イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

イタリアの便座もこれなら座れるか

 旅行中に自分が宿泊する部屋のホテルや、知人・友人宅のトイレであれば、掃除が行き届き、ていねいに使っているので、衛生上、そして、気分的に問題がないことが多いことと思います。

 ただ、日本と違って、イタリアでは無料の公衆トイレというものが、町中、店の中に少ない上に、駅やsuperstradaのトイレ、地方電車、観光名所などで、便座がないトイレや、これは座っては衛生上問題があると思われたり、入るのもはばかられたりするようなトイレに出くわすことが、時々あります。個人的には、「無料高速道路」と意識しているスーペルストラーダに比べて、有料の高速道路、autostradaのサービスエリアでは、掃除の頻度が高く、掃除も徹底している気がします。バールやレストランのトイレは、客が注意して使い、店の人がマメに掃除をするので、きれいな場合が多い気がします。けれども、便座というのは、たとえ見た目にはきれいでも、何か菌がついていて、それで嫌な病気をもらってしまう可能性がないとも言えないので、わたしは、持っていれば除菌用ウェットティッシュを使い、なければ、腰を浮かせて使うようにしていました。人がだれもいないトイレでは、手を洗った後乾かすために置いてある紙を、液体石鹸と水で濡らして便座を拭いたあとに、さらに水でもう一度きれいにしたこともありました。

 けれども、今から2、3年ほど前のことだったかと思います。イタリアの同年代、40代後半の親しい友人たちの話を聞いていたら、なんとトイレの上に靴を履いた足を載せて、ちょうど日本の和式トイレで用を足すように、トイレを利用するのだと一人が言い、皆が、「そうよね。わたしも!」と言うではありませんか。安定が悪いので、きっと便座は上げたあとで、陶器の上に靴で上がるのだとは思うのですが、それを聞いて以来、宿の自分たち専用の部屋のトイレや、知る人のうちのトイレは別として、どんなにきれいに見える便座でも、腰を下ろすのをはばかるようになりました。除菌用ウェットティッシュをいつも持っていればいいのですが、いつもそういうわけにはいかないので、不便です。

 ただ、ナターシャさんのメルマガで、かつて、こうやって便座の上に腰を浮かせた姿勢が、太ももを引き締めるのに効果的だと読んだことがあるので、最近は、そうやって、腰を浮かせて座るようになりました。

 それが今日は、出かけた先のレストランで、これなら安心して座れるというトイレに出会えたのです。

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 イタリアでは、便座シートが置いてある店でも、妙に置きにくく、使いづらいシートだったり、シートが切れて、なくなっていたりすることが少なくありません。それがこのシートは、赤い矢印の先にあるボタンを押せば、使い終わったビニールシートは右手に吸い込まれ、新しいビニールシートが左から出てきて、便座を新たにすっぽり覆うようにできていて、苦労せずに、清潔に使うことができるようになっているのです。

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 使用し終えた人が次の人のためにボタンを押すのではなく、新たにトイレに入った人が、トイレを利用する前に(prima dell’uso)、赤いボタンを押す(premere il pulsante rosso)と書いてあります。これは、用を足した人が手を洗う前にボタンに触れては、衛生上問題があるからでしょう。

 イタリアにも専門で輸入する業者があるのですが、このHygoletという会社はもともとスイスで創業した会社で、わたしの読み違いでなければ、今は本部がアメリカにあり、世界の60か国に製品が流通しているようです。

 会社のホームページを見ると、観光客を相手とする業者はもとより、たとえば病院などでもどうか利用をと呼びかけています。イタリアで、これからこの製品がもっと普及してくれるとうれしいのですが、トイレそのものをそっくり作り変える必要がある場所も多いでしょうから、時間がかかることでしょう。千のトイレも、まずは一つ目から、そうして、わたしがたまたま入った店で導入をしていたということは、きっとこれは氷山の一角であって、すでに多くの場所で導入されつつあるのだ、そうであってほしいと、願っているわたしです。

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Su questo water coperto così si può sedere.
Tuttavia, sia per l'igiene che per la salute,
sembrerebbe meglio la diffusione del water
alla tradizionale giapponese, alla turca
sopra il quale ci si accovaccia.
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関連記事へのリンク
- トイレの恐怖

参照リンク / Riferimenti web
- ナターシャ・タイムズ - エクササイズ - アイソメトリックスで、引き締まった下半身に!!
- Leggo.it – La fate seduti sul water? Non è il modo giusto. Ecco come si dovrebbe “andare in bagno”
↑ この記事ではなんと、姿勢として、便器の上に両足を載せてかがみ込む方がいいのだと推奨しています。
- L’Huffington Post – Perché il copriwater è inutile? I ricercatori: “Nessun rischio di infezioni se ci si appoggia”

