イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

I LAVA YOU、溶岩と燃える思い

 火山から噴き上がる灼熱の「溶岩」を、イタリア語でも英語でもlavaと言います。日本語でも、「恋い焦がれる」、「灼熱の恋」、「熱い思い」など、激しく恋うる気持ちを、何か熱い熱を持ったものととらえて表現することがありますが、その「溶岩」と「恋心」の共通点を巧みに利用した、いい歌、そうしていい短編映画だなと感心しました。

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Rosso di sera dalla nostra finestra 11/10/2015 18:46

 昨晩、日本では7月に公開されたという映画、『インサイド・ヘッド』(イタリア語の題名は、英語の原題と同じく、『Inside Out』)を見て、いい映画だなと思ったのですが、その前に流れた短編映画、『LAVA』という恋物語もとてもすてきでした。

 わたしたちが昨晩見たのは、イタリア語に吹き替えられた映像でしたが、記事ではまず、英語版の歌をご紹介します。LAVAという言葉にLOVEの意味を掛ける変則的な掛詞は、英語版でこそ楽しめると思うからです。


   “I have a dream I hope will come true
   That you’re here with me and I’m here with you
   I wish that the earth, sea, the sky up above-a
   Will send me someone to lava

   「いつかかなうよう願っている夢があるんだ。
   君がぼくとここにいる、ぼくは君とここにいるという夢が。
   大地、海、そして上なる空が
   ぼくが(溶岩のように)熱く愛せるだれかを
   ぼくのところに来させてくれるよう祈っているんだ。」 (「  」内は石井訳)

 こんなふうに、歌の随所で、「溶岩」を意味するLAVAと「恋、愛、愛する」を意味するLOVEという二つの言葉の語形の類似と、どちらも熱い性質を持つことをうまく利用して、LOVEの代わりにLAVAという言葉を用いています。そのために、火山たちの恋心が熱く燃える様子がさらにひしひしと伝わってきます。

 歌の最後に、”I lava you”、「君を燃えるように熱く愛しているよ / あなたを燃えるように熱く愛しています」と三度繰り返されるのもすてきです。

 次のページには、この歌、『Lava』の英語版の歌詞とそのイタリア語訳が、掲載されています。参考にしてください。

LINK
- ginger generation – Lava è la canzone del corto Pixar cantata da Giovanni Caccamo e Malika Ayane (video e testo)
↑ Canzone, “Lava” - Testo originale in inglese & traduzione in italiano. 

 イタリア語版は、映画で上映された、マリーカたちが歌う映像の一部しか、YouTubeでは見ることができません。次の40秒弱の映像では、ちょうど上でご紹介した英語の歌詞に対応する箇所が歌われています。


 LAVAとLOVEの掛詞は、イタリア語にそのまま移すことができない上、概してイタリア語の方が、英語に比べて単語が長くなる傾向があるため、上でご紹介した英語の歌詞に対応する部分が、イタリア語ではこんなふうになっています。

   “La cosa che io sogno di più
   È che qui con me ci sia anche tu
   Io chiedo un amore che il cuore mi avvolga
   E come lava lo sciolga

   「ぼくが何よりも夢見ているのは、
   ここにぼくと共に君もいてくれることなんだ
   心から夢中になれて、ぼくの心を溶岩のように
   熱く溶かすような愛を望んでいるんだ」(意訳です)

 英語版ではLOVEと掛け合わせて使われているLAVAという語のその熱い意味合いを、”come lava lo sciolga”(溶岩が心を溶かすように)という言葉で、うまく表現しています。最後の”I lava you”のりフレインは、イタリア語版では、”Ti amerò”、「(命ある限り、すべての瞬間に)君を愛するよ」となっています。

 日本語版、「南の島のラブソング」を歌っている映像も見つけたので、最後にご紹介しておきます。


 先にご紹介した4行は、

   「誰かと出会いたいよ
   わき上がる熱い思い
   海よ大地よ 青い空よ
   ここにアロハおくれ」

と訳され、LAVAのイメージを「わき上がる熱い思い」という言葉で表現しているのですが、「アロハ」という言葉がどこからでてきたのか不思議です。

 最後の”I lava you”の訳は、「愛してる 愛してる アイ・ラヴァ・ユー」となっていて、短い言葉の中で端的に、この掛詞の意味を表す難しさを思いました。

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 写真は、今日の夕方、うちの窓から見えた夕焼けです。夕日が沈むあたりから、炎が燃え上がり、空全体を包み込むように見えました。

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Molto belli e carini il cortometraggio, "Lava" e la sua canzone

proiettati prima del film, "Inside Out".
Nella versione inglese, al posto della parola, LOVE si usa LAVA e
così si dà immagine del cuore che arde.
Nell'articolo c'è anche il link per la versione giapponese.
Foto: Rosso di sera dalla nostra finestra. Ardeva anche il cielo!
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-10-11 23:36 | Film, Libri & Musica | Comments(0)