イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

桃の木を守る夫と映画『Il Piccolo Principe』

 少しずつ少しずつ、夫がオリーブの木々の間に、昨年購入した果樹の若木を植えていっています。

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Migiana di Monte Tezio, Perugia 10/1/2015

 若い木は樹皮がおいしいからか、すでに一昨年に植えていた果樹の皮を、鹿が食べてしまって、それでは木が育たないからと、最近では、夫は木を植えるたびに、周囲を覆って、木を守っています。昨日は時間がなくて、桃の若木を網で覆うことができなかったと言う夫と共に、今朝ミジャーナに出かけ、夫の作業を手助けしたあとは、夫がすでに植え終わっていた木を見せてもらいました。

 昨夕見た映画は、『Il Piccolo Principe』、邦題は『リトルプリンス 星の王子さまと私』です。フランスでも日本でも昨年劇場公開されたようですが、フランスと共に映画の製作国であるイタリアでの公開は、どういうわけか、今年の1月1日からでした。


 本が大好きで何度も読み、新しい外国語を学ぶたびに、その言語で『星の王子さま』の本や朗読CDを買い、繰り返し読んだり聞いたりしていたのですが、昨日映画を見ていて、そうして今朝若木を守ろうと働く夫を見て、バラの花を守る星の王子さまに夫の姿が重なりました。

 子供の頃に読んで、不思議な、冒険に満ちた王子さまの旅を楽しむという、そういう読み方もあるでしょう。かつて高校で国語を教えていた頃、夏休みの宿題の読書感想文を書くために、『星の王子さま』を選ぶ生徒が、まれにいました。愛や友情の育み方、大人になっても忘れてはいけない大切なことなど、世界の名作の一つとして、読む人それぞれの年代や心に応じて、心に呼びかけ、響くところがある作品だと思います。


 原作の美しい物語や絵を損なわずに、今の子供たちも、そうして、すでに本を何度も読んだこともある大人たちもつい画面に見入ってしまう、そういう映画に仕上がっていました。

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A Migiana il mio maritino proteggeva un alberello appena piantato,
come il piccolo principe protegge la sua rosa
nel nostro libro preferito e nel film che abbiamo visto sabato.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- Rose (14/12/2013)
- イタリア語学習メルマガ第25号「Il Piccolo Principe」 (30/10/2009)
↑ 『星の王子さま』イタリア語版の一節を、イタリア語学習の聴き取り、かつ読解の教材として取り上げています。YouTubeの朗読音声へのリンクつき。
- 覚えるために繰り返す / répéta le petit prince, afin de se souvenir (15/12/2013)
- バラに思う (5/5/2011)
- 子どもの絵と個性のゆくえ (25/11/2010)

参照 / Riferimenti web ~ 読書と作品を利用したイタリア語・フランス語学習へのいざない
日本語版
- Amazon.co.jp – サン=テグジュペリ作・内藤 濯訳、『星の王子さま―オリジナル版』(岩波書店)、ハードカバー
イタリア語版
- Amazon.it - Antoine de Saint-Exupéry, "Il Piccolo Principe" (Bompiani)(本のみ)
- Amazon.it – “Il Piccolo Principe” con Audiolibro. CD Audio(本+音声CD)
↑ 単なる朗読ではなく、たとえばキツネは別の人が感情表現豊かに、読むというよりは演じるように話していて、ラジオ劇のようで、聞いていて楽しいです。
フランス語版
- Amazon.fr - Antoine de Sant-Exupéry, “Le Petit Prince”, Folio Junior(本のみ)
- Amazon.fr - “Le Petit Prince CD” (Version Intégrale), Gallimard Jeunesse(音声CDのみ)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2016-01-11 16:22
こんにちは^^
「星の王子様」の映画、日本で公開されてたのは11月でしたね!
11月は、忙しくて、映画を見る時間がなくて、レンタルDVDが出たら見ようかな?と思ってたところでした☆
なおこさんがそのように仰るのでしたら、是非見たいと思います(^^♪

ミジャ―ナの果物の苗、シカに食べられるという被害があるのですね!
広大な土地があって羨ましく思ってましたが、いろいろと悩みはあるものですね!
家の先日植えたカシス、チェリー(多分そちらものと同じ品種)、レモン(ピンクの果肉の?)は、無事に育ってるようです(^^♪
この冬が心配ですが、芽が出てるようなので大丈夫かな?
果物は、世話が大変ですが楽しみも多いですよね♪
Commented by milletti_naoko at 2016-01-12 18:22
アリスさん、こんにちは♪ とりわけよくて感動したというわけではないのですが、紙を使って表現した原作の物語の、その人物や風景のつくりが原作に近い上、とてもきれいで、物語の大好きな場面や言葉を映画の画面で見たり聞いたりできて、うれしかったです。「これは行き過ぎではないか」と思われるようなスパルタ母さんの姿は、イタリアにはあまりいないと思うのですが、親はどうしても、「こういう理想の人生を子供が送れるように、こうこうこうさせなければ」と、子供によかれと思いつつ、自らの理想や反省を子供にどこか押しつけるというか託すところがあることを、省みるきっかけになるのではないかと思います。

ミジャーナでは、果樹についての動物被害もあるのですが、今一番頭を悩ませているのは、私道で私有地だというのに、猟師やトリュフ狩りにと、車で平気で通り、家のすぐ近くを鉄砲を抱え、鳥をねらって回る人がいることです。長い間だれも住んでいなかったので、自由に通れることに慣れてしまっているのでしょうが、夫が私道だと言うと、反論しながら憤る人さえいるようで……

アリスさんのお宅でも、そんなにたくさんの果樹を植えられたんですね! 順調に育っているとは、うれしいですね♪
by milletti_naoko | 2016-01-10 23:59 | Film, Libri & Musica | Comments(2)