イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

オリーブ凶作2014年、猛暑と来客

 週末はリミニから来客があって、ミジャーナのうちで過ごしました。家の前のオリーブの実が少しずつ育っています。

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 ウンブリアのオリーブオイルは良質でおいしい上に、抗酸化作用のあるポリフェノールの含有率も高いということで、リミニの友人たちは、毎年、オリーブ収穫が終わり、新オイルの生産が始まる11月末から12月の初めに、1年分のオリーブオイルを購入しようと、ウンブリアの搾油場を訪れます。我が家は、ペルージャ郊外にあるうちにも、ミジャーナにもオリーブが数十本あり、例年は自分たちで収穫したオリーブを搾油場に持ち込み、そうしてできたオリーブオイルを使っています。

 ところが、昨年は初めて、まったくオリーブの収穫ができず、ですから自家製のオリーブオイルは手に入りませんでした。わずかに実ったオリーブも、茶色くしわしわで、蝿の害を受けていることが明らかだったからです。数十年オリーブを収穫してきた義父も、こんな年はかつてなかったと言っていますが、昨年、まったくオリーブが収穫できなかったのは我が家だけではありません。

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 昨年11月に参加したグワルド・カッターネオ村のパンとオイル祭りでは、ミニバスで近くのオリーブ搾油場をいくつか訪ね、

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オリーブの収穫やオイル製造について話を聞き、ブルスケッタを食べるなどして、新オイルを試食したのですが、「今年の収穫は例年の30~40%」というところが多く、有機栽培のオリーブについては全滅、あるいは有機のオリーブオイルは今年は生産できないという業者がほとんどでした。

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 収穫したオリーブを運び込んだり、オイルを買いに来た友人たちを案内してきた経験から言うと、この祭りで搾油場を訪ねた日と時間帯は、ふだんなら次から次へと運び込まれるオリーブをオイルにするために機械がひっきりなしに作業をしているはずなのに、運び込まれるオリーブが少ないためでしょう、どの搾油場でも機械は止まったままでした。

 オリーブが蝿の害を受けるのは、ウンブリアでは今に始まった話ではありません。たとえばトラジメーノ湖周辺のオリーブ園では、昔から蝿の害があるために、蝿をおびきよせる罠をしかけたオリーブの木をよく見かけますし、薬で対処しているところもあるのでしょう。それに反して、ペルージャ郊外やミジャーナのうちの周囲のオリーブ園では、これまでは蝿の被害に困ったことがなかったのです。そのために、蝿対策はいっさい行っていなかったのですが、昨年は冷夏であった上に雨の日が多かったために、オリーブに害を与える蝿が何度も繁殖を繰り返したので、深刻な害を受けてしまったのです。そうして同様の理由で、蝿対策をしなかった、あるいは有機栽培でオリーブを育てようとしたイタリア中部、ウンブリアやトスカーナなどの多くの農家や家庭で、オリーブが壊滅するという事態になったのです。そのため搾油場では、新オイルが例年よりも高い値で売られていました。また、常連の客に販売するのが精一杯で、一般の客に売れるオイルは残っていないという搾油場もありました。

 最近は、雨がほとんど降らない猛暑が続いています。夏は夏らしくあって、今年はオリーブが収穫できるようにと祈っています。幸い、一昨年は我が家ではオリーブが豊作だったため、今はまだその2013年のオリーブオイルを使っているのですが、その大きな缶も、ひょっとしたら今年の新オイルが手に入るまでに使い切ってしまうかもしれないという状況です。昨年搾油場を回ったときに、新オイルを一瓶買ったり、薬草講座の最後の授業で、地元のオリーブオイルの小瓶を贈ってもらったり、そういうよそのオイルも、今年は特にありがたく使っています。

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Crescono le olive a Migiana e a Perugia.

