イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

tartare哀歌

 3年前の夏、友人たちとフランスのメルカントゥール国立公園を訪ねたときのことです。フランス語のメニューを見て、何とは知らず、聞こうともせず、冒険気分で、夫が注文したのがtartareで、運ばれてきた生の挽き肉を見て、ぎょっとしていました。

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 幸い、同席していた友人の一人が、タルタルステーキは大好物ということで、夫が苦労しながら食べるのを、喜んで手伝ってくれました。ただ、夫はこのあとも再び、ウンブリア州内を出張中に、レストランでうっかりタルタルステーキを注文してしまい、皿が運ばれて来て、初めて、「ああ、また失敗した」と思ったそうです。ただし、イタリアで食べたこちらのステーキの方が、南仏で食べたものより、香草の味がしっかりと効いていておいしかったそうです。

 今頃、3年前の話をするのは、今日、TARのつく虫の威力と破壊力に驚き、これは何とかしなければと、頭を悩ませているからです。

 義父母は、自分たちや両親兄弟がかつて使っていた家具だけではなく、さらに遠い親戚がお払い箱にした家具まで、役立つかもしれないかと、いくつも物置きに置いています。あるのにもったいないからというわけで、うちでも、そういうお下がりの古い家具をいくつか使っています。中には、古くていい品、価値のある品もあれば、単にただだし、使えればいいからと、使用しているものもあります。

 イタリアには、木でできた家具や床、窓枠など、木を食う虫がいて、イタリア語ではtarloと言います。最近、椅子やテーブルの下に、tarloが木を食って、落とした木屑というかホコリのようなものを見かけることがあって、気になっていたのですが、なんと夫が穴が開いた部分に手をやると、その部分の木の棒が簡単に折れてしまいました。というわけで、今日の夕方は、本やインターネットで、このtarlo退治の方法を調べました。

 TARと言えば、衣類、特に毛糸のセーターに穴を開けてしまう虫は、イタリア語で、tarmaと呼びます。tarlo対策にもtarma対策にも、化学薬品はできるだけ使わぬよう、ラベンダーなどのハーブを主成分にしたものを使っているのですが、上質の木を使った家具やカシミヤのセーターなど、そういういいものがねらわれ、傷んでいまうので、困ったものです。というわけで、TARloとTARma、このTAR・TARコンビに手を焼いて、対策に頭を痛めているところなのです。

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E' un'avventura ordinare un piatto all'estero dove si parla un'altra lingua.
Ti sorprendi quando arriva a tavola come quando è comparsa questa "tartare" in Francia.
Invece, insidiosi sono gli insetti TAR-TAR, TARlo e TARma che zitti zitti mangiano e rovinano i mobili e i vestiti.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2014-07-09 13:19
こんにちは♪
同じヨ―ロッパ同士でも、言語のニュアンスも違えば、食習慣も異なるわけで、そういう食べもののハプニングもあり得ますよね~(笑)家の場合は、海外(東南アジア)の中華料理店で、手羽先と中国語で書いているのを注文すると本当に鷄の手の部分が出てきて困り、なのに家の夫は、日本の手羽先が好きなのでまたまた何度も同じ事を繰返し笑ったです~(^-^)

そうですか?木の家具にはそういう虫がいるとは困りましたね~(笑)笑い事ではありません!ほんと、いいものほど虫に喰われちゃうんですよね~(^^;
Commented by milletti_naoko at 2014-07-09 16:41
アリスさん、おはようございます♪ イタリアでもこういう料理が出る店もあるようですが、なにせ夫はふだん外食と言えばピザ屋なので、タルタルステーキを知らず(わたしも知りませんでした)、運ばれてきた料理を見て困っていました。日本語と中国語で意味が違う言葉があって、たとえば、「手紙」が中国語ではトイレットペーパーという意味だと聞いたことはあるのですが、「出羽先」が鶏の手だとは!! 手というのは要するに足でしょうか。そのときはびっくりしてもつい忘れてまた頼んでしまうということは、アリスさんのだんなさまにもあるんですね。うちもアリスさんのお宅も、だんなが似たようなことをしていて、おもしろいですね♪

