イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

モデナの聖湖と山小屋たち

 エミリア・ロマーニャ州の、パルマ県とモデナ県に一つずつある同名の湖、Lago Santoは、lagoがイタリア語で「湖」を意味するので、日本語では、「サント湖」と書いてもよさそうです。ただ、santoはイタリア語で「聖なる」という意味を持つ形容詞であり、日本語であえて呼ぶなら、いっそ「聖湖」と言った方が、湖をこう名づけた人たちの思いに添っているような気がして、かと言って、固有名詞だという思いもあり、記事中は、イタリア語で、Lago Santoと表記しています。

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Lago Santo & Rifugio Vittoria 2/8/2014

 湖のほとりには、いくつかrifugioがあります。rifugioは、rifuggire「忌避する」という動詞から派生した単語で、たとえば山を歩いていて、雷がとどろいたり、雨や雪が降ったりした際に、「避難する場所」という意味です。そのため、高い山頂にあって、旅人が自由に、雨風をしのいで、寝袋で眠ることができる山小屋をrifugioといい、そういう簡素なrifugioもあるのですが、中には、シーツやタオルが用意されていて食事もできるホテル並みのサービスがあるところもあり、そういうところも、やはりrifugioと呼ばれています。

 わたしたちが今回泊まったRifugio Vittoriaも、そういう半分ホテル、半分スパルタ式の宿泊施設でした。

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 テントを張って外で眠ることもできるというのが、今回友人たちがこの山小屋を選んだ理由なのですが、rifugioの中には、寝室もあり、夕食や朝食も取ることができます。友人たちからは、夕食25ユーロ、朝食5ユーロで、朝食・夕食つきで寝室に泊まれば一人55ユーロと聞いていて、今回は、友人の中にワインをたくさん飲む人が多くて、一人あたりの大人のワイン追加料金が2ユーロとなり、結局一人一泊二食つきで、57ユーロ払いました。夕食の量は多かったし、おいしくはあったのですが、約12人ほどの宿泊客に対してシャワーが一つのみで、レストラン客と共用のトイレを含めて、トイレがこれだけの人数に2つだけなど、宿としては、値段との関係でどうかなと思いました。

 2階にあったわたしたちの部屋は、5人部屋と3人部屋だったのですが、ちょうど冒頭の写真に見えるように、部屋の半分は屋根の傾斜で天井がひどく低くなっています。5人部屋には、8畳ほどの部屋にダブルベッド二つとシングルベッド一つを、3人部屋には、6畳ほどの部屋にダブルベッドとシングルベッドを一つずつ、ほとんどすき間なく並べ、物を置く場所も、通り道を見つけるのも難しいような状況でした。テントに泊まった友人たちも35ユーロ払ったそうですから、5ユーロはテントの設置料金でしょうか。

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Rifugio Giovo 17/8/2010

 こうして泊まってみてはじめて、わたしも夫も、同じ湖のほとりの山小屋でも、Rifugio Giovoの方が宿泊料金が安い上に、

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Camera del Rifugio Giovo  17/8/2010

部屋は絵も描かれてきれいな上に、天井が高く、

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空間がゆったりしている上に、湖の見えるテラスや、水道があって、ずっと居心地がいいことが、分かりました。どちらの山小屋も、駐車場から荷物を持ってしばらく山を登らなければいけないところは同じです。

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Lago Santo Modenese 2/8/2014

 週末は、太陽が雲に覆われることが多く、雨も降りましたが、日の光に輝くきれいな湖も見ることができました。

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3/8/2014

 湖から山を登ると、

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黒々と熟した、大きいブルーベリーの実でいっぱいの、とっておきの場所があり、

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さらに進むと、草むらに、真っ赤に熟した甘い野イチゴも見つかり、

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風景もすばらしく、

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ナデシコをはじめ、

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色とりどりのきれいな花たちが、ブルーベリーの緑の茂みの中から、ちらほらと顔を出しています。

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 日曜の朝も、ほとんど全員が、熱心に終始ブルーベリーの収穫にいそしむ中、「せっかく美しい山に来たのだから、ブルーベリーは前日摘んだし、今日は歩きたい」と思い、わたしは、皆から離れすぎぬように、山を歩き、花や風景を眺めました。

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 昼食時に山を下ると、湖の水面に山が姿を映していて、とてもきれいでした。

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Rifugio Alpino Tullio Marchetti

 河岸を変えようというフランコの提案で、昼食は、湖畔の別の山小屋で取りました。湖畔の山小屋三つのレストランは、山だけあって、鹿やイノシシの肉、ポルチーニをはじめとするキノコやポレンタの料理が多いのですが、どこもそこそこにおいしかったです。

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Lago Santo Modenese & tre Rifugi

Mirtilli, fragoline & fiori spontanei, panorami - buoni e belli. Basta salire un po' dal Lago Santo Modenese.  
Abbondante la cena al Rifugio Vittoria, buono il Pranzo @ Rifugio Marchetti 8/2014
Carina la camera del Rifugio Giovo. Pareti dipinte & terrazza con vista lago 8/2010
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- ブルーベリーを摘みに / Lago Santo Modenese & Mirtilli (4/8/2014)
- 河畔の村でポルケッタ / Passeggiata a Fiumalbo (5/8/2014)

