2016年 08月 24日
イタリア中部地震、震源と被災状況
イタリア中部に暮らすご家族や友人、知人の安否を心配される方も多いかと思いますので、震源と現段階で把握できている被害状況をご報告します。

Epicentri, zone colpite & confini regionali da me segnalati
特に規模が大きかった四つの地震の震源地は三つ、ウンブリア州ペルージャ県のノルチャ、およびラッツィオ州リエーティ県のアックーモリ、アマトリーチェで、上の地図中、四角で囲った町です。
薄緑色で示したのは州境で、今回の地震は、イタリア半島を縦断するアッペンニーニ山脈の高峰が連なり、イタリア中部4州、ウンブリア・マルケ・ラッツィオ・アブルッツォの州境が集中する山岳地域で発生しました。そのため、多くの家屋が倒壊して、今も瓦礫の下からの救出作業が続く、災害が特に大きい地域として、震源となったアマトリーチェとアックーモリのみならず、震源に近いマルケ州の2村、ペスカーラ・デル・トロントとアルクワータ・デル・トロントの被害状況もしばしば報道されています。この山中の二村にデル・トロント(del Tronto)とあるのは、トロント川のほとりにあるからです。イタリア国内でも、当初この二村の名を聞いて、トロント川がアドリア海と出会う海辺の町、サン・ベネデット・デル・トロントや、やはりアドリア海岸にあるアブルッツォのペスカーラに暮らす家族の安否を心配した人がいるようですが、こうした海辺の町では今のところ被災の恐れはないはずです。
四つの地震のそれぞれの発生時刻、震源、マグニチュードと揺れの長さは以下のとおりです。
3:36 アックーモリ(Accumoli) M 6.0 142 sec
3:56 アマトリーチェ(Amatrice) M 4.4 60 sec
4:43 ノルチャ(Norcia) M 5.4 112 sec
6:06 ノルチャ(Norcia) M 4.3 56 sec
手持ちのウンブリア州の地図をカメラで撮影して利用したのですが、カメラのボケ機能があだになって、左上、震源の一つであるノルチャの地名がぼけて読みにくくなっています。
以上の情報とローマ、イタリア半島の地図との位置関係は、次のオンライン記事末の映像(14秒)で確認することができます。
Fonte: Rainews.it – Terremoto devasta Centro Italia, 73 morti, colpiti Amatrice, Accumoli, Arquata e Pescara del Tronto
上の記事では犠牲者数73名とあったのが、夕食後再び最新情報を確認すると、少なくとも120名の死者と、犠牲となった方の数が増えています。
- Ansa.it – Terremoto, Renzi: “Almeno 120 morti”. Si scava senza sosta tra le macerie. Salvata bambina dopo 17 ore
揺れは現在も続き、記事には、これまでに250もの地震が観測され、アマトリーチェ、アックーモリ、ペスカーラ・デル・トロントとアルクワータでは、数千人が避難をしたと書かれています。午後のウンブリアの地域ニュースでは、幸いウンブリアの被害は他州に比べて規模が小さいものの、ノルチャやカッシャ、周辺地域で倒壊する建造物や住宅があり、ノルチャの町を取り囲む城壁やサン・ベネデット教会に被害があり、ノルチャ・カッシャを中心に、多くの人が宿泊・避難できる避難所が設置されているとのことでした。

ウンブリアにご家族やお知り合いがいて安否を気遣われている方のために、地震の揺れが感じられた地域のうち、観光地および日本人旅行者や留学生・在住者の特に多そうな町の名を地図に記しておきます。わたしの住むペルージャでは被害が少ないものの、夫や友人など多くの人が揺れに目を覚まし、ビルの7階にある夫の職場では、高いガラス戸棚が倒れて、朝ガラスの破片が散乱していたそうです。今朝は朝9時半から11時半まで、フォリンニョの生徒さんの個人授業があったのですが、フォリンニョでは揺れが大きく、ノルチャから家が住めない状況になったと電話連絡があったと聞きました。トーディの義弟も揺れは感じたものの、幸い被害はなかったようです。
