イタリア語の形容詞、feliceは「幸せな」と訳されますが、英語のhappyが、どちらかというと一時的な「うれしい、幸せな」気持ちを表すのに対して、持続する心の芯の状態としての幸福を言い表すという違いがあると、約10年前、ペルージャ外国人大学、外国人へのイタリア語・イタリア文化教育の学士取得課程(Corso di Laurea ILIS/ in Insegnamento della Lingua e della Cultura Italiana a Stranieri)の応用言語学(linguistica applicata)の授業で学びました。
日本語であれば、昔話の最後を「めでたしめでたし」としめくくるところを、イタリア語では童話などの終わりに、しばしばtutti vissero felici e contenti「皆が幸せに満足して暮らしました」と書いてあります。visseroは動詞vivere「生きる、暮らす」の遠過去、contentoは、「うれしい、満足した」という意味の形容詞で、使い方には上記の英語のhappyと共通するものがあります。
Tramonto al Lago Trasimeno, Torricella, Magione (PG) 9/10/2018
「幸せに生きる」と言うには、こんなふうに、ふつうは動詞+形容詞という形を用いて、vivere felice(形容詞は主語の性・数に応じて変化)と言うのですが、今回の瞑想講座の題は、あえて、このfeliceの名詞形、felicità「幸せ、幸福」を、他動詞としてのvivereの目的語として、vivendo la felicità「幸せを生きて、幸せを生きながら」となっています。