イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

高嶺の貴婦人、チャボリンドウとゲンチアナ

 グラン・サッソの高原では、6月半ばにも、まだ雪が残り、少し山を登るだけで、春に姿を見せる高峰の花たちに出会うことができます。おかげで、花盛りのチャボリンドウ(学名Gentiana acaulis L.)にも出会うことができて、とてもうれしかったです。

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Genzianelle, Gran Sasso, Abruzzo 14/6/2015

 イタリア語では、ジェンツィアネッラ(genzianella)と呼ばれる花です。

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 わたしに比べて、撮影の対象をずっと絞り込んでいる夫も、チャボリンドウは、角度を変えて何度も撮影していました。

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 この写真の右上に見える山の頂まで登らなければいけないので、道は長いのですが、花に励まされながら、進んでいきます。

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Fiori di Genzianella & Androsace villosa

 かなりの高山帯にしか咲かない、アンドロサケ・ビローザの白いかわいらしい花との取り合わせが、何とも言えずきれいです。

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 黄色ともよく似合います。

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Genzianelle, Campo Imperatore, Gran Sasso

 午後は、カンポ・インペラトーレの高原を散歩したのですが、高原でも、チャボリンドウに出会うことができました。

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 いつだったか、財布の硬貨を見ていたら、1セントの裏に、このチャボリンドウの絵が描かれているのを見て、うれしくなりました。ご存じのように、ユーロ圏の硬貨は、表は各国共通でも、裏のデザインは国によって異なるのです。調べてみると、予想どおり、アルプス山脈を有するドイツ語圏の国、オーストリアの貨幣でした。

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Genzianelle di primavera (Gentiana verna L.) , Gran Sasso

 やはり高山の春に咲く花に、こちらの青い花、ゲンチアナ・ベルナがあります。先のチャボリンドウ同様、夫はこの花も、常々「ジェンツィアネッラ(genzianella di primavera)」と呼んでいるのですが、ウィキペディアのイタリア語版を見ると、こちらはイタリア語名に、「春の」を意味するdi primaveraという言葉が添えてあります。

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Fiori di Genziana Maggiore (Gentiana lutea L.), Campo Imperatore 19/7/2014

 イタリア語では-nellaは、女性名詞につく縮小辞です。この縮小辞を除いた、上記の花たちの親分格にあたる花が、こちらのイタリア語で、genzianaと呼ばれる花です。日本語名が「ゲンチアナ」で、上の二つの花同様に、リンドウ属リンドウ科の花であり、というよりは、そもそもこの花が、リンドウ属・リンドウ科の学名の由来になっているのではないかと思います。

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 ヨーロッパでもかなり標高の高い山に、わずかな期間しか咲かないため、きれいに咲くところを見られる機会はまれです。去年7月にカンポ・インペラトーレを訪ねたときは、高原にこのゲンチアナの花がたくさん咲いていて、夫と二人で歓声を上げました。

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Insegnamento del prof. Marco Sarandrea per il corso di Erboristeria di Collepardo
Certosa di Trisulti 21/6/2015

 根を使ったリキュールが消化によいことは、夫からも聞いていましたが、薬草講座でも学びました。日曜日にアッシジ郊外のサンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会のミサに行った帰りに、教会付属の土産物店に立ち寄ると、なんと薬局に、薬草講座を主催する先生、マルコ・サランドレーア営む会社で作られているリキュールがいくつも並んでいて、その中に、このゲンチアナのリキュールもありました。店内の奥の方に商品が並んでいたため、写真は撮影しませんでしたが、写真と説明が見られる商品ページへのリンクを貼っておきます。(リンクはこちら

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Spettacolare fioritura delle Genzianelle, Genziane & Androsace villosa
Campo Imperatore, Gran Sasso, Abruzzo 6/2015 & 7/2014

