イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イアリア語ゴムはゴムでもゴムじゃない

 イタリア語では、「ゴム」のことをgommaと言います。発音は次のページで聴くことができます。

- Larousse – Italien-Anglais - gomma

 イタリア語の「gomma」と日本語の「ゴム」は、たとえば「消しゴム」(gomma da cancellare)のように、「ゴム」という素材を表す場合には、同じものを指しています。けれども、日本語の「ゴム」がいつもイタリア語のgommaに相応するわけではありません。たとえば、日本で袋の口を閉じるのによく使われる輪ゴムや、髪をまとめるためのゴムは、イタリア語ではelasticoと言います。また、自動車のタイヤは、イタリア語では、pneumatico(複数形はpneumatici)というタイヤを指すりっぱな言葉があるものの、ゴムでできているために、日常生活ではたいてい、gommaと呼ばれます。一方、日本語では、車のタイヤに言及するのに、「ゴム」とは言いませんよね。

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 そうして、イタリア語では、なんとガム、チューインガムのことも、gommaと呼ぶのです。同じ単語を使うためか、混同しないように、「gomma da masticare」(噛むガム)と、「噛むための」(da masticare)という言葉を後につける場合がよくあります。英語でも、ガムをchewing gumと言うのは、英語でも、「ガム」も「ゴム」も同じ単語、gumで表すため、「噛むもの」であることを明示するために、chewingという言葉を添えるのでしょう。

 日本では、「ゴム」は鎖国時代にオランダから貿易を通じて日本に伝わったため、オランダ語gomから日本語に外来語として入り、一方、チューインガムの方は、時代がくだってから英語経由で入ってきたため、「ガム」という別の語形を、日本語では用いることになったのでしょう。ちなみに、ドイツ語でこのgomma、gumに対応する単語も、外来語として日本語に入ってきています。どんな言葉で、どんな場面で使われるか、お分かりですか。

 正解は「グミ」です。ゴムのような噛み心地であるからか、こうした菓子が、ドイツで「ゴム」を意味するドイツ語、Gummiという名で販売され、日本ではこの菓子と共に、「グミ」という言葉も、ドイツから取り入れたようです。

 と、こういう「ゴム・ガム」にまつわる話や、前置詞DAの用法などを、先週発行したイタリア語学習メルマガの第101号でご紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。リンクはこちらです。↓

- もっと知りたい! イタリアの言葉と文化 第101号

*2020年5月追記:バックナンバーを掲載していたサイトが、ヤフージオシティーズサービス終了により消失したため、現在このブログに移行中です。上記の記事の移行が済み次第、新たなリンクを添えますので、今しばらくお待ちください。

------第101号の目次----------------------------------------------------------------------------------
1. 前置詞DAで語彙増強 ~ 用途を表すDA 
2.絵つき・トピック別イタリア語基本語彙1000 ~無料で役立つオンラインPDF情報
3.宮崎映画で学ぶイタリア語、サンレーオのカリオストロの城、秋だ祭りだ! ウンブリア
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In lingua giapponese, la GOMMA da masticare è ガム (gamu), mentre la GOMMA da cancellare si chiama 消しゴム (keshi-gomu; 'keshi' significa 'da cancellare'). La gomma come materiale arrivò in Giappone durante l'epoca dei samurai tramite i Paesi Bassi, quindi i giapponesi presero il suo nome dal termine olandese, 'gom', menre la parola, 'gamu' fu introdotta insieme al prodotto, 'chewing gum' dagli Stati Uniti nel XX secolo.
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関連記事へのリンク
- もっと知りたい! イタリアの言葉と文化 第101号
- ウィキペディア日本語版 - オランダ語から日本語への借用
- ウィキペディア日本語版 - グミ

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by mitsugu-ts at 2015-09-17 06:26
こんばんは!そうそう、イタリア語を勉強しだした頃はこのdaの使い方が全く腑に落ちなかったものでした。英語のfromと日本語の「から」は大ざっぱに言えば一つしか意味が無いように思えるのに、イタリア語のdaには色んな役割があるということが、僕らにとって不思議な感じがする原因だと思います。・・・いま手元の辞書を見てみると、daの項に14種類もの使い道が書かれていて、改めてびっくりしました!
Commented by ayayay0003 at 2015-09-17 15:30
こんにちは^^
今、発音を聴いてみてビックリ~(@_@)
日本人でイタリア語を勉強してないと「ごま」としか聞き取れません。
ゴムのことなのに、とんだ勘違いしそうです(笑)
そして、このgommaの適用範囲が広いみたいのので、余計に混乱しそうですね!
同じ、ゴムと言う言葉でも国により、こんなにも使う言葉の用途?が違うのですね~
チュウインガムやグミのことも、おもしろいですね。
言葉って、いろいろ知ってたら楽しいですね(*^_^*)
Commented by milletti_naoko at 2015-09-17 17:16
みつぐさん、こんにちは。イタリア語のDAには、英語のfromや日本語の「から」にとどまらないいろんな意味や用法がありますよね。異なる言語どうしで、互いに意味的に対応する単語が指す内容の範疇が、重なりつつも意味や使い方が微妙に違ったり、重ならない部分があるのも興味深いです。
Commented by milletti_naoko at 2015-09-17 17:34
アリスさん、こんにちは。二重子音は、標準イタリア語では二つともきっちり発音するので、片仮名で近い発音表記を試みると「ゴンマ」になるのですが、北イタリア、ラスペッツィアとリミニを結んだ線よりも北に行くと、二重子音を単子音で発音する傾向があるので、「ゴーマ」と発音する人が多いと思います。アリスさんのコメントを読んで、イタリアの人は概して長母音と短母音の聞き分けに苦労するため(たとえば「サッカー」と「作家」など)、北イタリアの人の耳には、日本語の「ゴマ」が、イタリア語のgommaと同じように聞こえるのではないかと思いました。言語が異なると、同じ音でも意味や指すものが違うのがおもしろいですよね。もとは同じ単語から派生して、発音の似た共通の意味もある言葉なのに、各国それぞれに用途や指すものが違うのが、わたしもとても興味深いです。
Commented by germanmed at 2015-09-19 12:23
こんにちは。
ドイツ語の日常語ではコンドームも「グミ」なので、この語の使用には注意が必要です。結局のところ、はっきりと「コンドーム」と言うのは憚られるので婉曲に「ゴム」と言っているわけですが、ゴム側にしたら迷惑な話しですよね。
Commented by milletti_naoko at 2015-09-19 15:50
くまさん、なんと! そう言えば、ウィキペディアの説明を見ると、ドイツ語では「グミ」という言葉のあとに、何の形をしているかもくっついて使われるようですよね。それは本当に気をつけて使わなければ! イタリアでは日常生活で、素材ではない場合、単にgommaと言えば、「消しゴム」か「タイヤ」なのですが、まさかそう来るとは! 興味深いコメントをありがとうございます。
by milletti_naoko | 2015-09-16 21:34 | Insegnare Giapponese | Comments(6)