参照リンク / Riferimento web
- Rifugio Vittoria. Lago Santo Modenese - HOME
- Rifugio Giovo. Lago Santo Modenese - HOME
- Rifugi – Bivacchi – Rifugio Marchetti Tullio 1501m
- Parks.it – Rifugio Marchetti. Nel cuore del Parco del Frignano
↑ 三つ目の山小屋だけ、山小屋自体のホームページを見つけられませんでした。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2014-08-07 10:03
おはようございます^^
Rifugio Vittoriaの宿泊施設、山小屋と思うと日本でもそういう場所のお宿は、概してお値段は設備のわりには高いというところが多いように思います。と言うと私が泊まったことがあるみたいなので、家の父の談によるとです。2010年に泊まられたCamera del Rifugio Giovoの方はまるで日本のペンション風ですね!いろいろなところがあるので、こうして記録しておくのもおもしろいですね~(^^♪
それにしても至るところに自生のブルーベリーがあるとは素晴らしいですよね♫日本ではブルーべりー畑は今では至るところにあり珍しいものではなくなりましたが、ブルーベリーは他の果物に比べると単価は高いと思います。私はもっぱら産直市で購入して夏の間に2~3瓶のジャムを作ります(*^_^*)
なおこさんは、2日目ということもあり素晴らしい景色を眺める方に時間をさかれているのがいいですね~☆ブルーベリー狩りもいいけどせっかくこうした場所に来ているのでゆっくりと景色を見て優雅な時間を過ごすのも癒されていいものです♪
ほんとに素晴らしい時間を過ごされましたね(*^_^*)
Commented by milletti_naoko at 2014-08-07 16:49
アリスさん、お父さまも山がお好きなので、いろんな山小屋に泊まられているんですね。特に巡礼中は大部屋で皆で寝袋を使って眠ることもあるけれど、そういうときは値段もそれなりです。Rifugio Vittoriaは、このホテル並みの値段でこの部屋ではひどいなと思いました。次回はできればRifugio Giovoに泊まりたいです。というわけで、友人たちへの情報としても、4年前の写真を載せてみました。TripAdvisorで見ると、レストランの評価としてはヴィットーリアの方が上ですが、ジョーヴォの方が値段が安いことを抜きにしても、部屋の広さや快適さから言って、ずっといいです。

日本でも、今はそんなにブルーベリーの栽培が盛んで、あちこちにあるんですね! ジャムも作られるとは、さすがアリスさん。

あまり皆から離れてしまっては、皆も下山するにもできずに困るだろうからと、あまり遠くまでは行けませんでしたが、せっかく片道4時間かけて来たのだから、少し歩いてみたかった、その「少し」は山歩きと眺めを楽しむことができました♪
Commented by とすかーな at 2014-08-07 16:57 x
山歩きより、ブルーベリー。真剣にブルーベリーを摘んでいる様子は、食い気のイタリア人の特徴が出ていますね(笑)
湖のある写真、とってもキレイ!澄んだ水ってみているだけで、気分も澄んできますね。
白い花、義父母の畑の近くでも見ました♪可憐でかわいい花ですね~。いつものように名前を知らない私です(笑)
前の記事も読ませていただきましたが、とってもステキな旅ですね。まだ続きはあるかな~?楽しみ♪
Commented by あんずミャミャ at 2014-08-07 19:31 x
私がイメージする
山小屋とは全然違って
高原のペンションかホテルのようですね(*´▽`)
こんなにステキな山小屋があるのなら
山登りもさらに楽しくなりそうです。

ブルーベリー、本当に大きい!
これは食べ応えがありそうです。
やはり大自然の中で育つと
ワイルドになるのでしょうか(^^*)
Commented by kazu at 2014-08-07 22:29 x
なおこさん、今晩は。このところバタバタと慌ただしく過ごしていて、なおこさんのブログは専ら通勤のバスの中で読み逃げでした。モデナはフィレンツェからもボローニャからも行けるので一度行ってみたいと思っている町ですが、私が訪ねるのはいつも有名処ばかりなので面白みに欠けてしまいます。いつか、なおこさんのように、イタリアの自然の中でのんびり遊んでみたいです。なおこさんはいつもいい旅をされていますね。フルーベリー摘みなんて、私には物語の世界です。

そうそうこちらにも「聖湖」っていうlagoがあるんですよ。以前いた犬を連れてよく水遊びに行っていました。山だけでなく、湖や清流が近くにあると良いですよね。私は水辺が好きなので、こんな風景には憧れがあります。あっちなみこちらの「聖湖」は、「ひじりこ」と読むのですが、これからは密かにLago Santoと呼ぶことにします♪
Commented by milletti_naoko at 2014-08-08 01:42
とすかーなさん、うち友人二人は時々リミニからはるばるペルージャまで、オリーブ収穫を手伝いに来てくれることもあり、自然の中で自らの手でおいしい木の実を収穫しようというのも彼らの発案なのですが、子どもたちもそうやって自然に触れることができて、いい経験になったのではないかと思います。夫もこの日は、ブルーベリーの収穫はやめて、写真撮影に励んでいました。

