2016年 05月 29日
傑作を花で描いて町彩る、Infiorata di Spello1
花びらで生み出される絵画の予想以上の美しさときめ細やかさに感嘆しました。上の写真では、左手にスペッロの石造りの町並みが描かれ、手前に二つヒナギクの大きな花が見えるのですが、このヒナギクの黄色い部分には、一つひとつのヒナギクの花の真ん中の部分だけをずらりと並べてあります。絵画の中央にはイエス・キリストの顔が大きく見えます。
聖家族(Sacra Famiglia)や
アッシジの聖フランチェスコ(San Francesco d’Assisi)とアッシジの町、
ウンブリア南の町、カッシャ出身の聖リータ(Santa Rita)など、イエス・キリストや聖家族、カトリック教の聖人たちを描いた作品が多いのは、聖体祭(Corpus Domini)と呼ばれるカトリックの祝祭の前夜に、祭り当日ミサのあとの行進で歩く道に、花びらをまき散らしたり、花のじゅうたんを描いたりする慣習がイタリア各地にあり、スペッロのインフィオラータも、この聖体祭の祝いの一環として、行われているからです。
今日の祭りのために新たに描いたオリジナルと思われるデザインが多い中、
こんなふうに巨匠の傑作に、新たな美しい装飾を添えて描き上げた作品もありました。
花は、絵画として道や広場を彩るだけではなく、街角や家の壁など、あちこちに飾られていて、中世の町並みに、いっそうの趣を添えています。
噴水のまわりにも、白とピンクのバラが植わっています。
予定では朝8時までに作品を仕上げることとなっていたため、わたしたちが町を歩き始めた7時半過ぎには、ちょうど仕上げの最中だった絵画も、たくさんありました。
おかげで、どんな花びらを使って、どんなふうに描いていくのかも見られて、興味深かったです。
こんなふうにカトリック教と、直接には関係なさそうに見える作品もあり、愛や人生など、テーマはさまざまでした。
タンゴの情熱的な踊りと、祈るような、そして宇宙のリズムと鼓動を同じくするようなスーフィーの踊りが交互に描かれている、こちらの作品が独創性もあってすてきだなと感じました。
こちらの作品では、色鮮やかに花びらで描いた大きなギターの上部で、天使たちが音楽を奏でています。
「ゆるやかなとき」(Tempo Lento)と題されるこちらの作品は、子どもたちが自ら花を摘み描いたもので、左手の狭い空間にひしめくように並ぶ時計の中から飛び出した時計が、カタツムリの背に乗り、緑豊かで花が彩る広い空間をゆっくりと進んでいきます。時間にしばられ、時間に追われて、人生や生きがいを見失うのではなく、足取りを確かに、ゆっくりと豊かに生きていこうと語りかけているようです。
混んでいる場所・時間帯は、ラッシュアワーの東京都内の駅や、チョコレート祭り中の週末のペルージャのようで、人波に押されたり、あらがったりしながら進まざるを得ず、それは大変でしたが、いい思い出になりました。
花の導きに従っての町めぐりは、まだまだ続きます。写真もご紹介したい作品も多いのですが、とりあえず今日はここまで。
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Infiorata di Spello - parte 1 29/5/2016
Stupende le opere disegnate accuratamente
con passione e pazienza con i fiori,
bella città medievale, oggi ancora più bella.
Grazie, Spello e tutte le persone che hanno
contribuito a questa bellissima festa.
[To be continued]
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最近は日本でもそうした試みがあるようで、ブログでお見かけすることがありますが、私が実際目で見たわけではないので、ブログのお写真だけでも感動いたします(*^_^*)
何て細かい、絵画のような作品、どれだけの時間と生花で作られてるのかと思うと、作られた方たち、素晴らしいですね☆
また、これだけのお花の道でしょうから、香りも素晴らしいのでは?と想像致します。
スペッロと言う街は、確か、ドラマで登場した町ではないでしょうか?記憶違いかもしれませんが・・・
中世の街並みに似合うと手も素敵な作品、続きも楽しみにお待ちしています♪
花びらの作品である限り、短期間しかもたず、その儚さゆえに感動も大きくなってゆくような気がします。続きを楽しみにしています♪
本場イタリアのインフィオラータはさすが!素晴らしいですね。これは芸術ですね。
神戸でも毎年ゴールデンウィークに何ヶ所かで開催されており、数回見に行きましたが、スケールや描かれた絵の繊細さや表現力は、子供と大人の違いのようです。
微妙な色の花びら、多種類の花びらを使っている点も見事ですね。
素敵なものを見せて頂き、ありがとうございます。
香りは近づけばきっとバラの花弁など感じられる花も多かったことと思いますが、カメラを向ける角度を選ぶ余裕も機会もないほど人が多く、なかなか香りを感じるほどには、一箇所にたたずめませんでした。ドラマで登場するのは、スペッロよりさらに南方にあるスポレートの町です。中世の石造りの町という点では共通性があります。そうそう、今年の写真を見ていたら、ドン・マッテーオシリーズで最近警察のcapitanoを演ずる俳優さんも前夜にインフィオラータ制作中のスペッロを訪ねたようで(ひょっとしたら手伝いもしたのかも)、写真を載せている人がいてびっくりしました。
一晩かけて仕上げた作品も、昼前のミサの行進ではその上を歩くため、まさに「風の前の塵」のように姿を消してしまいます。おっしゃるように、だからこそなおさらに美しく、にも関わらず町の人々が一生懸命に協力して創り上げるために、大勢の人々が訪れる有名な祭りになったのだと思います。
「ここにては花と花と聯ね、葉と葉を合せて形を作りたり。すべての模様は、まことに活きたる五色の氈(かも)と見るべく、また彩石(ムザイコ)を組合わせたる牀(ゆか)と見るべし(…)おほくは聖書に出たる事蹟の図を成したり」
また読み返してみたいと思いました。そういう場面があったんですね。
今になって読み返すと、日本語の変遷も感じられて興味深いです。モザイクという
言葉、まだ当時は新しくて、名が定まっていなかったのでしょうね。「彩石」、
まさにそのとおりで、いい漢字を選んでいるなと思いました。この年は、聖書や
キリスト教ゆかりの絵が半分、それにとらわれないものが半分だったように覚えて
います。ミサの行進が歩いたら崩れてしまう、それまでの数時間のために歳月をかけて
花を育て、夜通し描くすばらしさ。そうなんです。今でもやはりカトリックの行事として
行われているので、スーフィーの踊りがあるのをみて、驚き、こういう開かれた心って
いいなと思いました。