2015年 02月 20日
蜜蜂の毒で制する関節炎

昨年12月の初めには、まだ暖かかったからか痛みは出ていなかったのですが、トスカーナで、伝統の薬作りが有名だという修道院の薬局を訪ねたときに、いい薬はないかと聞いてみました。「関節炎にはこれを」と、すぐに指し示して説明をしてくれたのが、蜜蜂の毒を使ったこちらの塗り薬です。
蜜蜂の毒にそんな効果があるなんて聞いたことがないけれど、と半信半疑のわたしに、店の人は、「古代ローマ時代から使われていたんですよ。」と、その効果と信頼性の高さを説明します。

店の方の確信を持った口ぶりに、わたしもそれならと購入を決めました。常々、合成化学薬品は頼らず、自然にある素材を利用した伝統的療法の利用を心がけているからでもあります。容器には、ご覧のように蜜蜂(ape)の毒(veleno)を成分とした軟膏(pomata)だと記されてています。

年末だったか気温が急激に下がり、屋内の湿度が高くなって、指が痛み始めてから、この塗り薬を使っています。当初や昨年に比べると、痛みはかなり和らいでいるのですが、最近天気がいいからか、薬が効いたからか微妙なところです。どちらも症状の緩和に貢献したというのが、本当のところでしょう。
今日になって、記事にするために初めてインターネットでいろいろ情報を調べてみると、蜜蜂の毒を用いた療法に長い歴史があるのは本当のことで、しかも、古代ローマよりもさらに昔、古代エジプトの紀元前2世紀のパピルスに、蜜蜂の毒を患部に塗りつけるという療法が記されているそうです。紀元前4~5世紀に生き、医学の父と呼ばれる古代ギリシャのヒポクラテスも、関節炎などの治療に、蜜蜂の毒を用いたようで、古代ローマの歴史家や医学者もこうした療法を語るほか、カール大帝が通風の治療に用いたとも言われるようです。
記事末でご紹介しているイタリア語の記事によると、現代医学では、研究結果や医者の意見が分かれるものの、蜜蜂の毒には、関節炎の炎症の緩和や症状の悪化を抑える働きがあることが認められつつあるという印象を受けます。ただ、そういった効果が期待できそうな有効成分が複数あって、いったいそのどれが具体的に効力を発揮しているかということは限定できていないようです。

昨年12月、シエナ県にあるモンテ・オリベート・マッジョーレ修道院を訪ねたとき、離れにあった薬局には、他の修道院の薬屋では見かけないようなめずらしい薬やリキュールがいろいろ置かれていて、蜜蜂の毒入りの塗り薬は、ここで購入しました。

残念ながら、現代の薬局の写真が見当たらないので、親切な修道士さんが案内してくれた昔の薬局の写真を添えておきます。昔さまざまな薬や薬草が入っていた陶器の壺や、薬づくりに必要だった道具が並んでいました。
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Veleno d'Ape contro l'Artrosi
Mi ha convinto il signore dell'erboristeria dell'Abbazia di Monte Oliveto Maggiore. Ha detto che il rimedio era conosciuto e praticato pure nella Roma antica. Dunque, ho acquistato la pomata al veleno d'ape e sembra che essa mi avesse alleviato il dolore delle dita.
Sorpresa! Secondo Repubbilica.it "l’uso terapeutico del veleno d’ape risale ad almeno duemila anni fa. Secondo il ricercatore egiziano Ahmed Hegazi, su uno dei primi rotoli di papiri egiziani risalente al 2000 prima di Cristo, sarebbe già menzionata l'apiterapia tramite strofinamento del siero tossico sulle parti dolenti. Il veleno d’ape sarebbe stato conosciuto sotto questo aspetto anche in altre antiche civiltà, come quella assiro-babilonese. Il greco Ippocrate, considerato il “padre della medicina” e vissuto tra il 460 e il 377 avanti Cristo, l’avrebbe utilizzato per guarire artrite e altri problemi alle articolazioni e infiammatori definendolo “medicina strana e misteriosa”. Ne parlano anche il romano Plinio il Vecchio (23-79 dopo Cristo) nella sua Naturalis Historia, e il greco Galeno (129-216). Carlo Magno l'avrebbe invece usato per guarire dalla gotta."
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LINK
- Abbazia di Monte Oliveto Maggiore - HOME
- 美しい壁画に飾られたシエナ県の修道院、Abbazia di Monte Oliveto Maggiore, Asciano (SI)
- Repubblica.it - Dalle rughe ai reumatismi, ecco tutti I benefici dll’apiterapia di Monica Rubino (20/1/2013)
↑ 法外な値段の美容のための利用に次いで、関節炎や関節症、通風などの痛みを和らげる効果やその四千年という長い歴史についての説明もあります。
- Tossicologia dei veleni di imenotteri e loro impiego terapeutico (apiterapia) – Dott. Franco Feraboli Divisione di Ortopedia Azienda Ospedaliera di Cremona
↑ artrosi(関節炎・関節症)という言葉を探すと、関節炎に古来どんなふうに用いられ、かつ実験報告や効果を説明する部分が、長い説明中どこにあるかが分かります。
- Italiasalute.it – Il veleno delle api per contrastare l’artrite. Studio scientifico conferma la credenza popolare sui benefici del veleno di Andrea Sperelli (28/6/2010)


