2014年 12月 27日
空飛ぶハートに一目惚れ、デルータ伝統の陶器
デルータの陶器というと、黄色や緑・青を基調としたものを見慣れているため、お店の人に「これは現代的な新しいデザインですか」と尋ねると、この色やデザインも、同じようにやはり伝統のものなのだとのことです。
手で一つひとつていねいに描かれた陶器であるために、ほぼ同じに見える品も、互いに見比べると、ピンクの色合いや鳥などの絵や模様が、微妙に違っています。もともと赤い色やピンク、そうして、小鳥が好きなので、最初は興味半分に眺めていたのですが、眺めるうちに、この濃いピンク色のつぶつぶが、花や花びら、二つ重なったものはハートにも見えてきて、すっかり気に入ってしまいました。最初はコーヒーカップのセットだけ買うつもりが、バター入れや調理用具を置く皿などは、以前からずっとほしくて探していたこともあって、ついつい一気にどれも買ってしまいました。
数日前、日本からはるばる訪ねてきてくださったかずさんと、ペルージャの町を歩いていたときのことです。買い物客としては恥ずかしがりで、わたし一人では、声をかけられたら買わなければいけないような気がして、じっくり見る勇気がなかったと思います。以前から時々、中心街で陶器がこうして売られているのを見たことはあったのですが、これまでじっくり立ち止まって見たことはありませんでした。
デルータは、ウンブリアが誇る伝統の陶器づくりの町なんですよと、かずさんに案内しながら店の前で立ち止まったわたしは、以前からほしいと思い、かつ必要を感じていたバター入れを見比べました。伝統の柄のものの値段がひどく高いので、これは手が出ないとあきらめていたら、自分自身も陶器をつくっているお店の人が、こう言いました。「この柄が高いのは、いろんな色を使っているし、デザインを描き上げるのにも時間がかかるからなんですよ。逆に、こういう一色だけで描いたものは、同じものでもかなり値段が安くなっています。」
そう聞いて、一色だけで描かれた陶器を見ていたら、冒頭の陶器たちが、すっかり気に入ってしまったのです。
それによくよく自分の胸に手を当てて考えてみると、黄色や緑、青を使って描かれた竜の絵や色合い自体がそれほど好きなのではなく、大切な陶器の町の、代表的な伝統のデザインだからほしいと思うのであって、特にわたしの好みだというわけではありません。
ちなみに、今この記事を書くために調べていて初めて知ったのですが、この竜の絵やデザインは、なんと画家のラファエロが、自らが手がけたフレスコ画の縁を飾るためによく用いていたものを、16世紀後半から、陶器づくりの職人たちが模倣して、陶器のデザインとして取り込むようになり、そうして、このデルータの陶器の最も有名な装飾が生まれたのだそうです。デルータの陶器には、さらに、ラファエロの士であるペルジーノの装飾に着想を得たものも多いとのことです。(下記リンク参照)
店頭に立っていた若い男性も、こちらの家族の一員で、陶器づくりを手がける職人さんなのですが、ひいおじいさんの代から代々こうしてペルージャに陶器を売りに来るのが一家の風習になっているんですよ、と教えてくれました。
裏には、工場生産されたものではなく、一つひとつがきちんと手で描かれた(dipinto a mano)ものだと手書きで記され、家族で営む工房の名前があります。
ハートや鳥が散りばめられた新しい陶器がうれしくて、料理もコーヒーを飲むのもことさらうれしい今日この頃です。我が家には、夫や夫の家族・親戚などが昔から使っていた古い陶器やコップがたくさんあるため、なかなか自分が好きなものを買いにくいという事情もあるので、なおさらのこと。これからも少しずつ、このお気に入りのデザインの陶器をそろえていきたいと思っています。ちなみに、もちろん伝統的なラファエロ風の竜を描いたデザインにも愛着があり、数年前に義弟夫婦が贈ってくれた、竜の柄のデルータの陶器を、今も大切に使っています。
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Volano i cuoricini e i petali, in mezzo un uccellino♥
Colpo di fulmine!
Mentre spiegavo ad un'amica la tradizione delle ceramiche di Deruta,
sono stata affascinata da questo disegno e dal suo colore.
Anche l'amica ha comprato un set di due tazze da caffè dello stesso disegno
(un po' diversi sia il disegno che il colore perché dipinti a mano).
