イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

天候不順、落雷に注意

 精度の高い天気予報も、近頃のイタリアのように天候が不安定なときや、高い山では、100%信頼できるわけではありません。特に2千メートル近く、あるいはそれ以上の山になると、天気がとても変わりやすいので、雨の予報が出ていなくとも、急に激しい雨が降り始めることが、まれではありません。これは、薬草講座の野外演習で山を歩いたとき、講師の先生からも聞いていましたし、ヨーロッパ各地の山を歩いて、自分でも体験しました。薬草講座の先生が言うように、標高2千メートルになると、山では日が照っている間は暑くとも、空が曇ると急に寒くなる場合があるので、「タマネギのように衣類を身につけること」(vestirsi a cipolla)が大切になります。寒暖に適切に対応できるように、薄めの衣類を幾重にも重ねて着ることを、「タマネギのように着る」と言うのは、タマネギがいくつもの薄い層が重なってできているからでしょう。ちなみにこれは、登山に限らず巡礼でも大切です。暑くて汗をかいたまま歩いたり、寒いのに我慢をして歩き続けたりすると、体調を崩してしまうからです。

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Tasso Barbasso & Pecore sul Monte Sibilla 17/7/2015

 山の崩れやすい天気でこわいのは、何よりも雷です。この数日、ペルージャでも、突然強い風が吹き荒れて、雷鳴が鳴り響き、激しい雨が降り続けるということが何度かあり、おかげで気温は下がって過ごしやすくなったのですが、土曜の午後、わたしたちも7月に登ったシビッラ山で、羊の群れを率いていた羊飼いの方が、そうした急な悪天候で雷に打たれて倒れるという事故がありました。

 上の写真は、7月にシビッラ山で、羊の群れが山道を渡り終えるのを待つ間に撮影したものです。こんなふうに離れた場所で待ったのは、羊の群れの番をし、先導をする犬たちは放し飼いだからです。

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 こんなふうに羊の写った部分を拡大すると、分かりやすいかと思います。この羊たちといっしょにいた二人の羊飼いのほかにも、この日わたしたちは、別の羊飼いに、シビッラ山の山小屋で出会いました。雷に打たれた方が、どうか命を取りとめ、一刻も早く体調を取り戻せますように。下記に付したリンク先の記事には、これほど激しい雷雨がシビッラ山近辺を急に襲うとは、予測できなかったとも書かれています。山に慣れた羊飼いでさえ、落雷を避けられないほど、山の天気の急変は恐ろしいのです。自戒も込めて、登山時に落雷の危険を避けるのに役立ちそうな記事を、いくつかご紹介しておきます。

 数年前には、浜辺で落雷に遭ったという事故もありましたし、うちの中にいても、雷のために、パソコンやWi-Fiルーターが故障したという友人の話も聞いています。わたしも落雷が激しいとき、長引くときは、テレビやパソコンは消して、電源コードも引き抜くようにしているのですが、皆さんもどうか、外出先、家の中でも十分にご注意ください。

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Tasso Barbasso & Pecore sul Monte Sibilla 17/7/2015
Belle le montagne, ma sono frequenti i temporali e i fulmini.
Ricordiamo le regole da seguire per difenderci dai fulmini.
Ad esempio,
"- accovacciati a piedi uniti, rendendo minima tanto la tua estensione verticale,
per evitare di trasformarti in parafulmini, quanto il punto di contatto con il suolo,
per ridurre l’intensità della corrente in grado di attraversare il tuo corpo.
- evita di sdraiarti o sederti per terra, e resta a distanza di una decina di metri da
altre persone che sono con te." (Citato dal sito della Protezione Civile ↓)
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参照リンク / Riferimenti web
- CorriereAdriatico.it – Montemonaco: colpito da un fulmine sui monti Sibillini, grave un pastore (8/8/2015)
- 富士登山の服装・持ち物・装備 初心者向け準備ガイド- 登山時に落雷から身を守る方法
- 初心者のための登山とキャンプ入門- 登山中に雷が聞こえた時の対応、避難法

