2014年 08月 23日
スペイン語学習3日目
「スペイン語は、中国語に次いで、世界で二番目に母語話者の多い国です」などといった冒頭の説明は興味深いものの、録音された音声の中に、イタリア語が多いのが気になりました。これまで使ってきたイタリア人向けの外国語の入門書では、CDの音声がほとんど学習対象である外国語だけだったので、よけいにそう感じるのでしょう。
特に最初の課で、「Ciao, come va? Hola, ¿qué tal?」といった具合に、イタリア語のあいさつの言葉に続いて、スペイン語で該当する言葉が収録されていたのには、辟易しました。長い会話やあいさつも、イタリア語とスペイン語は、語彙や文法もよく似ているため、これまでの教材と同様に、スペイン語の音声だけを聞きながら、そのリズムや会話全体の流れの中の抑揚を学び、同時に、入門の段階から、白紙の状態で言われていることの概要を推量する訓練がしたいと考えていたからです。ただ、2枚のCDを通して聞いてみると、こんなふうにイタリア語の訳がスペイン語の表現の直前に収録されているのは最初の方だけだったので、ほっとしました。あとの課になると、イタリア語で話されるのは、各課の題名のイタリア語訳および、直後にスペイン語で話される会話の簡単な状況説明と、その会話を聴くときに留意すべき点だけでした。ゆっくり分かりやすく話しているためもあるのでしょうが、先にイタリア語で、会話の状況を簡単に説明しているので、まったくスペイン語の教科書を読んだことがない状況でも、会話の内容が推測できる部分がかなりありました。ちなみに2枚のCDの収録時間は、52分29秒と45分52秒です。
そうして、こちらの本、『世界の言語ガイドブック〈1〉 ヨーロッパ・アメリカ地域』で、スペイン語について、概要を説明した16ページを読みました。この本では、欧米の主要22言語について、(以下、「まえがき」より引用)
内容は「概説(分布・使用人口・系統・歴史など)」「音と文字」「文法の特徴」「語彙の特徴」「参考図書」に絞り、主として《人の名前》《挨拶の言葉》《数詞》という3つのトピックを扱う「知って得する○○語情報」の欄では、肩の凝らない実用的な話題を提供して
います。
スペイン語については、世界でスペイン語が母語として話されている国を挙げ、地図で示してあり、スペイン語の歴史についても2ページにわたって詳しく説明されていて、興味深く読みました。「音と文字」の項では、イタリアでは七つあり、フランス語では数が多くて頭を悩ませている母音が、スペイン語では日本語同様、五つしかないと知って安心しました。スペイン語のuが、日本語のウとは異なると書かれているのですが、これはイタリア語のuについても言えることです。イタリア語の/u/は、両唇を丸めて前に突き出し、かつ舌を口の後方へと引いて発音する音だとは、イタリア語音声学の授業で、12年前に学んでいます。そして、「疑問符と感嘆符を文頭にもつけるのはスペイン語の特徴である」と読んで、驚きました。スペイン語の文で、変な記号を見かけたけれど、あれは、疑問符や感嘆符を、文頭にも逆さまにしてつけていたのだと、初めて知りました。
「文法の特徴」や「語彙の特徴」の項は、これから学ぶスペイン語について、スペイン語同様に俗ラテン語から発展・変容を遂げて生まれたロマンス言語であるポルトガル語・カタルーニャ語・フランス語・イタリア語やラテン語、そして、英語と対比しながら相似点や違いを説明していて、とても興味深かったです。「スペイン語の歴史」の項にも、イスラム文化の強い影響や長いイスラム支配について書かれていたので、語彙についても、「他地域のロマンス語よりも多数のアラビア語起源の語彙が借用語として入っている」と読んで、なるほどと思いました。
イタリア語やスペイン語などが、俗ラテン語から発展して生まれていく過程で、それぞれの言語で、母音体系や子音体系がどのように変遷したかは、ペルージャ外国人大学のFilologia romanzaの授業で学んだのですが、このときの授業で学んだことや、復習と試験勉強のために作成したこうした一覧表が、今、フランス語やスペイン語を学ぶにあたって、役に立っています。たとえば、俗ラテン語で語頭にあったcl-は、フランス語ではそのままだけれど、イタリア語ではchi-、スペイン語ではll-(発音は/ ʎ/)と知っていたので、今日自分の名前の言い方を勉強していて、イタリア語ではMi chiamo…であるのに対し、スペイン語ではMe llamo…となると知ったときも特に驚かず、なるほど昔教わったとおりだと思いました。
スペイン語学習2日目の昨日は、スペイン行きの航空券の購入やそのための連絡に、かなり時間を取られたので、家事をしながら、入門書の付属CDを1時間ほど聞き流し、入門書の目次に目を通し、「はじめに」を読んだだけです。全25課あり、目次には、たとえば「Unità 0 - Antes de empezar / Prima di cominciare. Salutare le persone, dire come vi chiamate e chiederlo agli altri, chiedere chiarimenti, dire arrivederci」といった具合に、各課でどんなことができるようになるかが簡単にまとめられています。第25課のところまで目を通して、レベルとしては、この1冊で到達できるのは、一通りの勉強ではA2、みっちり勉強をしてもB1だろうということが分かりました。
三日目の今日は、7ページあるUnità 0のうち、最初の4ページだけ、CDを聴き、後について発音することを3・4度繰り返し、問題の答えを本に書き込みながら勉強しました。具体的な学習内容は、日常生活におけるあいさつや、名前の聞き方、相手の説明が聞き取れないときに聞き返す方法などです。あいさつと言っても、別れのあいさつのページまでは、まだ進んでいません。
というわけで、ぼちぼちとスペイン語の勉強を進めています。記事の冒頭に、「¿qué tal?」と書いたのですが、このスペイン語特有の逆さまの疑問符をどう入力していいか分からないので、コピーして貼るためにインターネットで検索していたら、スペイン語学習講座のYouTube映像がいろいろと見つかりました。
