2015年 09月 07日
宮崎映画で学ぶ日本語・イタリア語とサンレーオのカリオストロの城
Cantante: Bobby, Testo: Jun Hashimoto, Musica: Yuji Ohno
しあわせを たずねて わたしはゆきたい
いばらの道も いてつく夜も 二人でわたって ゆきたい
旅人の寒い心を だれが抱いてあげるの
だれが 夢を かなえてくれる
炎と 燃えさかる わたしの この愛
あなたにだけは 分かってほしい
きずなで わたしを 包んで
Vorrei andare, cercando la felicità.
Vorrei andare insieme a te,
attraversando sia le strade spinose sia le notti gelate.
Chi abbraccerà il cuore di un viaggiatore che trema di freddo?
Chi esaudirà il suo sogno?
Come il fuoco arde questo mio amore.
Vorrei che almeno tu lo capissi.
Avvolgimi con il nostro legame. (Traduzione: Naoko Ishii、訳: 石井直子)
後半は、先日のツイートの引用です。140字以内に収めるために、はしょった語句を補っています。
「イタリア向け宮﨑駿監督映画DVDは、イタリア語 ・日本語 の2か国語音声で、イタリア語字幕付きなので、日本人イタリア語学習者も、イタリア人日本語学習者も活用できる上に、値段が10ユーロ以下のものがほとんどです。」

宮崎映画でイタリアが舞台なのは『紅の豚』くらいでしょうが、日本語ですでに知っている作品であることが聴き取りを助けてくれる上に、イタリア語音声イタリア語字幕付き、あるいは日本語音声イタリア語字幕付きでも見られるので、聴解力を高めるのにはうってつけです。ただし、ファンタジーの多い作品よりは、『となりのトトロ』、『風立ちぬ』、『紅の豚』のように、日常生活が多く描かれたものの方 が、後から利用できる語彙が多くなります。
イタリア文化を知るために、イタリア映画を利用したいところですが、日本語字幕付きのイタリア映画は、DVDの料金が高い上に、方言やくだけた話し言葉が多く使われていて、聴きとるのが難しく、イタリア語学習の教材としては適さないものも少なくありません。逆に外国映画をイタリア語音声に吹き替えたものの方が、話されるイタリア語が標準語、あるいはそれに近いという利点があるのです。」

写真は、サンレーオの町にある、実在の人物、カリオストロ(1743-1795)ゆかりの城塞です。

カリオストロの伯爵(Conte di Cagliostro)とは、けれどもあだ名であって、本名はジュゼッペ・バルサモ(Giuseppe Balsamo)であり、彼はこの城塞に、囚人としてとらわれていたのです。人物像や所業に諸説ある、非常に謎の多い人物で、それで調べるのを中断して、サンレーオや城塞の紹介が遅れてしまいました。サンレーオは、エミリア・ロマーニャ州リミニ県、と言っても、アドリア海岸から遠い内陸部にあります。サンマリノ共和国に近く、サンマリノに似て小高い丘の上にあって、城を有し、石造りの町並みや周囲の山々の見晴らしが美しいのですが、サンマリノほど観光地化していないため、わたしはサンマリノよりもサンレーオの方が好きです。サンレーオとカリオストロについても、いずれ詳しくご紹介するつもりですが、とりあえずサンレーオ町のサイトの関連情報へのリンクを貼っておきます。
- San Leo – Visita San Leo - Il Forte Rinascimentale
- San Leo – Storia: I personaggi - Cagliostro
ちなみに、イタリア語の原音の響きに近い片仮名表記を試みると、それぞれ「カッリョストロ」、「サンマリーノ」になります。日本で知られているCagliostroとSan Marinoについては、すでに日本語に定着したと思われる表記、「カリオストロ」と「サンマリノ」を、一方、日本では知る人が少ないと思われるSan Leoについては、「サンマリノ」と同じ基準で「サンレオ」とはせず、イタリア語原音の発音により近い「サンレーオ」としました。
*追記(9月8日)
ただし、ヨーロッパ向けのDVDは、日本のパソコンでは見られても、日本で一般に販売されているDVDプレーヤーでは見ることができず、DVDプレーヤーならリージョンフリーあるいはマルチリージョンのプレーヤーでないと見られないという問題があります。
参照リンク
- 龍・通信 - 読めて聴ける英語 - 海外のDVDを見るには?(リージョンコードについて)
- Amazon.co.jp - リージョンフリー DVDプレーヤー
********************************************************************************************************************************
"Lupin III - Il Castello Di Cagliostro", il primo film diretto da Hayao Miyazaki (1979) mi piace molto. Nel film Lupin combatte con il malvagio Conte di Cagliostro per salvare la principessa Clarisse rinchiusa nel castello. Chissà se Miyazaki abbia avuto qualche ispirazione dalla storia di Cagliostro (1743-1795) imprigionato nella Fortezza di San Leo. (Foto)
Nell'articolo la trascrizione della sigla in giapponese, la sua traduzione in italiano & il link per la canzone su YouTube. Così potreste anche cantarla in karaoke.