白い花は、イタリア語ではachilleaと言い、こうして高い山に生えているのはachillea millefoglieと呼ばれる種で、ハーブとしての効用もあることは知っていたのですが、今日本語名を調べたら、それぞれ、ノコギリソウ属、セイヨウノコギリソウとあるので、びっくりしました。ウィキペディア日本語版によると、「Achilleaは、ギリシア神話に登場するアキレスから名づけられ」たそうで、それは、「アキレスの軍の兵士たちは傷をノコギリソウで癒していたとい」われているからのようです。
Commented by milletti_naoko at 2014-08-08 01:45
あんずミャミャさん、イタリアの山小屋には、それこそ山小屋(今回泊まった山小屋の部屋も屋根の低さがそんな感じ)という宿もあれば、こんなペンション風の山小屋もあっていろいろです。設備は今ひとつでも、眺めのすばらしいところに建っていて、食事もできる場合は、山の幸が楽しめるので、山小屋で食べるのも、山歩きの楽しみの一つです。

山を登ると、標高は高くなるのですが、この「とっておきの場所」は日当たりがいいので、ブルーベリーが丸く大きく黒く育っていて、甘くておいしい実も多かったです。
Commented by milletti_naoko at 2014-08-08 01:49
かずさん、実はわたしもモデナはモデナ県の山を訪ねただけて、まだモデナの町には行ったことがありません。日本でイタリアの留学先を検討していた頃、実はモデナも選択肢の中にあったこともあり、いつかは訪ねてみたい場所です。

かずさんのお宅の近くにも聖湖があるんですね! 山は湖や滝、川など、水にあふれている方が、見て心も和むし、緑や花も多くていいですよね。わたしも水辺は大好きです。
Commented by nagisamiyamoto at 2014-08-08 13:22
なおこさん、おはようございます。
rifugio・・・へぇ、なるほどね。確かに不便なところに建っている宿泊所は食料の運搬などもたいへんですから、多少不便・不快でもちょっと高くなってしまったりすることもあるのでしょうか?事前にHPなどがあれば探して見ておいてもよさそうですね。
しかしハイキングと自然が好きななおこさん&お友達達。大いに笑って楽しんできたのでしょうか。天気も良かったようで何よりです。
Commented by milletti_naoko at 2014-08-08 15:28
なぎささん、おはようございます。そう言えば、今年は、山小屋を利用する客に対して、こんなふうに呼びかけるチラシも見かけました。「山小屋のごみ捨てや食糧運搬を手伝って、スタンプを集め、山小屋の友だちの資格を得よう!」と、こんなふうに書いてあって、興味深かったです。ホームページを友人たちも見たのですが、部屋の写真はないし(載せたら客が来ないですよね)、まさかここまでとは、想像していなかったようです。同じ5人部屋でも、よく山小屋で見かけるように2段ベッドなら、ゆったりしていたのですが。

実は天気は今ひとつで、テントで眠った友人は強い風の音になかなか眠れず大変で、翌朝は10時頃までどしゃぶりだったのですが、幸い後は雨もやみ、散歩やブルーベリー狩りを楽しむことができて、うれしかったです♪
Commented by patata at 2014-09-05 20:53 x
なおこさん、こんにちは!コメントがすっかり久しぶりになってしまいました、記事を拝見し、ここまで遡りました。

この前、ブログでCento Laghiの話になりましたが、なおこさん、Lago Santoに行かれたのですね!でも別のLago Santoなのですね。エミリアロマーニャに2つのLago Santoがある事、知りませんでした、モデナのLago Santoもまた大変美しいですね!
ブルーベリー羨ましいです。瓶にぎっしりですね!!ジャムやお菓子などを作られたのでしょうか?^^
先日、リグーリアのポルトフィーノ方面にトレッキングに行った際、ブラックベリーが一杯だったのですが、容器を持っていなかった為、数個その場で食べただけとなり、大変残念でした。この時期に山に行く際は、容器を持っていくべきだと学びました!
Commented by milletti_naoko at 2014-09-07 05:54
Patataさん、わたしはモデナとパルマのLago Santoを両方訪ねていますが、どちらもそれぞれに魅力があって、きれいですよね。どちらの湖畔の山小屋でも、メニューにポルチーニやポレンタ、イノシシや鹿の肉があるのも、興味深いです。やっぱり山でとれるものが中心になるので、離れていてもメニューが似てくるのでしょう。

標高が高いと、9月や10月にようやく熟してくるブラックベリーもあるので、これからはそういう場所で探してみるのもいいかもしれませんね。とげがあるのでご用心を!
by milletti_naoko | 2014-08-06 23:59 | Emilia-Romagna | Comments(12)