L'ultima è la foto del Corso di Erboristeria di Collepardo @ Certosa di Trisulti del 21 giugno 2015. Mi sono riferita al corso, anche perché oggi abbiamo trovato l'Elixir Geziana dell'azienda del prof. Sarandrea nel negozio annesso alla Basilica di Santa Maria degli Assisi.
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- グラン・サッソ、高山の花とムッソリーニ脱出劇 / Campo Imperatore – Vette Maestose ornate dai Fiori (10/7/2015)
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- 薬草と巡礼の村、コッレパルド / Collepardo, Paese delle Erbe e del pellegrinaggio (22/6/2015)
- 健康は食が作る、薬草講座の教え / Insegnamenti del Corso di Erboristeria di Collepardo (21/8/2015)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by クロちゃん at 2015-07-27 06:22 x
なおこさん、おはようございます。♪
素晴らしい景色の中にお花畑♪
これは元気もらえる光景ですね。
それにしても、結構急斜面に花たちが咲いていて、撮影するのもたいへんそうです。(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2015-07-27 06:27
クロちゃん、山の上はまさにお花畑でした♪ 最初のうちは、山道はとてもゆるやかな上り坂だったのですが、花が咲いているところは、道よりも上や下の急な斜面で、二人とも時々道を離れては、写真撮影に励みました。
Commented by oliva16 at 2015-07-27 08:51
チャボリンドウの鮮やかな青色が綺麗で、何度も見返しました。ありがとうございます。友人たちにも見てほしいから、このブログを紹介します!
Commented by milletti_naoko at 2015-07-27 12:59
Olivaさん、めった出会えないチャボリンドウの花盛りの美しい花をあちこちで見られて、とてもうれしかったです。チャボリンドウもゲンチアナも、青が本当にきれいですよね。Olivaさんにも喜んでいただけたと知って、わたしもうれしいです。ありがとうございます。
Commented by ayayay0003 at 2015-07-27 17:15
こんにちは♪
あのリンドウは、チャボリンドウって言う名前なのですね~(*^ー^)ノ♪
もうひとつの青い花のゲンチアナ・ベルナの方も含めて、2011年の北イタリアの旅行の際におそらく北イタリアのアルプスの山で見たと思います。旅行の写真をもう一度よく見てみようと思います。そんなに珍しい高山植物だったのですね!
もう4年も前になりますが、素晴らしい高山植物のことは、今でも忘れられない思い出です~(^-^)
それを思い出させてくれる美しいお花の写真をありがとうございます♪
Commented by suzu-clair at 2015-07-27 21:09
わあ!
ゲンチアナだったのですね☆

以前にも一度、
こちらの青い花、載せておられましたよね。
あのときも、なんの花だろう、と思っていたのですが、
リンドウ科だったのですね~☆

ゲンチアナは、
フラワーレメディで使用する花なんです。
12ヒーラーズ(12人の癒し手)という、
人間をタイプ分けして、それぞれのタイプ別に効果的な癒しの力をもつ12種類の植物の力があるのですが、
そのなかのひとつが、
このゲンチアナなんですよ。

