イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

煮えぬ小豆、重曹・停電騒ぎと湖畔の夕焼け

 昨日小豆を煮る前に、インターネットの日伊の記事や本棚の料理の本で確認したとき、数時間・一晩水に漬けておくという点は共通しているにも関わらず、日本のレシピに30~1時間煮たらよいと書くものが多い中、一つだけイタリアのレシピに、3時間かかるというものがありました。

 そこで、沸騰した際に湯を二、三度切るにしても、沸騰した状態で煮る時間が合計1時間にもなれば、煮えるのではないかと判断し、昨日は幸い午前中うちにいられたので、まだ涼しい早朝から、小豆を煮始めました。ペルージャでは、再び猛暑が長く続くという天気予報が出ています。扇風機しか冷房のない家で、日中の暑い時間帯に、台所を余計に暑くするのは、避けたかったからです。

ところが、湯を切ってまた火にかけ直した時間などを除いて、煮立てている時間だけの合計が3時間以上になっても、小豆の皮も中も何だかかたいのです。インターネットで調べると、古い小豆は煮るのに時間がかかるとあり、外国産の小豆が何時間煮ても柔らかくならないと訴える人もいます。夫がlこの小豆を買って来たのは2、3か月前の話なのですが、ひょっとしたら、ペルージャでは小豆の買い手が見つからず、長い間売れ残っていたのかもしれないと思い、正午が近くなり、台所がひどく暑くなったので途方に暮れました。

 重曹を入れて煮込めば、豆が柔らかくなるというのは、夫からも以前に何度か聞いていて、知っていました。ただ、このとき重曹を入れようと思ったのが、夫の言葉を思い出したからか、インターネットで調べていたら、そうするとよいと書いてあったからかは、記憶にありません。食用の重曹が入った箱の説明を見ると、「豆を柔らかく煮るには、水に大さじ1杯の重曹を加えて煮ること」と書かれています。そこで、重曹に熱湯を注ぐと強アルカリ性になって頑固な汚れ落としに使えることは知っていたものの、そのときはせっぱつまった気持ちで、後先考えずに重曹を一さじ入れました。すると、突然ぶくぶく泡が出て、ゆでていたお湯が膨れ上がり、鍋からコンロにかなりこぼれ出て、火も消えてしまいました。すぐにふき取れはよかったのですが、手でじかに触ったら熱いうちは危険かもしれないと思い、しばらく時間を置いてから、水分をふき取りました。ちょうど翻訳料金の見積もりの依頼が業者からあって、メールの返事を書く必要があったのですが、慌てていた上、業者からの問い合わせに、見積もりに必要ないくつかの情報が欠けていたため、とりあえず質問を二つ書いて、さっと返事をし、すぐ台所に戻って、コンロ台をきれいにしたのです。

 幸い、小豆は、重曹を加えた分、味が若干変わっていましたが、豆が十分に柔らかくなっていました。ただ、二度とこういうことはするまいと、深く反省しています。重曹を加えた味の変化は、しょうゆやローズマリーを使った濃い味つけのおかげで、料理そのものには響きませんでした。とりあえず豆は柔らかく煮ることができ、夫が昼食に戻る午後2時までにはまだ時間があるからと、食事のしたくは後にして、上述の業者から返事が来ているかどうかを確認しました。先方も時間に追われているらしく、すぐに返事が来ていたのですが、尋ねた質問のうち、一つへの返事がありません。何語から何語に訳さなければいけないのかが、書かれていないのです。それで、メールの返事を書いたら、突然パソコンの電源が落ち、モニター画面も暗くなり、またも例のデスクトップの不調かと思えば、停電ではありませんか。落ちたブレーカーを上げてみるのですが、何度上げても、ブレーカーがすぐに落ちてしまいます。二世代住宅であるうちや地域全体が停電になったのかと思い、階下にいた義父母に尋ねたのですが、義父母が暮らす1階のアパートは、停電になっていません。

 仕事で急いで返事もしなければいけないのにどうしようと、困りました。幸い、スマートフォンはしっかり充電してあり、Postemobileとの契約のおかげで、我が家のWiFiが停電のために使えなくても、インターネットで情報を調べることができます。親切な方がいろいろと役立つ情報を載せてくださるおかげで、停電の際に、どこが漏電しているのかを調べる方法や、漏電している部分以外の電気を利用できるようにする方法が分かりました。夏にしばしば不調になり、休眠するデスクトップと、お湯をこぼしてしまったガスコンロのどちらかが、漏電の原因だろうと予想はしていたのですが、ガスコンロとオーブンの電源をオフにさえすれば、ブレーカーが上がらず、ほかのすべての電気はきちんと使えることが分かりました。それで、コンロ周りを、バーナーキャップをはじめ、部品をすべて取り外して、きれいに水洗いし、乾かしました。けれども、そのあとガスコンロの電源をオフにすると、またブレーカーが落ちて停電になってしまいます。煮こぼれた急アルカリ性の湯が、漏電が直らないほどの甚大な被害をもたらしたのか、それとも、単に水分が残っているために漏電が続き、ブレーカーが落ちてしまうのだろうかと、再びインターネットで調べてみて、どうやらコンロの場合は、あってはならない場所に水分が残って、漏電になることが多いらしいと分かり、電気は使わず、コンロの電源はオフにしたまま、ライターでガスコンロに火をつけて調理し、その熱で水分が蒸発して、ブレーカーが落ちることがない状態になるようにしようと考えました。幸い、そうして料理などにいろいろとコンロを使っている間に、水分はなくなったらしく、特に業者を呼んだり、夫にガスコンロを分解してもらったりすることなく、漏電問題は解決しました。今ではもう、ガスコンロの電源を入れても、ブレーカーが落ちることはなく、つまり、うちが停電することはなくなりました。