関連記事へのリンク / Link agli articolicorrelati
- 猛暑を乗り切る黄金律十箇条 (20/7/2015)
- 夏です! / Estate 2013 (3/8/2013)
↑ イタリアの詳しい天気予報の調べ方や、ぼったくり対策の手引を記したページヘのリンクがあります。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by nagisamiyamoto at 2015-08-12 11:17
なおこさん、おはようございます。
なるほどー、玉ねぎのように重ね着する、んですね。確かに山登りされる方はそういう基本的なことをしっかりしておかないと体調がわるくなったりしてしまいますね。山登りしなくても季節の変わり目は重ね着が重要ですね。
それはともかく、私は雷が本当に怖くって、自分に落ちるんじゃないかと子供のころから堅く信じていました。今も怖いんですが、それでも雷の中月曜日にPCを買いに行った自分の勇気には驚いています。
Commented by milletti_naoko at 2015-08-12 16:00
なぎささん、わたしなど、寒がりなのに少し登りが続くとすぐ汗をかくので、この玉ねぎの装いが欠かせません。山に限らず、イタリアでは、太陽が照っている間はひどく暑いのに、隠れると寒いほどになる場合が少なくないので、おっしゃるように、特に季節の変わり目で天気が変わりやすいときには、重ね着、暑くなっても寒くなってもすぐに対応できる服装を用意することが大切だと思います。

雷はとても恐ろしいですよね。雷がついていたテレビのケーブルか何かを伝ってテレビを炎上させ、火事になるというニュースを日本で見た覚えがありますし、夏の山や海で楽しんでいて、突然の雷に命を落とすというニュースは、日本でもイタリアでもまれにですがあります。幸い山で雨に遭うことはあっても、雷雨に脅かされたことはまれなのですが、万一の場合のために、対策をしっかり勉強しておかなければと、今回の事故のニュースを知ってつくづく思いました。

嵐の中、パソコンを買いに! とにかくご無事で何よりです。それだけ必要に迫られていらしたのですね。愛用されているAcerもどうか元気になりますように。
Commented by patata at 2015-08-13 21:04 x
なおこさん、こんにちは!
ぺルージャもなのですね、リグーリアも、最近は、雨というと雷を伴うものがほとんどです。
雷、私は怖いものベスト3に入るくらい大嫌いで、以前、歩いているときに雷雨が始まったので、金属の付属品がついている傘もささずに、雷から逃げるよう家に帰り、ずぶ濡れで、夫に呆れられた、というエピソードがあります・・・(・。・; 
うちは、去年だったか、Wi-Fiのルーターが雷により壊れました。。Wi-Fiのルーターが雷で壊れるとは知らなかったので、大変びっくりしました…。。
テレビの電源コードも抜いた方がいいのですか!知りませんでした、次回から私も抜こうと思います。

写真のような山は、開けた場所なので、落雷の被害にも遭いやすいという事も、あるのでしょうか…羊飼いの方、大丈夫だったのでしょうか、心配ですね…。。
Commented by milletti_naoko at 2015-08-14 17:25
Patataさん、こんにちは。雷はつい遠いと安心しがちですが、自分に落ちるという最悪の場合だけではなくて、電気機器を壊したり火事の原因になったりと恐ろしいものなので、こわいと思うくらいが身を守るためには大切かもしれません。Patataさんのお宅でもWi-Fiのルーターが雷で壊れたんですね! それは大変でしたね。テレビの電源コードはテレビの破壊、引いては火災につながる恐れもあるので、雷が近い場合、稲光と雷鳴の間がごく短い場合は、テレビも電源を抜いた方が安全だと思います。SONYの関連ページヘのリンクを下に付しますが、テレビがついているために雷が落ちやすくなるというわけではないものの、家のアンテナにせよ近所にせよ、雷が落ちたときにテレビがついていると、異常電圧・電流が電源コードやアンテナ線を通して伝わり、テレビが故障したり発火したりする可能性があるそうです。ただ、このページには雷が鳴り出したら、コードやアンテナケーブルに触るのは危険なので、雷が鳴りそうなときに引き抜くこととあります。http://qa.support.sony.jp/solution/S1308090053245/?s_pid=msc_owner_recommend_season_natsutvclp_20140725_0004

放牧された羊や牛が草を食べるので木が育たず、こんなふうに開けた場所になるのですが、高い木があれば、木に落ちたであろう雷が、ほかに高いものがないので、一番高かった羊飼いの方に落ちたと言えるのではないかと思います。「地面にしゃがみ込む」ことが必要と雷対策には書かれていますが、羊の群れを避難させるには立っている必要を感じたのでしょう。今もオンラインニュースで情報を探したのですが、3日前の最新情報と思われるものも現状は報道しておらず、結局in gravi condizioniであることしか分かりません。どうか一命を取りとめられますように。
by milletti_naoko | 2015-08-11 17:40 | Viaggi | Comments(4)