中でも、次の映像は、ちょうどわたしが今の課で学んだことを中心に、これから学ぶ内容もいろいろと含んだ会話で構成されているのですが、話す人の表情や身ぶりと共に、話されている言葉が文字としてすべて画面に現れるので、とても勉強になります。
ありがたいのは、入門書やそのCDと違って、イタリア語の訳や説明が、スペイン語の会話や表現に先立たないことです。おかげで、初めて耳にし、目にする表現も、話されている状況や、イタリア語・フランス語などの知識から、意味を想像することができます。まだ習っていない表現も多いのですが、他のロマンス諸言語との類似のおかげで、65パーセントほどは、一度見聞きしただけで、内容が把握できたのではないかと思います。
『Impara lo spagnolo con Zanichelli』は、これまでに使ったイタリア人向けの入門書と比べると、会話が短く、使用語彙もしぼりこまれているという印象がありますが、逆に、無理をせずに学習し、学んだ内容をできるだけ身につけることが可能で、実用性は高いかもしれません。ポルトガル語の入門書は、第1課のあいさつから会話が非常に長く、学習する文法事項も多く、仮定文まで3種類すべてが学習内容に含まれていたように思うのですが、一冊終えるのに必死で、定着度は今ひとつで、ポルトガルに着いてから2週間ほど経つまでは、相手が言うことを聞き取るのにも、言いたいことを言うのにもとても苦労したように覚えています。フランス語のイタリア人向けの入門書も、同様に第1課から会話が2ページにわたり、学ぶ語彙・表現も文法事項も多すぎて、初めて勉強してから2年半経った今も、最初の数課しか終えていません。それぞれの課の内容があまりにも多すぎて、結局先に、日本語で書かれた入門書を2冊終えました。
最後に、今のところ、全般的には、ザニケッリの入門書はよくできていると思うのですが、スペイン語の発音について、この文字やつづりはこう読むという説明が初めにいっさいなく、順を追って少しずつ説明はあるものの、まとめて表記と発音の関係について書いたところがないのが残念です。「CDの音によく耳を傾けよ」ということなのでしょうが、自分自身の母語で弁別機能がなかったり存在しない音は、いくら耳に入り、耳をよくすませても、きちんと聞き取ることが難しいからです。幸い夫の持つ西伊・伊西辞典に、そういう説明が一ページにまとめられている上、発音記号で読みを記した単語が多いので、入門書のこうした問題点は、今のところ辞書を活用することで補っています。わたしは、カタカナ表記を利用した外国語の発音の学習にも反対なのですが、だからと言って、発音記号も発音の仕方の説明がまったくないのも困ります。それは、最初に間違って覚えてしまったこと、いいかげんに身につけてしまった発音の癖は、後から修正するのが非常に難しいからで、カタカナ表記を利用した学習も、自分が耳で聞き取れる範囲で音をまねる学習も、学習の初期に、不正確な誤った発音を身につけてしまうことにつながるからです。
話がそれましたが、というわけで、スペイン語の勉強をぼちぼちと始めています。9月22日にはスペインに移動するので、出発前に学習にできるのは、1か月だけです。これからも頑張ります。
Oggi ho imparato a "salutare le persone, dire come vi chiamate e chiederlo agli altri, chiedere chiarimenti" (citato dal sommario") in spagnolo.
Buenas noches!
Circa dieci anni fa durante le lezioni della Filologia romanza abbiamo imparato come il vocalismo e il consonantisomo si sono trasformati dal latino volgare a diverse lingue neolatine e questa conoscenza mi aiuta molto a studiare il francese e lo spagnolo. Per esempio, abbiamo imparato che il nesso CL- in latino volgare rimane tale in francese, ma diventa CH- in italiano e LL- in spagnolo. Quindi non mi sono sorpresa quando ho scoperto che in spagnolo si dice 'Me llamo...' per dire 'Mi chiamo...'.
関連記事へのリンク
- いきなりスペイン語 (2014/8/20)
- 英語から伊語、伊語から葡語・仏語・西語1 (2014/6/13)
なおこさんの今日の記事を拝見して、私がこの間スペインのガイドさんが「ドイツ語やフランス語よりは日本人向けなのがスペイン語なんです」と言う意味が少しわかりました(^-^)「フランス語では数が多くて頭を悩ませている母音が、スペイン語では日本語同様、五つしかない」まさにこのことを言っていたのではないかと思いました。これはどちらも勉強したことのある方でないとわかりません^^;なおこさんのおかげで、またひとつ勉強になりました、ありがとうございます(^^♪
それに、ヨーロッパの言語は、やはりラテン語(俗ラテン語という言葉は恥ずかしながら初めて知りました)からきているのですね!そういうこともあまり知らない私には少しいや随分チンプンカンンプンなお話(笑)ではありますが、興味深くなおこさんを通してこうして少しかじることが出来てありがたいな・・・といつも感じます♪
スペイン語頑張ってくださいそしていろいろとまた教えてくださいませ(*^_^*)
こちらこそ、いつもお優しい、うれしいコメントをありがとうございます♪
なおこさん、計画性がいつもあってすばらしい!私なんて一夜漬けが殆どです。あと一ヶ月なんですね。スペイン人は早口ですからそのテンポにまず慣れないと。イタリア語というベースがある以上、簡単だとは思いますが、近いからこその混乱もあるかもしれませんね。頑張って下さい。