2015年 09月 03日
『風の谷のナウシカ』10月イタリア公開
イタリアの新聞紙、『La Stampa』の8月27日付の記事に、作品や上映日時について詳しい説明があります。リンクは以下のとおりです。
- La Stampa – A ottobre arriva al cinema “Nausicaä della Valle del Vento” di Miyazaki (27/8/2015)
日本で公開されたのは、1984年3月ですから、今回のイタリアでの劇場一般公開は、何とその31年後です。ただし、上に記事によると、1987年にはイタリア語音声吹き替えでテレビ放映され、2010年には、ローマ国際映画祭で、字幕付き日本語音声で上映されたとありますから、これまでイタリアで、まったく上映されていなかったわけではありません。
イタリア語版の予告編は、映画自体の内容には触れず、宮﨑駿氏やスタジオジブリにとっての本作品の重要さや、ようやくイタリアで公開されるということしか述べていません。そのため、ブログを見てくれるイタリア人の友人および日本語の旧・現教え子のためにも、まずは、英語版予告編を紹介します。英語字幕付き日本語音声になっています。
漫画、『風の谷のナウシカ』冒頭で語られる、世界と人類の陥った恐ろしい状況は、Wikipediaイタリア語版に、原語である日本語と、イタリア語の両方で書かれています。以下はそれを書き写したものです。
« — ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った。大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は1000年後に絶頂期に達しやがて急激な衰退をむかえることになった。『火の7日間』と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく永いたそがれの時代を人類は生きることになった。 »
«Una potentissima civiltà industriale, diffusasi dalle propaggini occidentali del continente eurasiatico, nel giro di qualche secolo si diffuse in tutto il mondo privando la Terra delle sue ricchezze, inquinando l'aria e plasmando a suo piacimento le varie forme di vita. Questa civiltà mille anni dopo la propria nascita raggiunse il suo apice, a cui seguì un declino improvviso. Nella guerra nota come I sette giorni di fuoco, le città furono incendiate da nuvole di vapore velenoso. La tecnologia complessa e raffinata del passato era ormai completamente perduta. La quasi totalità della superficie terrestre era divenuta sterile e improduttiva. La civiltà industriale non risorse mai più, e gli uomini si adattarono a vivere lunghi anni di crepuscolo. » (Incipit di Nausicaä della Valle del vento)
今の日本や世界の状況を考えると、これは決して遠い未来の架空の話ではなく、「大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明」は現実に存在し、人類は今まさに、「戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化」す状況にいつ突入しかねないとも限らない、危うい状況にあるような気がします。
連載されていた漫画を楽しみにしていたのも、映画を見たのも、もう30年も前の話で、筋をすべてはっきり覚えているわけではないのですが、今予告編や内容解説を読んでいて、この映画こそ、今の日本に、そして世界にとって必要な警鐘ではないかと感じました。どうか多くの人が見てくれますように。もちろんわたしも見に行きます。
*追記(2018年11月): 記事を書いた当時、主題歌の映像ページへのリンクを貼ったので、以下に歌詞の一部を紹介し、イタリア語で訳しました。現在は、その映像が見られないのですが、参考までに、歌詞とイタリア語訳は、残しておくことにしました。
0:51-1:27
「やさしさは 見えない つばさね 遠くから あなたが 呼んでる
愛し合う人はだれでも 飛び方を知ってるものよ」
La gentilezza è un’ala invisibile. Da lontano tu mi chiami.
Tutti coloro che si amano sanno come volare.
2:12-2:47
「花や木や小鳥のことばを あなたにも 教えてあげたい
なぜ人は傷つけ合うの しあわせに 小石を 投げて」
Vorrei insegnare le parole dei fiori e degli uccelli anche a te.
Perché le persone si feriscono a vicenda
gettando sassi alla felicità?
- Parole del testo Takashi Matsumoto, Traduzione Naoko Ishii
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Il 5, 6, 7 ottobre al cinema, film di Hayao Miyazaki, “Nausicaä della Valle del Vento”
Un film molto bello, il tema è molto attuale - "Una potentissima civiltà industriale, [...] si diffuse in tutto il mondo privando la Terra delle sue ricchezze, inquinando l'aria e plasmando a suo piacimento le varie forme di vita.[...] La quasi totalità della superficie terrestre era divenuta sterile e improduttiva. La civiltà industriale non risorse mai più, e gli uomini si adattarono a vivere lunghi anni di crepuscolo. " (Dall'incipit del fumetto di Miyazaki su cui è basato il film.)
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風の谷のナウシカってそんなに前だったのですね(^_-)-☆
日本では、もっと頻繁にテレビでは観れると思いますが
イタリアでは、そんなに久しぶりなんですね!
でも映画館で観れるのはいいですネ☆私、映画は基本映画館で観るというのがモットーです。モチロン、そう度々というわけにはいかないですが・・・。そのかわり、映画館で観ると記憶にしっかりと残るような気がします。
↑がイタリアで上映される時は、字幕がイタリア語なんですか?それとも、イタリア語吹き替えのみなんですか?
