2016年 10月 28日
忙しい外国人学習者に便利な平仮名練習帳で「ん」まで学習終了
一方、教える対象が社会人の場合は事情が違います。数年前に受け持った社会人向けの講座では、授業が週に1日90分だけで合計の授業数も少なかった上、受講生には学習したことがまったくない人から奥さんが日本人で中級程度という人までいろいろなレベルの人が混在していたため、授業でも軽く扱うけれども、宿題として学習に使える教材を提供して、定着・練習は自宅でするように言うという手段を取りました。そのとき半数以上の生徒がすでに平仮名・片仮名はほとんど知っていたという事情もあったのですが、生徒さんたちの中には、仕事が忙しくて勉強時間が取れず、結局講座が終わるまで、平仮名・片仮名がおぼつかないという人が2、3人いました。

これまでわたしが個人授業をしてきた生徒さんは、すでに独学や大学などで片仮名・平仮名を身につけた人が多かったのですが、今一番新しい生徒さんは、個人授業でうちで教える生徒さんとしては、初めてゼロから日本語を学習する人です。昨年学校で教えた生徒さんは、日本語ゼロの状態から授業を始める予定で計画を組んでいたのに、ふたを開けてみたら、すでに自分で独学で平仮名・片仮名をほぼすべて覚えていたので、教員一同びっくりしました。そういうこともあって、初めは新しい生徒さんがどれくらいうちで勉強時間を取れるだろうかと様子を見たのですが、とにかく仕事が忙しくて、夜帰るのも遅く、帰宅したらしたで疲れて勉強する余裕がないようです。
ということで、最初の2回の授業では平仮名と並行して、あいさつや初めて会ったときの会話なども勉強したのですが、どうも最初に、平仮名だけでもまずは授業でしっかり身につけてもらわないとつらそうだと判断し、本人もその方がありがたいとのことだったので、今日の4回目の授業までは、少しずつ平仮名の学習を進めてきました。
以前の記事でも書いたように、大学や学校の授業で週に一定の時間数が確保できるのであれば、ひらがなの練習をしながら多くの語彙を覚えていく心と頭の記憶容量の余裕もあるのですが、今回の生徒さんの場合は、まずは平仮名に集中した方がよさそうなので、覚える語彙はできるだけ限った方がよさそうです。
それで、そういう生徒さんの必要に応じて授業を進めるにあたって、何かこれと言う教材はないかとあれこれ探したものの、なかなかいいものがないとあきらめかけていたのですが、ふと思いついて、日本で暮らす外国人児童・生徒用の教材をインターネットで探してみたら、社会人用にはどうかという点もありはしたのですが、とてもいい教材が見つかりました。
次のリンク先に、教材の説明とダウンロードできるリンクがあります。
- JYL Project こどもの日本語ライブラリ - 冊子教材(練習帳) 外国人児童のためのかな練習教材 『50音順かな練習帳 ひらがな』

