2015年 11月 19日
歯医者より痛いイタリア肩療治
使わぬと錆びる体と外国語
bravaと聞いてもつらい鯉気分
腱炎をかばって右の肩や腕を動かさなかったために、肩と腕が妙に癒着してしまい、右腕を上がると、肩もつられて上がり、一定以上には肩が回らず上がらない状況であることが判明しました。運動機能回復訓練専門医(fisiatra)にそう診断を受け、何か月も待っていられないので、国民保健サービス(SSN)を通さず、鎮痛消炎・麻酔剤の週一の注入を受け、リハビリに通っています。一番早く診てもらえて、SSNと提携しているところで専門医の診療を受けたら、それがたまたまカイロプラクティック・センターだったので、リハビリもこのセンターの理学療法士(fisioterapista)かつ整体師的資格(イタリア語ではosteopata)を持つ若者にお願いしています。自力では肩から引き離せず、動きが制限される右腕の、可動域がより広がるようにと、この療法士さんが、「今度はちょっと拷問(tortura)に近くなるけれど」と、警告をしてくれつつ、力づくで回したり、伸ばしたりしてくれるのが、わたしのためとは知りつつ、ひどく痛くて、何だか俎上の鯉のような気持ちで臨むのでありました。さらに、鎮痛消炎・麻酔剤の注射と薬の服用にも関わらず、翌朝までひどい痛みが続くのです。
それでも、日本人のわたしは、ほかの人に比べると我慢強いらしくて、「まだこれ以上腕の痛みを増やすというのか」と必死に耐えていると、「えらい、えらい」(Brava, brava!)としばしばほめてくれるのですが、と言うよりは、慰めてくれるのですが、そうほめられても、あらもっと痛くなるのかしらと、かえって緊張感が高まるのでありました。
今日は三度目、最後の薬剤注入に出かけました。先週注入した薬の効果が切れかけていた上に、今週月曜からは服用するコルチゾンの錠剤も半分になり、さらに昨朝はリハビリ荒療治があったので、「注射は嫌だけれど、打ったら楽になるだろう」と考えながらうちを出ました。先週は予約が午後5時で、暗い中の運転に自信がなかったので夫につきそってもらったのですが、今日は自分一人で行けるようにと、予約は午後3時に取り、夫が「必要とあればつきそうよ」と言ってくれるのを、「一人で大丈夫だから」と、自ら運転して出かけました。ハンドルを大きく回す必要があるとき、右肩がひどく痛むことになるのですが、幸いオートマ車なので、専ら左手・左腕を使って運転できるのです。
これまでは注入が終われば、はいそれまでだったのが、今日は最後の注入だということか、予期に反して、運動機能回復訓練専門医が、理学療法士よりもさらに痛みのひどい方向に、しかもかなりの角度に、かなりの間腕を回したり、伸ばしたりしたのです。そうして、わたしはどちらかというと我慢強い方であるつもりで、尾てい骨が折れても、隣家の犬に噛まれて数針縫うことになっても、ぎっくり腰になっても、歯を食いしばって我慢していたのですが、今日は途中から、あまりにも痛みがひどいので、専門医が鎮痛剤を、センターの人が保冷剤をくれて、しばらく廊下で安静にしていても、あまりに痛むので思わず涙が出てしまうほどでした。鎮痛消炎・麻酔剤を注入したばかりだというのに、二つの腱の炎症がどちらも悪化したためか、腕も肩も焼けつくように、中に刃物があるかのように痛むのです。しばらくすると、痛みが頂点を過ぎたので、痛む右腕をかばいながら、何とか運転して帰宅しました。
幸い、シャワーを浴びて温水をかけると、痛みが和らぎ、夕食は夫が準備してくれたので、肩を休めていたら、だいぶ楽になりました。腱炎があるからと、長い間かばいすぎて、腕と肩の癒着が進んだ上に、腱自体も弱くなってしまっているのではないかと、専門医が心配してくれていました。実際には腱炎は、動かさないとかえって悪化・変性してしまうのであって、わたしの場合は、さらに肩全体の硬化や癒着をもたらしてしまったようです。
専門医によると、病名はcapsulite adesiva(癒着性関節包炎)です。調べると、別名をspalla congelata(凍結肩)と言うとあります。日本語で言うと、狭義の「五十肩」にあたるようです。日本では、「五十肩」という言葉が広義で使われることが多く、肩関節をとりまく様々な痛みの総称がこうなっているようで、ただし、日本で保険病名として認められているのは「肩関節周囲炎」であり、一方、五十肩・凍結肩は、保険病名として認められていないとのことです。「正確な統計ではありませんが、広義の五十肩は一般集団における有病率は約2%、そのうち実際には4分の1程度が凍結肩だろうといわれています。」ということですから、凍結肩の罹患率は一般集団においては約0.5%ということでしょうか。(下記リンク参照)
