2016年 02月 29日
大理石とダイナマイト フィレンツェブロガー再招集3

フィレンツェのドゥオーモに使われている白い大理石は、カッラーラ産です。古代ローマ時代から中世、ルネサンスにかけては、大理石を人間の力を用いて切り出していたのが、19世紀には、大理石採掘のために、ダイナマイトが使われることになったそうです。

そのため、1865年にフィレンツェが新生イタリアの新しい首都となるにあたって、ようやく始まったドゥオーモ正面装飾の再建には、ダイナマイトで採掘した大理石が用いられました。ところが、ダイナマイトで採掘すると、目には見えない微細なひびが大理石にできてしまい、建造や彫刻に際して、もろく壊れやすくなることが分かったため、以後は再び、爆薬を用いずに採石をすることになったようです。
ドゥオーモのファサードは、近代になってようやく装飾が施されたと言うのに、材料となる大理石採掘にダイナマイトを用いた上、冬に大理石のひびの間にしみ込んだ水分が夜間に凍ったあと、ファサードは日中太陽の光に照らされるため、その氷が昼には解けて、他の壁面に比べて、傷みやすいのだそうです。

大理石を削っていくと、表面からでは分からない細かなひびや割れ目があって、作品が台なしになってしまうということは、ダイナマイトを使っていなかったルネサンス期にもあり、かのミケランジェロもその憂き目に遭ったそうです。
大聖堂ファサードを装飾していた預言者サムエルの彫像も、傷みが激しいために、本物は付属博物館で展示して、代わりにファサードに飾るための複製を、修復工房でこうして制作中なのですが、上の写真のような機具を用いて、大きさも形も原作どおりの作品を手がけている間、鼻を仕上げている最中に小さな穴が見つかり、鼻を含む顔全体の位置を後方にずらすことで、問題を解決したそうです。

修復工場では、他にも、雨風に傷んだ大理石の実物や、

修復や複製の制作に用いられてきた道具類、

そうした道具を使っての制作の実演などを見ることができて、とても興味深かったです。

大聖堂のファサードに飾られていた預言者サムエル(Profeta Samuele)の彫像の本物は、現在、ドゥオーモ付属博物館(Museo dell’Opera del Duomo)2階にある19世紀博物館(Museo dell'Ottocento)に展示されています。
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Duomo, Dinamiti & Marmo di Carrara, Blogger a Firenze 3
Interessanti i racconti & dimostrazione lavori
nella Bottega dell'Opera di Santa Maria del Fiore, Firenze 28/1/2016
es. Nell'Ottocento si utilizzarono le dinamiti per prendere il marmo, ma di conseguenze si crearono le microfratture che causavano grandi problemi nella fase di elaborazione e smisero di usare gli esplosivi...
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 美への情熱、ブロガ-再招集1 フィレンツェ / Ritrovo di Bloggera a Firenze 1, Bottega dell’Opera di Santa Maria del Fiore (28/1/2016)
- フィレンツェドゥオーモびっくり顔なし300年 ブロガー再招集2 / Blogger a Firenze 2, Nuovo Museo dell’Opera del Duomo (19/2/2016)
- イタリア語学習メルマガ第107号「歴史・美術記事を読む~フィレンツェドゥオーモびっくり情報」 (29/2/2016)
参照リンク / Riferimento web
- Il Grande Museo del Duomo. Firenze – Museo – Sale – Museo dell’Ottocento. Primo Piano
- Zoomedia.it – Firenze – Bottega dell’Opera del Duomo: apertura straordinaria dell’8 settembre 2005 (9/9/2005)
- Notizie Comuni-Italiani.it – Firenze – La bottega dell’Opera del Duomo (1) (20/4/2011)


大理石採掘の歴史にダイナマイトがあったというのに驚きました~(*_*)
それでなくても、大理石は、他の石(と言っても日本の固い石ですが)と比べると柔らかい石なので、彫刻しやすいからいろいろな加工に使われてきた歴史があると習ったような気がするから・・・
過去に、知らないこととは言え、そのような採掘方法を用いていたとは残念なことです!
何でも、労力がかからないように・・・は大切なことですが、ものによりけりですね!
でも、このように修復師の方たちが、いっしょう懸命働いてるのを拝見すると安心します。
修復師の方というのは、すばらしい作品をできるだけ本作に近いようにと情熱をかけて苦労して作り上げても、自分たちが表に出ることはほとんどなく、それでもこうして仕事をしている方のおかげで、歴史を経た芸術作品を今なお鑑賞できるのだなと改めて感じました♪

おもしろいしほほえましいですね♪ 南の人はイタリアの中でも、とりわけ人なつこくて、話好きな人が多いという印象があります。イタリア語とのおつきあいを楽しまれているようで、わたしもうれしいです♪