イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

飛蚊症・後部硝子体剥離と旅行 イタリア前編

 イタリアでは、料金の高い私立病院に行かず、公立病院・保健所などで検査や専門診療(visita specialistica)を受けようと思うと、数か月先まで予約がつまっていて、長い間待たなければいけないことも、少なくありません。かかりつけ医(medico di base)に診てもらい、検査が必要なのだということを訴え、説得することができてはじめて、検査の予約ができ、CUP(Centro Unico Prenotazione)と呼ばれる予約センターで予約して、予約当日に超音波検査と相なります。

 先週金曜の朝は、ようやく両肩の超音波検査(ecografia)を受けられることになり、ペルージャ中心街に近い地域保健所(ASL、Azienda Sanitaria Locale)に出かけました。検査が終わると、今度は再び、その結果をかかりつけ医に見てもらい、必要な専門診療が受けられるように、その旨を記した紙、impegnativaを発行してもらわなければいけません。その紙を予約センターに持って行き、予約をしてもらう必要があり、予約は、ASLや俗にSilvestriniと呼ばれるペルージャ郊外にある総合病院のCUPでもできるのですが、わたしの場合は、かかりつけ医の診療所(ambulatorio)がある建物内の薬局でも、予約ができて、近くて便利なので、たいていはこの薬局(farmacia)で、予約の手続きを頼んでいます。病院や保健所で、ようやく自分の番が来たと診療室に入ると、「先に支払いを済ませないと、診療できません」と言われて、階段を駆け下り、番号を取って、列に並んで支払いをしなければならなかったという経験を数度繰り返し、特に大病院では、料金を払うCUPに行くまでに、迷路のような廊下や階段を通り抜ける必要があるため、最近は、薬局で診療や検査を予約する際に、料金も払ってしまうことがほとんどです。

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 閑話休題。検査が終わって車で帰途についた頃か、それとも家で昼食のしたくをしていたときだったか、飛蚊症(miodesopsie、俗称mosche volanti)の症状が急に悪化して、黒いもやのようなものが大きく見える上に、小さい黒いつぶつぶが無数に見えます。見え方に突然変化があったり、特にまぶしい光が見えたり、ゆがんで物が見え出したりした場合には、網膜剥離(distacco della retina)の恐れがあり、その場合はすぐに対処しなければ失明の恐れもあるので、すぐに緊急診療を受けるようにと、初めて診てくれた目医者さん(oculista)が言ってくれたのですが、一度それで、見える黒い点や筋が突然増えたときに緊急診療を受けたら、単に目に動きがあっただけだったということがありました。それで、緊急診療を受ける代わりに、夕方、かかりつけ医の診療所に赴き、肩の専門診療が必要だと書いてもらうと同時に、症状を訴えて、緊急に眼科診療(visita oculistica)眼底検査(esame del fondo oculare)が必要というimpegnativaを書いてもらい、そのおかげで、今週月曜日、つまり朝一番、8時に、シルヴェストリーニでの診療・検査を予約することができました。このペルージャ郊外にある総合病院の正式名称は、Ospedale Santa Maria della Misericordiaなのですが、名前が長いからか、うちの家族や友人・知人はこの病院(ospedale)を皆、Silvestriniと呼びます。病院なのに、名前が「慈悲(misericordia)の聖母マリア」で、何だか教会の名前のようです。(つづく)

✳起こったことだけを書いていけば、すぐに終わる話なのですが、イタリア語を添えたり、イタリアの医療システムについて説明したりすれば、いつかどなたかの役に立つかもしれないと、詳しく書いていたら長くなってしまいました。検査の結果、今のところ安静と念のための再検査が必要なものの、特に問題はないとのことです。

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Bisogna bere tanta acqua anche per mantenere gli occhi sani,
per evitare le miodesopsie, il distacco del vitreo ed
eventualmente il distacco della retina.
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関連記事へのリンク
- 飛蚊症、mosche volanti (13/3/2013)
- 瞳の煙と眼科救急診療、ペルージャ (21/5/2013)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2016-06-07 07:50
おはようございます^^
飛蚊症の症状、人から聞いたことはありますが・・・
大変でしたね!医療システムが日本と異なり、なかなか専門医に見てもらうのに時間がかかるというのも不安なものですものね!
網膜はく離でなくて本当によかったです!
目は、ほんとに繊細な場所なので、普段何でもない時はいいのですが、いざ、目の調子が悪いと他のことは考えられないくらい精神的にダメージを受けますね!
ご旅行に影響も出なくてよかったです(^-^)
Commented by butanekoex at 2016-06-07 08:02
イタリアの病院事情、よくわかりました。
病院は、診てもらうのにはイタリアも日本でも 時間がかかる、ということも。
やはり、健康が一番なのは言うまでもないことなのですが
体の不調というものは、生きている以上必ず出てくるものですね。
うちも、先日主人が 左薬指切断の危機に陥り心配したばかりでした。
幸い、生命の危機とは無縁な事故で、今はその心配もなくなりましたが。

なおこさんの肩もかなり長引いていて、生活には不便なことと思います。
いつもお忙しそうですが、どうぞお大事になさってくださいね。
体の不調、病院、出来ればかかわりたくは無いのですが
これからは上手にお付き合いしていくことも大事なことですね。
Commented by カンポ at 2016-06-07 21:27 x
お久しぶりです。いつも拝読しておりますが、読み逃げで恐縮です。飛蚊症、お大事に。。再検査の結果がよいといいですね。公立の病院システム、本当に忍耐と時間が入りますよね。。