遠方ではありながら、震源となったノルチャがペルージャ県であるために、ペルージャ付近で地震という報道が日本であったためでしょう、今朝多くの方から安否を気遣うご連絡をいただいた中に、TOKYO FMの日本時間で24日19時からのニュース番組で、電話で1、2分ほど状況を語ってほしいという依頼があり、「イタリア時間で11時半に終わる授業の直後で、ニュースや新聞で地震情報を追う時間が取りにくい上、ペルージャは震源地から遠く被害も少ないので、もし他に人が見つからないようであれば」とお返事したのですが、授業後、やはりぜひ頼むということだったので、突然、ラジオの生放送中に話をすることになりました。思えば、東日本大震災のときにも、イタリアのオンライン新聞への記事執筆依頼があり、わたし個人としても、地震直後の日本では得にくい情報を何とか伝えていければと、ツイッターを通じて、有益そうな情報を、日本語およびイタリア語で拡散した経験があり、こういう形で、どなたかのお役に立てるのは、ありがたいことだと感じています。
今回地震の被害が大きかった地域の多くは、わたしたちがよく訪ねる美しい山々に近い、小さい静かな山間の村です。冒頭の地図にピンクで下線を引いたのは、夏、高原が美しい野の花に覆われるカステッルッチョの村で、赤線を引いたのは、その高原を取り囲み、わたしたちもよく散歩するシビッリーニ山脈、ノルチャはヨーロッパの守護聖人の一人であり、かつ西洋の修道制度の創設者と言われる聖ベネデットの生地で、サラミがおいしいと有名な町です。今回の被災地の多くは、夏の山歩きや避暑に好まれる地域であり、旅行中に地震に遭った方も少なくないようです。冒頭の地図中、南西から北東に向かって伸び、赤線で4という数字と共に記されているのは、国道4号線(Strada statale 4)で、Via Salaria「サラリア街道」と呼ばれ、かつて古代ローマからアドリア海岸のアスコリ・ピチェーノまで塩を手に入れに赴くために利用されていた道です。
このサラリア街道が、今回重大な被害を受けた地域をちょうど結ぶ形になっていることから、救出や避難のための重要な経路となるため、イタリアのテレビニュースでは、可能な限りこの国道4号線の通行を避けて、救出のための車が走れるようにと伝えていました。他の被災地に通じる道路についても、救助・避難が速やかに行えるように、不必要に移動しないように呼びかけています。
まだ弱震が続いているようですが、これ以上被害が拡大せず、瓦礫の下で救援を待つ方が一刻も早く救出されることを願っています。
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I tre epicentri sono vicino ai confini delle quattro regioni, Umbria, Marche, Lazio e Abruzzo. I paesini devastati sono belli, tranquilli e abitati dalle persone gentili e circondati dalle montagne maestose dove amiamo camminare.
Spero che al più presto vengano salvate le persone sotto le macerie e smettano le scosse.
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今日のなおこさんの説明でかなり広い範囲での地震、そして今も揺れが続いているということがよく解りました!
日本でのネット報道を昨日あわてて見ましたが、この中ではアマトリーチェが出てただけで詳しくはわからないし、被災した方の把握や、亡くなられた人の数などもまるで少なく報道されていましたので、FM東京がなおこさんに取材を申し込んできたというのがよく解ります!
