イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

秋色アルローネ

 今日は、ペルージャのはるか南、ウンブリアとラッツィオの州境、テルニとリエーティの県境にある村、アルローネを訪ねました。

秋色アルローネ_f0234936_6485873.jpg
Colori d’autunno ad Arrone (TR), Umbria 15/11/2014

 ネーラ川に沿ってアルローネへと南へ下る車の中からは、山の木々に、アルローネの村でもところどころに秋の色が見つかって、うれしかったです。

秋色アルローネ_f0234936_6485043.jpg

 村を歩くと、庭の美しいこの家の柿の木が、色づいた葉と熟した実とで、町並みに秋らしい趣を添えています。

秋色アルローネ_f0234936_6491175.jpg

 この木の下も、赤やオレンジ、黄色い柿の葉が、錦を織るように、彩っていました。

秋色アルローネ_f0234936_6491719.jpg
Chiesa di San Giovanni Battista, Arrone

 ふと入ったこちらの洗礼者聖ヨハネ教会の

秋色アルローネ_f0234936_6502952.jpg

壁が、思いがけず四面とも、特徴のあるフレスコ画で彩られていたので、驚きました。この写真の部分だけでも、幼子イエスを抱いた聖母マリア像がいくつもあるのですが、他の壁にもやはり聖母子像が描かれています。

秋色アルローネ_f0234936_6505099.jpg

 こんなふうに三位一体を描いてあるのも、初めて見ました。

秋色アルローネ_f0234936_6503860.jpg

 どんどん坂道を上り、高みにある時計塔までやって来ました。きれいなバラが咲いています。

秋色アルローネ_f0234936_6504512.jpg

 あちこちに趣のある通りや街角があります。

秋色アルローネ_f0234936_6514465.jpg
Chiesa di Santa Maria Assunta, Arrone

 聖マルティーノの祝祭日である11月11日に、新ワイン(novello)と焼き栗で祝う風習があるため、今週末は、ウンブリア各地で、こうした秋の味を楽しめる祭りがあります。アルローネでも、Novelliamoという祭りで、栗と新ワイン、音楽などが楽しめるはずでした。

秋色アルローネ_f0234936_651506.jpg

 わたしたちは昼前に着いたため、まだ準備中の店も多かったのですが、トリュフや豆類、チーズにサラミなど、アルローネや周辺の村の特産物の店が並んでいました。

秋色アルローネ_f0234936_6514983.jpg
@Ristorante Dream King, Arrone

 村祭りで秋の味を楽しめる店が開くのは午後7時からだったので、散歩のあとは、村のレストランで昼食を取り、せっかくだからとウンブリアのおいしい新ワイン、Falòを頼みました。

秋色アルローネ_f0234936_6515517.jpg

 ピザに目のない夫は、pizza sotto fuocoという名に魅かれて、奥の写真に見える料理を注文しました。ピアディーナに比べるとかなり生地が分厚く、ペルージャのトルタ・アル・テストに似て、ただし生地が軽くさくっとしていて、間にブロッコリとサルシッチャ、モッツァレッラが入っています。わたしはmenu turisticoを注文し、メニューについているワインの代わりに、novelloを1本頼みました。料理を手がけたのは、25年間イタリアに住み、テルニのレストランなどで長年修業を積んだインド人男性です。比較的安い値段で、そこそこにおいしいものが食べられて、ありがたかったです。

秋色アルローネ_f0234936_6532690.jpg

 周囲に露店が立ち並ぶ、上の写真の聖母被昇天教会も、内部がフレスコ画で覆われています。中が暗くてよく見えなかったのですが、この聖母マリアの優しい表情に魅かれました。

秋色アルローネ_f0234936_6535920.jpg

 ちょうど散歩を終えようとした頃、小雨が降り出したので、帰途につくことにしました。

秋色アルローネ_f0234936_6533483.jpg
Arrone 14/2/2013

 アルローネは、イタリアで最も美しい村(I Borghi più belli d’Italia)の一つです。ウンブリア州だけでそう認められた村が現時点で20以上もあるため、「最も」という言葉の使い方に疑問はありますが、この認定は、サイトやパンフレットの下に書かれているように「隠れた、一般に知られていないイタリアの魅力」(Il fascino dell’Italia nascosta)を具現する村に与えられているのではないかと思います。

 ただ、今日アルローネを訪ねたいとわたしが思ったのは、新ワインのためでも、最も美しい村だからでもなく、昨年2月に、聖フランチェスコにゆかりの深い修道院や教会の多い聖なる渓谷、Valle Santaに向かう車の中から見て以来、いつか訪ねてみたいと考えていたからです。曇り空の下ではありましたが、ようやくアルローネの散歩を楽しむことができ、秋の色やお祭り気分も楽しめて、うれしかったです。

*********************************************************************************
Arrone in festa, "Novelliamo"
15/11/2014
Oggi siamo andati in questo bel paesino
decorato dai colori d'autunno.
Piacevole una passeggiata,
molti begli angoli e affreschi.
Interessanti anche gli stand della festa,
ma purtroppo siamo arrivati troppo presto
per poter gustare il novello e le castagne.
Dunque, abbiamo gustato il falò nel ristorante
gestito da simpatici signori indiani.
*********************************************************************************