日本の子供向けの教材も探してみたのですが、幼稚園、あるいは入園前の学習教材として使われることを想定しているからか、書き順やそれぞれの仮名を使った言葉のイラストつき紹介があるのはよかったのですが、むやみに文字が大きくて、たとえば「あ」の学習だけでプリント1枚というようなものが多かったのです。一方、この教材は、外国人の小学生・中学生を対象としているため、ア行、カ行などの5字ごとにプリント1枚という体裁をとっていて、勉強も復習もしやすいし、字の大きさや練習すべき数もうってつけです。同じページで、書き順を見ながら、なぞって書く練習できるというのも便利です。
そうして、この教材で何よりもありがたいのは、下の「よんでみよう」に並んでいる言葉がすべて、それまで学習した平仮名の文字だけを使って書かれていることです。ですから読みながら、それまでに学んだ平仮名が定着しているかどうかを確認することができます。最初の授業では、「あいうえお」を教えたときに、「あお」・「いえ」・「いいえ」・「うえ」などの言葉も、わたしが発音するのを聞いて書いてみて、それで答え合わせをして、意味を教えて発音練習・書く練習をするという形を取ったのですが、それではその5字は記憶しやすくなっても、別に言葉を四つも覚えることになり、本人も大変ですし、授業を進めるにも時間がかかります。この練習帳のように、それまで学んだ文字だけを使った言葉を絵つきで紹介してあれば、「読めるかどうか」をわたしも生徒さん自身も確認できる上に、絵という視覚教材のおかげで、視覚・聴覚・触覚(自分で実際に書いてみる)など複数の感覚を動員するため、記憶にも残りやすくなります。何事もただ説明で与えられたことよりも、まずは自分で頭をひねって少しでも考えてから答えを聞いた方が記憶に残りやすいのですが、そういう意味でも、絵のおかげで入門者でも言葉の意味を推測できるので、学習に適しています。そうして、5字に対して5語を学ぶことになっているため、言葉の記憶に費やす労力も少なくてすみます。
本来、日本で暮らす外国人児童・生徒のために作成された教材ですから、外国で日本語を学ぶ社会人が使う場合には、注意しなければいけない点もいろいろあります。日本に暮らして日本語に囲まれているかどうか、学習者の年齢など、さまざまな条件によって、学ぶのに適した言葉や教材は違ってくるからです。たとえば、「こえ」など色や形がないものや「きく」などの動詞は、外国で暮らす外国人入門者が学ぶにはとっつきにくい言葉ですし、「わに」は子どもは楽しんで覚るでしょうが、外国に暮らす社会人学習者には、むしろ基本語彙でもある「にわ」の方が学習する語彙としては適切です。幼い学習者向けの「このじはなんだろう?」というページなど、社会人向けの教材としては適さないと判断したページは、印刷しませんでした。

宿題として、あるいは授業で予定していた内容が終わった場合のためにと、こちらのページも印刷しておいたのですが、予想以上に学習に役立ったので、びっくりしました。学習者は、たとえば猫の絵を見て「ね」と「こ」を探す必要があるのですが、そうして試行錯誤しながら正しい文字を探すことを通して、生徒さんもわたしも、どの文字がまだ定着していないか、どの文字はきちんと学べているかがすぐに分かるからです。
今日の授業では引き続き、この教材を使って、あいうえおの「ん」までを終えることができました。次回の授業では、これまでの平仮名の復習も兼ねて、濁音や半濁音・拗音をいっしょに勉強していく予定です。今のところは生徒さんが、幸い楽しんで勉強してくれているので、それがやっぱり一番うれしいです。
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Lingua Giapponese; un ottimo materiale online (PDF) per lo studio di Hiragana
- Buon materiale per chi vuole studiare o ripassare gli alfabeti hiragana del giapponese ma non ha molto tempo.
Ecco il link: http://www.kodomo-kotoba.info/booklet/pdf/ws_hiraganar-renshucho_50onjun_V1.pdf
Ieri un nuovo allievo ha imparato fino a ん, studiando con questo materiale insieme a me.
[Ma tutto è in giapponese e creato per gli allievi stranieri residenti in Giappone, quindi si ha bisogno di un insegnante/familiare/amico giapponese per utilizzarli come principianti.]
- Si può esercitarsi a scrivere gli alfabeti giapponesi (anche a pronunciarli se con insegnante) vedendo l'ordine di scrittura e ricalcando le lettere. Per cinque lettere di hiragana vengono introdotte solo 5 parole composte solamente dei caratteri già precedentemente acquisiti, quindi a mano mano che lo studio va avanti, si può continuare a ripassare le lettere già studiate e in più c'è meno fatica per memorizzare il lessico.
- Attenzione! Alcuni vocaboli sono importanti e fanno divertire i bambini ma non sono molto adatti agli adulti stranieri principianti. Poi alcune pagine non sono tanto adatte per i discenti adulti, ma questo ci si vedrà subito.
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日本に暮らしてる子供と、外国に住んでる社会人では、興味のある語彙や使う語彙が違うということも考慮されたなおこさんの先生としての力量と申しますか奥の深さを感じ、外国人(イタリア人)に日本語を教えるというのは、イタリア語が堪能で日本語が出来るというのみではなく日本で国語の先生の資格のある人が適してると感じました!
逆に言うと、私たひ日本人が外国語を学ぶ場合もそういう優れた外国人の先生がいたら覚えるのが早いのではないか?また学習が楽しいのではないかしら?と感じましたよ♫
なおこさんの生徒さんは幸せですね(^-^)
とても興味深い記事をありがとうございます(^^♪
こちらこそ、いつも温かいお言葉、うれしい励ましをありがとうございます♪