なおこさんが、いつも山歩きをされているという地域なので、何度か名前は拝見してウロ覚えではありますが、聞いたことのある名前にこころが痛みます。遠い知らない街という印象はなくて、身近に感じます!募金活動とかがあればほんの少しでも何か出来ることがあればしたいなあ~と感じています♪
なおこさんと、なおこさんの御家族、お知り合いが無事で安堵しました(^-^)
被災者の一刻でも早い救出と被災地の揺れが収まること、複興をこころからお祈り申し上げます。
心配していました、ペルージャ付近って出ていましたの。
離れていたのですね、それでもご主人様の仕事場でも
被害がありましたのね、地震は地面が揺れて
何とも言えない不気味なものです。
どうかこのまま終わりますように被害が
おおく出ませんようにと祈ります。
色々な情報を発信されてて皆さん助かりますね。

ご無事でなによりです。それに、正確で詳細な現地情報を提供してくださって、ありがとうございました。それも、きちんと地図入りで.....。
なおこさんと他のブログの方しか、イタリアにお住まいの日本人は存知あげませんが、イタリアは大好きな国のひとつ。破壊された美しい村の写真などをみると胸が痛みます。復旧作業が早くすすみますように、お祈りしています。どうぞ、お気をつけて。
そちらのほうは大きな被害もないようでよかったです。
本当に、ご無事で何よりです…。
ご家族やご友人の方も大丈夫そうで、
本当によかったですね。
なおこさんのお住まいのご地域からは少し離れたところのようだとは思っておりましたが、
地震発生直後は、イタリアのほうからかなり混乱しているようすの報道が伝わってきたので、
甚大な被害を感じていました。
今でも救助を待つ人々が多くいらっしゃることでしょう。
本当に、一刻も早く、一人でも多くの方の命が助かりますように・・・
遠い地から、心からお祈りいたしております。
こちらのほうには、
現地の方々のリアルタイムでの詳細な状況等はあまり克明には入ってこないのが残念なところですが、
イタリア全体が、まだしばらくは
いろいろな意味で落ち着かない状態かとお察しいたします。
自然災害であるため、
しばらく気が抜けない状況が続くかと思いますが、
一刻も早く事態が終息に向かいますように。


Perugia の情報、いつも楽しみしています。地震の影響がなくてよかったです。前回、Perugia へ行く前に、ローマからのバスの乗り方で質問させていただいて、とてもスムーズに行くことができました。
実は、2週間後、Perugia へ行く予定をしております。4日間宿泊予定なのですが、余震等を考え、Perugia へ行くべきか悩んでいます。イタリア人の友人は大丈夫と言ってくれてるのですが、余震等の状況を教えていただければと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございます。募金など日本からできることについては、大阪のラジオ局からもできれば来週にと問い合わせがあったので、近いうちにまとめられたらと考えています。慌ただしい上に、デスクトップがようやく昨晩息を吹き返したものの15分後には画面が消えるということを繰り返していて、ネットブックは遅いので、情報収集もコメント返しも遅れているものの、仕事で急ぐ文書もあるのですが、最善を尽くすつもりでいます。
イタリアでは復旧作業が遅く、1997年のウンブリア・マルケ大地震の際に倒壊した家屋や町の復旧が最近終わったばかりという地域もあり、アクイラの町もいまだに復旧作業が続いています。被害が拡大されず、早く復旧が行われるよう、わたしも心から祈っています。
残念ながらさらなる強い余震で崩れた建物もあり、一刻も早く救出作業が進み、余震が収まるようにわたしも祈っています。
今回及びこの数十年間の一連のこの地域の地震は、アッペンニーニ山脈の断層の動きが原因となっているようで、ペルージャはそういう意味では、アッペンニーニ山脈や今回の震源から離れているため、わたしも大丈夫ではないかと思うのですが、地震は予測が難しく、地震学者も近いうちに再び初期のような大きな地震が起こる可能性が否めないと言い、大地のひずみがどういう形で地表に影響を与えるかは判断が難しいかと思います。パソコンが不調で15分ほどすると画面が暗くなるという異常が続く上、この数日は何かと慌ただしいのですが、できるだけ早く余震や被害などの最新状況をお伝えできるようにいたしますね。
コメントで言及されている二村やこの記事に限らず、わたしはブログ全体で「村」という言葉を第一義である「田舎で、人家の集まっている所。村里。」という意味で使っています。カステッルッチョもノルチャに属する集落ですし、トラジメーノ湖畔で紹介している村も、行政区分としては、ほとんどはマジョーネという町に属する集落なのですが、アルクワータとペスカーラにしても、カステッルッチョとノルチャにしても、また、トラジメーノ湖畔の村でも、地元の人々には、それぞれがまとまった人々が暮らす、ある意味独立した地域という意識が強く、実際テレビの地震報道でも、いちいち行政区分には触れずに、アルクワータとペスカーラは、そして、カステッルッチョとノルチャも同様に、被災した地域として同じ扱いで取り上げられています。行政区分的にどちらかがどちらかの一部となる集落と書いてしまうと、記事が不必要に長くなる上に、暮らしている人、イタリアの人々の意識がとらえている状況と違う感覚を日本で読まれる方が抱いてしまうという意識からも、また、イタリアで最も美しい村出村と訳されるborgoも、必ずしも市町村単位ではなく、大きな市町村の集落であることも考慮しての判断です。