (6/8/2013)
- フランス語で読む夏1、『八十日間世界一周』 / Lettura in francese 1, “Le Tour de monde en quatre-vingts jours” (2/8/2013)
LINK
- Bibliothèque nationale de France – gallica – Vingt mille lieues sous les mers / Jules Verne ; ill. de 111 dessins par de Neuville, [et Riou] ; [gravés par Hildibrand] -J. Hetzel (Paris)-1871, Livre en mode image seul – Accéder au document
- Amazon.co.jp - ジュール・ヴェルヌ作、村松潔訳『海底二万里(上)』 (新潮文庫)
- Amazon. it - J. Verne, "Vingt mille lieues sous les mers", Folio classique
- Amazon.fr - J. Verne, "Vingt mille lieues sous les mers", Folio classique
- Amazon.it - J. Verne, "L'île mystérieuse", Folio classique
- Amazon.fr - J. Verne, "L'île mystérieuse", Folio classique


同じ作者の作品だとそんなこともあるのですね~
やはりちょっとミステリーがかったものは筋がわかるとおもしろくありませんよね!なのでなおこさんの選択はとてもよくわかります。
小説を書いた時代というのは、作者が生きて生活していた時代ですから小説の作風や時代背景的なことには当然でてくるだろうしその時代背景を知って読むとなおおもしろいでしょうね!
私は、訳本で出ているものをちょっと読みたくなりました(笑)
ジュール・ヴェルヌは、わたしはフランス語を勉強し始めるまで、名前や作品は知っていても読んだことがなかったのですが、少年の頃の夫が夢中で読みふけった作家で、中でも一番夢中になった読んだ大好きな作品が『神秘の島』ということです。今回ご紹介した2冊はわたしもまだ読み終えていないのですが、『八十日間世界一周』はおもしろくて、夢中になって読みました。少年向けコーナーにありますが、完全版はページ数もかなりあって、大人が読んでも、読みごたえがあるし、女性にもおもしろいと思います。よろしかったら、ぜひ! 同じ時代に、日本では侍が刀を腰に町を歩き、インドを鉄道が走り始め、アメリカでは西部劇の時代であることが、世界を80日間で一周しようという設定のため、実感としても感じられて興味深かったです。

実は私も今読んでいる本はシリーズもので、現在テレビで放映されているドラマの原作なのですが、第一作目は取り敢えず完結しているしと思って、二作目を読み飛ばして三作目を読み始めたら、なんと一作目の主人公が亡くなっていて、もうびっくりです。次元が違っていて恐縮ですが、なおこさんと同じで三作目を中断しました。一体何があったのか、気になって仕方ありません。
主人公が亡くなっているとはショックですよね! 途中どうなったのか気になってしかたのないお気持ち、よく分かります。そう言えば、タッチで主人公の双子の兄弟の和也くんが突然死んだときは、中学生だったのですが、本当にびっくりしました。わたしも話や映画の先を知るのは好きではないのですが、血が飛んだり主人公が不幸なまま終わったりする作品は好きではないので、本やテレビの映画を見ていて、何だか風向きが悪そうになって来たら、最後の方や映画批評を参考にして安心する、あるいは鑑賞をやめることはあります。
順調に読み進んでいらっしゃるのですね。わたしはどうも長い期間同じ本を読み続けられない質なので、なおこさんのように時間がかかっても諦めずに読み続けることができる人は本当にすごいと感心します。特に語学は地道な努力こそが最大の効果を生むと思っているので、見習わないとなぁと思いますよ。
なおこさんがあんまり楽しそうに読んでいらっしゃるので、わたしもヴェルヌを読んでみようかなぁと図書館から「海底二万里」を借りてきました。うまく波に乗って読み続けられるかどうか、この夏休みに試してみようと思っています。
梨の木さんも、『海底二万里』、借りられたんですね! いいライバルができたところで、先に読み終えられるように頑張ります。お子さんたちも、ゆくゆくは、ジュール・ヴェルヌの作品のファンになるかもしれませんね。