2015年 08月 31日
イタリア語学習メルマガ第100号発行に寄せて ~原点を振り返り、これからを思う
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発行を楽しみにしてくださる皆さんのおかげで、このイタリア語学習・イタリア情報メルマガも、第100号を発行することができました。ペルージャとシエナ、二つの外国人大学の大学および大学院課程で、5年にわたってみっちりと、外国人へのイタリア語教育を学んで卒業したのに、どちらも満点で賛辞をもらって卒業しても、イタリアでの学校や大学では、日本語を教える仕事は得られても、イタリア語を教える職は得られないというもどかしい状況が、7年前にわたしがこのメルマガを発行しようと思い立った理由です。
二つの大学のさまざまな授業で、現在、日本のイタリア語教育界では知られていない、実践されていないけれども、利用すれば大いに効果が上がるようなイタリア語をはじめとする外国語の教授法、そして、イタリア語の望ましい習得・授業の在り方など、多くのことを学びました。また、両外国人大学での卒業論文執筆にあたって、さらに多くの本や資料を読み込み、「日本人にとってのイタリア語学習の難しさと日本人への望ましいイタリア語教育の在り方」について、考えを深めることができました。そうして学んだことの多くは、わたし自身が日本語を教えたり、外国語を学んだりするときに役に立っています。けれども、せっかく日本のイタリア語学習者の方に役に立ちそうなことをたくさん学んだのだから、それを何らかの形で、学習者の方に伝えていきたいという思いに駆られ、それで、このイタリア語学習メルマガを発行することにしたのです。
わたし自身が日本でイタリア語を勉強したときに、生の新しいイタリア語の教材を入手するのが難しかったことを思い、また、日本では、英語同様、イタリア語についても、学習書が「文法」か「会話」のどちらかに偏りがちであるという状況に新しい風を吹き込みたいとも考え、メルマガでは、イタリア語のニュースや歌、新聞記事、小説、詩など、さまざまな素材を教材として取り上げてご紹介すると共に、最新の外国語教育・学習研究の結果を踏まえて、こんなふうに学習に取り組んだら効果が上がりますよといった情報も提供してきました。
語学学習では、その言語が話される国や地域への興味や関心があると、勉強意欲が高まり、学習効率が上がります。ですから、イタリア文化やイタリア旅行に興味を持っていただくために、また、学習効果を上げるために、文字情報の記憶を高める視覚教材、写真も使いたいという理由からも、2010年4月からは、最初は「ペルージャ発 なおこの絵日記」という題で、ブログを始めました。ですから、もともとブログを始めたのは、メルマガには載せられない数多くの写真を載せることができるから、そして、日々のイタリアでの暮らしや旅行の様子を通じて、イタリア語学習者の方のイタリアへの興味が高まり、イタリア語への学習意欲がより高まればと考えたからだったのです。
ただ、ブログを書き続けるうちに、実はもともと自分が書くことが好きであったこと、さまざまなことに興味を持っていて、伝えたいことは、イタリア語学習やイタリア文化以外にもたくさんあることに気づき、日本語で考えて書き、書き言葉を通じて意思疎通を図る練習ができるほかにも、ブログを書くこと自体が楽しみになってきました。それはそれでとてもうれしいことですし、ブログを通じて、フィレンツェやボローニャでのフォトブロガーの集いに招待されたほか、新聞や旅行関連の記事の執筆や、通訳・翻訳、そして、イタリア語の個人授業の依頼も来るようになりました。語学教育にせよ、通訳・翻訳にせよ、日本とイタリアを結ぶ架け橋の役割が果たせる仕事であって、ブログの執筆と共に、続けていきたいと考えている大切な仕事です。
けれども、日本の高校で国語を教え、社会人になってから英語を再勉強し、イタリア語を勉強した経験のあと、二つの外国人大学で外国人へのイタリア語教授法を5年間専攻する中で、わたしがイタリア語教育・イタリア語学習について学んだことは、たとえ個人授業の依頼以外には、直接仕事につながらないとしても、ぜひとも社会に還元していきたいことです。ですから、今回第100号を迎えたことも機に、原点に還って、メルマガをもっと定期的に、せめて月に一度は発行すると同時に、ブログの方でも意識的に、週に一度は、イタリア語学習・イタリア語教育、あるいは外国語学習に関する記事を書いていくつもりでいます。
