イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

映画、『Il Giovane Favoloso』

 夫もわたしも大好きなイタリアの詩人、ジャーコモ・レオパルディ(Giacomo Leopardi)の生涯を描いた映画が、ベネチア映画祭で好評を博したというテレビニュースを、9月初めに見て以来、この映画がペルージャで公開される日を心待ちにしていました。


 10月16日が公開と知り、前日に、この映画がペルージャで見られるのは、Cinema Zenithだと調べ、昨晩は、午後7時からの初回の上映を見に行きました。7時から9時過ぎまでという上映時間が、ちょうどペルージャでの一般的な夕食の時間帯と重なる上、主人公がイタリアの文学者ということもあり、それほど人がいないのではないかと思っていたら、会場にはかなり大勢の観客がいました。年配の人も若い人もいて、こういう映画を見よう、見たいと思う人がたくさんいるということを、頼もしく、うれしく感じました。

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 レオパルディの詩は、マルケの語学学校でも、ペルージャ外国人大学でも、文学の授業で取り上げられ、『L’Infinito』や『Silvia』などの代表的な詩作品を初め、散文の作品もいくつか教わりました。どちらの授業でも、作者であるレオパルディ自身についての紹介ももちろんあったのですが、特に、『L’Infinito』には、世界各国の優れた文学作品同様、作者の思想や人生を知らずとも、心を打ち、共感を呼ぶ普遍性と美しさがある気がします。

 確か夫とつきあい始めて間もない頃に、レオパルディの生地であるマルケ州のレカナーティを訪ね、このポケットサイズの詩集を贈ってもらったことを、昨晩、映画を見ながらふと思い出しました。付箋のあるページには、『L’Infinito』の詩があります。このとき、わたしも夫も、レオパルディの詩が書かれたTシャツを購入しています。わたしのTシャツには、レオパルディの自筆の『L’Infinito』の詩が印刷されています。もう10年も愛用しているので、縫い目がほどけたところもありますが、今もお気に入りの大切なTシャツです。

 実は、イタリアでの映画公開の前日、つまりおととい、Raiの歴史番組、『Il Tempo e la Storia』では、「Leopardi, il rivoluzionario」と題して、レオパルディが生まれたときのイタリア半島の政治的状況や(まだイタリアという国は存在していませんでした)、レオパルディの家庭環境などをはじめ、レオパルディの生涯や、イタリアのみならず、ヨーロッパにおいても主要な文学者・思想家であることを、詳しく紹介していました。すでにイタリアの歴史やレオパルディの人生についての若干の知識はあったものの、この番組を見て改めて知ったことも多く、歴史の中でレオパルディの人生やその作品をとらえることができて、とても興味深かったです。映画をよりよく理解するための助けにもなると思います。イタリア在住の方は、こちらのリンクから番組をご覧になることができます。

 最後に、『L’Infinito』の朗読音声が聴ける映像をご紹介しておきます。



 すっかり発行が滞っているイタリア語学習メルマガでも、いつかきっとご紹介したいと考えています。

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Il film, "Il Giovane Favoloso"

Bello e ben fatto. Siamo andati a vederlo ieri sera al Cinema Zenith. Vi consiglio di vedere anche "Leopardi, il rivoluzionario" del programma Rai, "Il Tempo e La Storia". L'abbiamo visto l'altro ieri e ci ha aiutato a comprendere meglio il film.
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LINK
- Cinema Zenith – “Il Giovane Favoloso” orari
- Rai Storia – Il Tempo e La Storia. “Leopardi, il rivoluzionario”

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2014-10-17 22:07
こんばんは。
ジャ―コモ・レオパルディという方は残念ながら知らないですが、ご夫婦で好きな詩人なんて素敵なことですね~❤
なおこさんがTシャツ大切に着てらっしゃるのだから、たいへん素敵な詩人なのでしょうね♪やはりなおこさんは、言語が好きだからイタリア語の詩も好きなのですね~(*^^*)
御主人さまとの素敵な思い出もあって素晴らしいことですね♪
私も機会があったら、日本語吹替えか字幕ス―パ―のどちらでこの映画を観たいなあ…と思います( ´∀`)
Commented by milletti_naoko at 2014-10-17 22:30
アリスさん、こんにちは。映画を見ながら、そう言えばあんなことがあったなといろいろ思い出して、うれしくなりました。出会った頃は、夫が詩や文学が好きだということにも魅かれました。わたしがダンテ・アリギエーリ協会ペルージャ支部のために、平安時代の日本の和歌や当時の男女で恋の歌を贈り合う慣習について講演をしたときにも、友達と一緒に聴きに来てくれて、うれしかったです。順序としては、幼い頃から本を読むことや文学が好きだったので、それで、言葉や外国語の学習にも興味を持ったのではないかと思いますが、文学と言語は切っても切れない関係にありますよね。高校で国語を教えたいと思ったのも、小倉百人一首を通じて、古典の時代の趣や機知に満ちた文化や風習を知り、そういうおもしろさを多くの人に知ってもらいたいと感じていたからです。