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2015-09-21 10:56
なおこさん、こんにちは^^
イタリア旅行に限らずヨーロッパ旅行で、困ることのひとつにトイレの問題は確かにあります。
今まで旅行中に困ることは多々・・・^^;
私も正直なところ、腰を浮かしてというのは同じです(笑)
ホテルのトイレ以外まともに座ったことはありません!
今日登場したようなトイレは、今年のフランス旅行、去年のロシア、バルト3国、その前のイタリアでは出会ってません!
ただ、ソレより前の2011年のイタリア旅行の時は、韓国経由で行ったので、韓国の空港(仁川)のトイレはまさにこれでした!(^^)!
その時は、感動したものです(^^♪
ほんと、こういうトイレが増えてくれたら旅行ももっと楽しくなるに違いないと思います♪
Commented by butanekoex at 2015-09-21 12:14
イタリアのトイレ事情
凄く興味深く読ませていただきました。
日本でも、公衆トイレはまだまだ・・・という場所が多く、はいったところで用を足せなくて、次を探すということもしばしばあります。
山や釣り場ではそんな贅沢を言えないのですが(^^;;
ボタンでシートが覆われる仕組み、これは画期的ですね!
全国的に普及を切望します(^^)
Commented by milletti_naoko at 2015-09-21 16:33
アリスさん、おはようございます。旅行中のトイレは、本当に頭を悩ませますよね。アリスさんも腰を浮かせてですか! 韓国には4年前に、もう空港でこういうトイレを導入していたんですね! 

日本でもこうやって靴で便器の上に乗る人がいると、日本の友人から聞いて驚きました。そうして、記事を書いたあとで、イタリアではどう言っているのかなと思って調べると、衛生面からではなく、腸のためにという意味での健康上の理由から、便器の上に足を載せてかがみ込むのがいいのだと説く記事がいくつか見つかって、びっくりしました。健康のためには、東洋で使われている、便器の両脇に足を置くトイレの方がいいのだそうです。ちなみに、トイレで妙な菌をもらわないためには、便座や便器に腰かけるか否かよりも、むしろ後で入念に手を洗うことの方が大切だという記事もあってなるほどなと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2015-09-21 16:43
butanekoexさん、日本でもなんと、そういうことがあるんですね! 山や釣り場でも、町中でも、次に使う人や掃除をする人のことを考えて使ってほしいものですよね。

ボタンでシートを覆う製品、上のコメントで、アリスさんが4年前に韓国の空港で見かけたと言われていますし、松山の友人によると、日本でもたまに見かけるようになったそうです。世界にも日本にも、おっしゃるとおり、どんどん普及してくれるとありがたいです。ヨーロッパでも、東洋式の便器もいくつかは併設して、健康・衛生上の利点を皆に知らせるというのもいいような気がするのですが…… 便器に上がり込む友人たちは、そういうトイレの方が安心して使えると言っていました。ちなみに東洋式のかがみ込む便器のことを、イタリア語では、alla turca「トルコ式の」と形容します。
Commented by patata at 2015-09-21 22:23 x
なおこさん、こんにちは!
ひょえ~(◎o◎)靴のまま、乗っかる人がいるのですか・・・・確かに便座にそのまま乗っている人も、いるかも分からないですよね。私も、なおこさんと全く同じで、ウエットティッシュで必ず掃除をしてから、座るようにしているのですが、これを聞いてしまうと、ちょっと便座があったとしても、座るのを躊躇いますね。。。
便座が無いトイレの場合は、私もなおこさんのように、腰を浮かせているのですが、太ももがプルプルなります^^;; 
この腰を浮かせる体勢は、以前、イタリア人の女友人が日本に遊びに来た時に、日本のトイレに驚いていて、イタリアではどうやって用を足すのか?と聞いた時に教えてもらって以来、真似しています。そのため、イタリア人はみなこの体勢なのかと思っていただけに、直接、トイレの上に靴で乗るという話には、驚きを隠せません!!
Commented by milletti_naoko at 2015-09-21 23:43
Patataさん、こんにちは♪ わたしもこの話にはびっくりしました! そうして日本の友人から、同じようにすると日本の人から聞いて驚いたというコメントをもらって、さらにびっくりしました。あまり話題にすることではないからこそ、実はあらあらということが、あるのでしょうね。

トイレの靴で乗るというおしゃべりのとき、確かわたしは皿洗いか何かをしながらそばで聞いていたのですが、フェッラーラとリッチョーネとリミニの友人が確か3人、ひょっとしたら4人か5人が、皆口をそろえてそうすると言っていたので、意外とそういう人は少なくないのかもしれません。しかも、うち一人は病院で働いていて、「やけどはすぐに練り歯磨きを塗りつければ跡が残らない」など、病院内でいろいろと互いに情報交換して、耳にした知恵を教えてくれたりすることもあるので、病院で感染病から身を守ろうと、そうする人が多いのかしらと勝手に想像をめぐらせたりして…… 

びっくりしたのは、さらにイタリア語の関連記事を探した結果です。便座に腰を下ろすより、足を便器に載せた方がいい、洋式トイレはお通じにはよくないので和式がいいのだと説く記事が、検索結果の上位にいくつも上がってきました。和式・東洋式のトイレだったら、健康にも衛生にもいいですよね。
by milletti_naoko | 2015-09-20 22:03 | Viaggi | Comments(6)