なので検査などいろいろ先送りにしてますが、目のこととなると、早急にことをすすめなければならないので心配ですよね。

お大事に。。
Commented by mokochan at 2016-06-07 22:00 x
なおこさん、こんばんは。もろもろお身体の具合はいかがでしょうか?
私の風邪もよくなったかと思うとぶり返し、ひいてしまうと
長引くのは歳のせいなのか?それならば、やはりひかないようにするのが一番ですね。
そんなわけであまり気分も優れない時は、パソコンで『キリマンジャロのふもとで』の『イタリアで一番美しい町の2016年版』を見ていましたら10位にSpelloがでてきました。先日のなおこさんの記事にあったInfiorataも紹介されていて本当に綺麗な町でした。現地の人が町を紹介している場面がでてきますが全然わかりません。それでもちょっと旅行気分になれるこの番組はいいですね。。
旅行ももうすぐですし、お大事にしてください。
Commented by italiashiho2 at 2016-06-08 00:29
こんにちは!

私も目の故障を抱えていまして、今回のお話に関係があるので書かせて頂きますね。

私のは硝子体が網膜と接触している部分が剥がれたのだそうで、飛蚊症も少しあるのですが、遠くの物の焦点が合いません。
これが起こったのは夫が事故で入院した際1ヶ月ほどした時で、目の中に火花が散った様子で、何かあったのは分かりましたが、網膜はく離ではないという事で、痛みもなく、治療の方法は無いという事でした。
医者の言うには近視が原因だとの事でしたが、結局は夫の入院などのストレスと疲れが引き金になったと思われ、春までにもう片方も同じ症状になり、その後も少しずつ進んでいます。
が、日常生活に支障をきたすほどの故障ではなく、遠くが見えない、ピントが合わないという事で、スケッチするのが出来なくなった、という状態です。

網膜はく離は、起こした方に聞きましたが、目の中にパシャッと暗幕が下りた感じで、本当に見えなくなるそうです。
私も痛みがあったらすぐ来る様にといわれていますが、もう既に9年近くこの症状で過ごしています。
がやはり、なおこさんも疲れなどには十分注意される様になさって下さいね。
Commented by milletti_naoko at 2016-06-08 15:48
アリスさん、ありがとうございます。急を要するからと、比較的すぐに診てもらえて助かりました。夫が私立病院に行ってはと言ったのですが、いいところは予約も必要だそうで、それに悪化したのがちょうど金曜の晩から土曜朝にかけてだったのです。
Commented by milletti_naoko at 2016-06-08 15:58
butanekoさん、だんなさんの指のけがの記事拝読しました。痛みはもちろん、butanekoさんもどんなにご心配されたことかと思います。

どうもありがとうございます。目の点検や皮膚科の診療も本当はもっと早くから受けなければいけなかったと思うので、これからは、おっしゃるように、予防や早期治療を考えて、予約から診療までも長いことですし、早めに動くようにして病院とつき合わなければと感じています。
Commented by milletti_naoko at 2016-06-08 16:10
カンポさん、ありがとうございます。わたしも読み逃げで、夫には前々からずっと言われていたんですが、顔のシミについての皮膚科での診療は、カンポさんの記事を拝読して、やっぱり必要かなと決めました。年齢からも太陽の下で過ごすことが多いことからも単なる日焼けだと思っているのですが、診てもらうとやっぱり安心ですよね。
Commented by milletti_naoko at 2016-06-08 16:20
mokochanさん、ありがとうございます。お風邪の調子、いかがですか。なかなか若い頃のようにはいかないなと、思うことがわたしも最近はよくあります。スペッロは10位だったんですね! イタリアでの放映もつい最近だったと思うのですが、確か外出か何かしていて、今年は見逃してしまいました。日曜も夕方、スペッロのバラ祭りを訪ねました。ふつうに話している言葉を聴き取れるまでには、語彙を増やし、たくさん読み聴くことが大切だと思いますが、焦らずに一歩ずつ、少しずつ。
Commented by milletti_naoko at 2016-06-08 16:40
italiashiho2さん、こんにちは。詳しいご説明をありがとうございます。何かあるたび、ひょっとしたらと不安になったりもしていたので、とても参考になります。本当に大変な経験をされましたね。スケッチができないというのは、italiashiho2さんにとっては特におつらいのではないかと思います。網膜剥離を特に心配していて、目医者さんから避けるための注意をいろいろと聞き、夫もインターネットで調べてくれたのですが、十分に気をつけながら過ごしたいと思います。眼科医から20日後頃に再検査をと言われたのは、夫が調べたところによると、硝子体はゆっくり時間をかけながら、人によって差があり、数日だったり数か月だったりするようですが、1か月頃にはきれいにすっぽりはがれることが多いので、この間よけいな衝撃を与えて、網膜と接触している部分がはがれてしまわないようにすること、網膜剥離を避けることが大切なようです。

旅行はできれば取りやめたいと考えたのですが、友人たちとの合流や夫がすでに休暇を申請していることもあり、また、うちで掃除など家事をしているときも、結局は医者に避けるように言われたことをしてしまう可能性が多いことを考えて、結局行くことにしました。けれども、十分に気をつけたいと思います。本当にありがとうございました。
by milletti_naoko | 2016-06-06 23:59 | Sistemi & procedure | Comments(10)