原点に立ち返ろうという、そういう思いを忘れぬためにも、そうして、現在わたしが一番時間をかけて取り組み、また収入源となっているのが日本語教師としての仕事であることも考えて、これまで「イタリア情報」、「イタリア」にしぼっていたブログランキングのカテゴリも、うち20パーセントずつを、「イタリア語」学習・教育、そして、「日本語教育」、「シンプルライフ」のカテゴリに割り振ることにしました。自由にさまざまな自分の思いやできごとを語るという今のブログの在り方は、基本的に保ちつつも、ライフワークとしての「イタリア語教育」と「日本語教育」を大切にする姿勢、自分が一番してみたいことを常に自らに問いかけて生きていく「シンプルライフ」を、わたし自身が自らに言い聞かせるため、思い出すためです。わたしは、イタリア語学習者の皆さんが学習においてどんなところに難しさを感じているか、どんなことに関心を持たれているかを知るためにも、にほんブログ村・人気ブログランキングの二つのランキングの「イタリア語」のアイコンを、ブログ表紙の右側に置いています。イタリア語学習で壁に行き当たったり、仲間がほしいと感じたりしたときに、皆さんも、他の学習者がどんなことに悩み、どんな勉強をしているかを知って励みにするために、このアイコンをクリックしてみてください。わたし自身、ブログを通じて知り合ったフランス語を学習する仲間とのコメントでの交流や、そうした同志のブログの記事を読むことで、ほかにも勉強仲間がいるのだと励まされ、わたしも頑張らなければと刺激を受けています。
そうそう、ブログを始めたおかげで、イタリア語学習について新たに学んだことの一つは、たまたま出会って夫となった人がイタリア人であったために、イタリアで暮らし始め、イタリア語を学習する必要に駆られた日本の方も大勢いるということです。そういう方が必死でイタリア語を習得しようとする姿に教わりながら、外国人大学で学んだことなどを還元して、少しでも、イタリア語の習得の役に立てたらとも考えるようになりました。実は、両大学で学んだことの中には、事前にまったくイタリア語を学習せずに、イタリアに暮らしながら、働きながらイタリア語を身につけた移民の、その自然な習得順序もあるのです。そうやって自然に学んだ語彙や時制の順序こそ、学校や本で勉強する人にとっても、脳が最も習得しやすい順序であると考えられ、近年イタリアで発行されたイタリア語の教科書の中には、その自然の習得順序の研究結果を反映した構成になっているものもあるのですが、残念ながらそういう新しいイタリア語教授法を学んだ人が、イタリアでイタリア語教師を得るのは難しいのが現状であり、また、日本でイタリア語を教えたり、日本でのイタリア語教育に反映させたりする可能性も、残念ながら低いのではないかと思います。そんなふうに、いろんな意味で、常々考えていた新風を、イタリア語教育・イタリア語学習の世界に吹き込んでいくためにも、第100号を機に、改めて、自分の人生におけるイタリア語教育の大切さをしっかり心に刻み、今後のメルマガ発行やブログ記事の執筆に反映させていくつもりでいます。
皆さん、これからもよろしくお願い申し上げます。
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写真は、この夏、ピエモンテ州スーザ渓谷の山を歩いていて、出会ったアザミの花と蝶です。
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"Volere è potere. / A chi vuole nulla è impossibile."
Con questi proverbi inizia l'ultimo numero della mia newsletter per i giapponesi interessati alla lingua e cultura italiana.
E' il numero 100, da commemorare. Ecco perché volevo ribadire la forza della volontà e degli sforzi. Quanto alla grammatica, diversi usi del verbo servile, 'potere'. Sulla cultura, ricetta del pesto alla genovese & Gran Sasso.
Qui in Italia mi sono laureata e specializzata con lodi in Insegnamento della Lingua e Cultura Italiana a Stranieri ma posso insegnare l'italiano solo per lezioni private. Tuttavia, sono convinta che soprattutto per i discenti giapponesi ci siano molte cose che solo io posso offrire. Dunque, mi rendo utile, continuando a pubblicare la newsletter con i materiali didattici e le informazioni i quali possono aiutare l'apprendimento dell'italiano.