りんどうはちょうど今の季節に日本でも出回りますが、
その原種となるゲンチアナ、
見てみたかったんです。
高原に咲く青い癒しの花、
とても美しいですね・・・☆
このようなお花が咲くところを見られるなおこさんがうらやましいです^^
素敵なお花を拝見させてくださって、
ありがとうございます☆
Commented by patata at 2015-07-27 21:39 x
なおこさん、こんにちは!ご無沙汰しております。私のブログへコメントありがとうございました、ずっとブログを開いておらず、さきほどやっと返信いたしました、本当に申し訳ありません><
なおこさんのブログへも、大分久しぶりのコメントになってしまいました><
お元気ですか?こちらは暑くて大変ですが、ペルージャもでしょうか?リグーリアは37-39℃で推移していて猛暑です、先日やっと待望の(?)雨が降り、気温が少し下がりました。
山歩きに行かれたのですね^^素敵な写真ですね、山を見ていると心が落ち着きます、ありがとうございます。
グランサッソはどこにあるのだろう?と調べてみたら、アブルッツォにあるのですね。いつか此処で山歩きをしてみたいものです。
先日cento laghi のmonte sillaraまで山歩きをしました!なおこさんが以前ブログで、たくさんの小さな湖のことを記事にされていましたよね、それを見てからずっと行きたかったんです。cento laghiの山歩き三度目で、やっと念願を果たすことが出来ました!確かなおこさんは、8月でブルーベリーをたくさん摘まれていましたよね?私たちが行った時は、一面のブルーベリーがまだ成りかけの状態で、残念でした><
グランサッソも標高は大分高いのかと思いますが、涼しかったですか?山に雪が残るくらいなので大分涼しいのでしょうか?私たちがMonte sillaraに行った日は、リグーリアで39℃と暑くて、山に行ったら少しは涼しいだろうかと思ったのですが暑くて大変でした。。ただ空気が澄んでいて、風があり、とても気持ち良かったです。山歩きは良いですよね。
たくさんのお花も素敵ですね。高山帯にしか咲かないお花など一度めぐり会ってみたいものです、、時期の問題もあるのでしょうか。でもまずはなおこさんや旦那様のように、お花について知識を深める必要がありますよね>< 
Commented by kazu at 2015-07-28 19:23 x
なおこさん、こんにちは。高原に咲く花たち、ほんとに色が鮮やかで綺麗ですね。お写真もとても良く撮れていて見とれます。以前スイスに行った時、ガイドさんからこのゲンチアナブルーのはなしを聞きましたが、群生している風景を見た時は感動でした。エーデルワイスしか知識がなかったスイスの高原植物でしたが、今回のなおこさんの記事で思い出が蘇りました。それと、今年訪ねた中欧にオーストリアも入っていて、確か買い物もしたので、私ももしかしたら、リンドウの絵柄の硬貨が手元にあるかもしれない、ちょっと探してみたいと思います。
Commented by milletti_naoko at 2015-07-31 05:09
アリスさん、こんばんは。わたしもアリスさんのおかげで、イタリア語でだけ知っていた花の名前を日本語で何と言うかを、ようやく突き止めることができました。どちらも、アルプスに比べて標高が平均的に低いアッペンニーニ山脈では、かなり高い山を登って歩かないと見られない花なのですが、やっぱりアルプスでは、時期さえ合えば、旅行でも見ることができるんですね。アリスさんになつかしみ、喜んでいただけたと知って、わたしこそうれしいです。ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2015-07-31 05:28
すずさん、わたし、日本にはないのではないかと思って、日本語名を調べようともしなかったのですが、アリスさんからリンドウと聞いて、イタリア語名から学名を調べて、学名から日本語名をと花の名前を調べてみました。

ゲンチアナは、イタリアではリキュールが消化にいいと有名で、薬草講座でもいろいろと効用や利用の歴史を学んだのですが、そうすると、そういうお花の療法でも癒しの効果があると言われているんですね! とても興味深いです。ただ、原種は黄色い花だと想像していたのですが、青い花とすずさんがおっしゃるので、すずさんが療法に使われるのは、ひょっとするとベルナの方でしょうか。深い青い色と美しい花がとても好きです♪  こちらこそ、すずさんに喜んでいただけたと知ってうれしいです。ありがとうございます♪

Commented by milletti_naoko at 2015-07-31 05:48
Patataさん、お元気そうで何よりです。リグーリアでもそんなに暑いんですね! 高い山は太陽が照り続けると、日差しも強いので暑いですよね。ブルーベリー、残念でしたね。標高が同じ高さでも、日当たりがいいところはもう熟している実がある場合があるので、次回は周囲をじっくりよく見渡してみるといいかもしれません。実は今、わたしたちは再び念願のピエモンテに来ているのですがPatataさんたちも、これからきれいな野の花たちにたくさん出会うことができますように♪ 
Commented by milletti_naoko at 2015-07-31 06:23
かずさん、スイスアルプスにも、そうするとやっぱりゲンチアナの青い花がたくさん咲いているんですね。山をかなり歩かないと出会えないイメージが多かったのですが、さすがアルプス。すてきな思い出ができましたね。わたしもエーデルワイスは、歌もミュージカルも大好きなのに、恥ずかしながら以前からイタリア語名は知っていたとある花は、実はエーデルワイスだったと気づいたのはつい最近のことです。あ、そう言えば、オーストリアの2セントの硬貨はエーデルワイスの花なんですよ。そちらもひょっとしたらお持ちかもしれませんね。
by milletti_naoko | 2015-07-27 00:00 | Abruzzo | Comments(12)