木の家具を傷める虫には本当に困りました。古い家具が多いので仕方ないとは思っていたら、新しい食い傷も作っているようなので、早急に対処するつもりでいます。
Commented by あんずミャミャ at 2014-07-09 17:46 x
家具まで齧られてしまう虫がいるなんて
困ってしまいますね(><)
白アリも厄介ですが
こちらの虫もかなり厄介そう・・・

高級なものは虫もちゃんとわかっているんですかね~(^^;
Commented by kazu at 2014-07-09 17:55 x
タルタルステーキ、私もパリのレストランで食べました。何しろメニューを見て推測できた唯一の料理だったのですが、タルタルソースの掛かったお肉を思い描いていたので、間違って持って来たのかと思ったほどです。生卵も乗っていて、まるでユッケでしたよ。いつもバッグに忍ばせている醤油を皆で回して掛けて食べたのを思い出しました。ハンバーグになってもいいからほんと焼いて欲しかったです。

家具の虫はキクイ虫かもしれないですね。以前バリ島で買って来た絵の額縁から虫が出て来て大騒ぎしたことがありましたが、知人の家具屋さんに聞くと、塗り加工していない広葉樹の木で作られた家具などに虫が居るのだそうです。退治できるといいですね。
Commented by ムームー at 2014-07-09 19:30 x
なおこさん
こんばんは、いやぁ~こういうお肉は食べれませんわ、良く
焼いたものがいいなぁ。
注文ってこういう間違いや思い違いがありますね。
私も良くこういうことがありますわぁ。
家具につく虫は困りますね、殺虫剤を振り掛けると
早いでしょうが、こちらにも害がありますから、慎重にですね。
Commented by toto at 2014-07-09 22:27 x
私もTAR TARに悩んでます! イタリアに来た当初、スーパーで虫よけシートを買ってみたのですが、あまりにも匂いが強烈で、袋から出さずに置いたまま。今は、ラベンダーか、サンタ・マリア・ノヴェッラの衣装用虫よけを使ってます。SMNの虫よけは香水のようなスプレーで、友人がイタリアに遊びに来た時に発見しました。30ユーロか35ユーロと虫よけの価格ではないので躊躇しましたが、シーズンに1回、付属のカードに吹きつけるだけなので、何年持つことか、、、というほどのもの。香りは少し古風な感じで臭過ぎないので使ってます。
わが家もおばあちゃんの家具、大家さんの家具、知り合いのオフィスの家具と、人から譲り受けた家具だらけ。先日はおばあちゃんの引きだしの段を外して奥の掃除機をかけました。今はないのですが、もうひとつおばあちゃんの嫁入り道具だった手作りの大きな衣装箪笥は、居心地がいいのか蜂だかアピが巣を救ったほど、、、。巣を発見したのは蜂が出ていった後だったので良かったのですが、相当びっくりしました!
譲り受けた家具はありがたいものの、わが家のインテリアセンスは無茶苦茶。そこはちょっと不満です、、、。
Commented by milletti_naoko at 2014-07-09 22:47
あんずミャミャさん、家具だけではなく、窓枠も木だし、二部屋は床がフローリングで、床にも穴があって、これは大変と慌てています。白アリも大変ですよね。あちこちに小さい穴ができていて、一つひとつ対処する必要がありそうで、ただいま作戦を検討中です。

高級ではない、一昔前の古い家具にも虫はついていて、本当に困ったものです。
Commented by milletti_naoko at 2014-07-09 23:00
かずさんもですか! そうそうフランスで料理を注文するのは、大変ですよね。実はわたしも、自分が頼みはしなかったものの、tartareという肉料理の名を見て思いつくのは、タルタルソースがかかった肉で、まさか生の挽き肉が出るとは思いもしませんでした。よかった(いえ、実体験されたかずさんからすれば、よいも何も…)、同じような勘違いをしたのは、わたしだけではなかったんですね! ううん、これは今後も被害者が続出する可能性がありますね。さらに生卵! ユッケとは何かわたしは知らなかったのですが、どうも韓国のユッケもタルタルステーキもタルタルソースも、実は互いに関連があるようです。かずさん、しょうゆをバッグにいつも忍ばせているとは、なかなかの機転、旅行の知恵ですね。