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LINK
- 第100号(1)「望めばかなう、便利な補助動詞 potere 入門・初級編 & 中級・上級編」 / Il numero 100 della mia Newsletter, "Per conoscere di più la Lingua e Cultura Italiana"
- メルマガ 「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」登録ページ
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繰り返し見ることでどれほど聞き取りできるようになったかとか、自分で確認できて本当にありがたいです。こちらに住む友達に教えたところ彼女もすごくはまってしまったみたいで感謝されました。なおこさんの優しい思い、こうしてじわじわ伝わっていますよ!ありがとうございます。
入門書2冊の後半が難しいのは、条件法や接続法は、イタリア語をイタリアに暮らし始めてから学ぶ移民の多くが、結局習得できないままに終わるほど、難しいものだからだと思います。冠詞は、わたしたち日本人にはとても難しいのです。それは、日本語は、男性名詞・女性名詞の区別もなければ、単数・複数の区別もなく、定冠詞・不定冠詞が不要で、そういう点で、イタリア語とは対極にあるからです。わたしも今になっても、夫や友人と話していて、「あ、冠詞の性を間違えた」と気づくことがあります。辞書で引く際に、せっかくなので、辞書のその言葉の項にある例文も声に出して読んでみると、名詞やその性、使い方が記憶として定着しやすいと思います。
2通目のコメントの件については了承しました。わたしの方で非公開にもできたのですが、書いてくださったのに未公開のままのコメントはブログを開くたびに案内があるため、いつかうっかり公開してしまってもいけないと思い、コピーをして別の場所に貼り、ブログそのものの2通目のコメントは削除するという形を取らせていただきました。いつかイタリアでこういうふうに会話をしてみたいという具体的な目標があると、勉強の士気も上がりますよね。義母の誕生会ですが、こうやって人と人とのつながりを大切にしようとするイタリアの人の姿勢は、わたしもすばらしいと思います。野山を歩くと、いろんなアザミの花がきれいに咲いていて、出会えるのが楽しみです。心のこもったコメントを、そうして、メルマガもブログ同様楽しみにしてくださって、本当にありがとうございます♪
《参照記事》イタリア語の化石化 http://cuoreverde.exblog.jp/17419377/
そうそう、『Terra Nostra』、今も確かTv2000(28ch)かどこかの局で、再放送していますよね。わたしもたまにチャンネルを回していて目にしたとき、見損なった回だったり、好きな場面だったりした場合は、楽しみながら見ています。みわさんやお友達が、イタリア語の聴き取りも兼ねて、楽しみながら見てくださっていると思うと、わたしこそうれしいです。ありがとうございます。ちなみに、もうご存じかもしれませんが、以前にこのドラマをご紹介した記事(http://cuoreverde.exblog.jp/22464642/)の下に、イタリア語晩ドラマの全放映分が視聴できるYouTubeのページへのリンクも張ってあります。上から二つ目のリンクなのですが、もし見逃した回や、聞き逃してもう一度聴きたいセリフがあったときには、参考にしてください。
イタリアを一人で旅したいと思って始めた勉強ですが、メルマガにもあったとおり、旅先ではpotereとvolereの従属動詞はもう魔法の語彙で、連発です。条件法の恩恵を思い切り受けています。今回の内容で、直接未来法が条件法と同じく丁寧な表現に使えるとは初めて知りました。こちらもありがとうございます。なおこさんは、さすが国語のプロでおられるので、語彙の解説には目から鱗のことがいっぱいです。改めまして今後ともよろしくお願い致します。
これからもよろしくお願いします!
そうそう、potereとvolereは、大活躍してくれる便利きわまりない言葉ですよね。言い方さえ覚えれば、動詞句と組み合わせて、無限に自分が頼みたいこと、してみたいことを表現できるので、いつか記事にしたいと考えていました。ただ、それでは中級・上級の方につまらないかと、時制によって依頼などのニュアンス、丁寧の度合いが変わることにも言及してみました。直説法未来を使った、よりていねいな依頼については、確かカテリーノフ先生の授業で教わって、みっちり練習問題を解いたように覚えています。(まあ、カテリーノフ先生は、ありとあらゆる文法事項について、徹底して説明と練習問題を提供してくれていたのでありますが。)現代イタリア語の話し言葉では、近未来の予定には未来形よりも現在形を使うため、未来形はもっぱら、ていねいに依頼する婉曲表現や、「…かもしれない」という推量を表すのに使われるのだとは、イタリア語教育法の授業で、マニーリ先生をはじめとする何人かの先生に教わった記憶があります。こちらこそ、これからもよろしくお願い申し上げます。
今朝だったか、ふと思いついたのですが、「イタリア語」のブログランキングには参加されていないけれど、イタリア語学習やイタリア旅行などの記事を書かれているブログのお友達が、今回コメントをこうしてくださったOlivaさんやかずさんのほかにも、かなりの数いらっしゃいます。中には、イタリアに暮らされる方あり、日本で勉強されている方あり…… そういう方たちの、イタリア語学習関係記事、あるいはイタリア語タグ・カテゴリへのリンクをいただいて、読者の皆さんの学習の参考にしていただいてもいいかな、と。リンクを先にいただいてから、事後許可を求めて、皆さまのブログを訪問してもよろしいでしょうか。フランス語学習関連記事があるブログのリンクについては、わたし自身が励み、参考にするために、かなり昔に一覧にした記事をブログで発表しているのですが、同じことをイタリア語でしてみると、それで「オンラインイタリア語学習仲間・学習に役立つ教材・学習法」などが共有・交換でき、参考にできて、いいのではないかな、と。いっそフェイスブックに、メルマガの名前に「イタリア語学習情報交換会・イタリア語学習の友」という言葉をつけて、イタリア語学習コミュニティを作ろうか、でもだれも登録してくれなかったらどうしよう。あ、同じことをフランス語でしてみて、今日はこんなことをしたと情報を交換してもいいな、と夢と野望は広がるのであります。