イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

滞在許可証手数料70.46€のみで発行料撤廃~政府負け道理が通ったイタリア

 2016日12月13日現在、法的には、イタリアで滞在許可証を申請する際に支払いが必要なのは、収入印紙(marca da bollo)用に16ユーロ、電子情報カード作成に30.46ユーロ、さらに、イタリア郵便局への手数料、30ユーロの合計76.46ユーロのみとなっています。(2017年6月9日、残念ながら、発行料が復活しました。料金はかつての半額となり、イタリア語での名称は変わっています。詳しくは記事末の追記をご覧ください。)

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 80・100・200ユーロの発行料は、昨年9月の欧州連合司法裁判所の判決を受け、今年5月24日のラッツィオ州行政裁判所が「撤廃する」という判決を下しました。ここまでは、すでに過去のブログの記事でご紹介していますが、実は、その後、9月16日にイタリア政府が、国務院(Consiglio di Stato)に対して、ラッツィオ州行政裁判所による滞在許可証発行料を撤廃するという判決を無効とするように訴え、かつ、その判決の執行を停止したのですが、10月26日に国務院が、判決の無効化を求めるイタリア政府の訴えを取り下げ、10月27日に内務大臣が、警察に対して、滞在許可証発行・更新の申請に際して80・100・200ユーロの発行料を要求しないように通達しているのです。(詳しくはこちら

 滞在許可証発行料の撤廃が決定しても、実際にイタリア全国の警察にその通達が行き届いて、移民が発行料を払わずに済むまでには、まだまだ時間がかかりそうだとは、7月下旬にも予想がついていて、ブログ記事でも言及しています。(下記リンク参照)そのため、9月のイタリア政府の上訴のニュースを知ったときも、情報の混乱を避けるために、10月に国務院の判決で、発行料撤廃の判決が覆ったら書こうと考えていました。

 9月から10月にかけて発行料撤廃判決の執行が停止されたためか、警察など関連機関のサイトに、発行料撤廃の記載や必要な料金の明示がない場合が、まだ多いようです。そのためでしょう、最近になって、この件について問い合わせがあったので、そういう方が他にも多かろうかと、ここに状況を説明しました。ただ、具体的に、もし不要に高い金額を要求されたらどうすればいいかと尋ねられても、わたしではお答えしかねます。すでにインターネット上で、費用は70.46€の手数料のみでよいと提供する警察署(リンクはこちら)もあれば、わたしに質問をされた方のように、以前よりさらに若干高い金額を要求される場合もあるようで、居住地域や同じ警察署内の担当者のだれに当たるかによって、事情もかなり違ってきますから、やはり現地にお住いの方に尋ねる必要があるでしょう。発行料撤廃に向けて訴訟を起こしたIncaやCgilのお住いの地域の支部などに、問い合わせてみてはどうでしょうか。

関連記事へのリンク
- 撤廃! 80~200ユーロのイタリア滞在許可証発行料 (25/5/2016)
- 滞在許可証イタリア法外な発行料撤廃その後、EU市民家族用滞在証&ローマからパリに飛んでも入国審査 (22/7/2016)
- 要注意! クリスマス旅行で行ける海外の国は滞在許可証次第、イタリア・ヨーロッパ (13/12/2016)

参照リンク / Riferimento web
- Permessodisoggiorno.org - Di nuovo la tassa sul permesso di soggiorno è cancellata (26/10/2016)