キクイ虫、バリ島にもいて、絵の額縁から登場して、はびこることもあるんですね!! まったく油断がならないものです。一つひとつの穴にスプレーで液を入れていかないといけないようで、この穴の数が多いので大変ですが、もし、体に害のないいい液が見つかれば、さっそく作業に取りかかるつもりでいます。どうか退治できますように。 
Commented by milletti_naoko at 2014-07-09 23:04
ムームーさん、わたしも、こちらで血が滴るのがおいしいと言われているステーキでさえ、もっと火を通してくださいと頼む方なので、生の挽き肉なんて、とても食べる気になれません。注文するときには、気をつけないといけませんね。

家具につく虫は本当に困ります。家具の木の奥にいるので、針の長い特別なスプレーで一つひとつの穴に噴射する必要があるようですし、体に悪いものは使わないようにしたいですが、それでは虫にも効果がないかもしれませんし、難しいところです。
Commented by milletti_naoko at 2014-07-09 23:13
Totoさんのお宅もなんですね!! わたしもできるだけ化学薬品を使わないようにと、ラベンダーに効果があるからと、ラベンダーのポプリにラベンダーの精油をふりかけてantitarmeに使ったこともあるのですが、それではやはり撃退できないようで、今は、香りはよいけれど、若干化学成分もあるものを、利用しています。

うちも家具は、「いつか使うかもしれない」と義父母がかつて使っていた、そうして譲り受けて取っておいた家具がガレージに山ほどあったため、本当は新しい家具がほしかったところにも、まあ、経済的に助かりはするのですが、そういう家具があり、「台所が狭い」のに「使わないともったいない」からと、あえなく使っているテーブルもあり、インテリアはまちまちです。ペルージャのレストランに、一つひとつの古い家具が経てきた歴史を尊重しようと、あえて古いまちまちの家具を利用した店があるのですが、家ではそういうまちまち感、センスが疑われそうでもあり、それにうちの場合、あるからと夫が買うのに異を唱え、買えていないものには食器もあります。まあ、今は改築や車の修理費用のおかげでお金がないので、古くてもありがたく使わせてていただいているのですが。
Commented by nagisamiyamoto at 2014-07-10 00:48
なおこさん、こんばんは
tar・・・食事のtarと衣服につくtarと家具につくtar。へぇ、いろいろあるんですね。私、生肉好きですのでタルタルは大好きです。旦那様はさぞかし(特に2度目は)困ってしまったでしょうね。
衣服のtarは困ります。特に季節が過ぎた後、再び使うときに穴があったときの悲しさ・・・せつないです。
家具も確かにありますね。
お金はいつ必要になるか分かりませんから、ある程度保っておく必要があります。私もこれから会計士や税金で今月来月とどんどん持ってかれます。お互い大変ですね。
Commented by milletti_naoko at 2014-07-10 02:16
なぎささん、こんにちは。お好きな人にはたまらない料理なのでしょうね。二度目は、夫はまさかイタリアでも出くわすとは思わず、油断して頼んでしまったのでしょう。メニューが何か分からないのに、聞かずに頼むのも、取り扱いや組み立ての説明書を最初から読もうともせず、さっさと自分で適当に使ったり組み立てたりする習慣に共通するところがあるかもしれません。

衣服も木製家具も、tarmeにもtarliにも本当に困ったものです。せっかくの大切な衣服に、穴が開いていると悲しいですよね。なぎささんも、税金がことに多いお仕事をいろいろとされていて、大変ですね。会計処理にも、お金と時間をかなり取られると、自営業の友人から聞いています。わたしも、思いがけぬ車の事故による思いがけぬ出費で、緊縮財政を迫られていますが、命が助かっただけでも、ありがたいと思うことにしています。
by milletti_naoko | 2014-07-08 23:59 | Altro | Comments(12)