よりアリスさんに映画を楽しんでいただけるように、できるだけ早い機会に、ブログでもせめて『L'Infinito』の詩だけでもご紹介できたらと思います。興味を持っていただけて、うれしいです♪
Commented by snowdrop-momo at 2019-01-25 06:36
またもや過去記事にお邪魔いたします。スルーOKです。^^

レオパルディの映画の予告編を、フランスのブロ友から教わって見たことがあったのですが
なおこさんのブログでも紹介されていたのですね!

『L'Infinito』、近所の小さな丘の上でひっそり朗読したものです。
海を越えて、なおこさん達をはじめブロ友同士、愛着を共有していると思うと嬉しいです。

私のお気に入りは「Le ricordanze」で、
拙い短歌に添えたこともあります。(2015年)

Mirando il cielo, ed ascoltando il canto della rana rimota alla campgna! ― Giacomo Leopradi

雨をまつアマガエルららりららりららララバイ歌うハスキー声で

いつか博物館の開館時間とタイミングが合いますように!
Commented by milletti_naoko at 2019-01-25 20:02
snowdrop-momoさんも、レオパルディがお好きなんですね!
『L'infinito』、いいですよね。レカナーティのレオパルディ博物館で、
自筆の詩が印刷された藤色のTシャツを購入し、大のお気に入りだった
のですが、トレッキングにもよく着て行ったので、すっかり着崩してしまい
ました。ブログを始める前で、当時はカメラもデジタルカメラではありません
でした。レオパルディのこの映画を機に、イタリアでは、テレビ番組で
様々なレオパルディ関連の特集があり、映画にも出てきた彼の家族のすばらしい
図書館を訪ねることができると知り、わたしたちが訪ねた、確か2004年には
見た記憶がないので、再度訪ねてみたいなと考えています。

レオパルディの詩は、教えてくれた先生方も皆大好きで、授業にも
愛がこもっていて、語学学校でもペルージャ外国人大学のイタリア語・
イタリア文化講座でも、イタリア文学の授業で、いろんな詩を教わりました。
夫も大好きなんですよ。いつだったかレオパルディの詩を野外で読み上げる
のを聞きに行ったこともあります。いつか訪問できるといいですね♪
Commented by snowdrop-momo at 2019-01-26 21:36
須賀敦子の著作からあこがれていた、
ペルージャ外国人大学で教わるレオパルディやパスコリの詩の講義…
なおこさんは実際に受けられたんですね。うらやましいです!
聴講生時代にプルーストのノルマンディーへ語学留学しましたが、
あのときイタリア文学を選んでいたら、ニアミスだったかもしれません。
日本の大学で、イタリアの詩やオペラの講義は聴講できましたが、
もう少し新しい時代の詩が中心だったんです。
先生も「イタリア人は根暗だ。スペイン人とは違う」と主張するニヒルな方で…

Commented by milletti_naoko at 2019-01-27 04:12
snowdrop-momoさん、イタリア人が根暗というより、
世界中、根暗というか世の中を深く見つめ感じがちな人が、
詩や小説などの文学作品を書くことが多いので、詩だけ見るとお
根暗に見えるのかもしれません。日本の近代の作家には自殺した
人が少なくないですよね。
Commented by snowdrop-momo at 2019-01-27 07:00
なるほど、そうですね!

ところで、なおこさんが勉強なさったのは
ペルージャではなくシエナでしたね。
失礼しました。

Commented by milletti_naoko at 2019-01-27 07:55
snowdrop-momoさん、わたしは、イタリア語・イタリア文化講座と大学の学士取得課程はペルージャ外国人大学で、大学院課程はシエナ外国人大学で、卒業していて、レオパルディを学んだのは、イタリア文学の授業があったウルバーニアの私立語学学校とペルージャ外国人大学です。シエナでは、イタリア文学の教え方、イタリア文学を通してのイタリア語教授法という形で学んだので、取り上げられた文学作品は限られていて、ペトラルカとモンターレ、ピランデッロの作品と、『Il partigiano Johnny』だったように覚えています。
by milletti_naoko | 2014-10-17 11:51 | Film, Libri & Musica | Comments(8)