*追記(2017年6月29日)
 理不尽なことに、2017年6月9日以降、この発行料が、イタリア語での名称は変更となったものの、かつての半額、滞在許可証の有効期間に応じて40・50・100ユーロではありますが、復活しました。申請を6月9日より前に終えている申請者についても、まだ発行を受けていない場合には、新たに定められた発行料を払わなければいけないことになっています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
- 非道理が通るイタリア、裁判で撤廃となった滞在許可証発行料が6月9日以降半額ながら復活 (28/6/2017)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2016-12-14 08:13
なおこさん、こういう決まり事でも、地域によっては、以前のままのというところがあるのがイタリアという国なのでしょうか!
基本、自分のことは、自分がしっかりとして調べなければならない!
当たり前のようで日本に住んでいて、そういう法律的なことは、全国的に自動改正されている日本という甘々な国に暮らしているとマヒしていそうです!
まあ、日本でも税金に関しては、徴収されるものは督促も来ますが、返還されるお金に関しては自分が手続きを踏まなければ返ってはこないということも有りですが(笑)
Commented by milletti_naoko at 2016-12-14 19:46
アリスさん、夏にRaiの受信料を電気代の支払いと共に徴収することになったときは、イタリアでも国庫が潤うとあって、かなり頻繁に情報をあらゆる手段を通じて流していたのに、国の収入が少なくなるというときは案内も施行もいいかげんで、困ったものです。一番許せないのは、けれど、9月にイタリア政府が、「非人道的で移民の人権を損なうから撤廃」と判決が下された滞在許可証発行料を、「それでは国にお金が入らず経済政策が立ち行かないから」など理由や難癖をつけて、合法的に滞在する選挙権のない移民から取り上げようとしたことです。上訴が却下されて、イタリアにも正義があるのだなとほっとしました。
Commented by ひな at 2016-12-14 20:16 x
久しぶりにコメント致します。
来年、配偶者用の滞在許可証を更新しなければというこのタイミングで、いろいろな方から更新時に起こった手数料をめぐるトラブルを耳にして不安を感じていたところ、このように明確に記載して下さって大変助かりました。
コロコロと制度の変わるイタリア。
変わるだけならまだしも、新制度の通達と実行の足並みが揃わないことが混乱を招く大きな原因。実際、既に更新を済ませた方の中には手数料を払わずに済んだ方、受け取り窓口まで辿り着いたらそこで請求された方、様々でした。
石橋を叩き割って渡るようなつもりで、警察署で事前に細かくしつこく確認してから手続きに臨む必要がありそうですね。
Commented by milletti_naoko at 2016-12-15 00:39
ひなさん、お久しぶりです。イタリア人をはじめ、配偶者がEU市民である場合には、滞在許可証(permesso di soggiorno)ではなく、EU市民の家族用の滞在証(Carta di soggiorno per familiare di cittàdino UE)を申請することになっていて、その場合は郵便局を通さずとも、居住地域を管轄するQuesturaで申請が可能ですし、手数料はイタリア各地で異なるようですが、無料または身分証明書発行に必要な程度の料金とEU法に規定があるため、郵便局を通さなければ、高くても約30€で済むはずです。配偶者がイタリア人の場合は、年間の収入や貯金残高などを示す書類は不要のはずで、こういうものが必要と言われたら、係の人が勘違いをしている可能性があります。初回の申請では期間が5年、5年目の申請ではイタリアで同じ屋根の下に暮らしていれば、無期限の滞在証が受け取れるはずです。そうなのですが、2007年に法律がこう変わったのに、いまだに地方や担当官によっては間違って滞在許可証を発行したり、不要なはずの書類や手数料を要求したりする場合も多いようですから、ご注意ください。詳しくは下記のリンク先の記事をご覧ください。

・EU市民家族用滞在証(記事の中ほどに記載があります)
 http://cuoreverde.exblog.jp/25477584/
・EU市民家族用滞在証、イタリアの場合 / Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE
 http://cuoreverde.exblog.jp/17703068/

警察署でいろいろ問題があって出直しというのはいやですよね。どうかひなさんの申請手続き、うまく行きますように。
Commented by ひな at 2016-12-15 17:37 x
とても丁寧にご説明して下さって、ありがとうございました。
いよいよ無期限の許可証を手にできることと、めでたく結婚5周年を迎えることを祝って、どこか旅行へでも出掛けたいなどと大変お気楽な二人ですが、今まで幸いなことに書類手続きに関して大きなトラブルに巻き込まれることなくここまでやって来られましたので、どうか今回もスムーズに…と願うばかりです。
Commented by milletti_naoko at 2016-12-17 00:04
ひなさん、お役に立てたようで、わたしこそうれしいです。移民やイタリア人の非EU圏からの外国人配偶者多い地域は先例もあって、円滑に手続きが進みやすいと思うのですが、ひなさんお住まいの北イタリアも仕事が正確というイメージがあります。うまくいきますように。
by milletti_naoko | 2016-12-13 23:59 | Sistemi & procedure | Comments(6)