2015年 02月 04日
OMボタンって何ですか
それが、昨日今日と授業したiPad活用研修では、これまで見たことがないアイコンや機能が時々あって、初めて名前を聞いたときに、何を指しているか理解するまでに少し時間がかかり、つけてしばらくしてからようやく明かりがつく蛍光灯のように、反応の鈍い頭で、使い慣れぬ機器の使い方を教わりました。どうやって電源を入れるかさえ分からなかったと書けば、ほぼ初めて出会うiPadに、わたしがどれだけ苦労したかがお分かりいただけるかと思います。
そういう状況で、ふと講師が言った言葉が分からずに、困ってしまいました。
“Premete il tasto OM.”
「OMのtasto(キー、ボタン)を押してください。」と言うのですが、いったい何をせよというのか、さっぱり分からなかったのです。隣りの同僚に聞くと、どのボタンを押せばいいのかを、指で示して教えてくれて、それでなぞが解けました。
講師は、
“Premete il tasto HOME.”
と言ったつもりなのです。イタリア語ではHは書いても発音しない上、 [həʊm]と同一の二重母音は存在せず、イタリア語ではoは開音と平音の二種類あるものの、oはoと発音するため、HOMEをOMと発音したのです。
イタリア人が、日本語の授業中にハ行とア行を混同したり、英語を話していて、hがあるのに発音せず、ないところで発音するという現象には慣れていたのですが、HOMEがOMになるとは予想だにしなかったので、びっくりしました。隣りの同僚は、自分自身がイタリア人で、しかもイタリア人に英語を教えているので、こういう間違いには慣れているのでしょう。
とにもかくにも、研修についていくために、慌ててホームボタンを押したのでありました。
*追記(2015年2月5日)
たぶんそうじゃないかなと、予想はしていたのですが、HOMEは本来は英語ですが、iPadの部分の名称としては、英語からイタリア語に入った外来語扱いです。日本語と違って、外来語だから片仮名で書くという区別ができず、同じアルファベットで書くものの、外来語が言語に組み込まれるときによく起こる現象は、当然イタリア語に英単語、homeという単語が取り込まれるときにも起こります。つまり、その外来語を受け容れる側の言語の発音体系(存在する母音・子音や音節構造)および文字表記と発音の関係などに応じて、発音が変容するのです。辞書には、イタリア語に入った英語からの外来語としてのhomeの発音は、[om, ingle. həʊm]と書かれています。つまり、元来の英語の発音にならって発音してもいいけれども、今回の講師のようにOMと発音されることが多いし、イタリア語に入った英語からの外来語として発音するなら、それで正しいということです。日本語でも、HOMEをホームと発音して、二重母音əʊを単純化し、英単語にはない日本語の母音u(イタリア語や英語のuとはかなり異なる音です)を添えていますが、それは、日本語にはそういう二重母音が存在しないし、「ん」や促音(っ)などごく一部の特殊な例を除けば、日本語の音節は「子音+母音」という構造をしているからです。
たとえば、パスタや寿司が、世界中に広まっても、世界各地でそれぞれの地域の好みや食文化の伝統を受けて、違った作り方や食べ方をするように、言葉も、ある言語から他の言語へと外来語として入るときには、その受け容れ言語に対応して変化を遂げるわけです。それは知っていたのですが、今回は慣れぬiPad研修中とあって、思いも及ばず、驚きました。言葉っておもしろいなと、改めて思いました。
********************************************************************************************************************************
Il tasto OM!? - Corso iPad il giorno 2
"Premete il tasto OM." --- Il tasto OM, quale???
Mi ha gentilmente indicato il tasto in questione con un indice
una collega accanto, insegnante d'inglese di nazionalità italiana.
!!!!
L'istruttore del corso voleva dire: "Premete il tasto HOME."
P.S. Il 5 febbraio 2015
Mi immaginavo comunque che fosse è una variante della pronuncia di 'home' alla italiana.
Stamattina ho consultato il dizionario Zingarelli e secondo esso la pronuncia di 'home' come prestito linguistico dall'inglese all'italiano è [om, ingle. həʊm]. Quindi l'istruttore l'ha pronunciato bene la parola, sono io che ho avuto difficoltà a comprendere.
Però quando parlate in inglese, non dimenticate di pronunciare la H.
********************************************************************************************************************************
参照リンク / RIferimento web
- Larousse - dictionnaire anglais-italien - home
↑ Potete ascoltare la pronuncia della parola, ‘home’, cliccando un’icona di altoparlante nella pagina che compare. /上記のラルース英仏辞典のページで、英単語homeの発音を聞くことができます。
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- アイとコイを口にするイタリア人?
- iPad活用研修
確かに、Hが無音の国の言い方だと、
一瞬ピンとこないこともありますね。
IT関連機器って、
慣れている人たちにとっては通称となっているような用語も多くて、
なんのことだかわからず困ることもよくあります。
私はいまだにタブレットの特性や利便性がよくわからなくて、
持ちたいという興味もわかないんですが、
最近は日本でも、
子供たちの学習にタブレットを用いたりする方法を導入させているところもあると聞きます。
メリットがわからない私などは、
子供たちが機械にばかり慣れ過ぎていくことも、
どうなのかなあと疑問なのですが、
なおこさんが感じられたipadの特性やよさがありましたら、
またぜひ教えてくださいね。
研修、まだ続いておられるのでしょうか。
慣れないことはお疲れも感じられるかと思いますが、
がんばってくださいね。
なかなか慣れるまでは大変のようですね(・。・;
かくいう私だって最初から使いこなせたわけではなく、また今だにわからないことが山のようにあります(笑)
私のは、アップルの製品ではなく後発のグーグルが出した製品ではあるのですが・・・それも7インチと少し小さいものなので持ち歩きには便利です。スマホよりは少し大きいので350gくらいはあるでしょうか?
PCとは全然違うので最初は慣れるまで大変でした^^;
それに、義弟が教えてくれたのはほんのわずかで、あとは習うより慣れろと言う感じでした(笑)
私の場合は、仕事で使うというよりはプライベートで使う方が勝ってるので・・・。しかし、思わぬところで、夫の仕事に役立つこともあり、やはり使いようかな?と思いました☆
オムねぇ・・そりゃなおこさんわからなくなるわ。
市場の住民も『Buongiornoって日本語で何て言うの?』ときかれて『オハヨー』と言うとみんなが私に『オアヨー』と言う。何度言っても直らない。
マウ君の顔は田中邦衛さんに似ているので日本に連れて行ったとき、『ほ、ほたる~』と言うとウケるよ!と助言したところ『オタル~』と言う。小樽じゃ北島サブちゃんになっちゃうよ・・・。Hを見事に外して発音するイタリア人、さすがというか・・・
わたしもタブレットと言うと、頭に思いつくのは、大勢で集まっているのに、タブレットでゲームばかりしている子供たちや、旅行先などでタブレットで写真を撮る人たちです。わたしもまだまだ、必然性を感じるほどまでには学べていないのですが、iPadを使う人によると、一度使い始めると、なしでは過ごせなくなるくらい、便利なものらしいです。
ありがとうございます。研修も終わり、週末は一息つけそうなので、ほっとしています。
研修、興味深いことも多かったのですが、ちょうど天気が崩れ、気温も下がりつつあるので、終わってほっとしています。