若い頃から肩の痛みや肩こりに悩まされることが多く、今回も我慢していれば、腱炎も肩の痛みもそのうち収まると思っていたら、悪化してこんなことになってしまいました。わたしの場合、きっかけは、車庫を開けるために無理な動作を続けて、腱を傷めたことでしょうが、そもそも長年、仕事でもうちでも机やパソコンに向かうことが多く、五十が近づいていることもあって、腱炎をかばう間に、組織の変性や拘縮・癒着が進んでしまったのではないかと思います。今日は専門医は手術にも言及していましたが、うちでもセンターでもリハビリ訓練に努め、日頃の生活でも姿勢、そうして、できるだけ体を動かすように注意をしていけば、手術せずとも、少しずつ腕と肩の可動域が広がり、元のように動かすことができるようになるものと信じて、頑張るつもりでいます。
働くばかりで休まないと、病気で休まざるを得なくなるという英語のことわざがありますが、日頃から体を動かすようにしていないと、結局は痛みのために、体を動かさざるを得なくなる、そういうこともあるのだなと、つくづく反省しています。ブログを読んでくださる皆さんの中には、わたしのように、ついパソコンの前にいる時間が長くなってという方もおいでだと思います。ずっとパソコンの前にいないで、家事や体操を間にはさみ、パソコンに向かうときの姿勢にも注意して、どうかいつまでも痛みのない状態で、毎日が過ごせるようにしてくださいね。
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“Carpa sul tagliere”(まな板の鯉 ‘manaita no koi’)
così si dice in giapponese
una situazione in cui ci si trova in balia dell’altro
senza via di scampo e si aspetta il peggio.
In questi giorni mi sento così
quando devo stendermi sul lettino davanti all’osteopata.
E’ bravo, gentile e so che mi farà gran bene il trattamento
ma durante e dopo mi fa molto molto male
la mobilizzazione passiva della mia spalla congelata.
Poi ieri il trattamento della fisiatra era ancora più atroce,
ma grazie ad esso ora il mio braccio si muove un po’ meglio.
Per fortuna, diversamente dalla carpa sul tagliere
questi trattamenti dolorosi mi aiutano a recuperare la mobilità
della spalla ed eventualmente a diminuire il dolore.
Dunque, coraggio!
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関連記事へのリンク
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- 肩ががたがた / Le gemme preziose nere
- イタリアで痛みをこらえちゃいけません
- -iteはいてえよイタリア語
cfr. capsula f. 包、capsula articolare 関節包 → capsulite adesiva 癒着性関節包炎
参照リンク
- Luca Barni. Osteopatia Posturologia Fisioterapia – La capsulite adesiva
- 肩こり研究所 - 五十肩の原因・症状・治し方① 五十肩とは? 治すための予備知識編
- 肩こり研究所 -五十肩の原因・症状・治し方② 五十肩の病期に応じた効果的な治療方法 ~肩が痛くて1ヶ月以上通院しても改善しない方へ~
- サルーテカイロプラクティック - 棘上筋腱炎(腱板炎の中で多い)と上腕二頭筋腱炎(長頭)
こんにちは。
私も50肩になったことがあります、上にも
後ろにもあがらず苦労しました。
ちゃんと診てもらってのリハビリ
大変でしょうが頑張って下さいね、日頃から
痛みにたいして我慢強いと無理になって
いるのでしょうね、私も目に悪いので
パソコンとスマホを長い時間しないようにと
心がけていますの。
早く楽になられますように。
いつもありがとうございます。
やっぱり何事もほどほど、そうして正しい姿勢などに気をつけることが大切だなとつくづく思いました。お優しいお言葉とお心遣いをいつもありがとうございます♪ ムームーさんも、どうかお体を大切にお過ごしくださいね。