ちょっと興味があります(^^♪
昨日の記事の関連の教会見させて頂きました!ボローニャとフィレンツェの間にあるのですね(^_-)-☆
ツアーでも、近くは通りましたがこのような教会へは連れて行ってくれないので、見れて嬉しかったです(*^_^*)
祈願成就に感謝しての奉納物というのは、日本のお寺や神社でもあるので同じかな?と思いました(^^♪
ただ、日本の場合は、食べ物が多いかな?(笑)
ボッカディリーオ、素敵なところですね☆
9月なので、ちょうど5年前ですね。ポルチーニ茸の料理のことも、興味深かったです(笑)
作者の思想とは相容れないところがあるわたしですが、このアニメは、ジブリアニメの中でも大好きな一本です。子供たちと繰り返し見たものです。マンガ本ももっています。ラストシーンには、何度みても胸にジンときます。
これを劇場で観るのはいいですね!
ナウシカは、かなり人気の高かった映画ではないかと思うのですが、
イタリアでの劇場一般公開がこれまでほとんどなかったとは、意外でした。
思わず、なにか理由でもあったのだろうか・・・などと、
うがった見方をしてしまいそうです^^
昔は、
勝手に私は、ジブリは子供が見るアニメだろう、
と決めつけて興味をもっておらず、
なかなか見る機会がなかったのですが、
大人になって、いろんなことがわかるようになってから、
初めてジブリ映画が社会へのメッセージ性の高いものが多いことを知り、
さまざまな形のファンタジーを用いてそれを表現する斬新さなどに感心しています。
ナウシカは、私が見ていないだけかもしれないのですが、
最近あまりテレビで放映される機会がないような気がします。
なので、まだ私は見ていなくて…
そういう内容だったのですね。
夏休みになると、
日本ではよくジブリ映画をテレビで放映していて、
それで私はようやく見ることがあるのですが、
先日観た作品も、
「子供のころはただ楽しいだけと思って観ていたけど、
こんなメッセージをもった作品だったのかと改めて観て驚いた」
といった感想を持つ人も多かったようです。
そして、その映画も、もう20年近く前の作品だったのに、
今の日本にまさに必要なメッセージが表現されていて、
むしろ今こそ人々に理解できる映画ではと、
そんな昔からそれを題材として作品化した宮崎駿さんの着眼点に驚いたりしました。
残念ながら、戦後70年となる今年の夏には、
日本ではナウシカは放映されませんでした。
70年だから、ということだけではいけませんが、
本当に今こそ日本でもみんなに観てもらいたいですね。
イタリアの方たちも、
どんなご感想をもたれるか、興味があります。
またぜひなおこさんのご感想をお聞かせくださいませ。
風の谷のナウシカ、日本ではもう何度も再放送されていますが、色褪せない名作ですね。漫画(原作)も好きでした。
腐海には実は浄化の一面もあるので(詳しくは言いませんが)、現実世界で核戦争が起こって放射能汚染でほとんどの場所で人が生きられなくなってしまったらもっと悲惨で絶望的ですね。
核兵器も原発も減らしていかなければいけません。
凸ポチ!
聖母関連の記事も、見てくださったんですね! 聖地には、ラヴェルナやスビアーコに限らず、こんなふうに人里離れて、祈りや瞑想にいそしみやすい自然の豊かな場所が多い気がします。そのため、大きな町からは遠く、交通が不便で行きづらいのではありますが。おっしゃるように、確かにこれも、一種の「祈願成就」ですよね。日本では食べ物が多いのですか! イタリアでは後で形として残るものが多い気がしますが、この教会に飾られた奉納物の絵は、どういう状況で恩恵を受けたのかを、如実に絵で表しているあたりが、興味深いですよね。
わたしは、高校生の頃に、『ルパン三世 カリオストロの城』とナウシカにはまっていて、だから宮崎映画が公開されると、すぐに見に行っていたのですが、あの頃は純粋に作品として物語を楽しんでいたのであって、ナウシカについても、今になって、解説を読んで、改めて作品の持つ普遍性や時代・世の中への問いかけを感じます。小説の『風と共に去りぬ』も、高校生の頃に読んだときには、筋や主人公の人生や恋だけをもっぱら追って読んだのに、社会人になって、英語の勉強を兼ねて原書で読み直し、米国南部から見た、語られる南北戦争をめぐる状況が、詳細に語られているのを、いわゆる歴史で習う、勝者の北側が語る歴史との違いにも興味を持ちながら、楽しんで読みました。いい作品というのは、何でも、年を重ねるごとに、新たな発見があり、いつの世にも心に訴え問いかける普遍性・社会性があるような気がします。ナウシカはわたしも31年前に映画館で見たきりなので、久しぶりに再び見るのが楽しみです。少しこわいような気もしています。
かつて日本語を教えたイタリア人の生徒さんから、「宮崎作品ではこの映画が一番好きです」というコメントをさっそくもらいました。わたしも映画を見ること、皆の感想を聞くことを楽しみにしています。ブログでも、またご紹介しますね。
人が住めないような地球になってしまう状況・未来は、ガンダムやマクロスでも描かれていますが、原発・核開発・世界各地での紛争と、今はあの頃に比べてさらにずっと、それが単なる空想上の世界の話ではなくなっているのが恐ろしいと思います。今ならまだ何とかできる、日本もいろんな意味で分岐点に立っているのであって、どうか正しい道に進んでくれますように、そのためにわたしたち一人ひとりには何ができるかと問いかける今日この頃です。ポチをありがとうございます♪