Finora l'estate è calda e secca come deve essere,
speriamo che continui così e
che di nuovo gli olivi ci offrano tante belle olive
come fino al 2013.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- il Fatto Quotidiano – Olio d’oliva, annata 2014: l’Italia perde fino all’80% della produzione (18/11/2014)
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- 紅葉の中、オリーブ収穫2011 / Raccolta delle Olive, Migiana 2011 (2011/11/13)
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- 雪山を望みオリーブを摘む2013 / Raccolta delle Olive & Montagne con la neve (2013/11/29)
- 新オイルでブルスケッタ / Bruschetta con l’olio nuovo 2010 (2010/11/23)
- 新オリーブオイル祭り、トレーヴィ / Festa dell’Olio Nuovo, Trevi (2012/10/29)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Makitalia at 2015-07-13 05:41 x
こんにちは!オリーヴの木は、蝿の被害があるんですね、初めて知りました。自家製オリーヴオイル、羨ましいです。
バジリカータに住んでいる義両親が、毎年、カラブリアにある彼らの別荘付近で採れるオリーヴの実を、ペットボトルに水と塩少々に漬け込んで、沢山準備してくれます。
売っているような大きさではなく、小ぶりですが、買わなくて済んでます。
また暑さが戻ってきましたね、どうぞ体調にはお気をつけください!
Commented by nagisamiyamoto at 2015-07-13 07:25
なおこさん、こんばんは
2014年のオリーブ、さらに葡萄については本当に散々な結果になりました。ここトスカーナもひどいもので、うちの店もトスカーナ産にこだわったオリーブオイル、現在はそういうわけにもいかず、リグーリア産なども扱っています。オリーブオイルは特にイタリア料理で一番大切な調味料ですから、なおこさんも今年の出来はさぞご心配されていることでしょう。今のところ今年は良好とでておりますから、うまくいくことを祈るばかりです。
Commented by ayayay0003 at 2015-07-13 13:12
こんにちは^^
昨年のオリーブは、そんな状態だったのですね(・。・;
一昨年は、オリーブ収穫の記事が何度かあったので、去年はどうしてかな?と密かに心配していました。
気侯のわずかな変動は、動植物に大きな影響を及ぼすのですね!
日本での影響ですが、今年は、デパートで売っているようなイタリア産の高級オリ―ブオイルは、ますます値上がりするということだと思います。
今年は、なおこさん家のオリ―ブが豊作であることをお祈りしていますね(^^♪
Commented by suzu-clair at 2015-07-13 18:06
一昨年のすごくたくさんのオリーブをされた記事、
とてもよく覚えています。
昨年は、そのようなことがあったのですね。
蝿の害を受けるものとは知りませんでした。
気候の以上から、
生き物、作物、そして私たちの生活へも影響が及んでくる。

本当に、
夏は夏らしく、
その季節らしい季節の巡り方、
自然の恵みが続くことが、どれほど大切かをこういうことからも感じますよね。
今年は、よいオリーブの収穫ができるといいですね。

日本も、今年の夏がどのようになるか、
気になるところです。
イタリアも日本も、
災害や異常気象のない夏となりますように。
Commented by milletti_naoko at 2015-07-14 16:32
まきさん、うちではこれまでこれほどの被害は受けたことがないのですが、湖周辺など、地域によっては例年、蝿の被害があるそうです。オリーブの収穫は大変ですが、その分もオイルがおいしく感じられます♪

義理のご両親からの贈り物、うれしいですね。我が家はオリーブの実が小さいので、塩漬けには向かないようですが、義母が時々挑戦しています。そちらもやはり暑いのでしょうか。ありがとうございます。まきさんもどうぞお体を大切にお過ごしくださいね。
Commented by milletti_naoko at 2015-07-14 16:38
なぎささん、それはお店でも大変だったのですね。オリーブだけではなく、ブドウも去年は不作だったとは! なぎささんはきっと質のいいオリーブをそろえていらっしゃるために、トスカーナ産となるとさらに調達が難しかったのでしょう。健康のためにも、やっぱりいいオリーブオイルは不可欠ですし、数十年来ずっと続いてきたうちの伝統のためにも、どうか今年はオリーブが収穫できますようにと願っています。トスカーナやウンブリアでも、そうしてイタリアの他の地域でも、今年は作物がきちんと収穫できますように。
Commented by milletti_naoko at 2015-07-14 16:49
アリスさん、オリーブがまったくないわけではなかったのですが、少ないので収穫しても仕方がない程度の量だった上、さらに、蝿の害のために、できた新オイルを摂取して気分が悪くなったという話もいくつか耳にしたので、義父も収穫を断念したのではないかと思います。心配してくださっていたんですね。ありがとうございます。いつか記事にしようと思いつつ、ちょうど授業やその準備に追われて慌ただしくもあり、きちんと説明するのに時間がかかりそうだからと後延ばしにしてしまっていました。ありがとうございます。今年こそオリーブが収穫できますように。
Commented by milletti_naoko at 2015-07-14 16:53
すずさん、おっしゃるとおりだと思います。暖冬や涼しい夏は、人間にとってはしのぎやすくはありますが、冬は冬らしく、夏は夏らしくないと、やはり作物も果物もきちんと育ち実らないようです。雨がしばしば降り涼しかった昨年の夏は、おかげで水やりの仕事は軽減され、トラジメーノ湖が一気に以前の水位まで盛り返したのはうれしかったのですが、まさかオリーブが全滅の被害を受けるとは思いもしませんでした。

今年はオリーブがきちんと収穫できて、そうして、災害や異常気象に苦しむ人がなくてすみますように。
by milletti_naoko | 2015-07-12 20:28 | Umbria | Comments(8)