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

Commented by nagisamiyamoto at 2014-11-16 07:59
なおこさん、こんばんは
素敵な町ですね。しかも秋の彩りの美しさ、自然が作る全ての物は理由があり、存在感を出している気がします。悪天候による災害もありますが、この紅葉はとても素晴らしいと思います。教会内のフレスコ画などもとても興味深く拝見させていただきました。
秋が終わればいよいよ冬ですね。
Commented by milletti_naoko at 2014-11-16 08:16
なぎささん、こんばんは。思いがけずあちこちで紅葉を見かけることができてうれしかったです。我が家にも小さい柿の木があって、紅葉がきれいだとは思っていたのですが、これだけ木が大きいと、彩りも鮮やかで、感動しました。この教会のフレスコ画、聖母子像をはじめ、聖人も繰り返し同じ聖人の同じ状況を描いたりしていて、興味深かったです。しかも、近くに並んでいて題材が同じなので、作風などの違いも際立っていました。なぎささんのように美術に詳しい方が見ると、感じられることや発見ももっと多いことと思うのですが、こんなにフレスコ画がたくさんる教会が、小さい村に二つもあるとは思いもかけませんでした。
Commented by ayayay0003 at 2014-11-16 08:16
おはようございます^^
なおこさんの暮らすウンブリアの端にあるのがアルローネなんですね(^-^)日本でいうところの県境にあるということで
随分遠くへ行かれてますね!でも同じ州でもところ違えばでピザなんかの生地も異なるというのは大変興味深いですね!
一番最初のお写真の赤い実がかわいくてインパクト大ですね~(^^♪パンフの写真に使えるかな?というぐらい素敵ですよ♪
そしてこの村の風景が素晴らしいですね☆最近は○○で最も美しい村という表現の場所は日本でも増加傾向にあるようですがどこかの認定は受けなければいけないようです(笑)
こちらの村は本当に美しいと思います。そして教会のフレスコ画も大変保存状態もよく大事にされてきたのだな♡というのがわかります。やはりいいものを実際目で見るというのはこころが落ち着きますよね(^-^)
素晴らしいショートトリップでしたね(*^^)v
Commented by milletti_naoko at 2014-11-16 08:26
アリスさん、アルローネは、ペルージャから南方へ約95km、約1時間半ほど車で行ったところにある村です。ウンブリアとは言え、県も違い、ラッツィオ州にも近いので、地元のパスタも違い、パスタの具もこってりしたものが多くて、メニューを見ていて興味深かったです。

午後は雨が降るという予報で、空が曇ってはいましたが、幸いきれいな紅葉に目を楽しませながら散歩できてうれしかったです。おほめの言葉、ありがとうございます♪ なるほど、最も美しい村という場所は日本でも増えてきているんですね。最上級は確かに関心を呼び寄せますが、使いすぎると最上級の意味がないようで、少し気になっています。まあ、「わたしにとっては、この店が一番、この料理や村が一番」ということもあって、「最も美しい」も人によって評価が異なるでしょうし……。村祭りと「最も美しい村」であることは、夫にもアルローネに行きたいと思ってもらうのに役立ちました。フレスコ画は、どちらの教会も、特に下の教会は内部が暗くて、今写真の画像の明暗を変えてみてはじめて、ああ、こんなに鮮烈な画像だったのかと驚きました。小さな村なのに、こんなにきれいなフレスコ画が多いことに驚きました。すてきな小旅行ができて、うれしかったです♪
Commented by chie*co at 2014-11-16 14:12 x
”ほんとに美しい村”ですね・・
石の建物も・・内部のフレスコ画も・・
すごく絵になる。。✿^◡^✿

ワインの新酒の季節なんですね~~
楽しそうです~~♪

今日も ・・素晴らしい1日になりますように・・
そして・・明日も・・ず~っと・・ず~っと・・(✿^◡^) thanks♪
Commented by milletti_naoko at 2014-11-16 18:07
chie*coさん、空がどんよりと曇っていたのですが、街角の紅葉や情趣たっぷりの町並みで、散歩が楽しめてうれしかったです。ようやく今年初の新ワインも飲むことができました♪ 

ありがとうございます。chie*coさんもどうかすてきな週末をお過ごしくださいね。
Commented by ゆん at 2014-11-17 00:31 x
素敵なところですね~^^
こんなに美しい街が点在しているイタリアに憧れつつ、そんなイタリアに根を張られ、沢山のことを吸収しながら、それだけでは飽きたらず、自己を高める努力を厭わないなおこさんを尊敬しております。私は怠惰な人間なので、恥ずかしいほどです。。

写真も素敵ですね!なおこさん 腕を上げましたネ♪
特に一枚目と、地を這う落ち葉の画像、とても美しいと思います。

Commented by milletti_naoko at 2014-11-17 09:40
ゆんさん、すてきな風景が散りばめられた美しい村で、散歩が楽しかったです。そんなにほめていただくと、入るための穴を探さなければいけません。ブログで宣言して気合を入れようと考えたものの、フランス語の勉強は頓挫していますし、料理はともかく、掃除よりはブログを書いたり外国語を勉強したりする方が好きなので、仕事のあとの優先順位でついつい後に追いやってしまっていけません。そういう意味ではわたしもとても怠惰です。えっへん。

写真、空が曇っていたので、赤い実に焦点を当てたのですが、ほめていただけてうれしいです。ありがとうございます♪
by milletti_naoko | 2014-11-15 22:54 | Umbria | Comments(8)