ハチミツの毒ですか~(>_<)
ハチミツは1歳未満の子供には食べさせてはいけないと言われてますが、ソレのことではありませんよね?
ハチミツに毒があるとは、そもそも知らなかったです~!
ローマ帝国よりまだ昔のエジプトで使われていたとは凄い歴史あるお薬ですね~☆
まあ、漢方薬の一種としてみるべきなのでしょうか?
そういった薬は即効性はない代わりに副作用もないという感じではないかしら?
使い続けていると効くのではと思います♪
大変興味深いお薬の話、ありがとうございます(*^^)v
『毒を毒で制す』、この言葉のとおりですね。自然の物、天然の物で怪我や病気を治すって私もとてもいいと思います。一番いいのは食生活を正しく行うことかもしれませんが。
効果はでてきますか?
その間のなおこさんの素敵な記事、
失礼ながらまとめて拝読させていただきました。
毎回素敵な記事ばかりで・・・
全部にコメントして回りたい気分です(笑)。
とくに、
女性宇宙飛行士さんのお話には、
感動しました☆
ほんとうに、
たったひとつしかないかけがえのない地球という星に、
私たちは生きているということ。
地球も、生きているということ。
宇宙から見た、美しい地球の映像を拝見していると、
このひとつしかない星の中で生きている私たちが、
お互いに傷つけあったり、命を奪ったり、
地球を汚染してしまうなんてことは、
なんてばかげた行為なのだろうと思えてきますね。
春の訪れを感じる花や、
そしてミツバチが持つ数々の力など、
自然の恵みの素晴らしさをたくさん綴ってくださって、
ひとつひとつの記事に感心、感激しました。
いつも素晴らしい記事をありがとうございます☆

そうそう、来週、少し大げさですが、なおこさんのちょっとだけ近くまで行く予定です。何だか衝動的に国境を越えてイタリアに行きそうで怖いです(笑)
サマンサ・クリストフォレッティは、イタリア初のそれは優秀な女性宇宙飛行士の方ということで、ずいぶん前からマスコミをにぎわせていたのですが、今宇宙ステーションにいることやしている仕事がうれしくて楽しくて仕方がないというその喜びや情熱が表情からも言葉からも伝わってきて、最初にしばらく言葉を聴いただけで、人柄と生き方に魅かれました。それだけに、司会者の質問に答えてのその真摯な、洞察力の深い大切な言葉に、感動しました。これだけすばらしい言葉を、司会者がそのあと、さらっと聞き流して次に話を進めているのが残念だったのですが、せめてできるだけ多くの方々に、大切な地球をいっしょに守っていくためにも読んでいただきたいと感じていました。すずさんも同じように感じてくださっているようで、うれしいです♪ こちらこそ、いつも心のこもったコメントをありがとうございます。
お優しいお言葉をありがとうございます。あら、かずさん。今度はどちらへ? かずさんのことですから、すでにすべて綿密に手配をされていて、旅程を大幅に変更するのは難しいことでしょうが、そこまでイタリアを思ってくださる気持ち、うれしいです。