********************************************************************************************************************************
LINK
Amazon.co.jp - CD & DVD del film, “Lupin III - Il Castello Di Cagliostro”
Colonna Sonora del film, CD
- ルパン三世 カリオストロの城 オリジナル・サウンドトラック BGM集(紙ジャケット仕様)
Film DVD, versione UK - Audio: Inglese, Giapponese, Sottotitoli: Inglese
- ルパン三世 カリオストロの城 宮崎駿 英語版[DVD] [Import]
↑ アマゾン日本のサイトで現在一番安いのは、なぜかこの英国からの輸入盤です。音声が英語・日本語で、英語字幕付きなので、英語学習にも使えます。
Amazon.it - DVD dei Film diretti da Hayao Miyazaki / 宮﨑駿監督映画
- Lupin III - Il Castello Di Cagliostro / ルパン三世 カリオストロの城 (1979)
- Il Castello Nel Cielo / 天空の城ラピュタ (1986)
- Il Mio Vicino Totoro / となりのトトロ (1988)
- Kiki Consegne A Domicilio / 魔女の宅急便(1989)
- Porco Rosso / 紅の豚 (1992)
- Principessa Mononoke / もののけ姫 (1997)
- La Citta' Incantata / 千と千尋の神隠し (2001)
- Il Castello Errante Di Howl / ハウルの動く城 (2004)
- Ponyo Sulla Scogliera / 崖の上のポニョ (2008)
- Si Alza Il Vento / 風立ちぬ (2013)
↑ Tutti questi DVD - Audio: Italiano, Giapponese, Sottotitoli: Italiano, quindi sono molto belli ma anche strumenti utili per italofoni che studiano il giapponese e per i giapponesi che apprendono l’italiano.
*“Nausicaä della Valle del Vento” (1984) al cinema il 5, 6, 7 ottobre.
Dettagli ↓ (Trailere EN, JP, IT & Sigla in giapponese)
- Ad ottobre Nausicaä al cinema / 『風の谷のナウシカ』10月イタリア公開
イタリア語学習メルマガの関連記事
映画や歌を学習教材として、聴解力を高めようという記事もたくさんあります。いずれジャンルごとにご紹介しようとは考えていますが、今から挑戦したいという方は、次のバックナンバー一覧から、興味のある映画や歌を選んでみてください。↓
- イタリア語学習メルマガ バックナンバー
ブログの関連記事
- 英伊仏ヒアリングマラソンと注意点
- イタリアの方言と日本語特訓の成果その3
宮﨑駿監督の映画は、日本でもイタリアでも良く知られていますから、親しみがあり、それぞれの母語で観たことがあるというのが学習意欲を盛り上げそうです☆
↑を少し、観させて頂きましたが、英語の字幕を見ながら、日本語の音声というのも、英語学習にはいいですね☆
DVDを見ながら、そうか、、ここは英語ではこういう風に表現するのか!と勉強になります。
映画館でも、日本語字幕を見ながら、英語の表現を聴いてたら、違訳し過ぎ違う?と思うこともあり、なかなかおもしろいと感じています。ただ、映画は一度しか見えないので、学習にはやはりDVDがよいと思います。