 慌てると判断を誤って、とんでもない事態になってしまうものだと、つくづく反省しました。強アルカリ性と言えば、高校生の頃に、化学の実験で、個体のナトリウムの一片を水の上に乗せると、ナトリウムが水上をくるくる回ったあとに溶けてしまうという実験がありました。その様子がおもしろかったので、実験ノートの感想欄に、「くるくる回るナトリウムを見たら、お魚さんがびっくりするのではないか」というようなことを書いたら、化学の先生が、「もしナトリウムをお魚さんのいる水の上に置いたら、水が強アルカリ性になって、お魚さんが死んでしまいます。」というコメントを、赤で書かれていたのを思い出しました。その恩師には、後にわたし自身も高校教師となったときに、同僚・先輩として出会い、また大変お世話になったのですが、高校生の言葉と思いつきに答えて、目線の高さを同じにして返事をしてくださる、お優しい先生だったのだなと、今も思います。

煮えぬ小豆、重曹・停電騒ぎと湖畔の夕焼け_f0234936_5375339.jpg
Tramonto al Lago Trasimeno, Sant'Arcangelo
Magione (PG) 22/6/2017

 写真は、6月22日に見たトラジメーノ湖の夕焼けです。沈みゆく夕日とその太陽を包む雲の色もきれいでしたが、右上に大きく広がる白い雲の形がおもしろいので、何枚も撮影しました。

 そのときは、ミケランジェロの壁画にあるマントを広げた神のように見えたのですが、今見てみると、白い雲の左下に、人の顔があるように見えるではありませんか。皆さんには、この白い雲、どんなふうに見えますか。

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Io vedo un viso sorridente nelle nuvole bianche
nel cielo in alto. Voi, che ne dite???
*Tramonto al Lago Trasimeno, Sant'Arcangelo
Magione (PG) 22/6/2017
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2017-07-07 12:48
なおこさん、何年も暮らすお家は、なかなか大変なこともありますね~
でも、なおこさんは、いろいろと調べられて、冷静な対処なさっているので、何とか乗り越えていらっしゃるのが素晴らしいです(^^♪
家も築かなりになっるため、いろいろと不都合なことが有りますよ!
昔のつくりなため、オ―ブンと炊飯器を同時に使うとブレーカーが落ちたりはシバシバです~(笑)

小豆、確かに古いものは、時間がかかると思います!
重曹を入れると確かに味が変わるので、小豆そのものの味を大事にするような料理、例えば餡子とかには使わない方が良いですよね!
でもなおこさんのお料理には問題なくて、むしろ小豆が柔らかくなって良かったですね~(*^_^*)
Commented by nonkonogoro at 2017-07-07 15:35
私はお正月の鏡開きの時だけ おぜんざいを炊くのですが
小豆は水につけておかなくても良いと書いてあったので
毎年そうしています。 1時間では あまり柔らかくならなくて コトコト弱火で 2~3時間炊きます。
小豆の種類にもよるのでしょうね。
皮のかたいのだと やはりつけておいた方が
柔らかくなりそうですね。

お正月の黒豆の方は
一晩熱湯につけておき
重曹を 少量入れています。

いつも購入した袋に書いてあるレシピ通りに作っています。

小豆の量がどれくらいかわかりませんが
重曹大さじ1だと かなり強力に効くと思いますよ。

それにしても
小豆重曹膨張→漏電事件
大変でしたね。
ちゃんと元通りになって 良かったですね。

小豆の方は
ちゃんと食べられましたか~(^^)/


Commented by milletti_naoko at 2017-07-08 06:38
アリスさん、お優しいお言葉をありがとうございます。重曹を小豆を煮ている最中の熱湯に加えたりして、大事に至らなくて本当によかったと、ほっとしています。そうなんですね! うちもオーブンと洗濯機をいっしょに使うと、ブレーカーが落ちてしまうので、いっしょには使わないようにしています。

かなりの荒療治ではあり、味は少々変わってしまいましたが、どうにも煮えない小豆が、一気に柔らかくなってありがたかったです。
Commented by milletti_naoko at 2017-07-08 06:47
nonkonogoroさん、鏡開きのおぜんざい、おいしいでしょうね。日本の小豆でも、水につけない場合には、煮る時間が長くなるのですね。夫は、イタリアは土壌がアルカリ性であるために皮がかたくなるのかもしれないと言うのですが、単に豆が古かっただけかもしれません。いずれにせよ、停電・漏電で大慌てはしましたが、無事ガスコンロの電気が使えるようになって、ほっとしました。

イタリア製の食用重曹が入っていた紙箱に、確か水1リットルあたり大さじ1杯と書いてあったように思うのです。ただし、イタリアで特に注釈なく大さじという場合は、たいていテーブルスプーンの大さじのことなので、わたしもテーブル用の大さじを使いました。サイズはいろいろあると思いますが、一度5ccの料理用小さじと比べてみたら、テーブルの大さじの方がかろうじて多いくらいでしたので、入れたのは5cc強ではないかと思います。小豆は無事ちゃんと食べられました。荒療治でびっくりするほど柔らかくなっていて、助かりました。
by milletti_naoko | 2017-07-06 22:46 | Umbria | Comments(4)