Ora queste ceramiche mi rallegrano mentre cucino e prendo il caffè :-)
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 陶器の町 デルータ / Deruta, Città della Ceramica (29/12/2014)
- ペルージャからメリークリスマス、かずさんと中心街を散歩 / Natale a Perugia
- Made in Italyの危機
↑↑ ラファエロ風の竜を描いた、我が家のデルータの陶器の写真あり。
参照リンク / Riferimento web
- Terracotte Deruta Maioliche originali. Bettini Germano s.n.c. - HOME
私、以前にも言いましたが、このような陶器に目がないんです~(^^♪
「画家のラファエロが、自らが手がけたフレスコ画の縁を飾るためによく用いていたものを、16世紀後半から、陶器づくりの職人たちが模倣して、陶器のデザインとして取り込むようになり」というくだりを知ると尚更欲しいです(笑)
いつかなおこさんを訪ねた時の楽しみが増えました♪
貴重な情報をありがとうございます(*^_^*)
いつかお会いできる日がわたしも楽しみです♪ 市は毎日ではなくて、曜日が決まっているようなのですが、デルータの町へはペルージャからも公共の交通機関で行くこともできます。教会の聖壇や町のベンチまで陶器でできていて、陶器のお店ばかりがずらりと並んでいて、散歩も楽しいんですよ。
あらー、素敵な陶器が手に入りましたね。食器に至っては、やはり自分好みのものを使いたいものです。とはいえプレゼントして頂いたものもいつも有難く私も使っています。
15年ほど前から買い揃えたタイのブルーホワイトの食器は私のお気に入りで(時々ブログに出てきます)、とうとう何度にも分けて日本から持ち帰っています。
念願の調理器具置き、やっと見つけられてよかったですね。とってもかわいらしくてなおこさんとお似合いです!
なんて素敵な陶器でしょうか!!!とても可愛らしく温かみを感じます。伝統的な柄や色見なのかな、とすぐに見てとれましたが、なんとラファエロが縁に使っていた柄なのですね!!
陶器、私も最近とても欲しいと思っているのです。職人さんの手作業のものがやはり素敵ですね、ですがお値段もそれなりにするので今は憧れなのですが、少しずつ集めていきたいと思っています。
ウンブリアのデルータは陶器で有名なのですね、知りませんでした!陶器というとシチリアの方が思い浮かぶのですが、良い情報を頂きました!
私もなおこさんと同じく、メルカートや市が立つ場合、店員さんに話しかけたら買わなければいけないような気がして、いつも素通りしてしまうのです。。ご友人の方と一緒に回られて、普段はじっくり見れないところなどで、お買い物を楽しむことが出来て良かったですね^^
あぁそれにしてもなおこさんの購入された陶器、本当に素敵です(//∇//)いつか私も訪れてみたいです!
おはようございます。
まぁ~素敵な陶器ばかりですね、こんな風に
並んでいると素敵です~
夢がある絵柄に惹きつけられますね。
こちらでは夏に五条坂の陶器市がありますが
あれこれ探すのが楽しみです。
伝統が受け継がれる様子は見ていても
こちらの気持ちが高揚しますね。
素敵なご紹介嬉しいです~
いつもありがとうございます。
よかった。Patataさんも、いいなと思ってくださったんですね。うれしいです♪ デザインについてはラファエロがとあるのですが、色についてまではリンク先の説明にあったような、なかったような。でも、デルータの陶器では、どの店で竜を描いても色使いはたいてい似ているので、色もラファエロによるものなのかもしれません。おなじバター入れでも、伝統的な柄のものは、わたしが買ったものの倍以上の値段がします。よく考えてみたら、たくさん購入したので、結局は、伝統的な柄のバター入れを一つだけ買っていたら、値段はずっと安く済んだのですが、今はこの小鳥とハートのピンクの陶器がうれしくて(最近テレビで映画の『UP』を見たせいか、今日は風船にも見えます)、喜んでいます。コーヒーカップのセットはすでにあるし、夫としては、伝統的な柄の方がよかったかもしれませんが、まあ、お金を払ったのはわたしですし。Patataさんも、少しずつご自分がいいなと思える陶器をそろえていくことができたらいいですね。
陶器で有名な町はイタリア各地にあって、たとえばわたしが最初に語学留学で半年滞在したマルケ州のウルバーニアの村も、伝統的な陶器づくりで有名で、陶器の博物館もあります。カンパーニア州のイスキア島でも、レモン柄の陶器がすてきで、お店や工場で眺めるのを楽しみました。おお、Patataさんも、一人だとついつい遠慮されてしまう方なんですね。わたしも、かずさんと訪ねなかったら、きっといつまでも足を留めることがなかったかもしれません。あの日、たまたま陶器の店があったのも、幸運であり何かの縁でもあることでしょう。いつかPatataさんがペルージャにいらっしゃる日を楽しみにしています。わたしがPatataさんを訪ねてリグーリアに行く日と、どちらが先になるでしょうか?
こちらこそ、ムームーさんのお優しいコメントがうれしいです。いつもありがとうございます♪
大人買いという言葉があるんですね。ふだんは財布のひもがかたいのと、これが好きというものに出会えるのが難しいことがあって(すてきと思っても値段が高くて、割れ物でもあるし手が出せないこともあります)、こんなにいい出会いはめったにないと、ついついたくさん買ってしまいました。ただ、バター入れと、料理中の木さじなどを置く陶器は、もうずいぶん長い間ほしくて、ずっといいものを探してもいたのです。わたしも、コーヒーカップの鳥とハートのピンクを見てうれしく、かずさんも同じものをお使いと思うとまたうれしいです♪