素敵な学習方法で、大勢の方に喜ばれることだと思います。
自分がすでによく知っている作品は、言葉が分からなくても記憶が、そうして、映画であると場面の状況や登場人物の表情などから、言っていることを推測できて、ちょうどふつうの会話でも、言葉だけではなく、周囲の状況や表情・身ぶりからも言語情報を理解するのと似た状況でもあって、外国語学習に役立つので、その点、皆がよく知っていて、何度見ても楽しんで感動できる宮崎映画は、うってつけではないかと思います。
映画の字幕については、見る人が字幕を読むことに追われずに作品を楽しめるように、字数の制約もあるし、文化的背景を知らないために一般の日本人が知らないジョークは、別の方法で楽しめるように翻案することもあって、確かに訳が英語と異なることもでてきますよね。別の例で、NHK教育だったかで放映されていたアメリカのテレビドラマ、ブラッサムを英語・日本語・英語で見ていたら、英語では「マリファナ」と言っているのが、日本語では「タバコ」となり、英語では「コンドーム」なのに「ポルノ雑誌」と訳されるなど、教育的配慮のために、わざと訳を変えている例が時々ありました。
この記事で紹介されている宮崎さんの映画もとても参考になります。やはり机に座ってきちんと学ぶ、ということをしないと伸びないですね。
語学だけでなく、お庭やおでかけのエピソードもとても楽しみにしています!一言お礼を言いたくて今日はコメントを残しました。メルマガも楽しみにしていま~す!
わたしは高校を卒業する頃だったかに、「こんなに英語を勉強してテストで点は取れるのに、聴き取れず話もできないのは、英語の音を聴いたり、英語で話したりする機会が欠けているからだ」とつくづく感じて、大学で第二外国語として選択したドイツ語から、大学の文法・読み書き学習と並行して、NHKテレビ・ラジオ講座を試聴したり、歌のCDを聴いたり、基礎ドイツ語を行動したりと、音声やコミュニケーションも積極的に学習に取り込みました。それで、あの頃はドイツ語を話したり、東ドイツの女性と文通をしたりできるようになって、やっぱり文法と読み書きだけではいけなかったんだなと感じたのが、まずはわたしの外国語学習の望ましい在り方の気づきの根源にある気がします。
日本語はイタリア語とは構造も発想も語彙も文法もすっかり異なる言語なので、独学にせよ授業にせよ、最初はなかなか難しいと思います。わたし自身、1年ほど家でCDや入門書でイタリア語をかじってからイタリア旅行をしたとき、聴き取れない言葉やなかなか言いたいことが伝わらないもどかしさに歯がゆかったことを覚えています。幼い子供の場合は、たとえば「お母さん」や「ミルク」を脳で認識する過程、時間的に過去を認識できるなどの脳が発達する過程と並行して、(つづく)
ゆるやかに少しずつ母語を習得していくのに対し、大人になってからは、すでに自分の中に世界はこういうものという認識・知識や母語で考え、世の中をとらえるという習慣ができあがっている上に、別の言語を学ぶことになり、子供のように十数年かけて学ぶわけにもいかず、手っ取り早く確実に学ぶには、やはり文法をきちんと学んでおくことが本当に大切です。そうでないと、母語では必要ない音の区別や名詞の性・数、人称変化とそれに伴う動詞や形容詞の変化などが、さらに筒抜けになりやすいからです。
だから、山頂を目指して、聞いたり見たりして歩くことと同時に、文法や語彙を学んで足元をかため、練習問題や話し書く練習をして筋力をつけることが、ばてずに確実に前進していくには不可欠になります。こう書きながら、フランス語学習が読書とながら聞きだけになっているわたしは、実行できないということは本当には自分で分かっていないのだと、反省しています。
イタリア語以外の記事も楽しんでいただけていると知って、とてもうれしいです。こちらこそ、ありがとうございます。イタリア語、せっかくですから長く楽しく続けてくださいね。わたしもフランス語学習、頑張ります!! カナダは、初めて訪ねた外国なのでなつかしいです。そもそもわたしが社会人になって再勉強したのは、英語の先生である友人と、アンの故郷、プリンス・エドワード島を訪ねることに決めてからだったのです。