2017年 07月 10日
ノルチャ2017、イタリア中部地震の被害と復興の兆し


最も重要な古代の門から町へと入る通りを撮影したこの写真が、わたしが感じた今のノルチャの様子を、うまくとらえているのではないかと思います。

町の中心広場にあるこの聖ベネデット教会は、昨年8月末と10月26日の地震には持ちこたえたものの、10月30日にM6.5の地震が起こったとき、正面などわずかな部分を残して崩壊してしまいました。8月末にマルケやリエーティの町同様に度重なる震度の強い地震に襲われながら、家屋や建造物の崩壊がほとんどなく、死者が出なかったノルチャでは、

残念ながら、教会は今も10月末に倒壊したときのままで、さらなる余震で崩れ落ちぬように、補強がされているだけです。

けれども、町を取り囲む城壁や、家屋などは、亀裂が入り、崩れ落ちた箇所もあるものの、

幾度もの地震に耐えて、修復中の箇所こそあれ、今もしっかりと建っている建造物が、少なくありません。
そのため、危険のために近づくことができない建物や、安全・再建のためでしょう、仮設足場に覆われた建造物がある一方で、上の写真の城壁の前にジェラートの像を置いている店や、この記事冒頭の写真の通りにあるサラミ・チーズなどの特産物販売店や洋品店、レストランなどのように、以前のように営業を再開している店がいくつもありました。そうして、わたしたちのような観光客をはじめ、住民らしき人も、町を歩いていました。

わたしたちはこの日、昼食に、特産品店でパニーノを作ってもらい、この上の写真の広場に置かれたベンチで食べたのですが、この広場でも、一見以前のままのように見えて、右手に見える劇場は、後部がかなり崩れ落ちている一方、広場の左手には写真に見えるレストランのほか、八百屋もあって、営業していました。
ノルチャではそんなふうに、地震の爪痕がいまだに大きく残るものの、少しずつではあっても、町の人や観光客、以前の生活が戻りつつあるという印象を受けました。

あくまでも、先週土曜日に久しぶりに訪ねて、特にこのあと訪れたカステッルッチョの状況とも比べての、わたしの主観的な印象です。
ノルチャの別の門近くで見つけたこの店は、ショーウィンドウにハロウィーンの飾りつけがまだされたままです。一見それほどの被害がないように見えるのですが、ハロウィーンの飾りがあるということは、昨年10月末の地震で、大きな被害を受け、あるいはさらなる地震による被害を恐れて、その後は再び店を開けることがなく、それ以来閉店休業であるということでしょう。ノルチャでもまだ、自らの住宅に戻れない方がたくさんいるはずです。

このあと、ノルチャを発ち、シビッリーニ山脈の山の斜面を登る道路を通って、カステッルッチョを目指しました。車道の端は崩れ落ちた岩の破片らしきものに覆われ、地震後新たに設置されたと思われるガードレールの向こうには、緑の山々、赤屋根が並ぶノルチャの町、そして、その手前に広がる平野が見えました。
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Norcia (PG), Umbria, Italy 8/7/2017
Ancora attendono la ricostruzione la Basilica di San Benedetto, diversi edifici e la cinta muraria, ma alcuni negozi sono aperti, stanno tornando gli abitanti e i turisti.
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確かめたわけではありませんが、日本からの海外旅行の案内からもこの街はおそらく外れてることでしょう!
最近の海外の旅は、行き慣れた方が多いために珍しいまだ行ったことのない街が入る観光が増えてきたように思うのですが道が通れなかったり、危ない箇所もあったりすると外れると思うので早く復興してより多くの観光客が行けるようになると良いですね~
なおこさんが伝えてくださるとノルチャの町も助かると思います(^^♪
インフラや公共の建物、観光資源などはいち早く復旧に手をつけるのてしょうが大地震の後ではノルチャの教会のように何年かかるか分からないですね。
事実熊本城もいまだに崩れたままです。
このところ日本でもあちこちで地震が頻繁に起きています。
豪雨災害に見舞われた所など今地震が起きたら大変な二次災害になります。
いつ自分が合うかもわからない国の中で復興の願いをしつつ1日を大切にしていきたいです。
なおこさん、現地へ向かう際はくれぐれも気をつけて下さいね。
いつも貴重な報告ありがとうございます。
他のヨーロッパの観光客は少しずつ戻ってきているのですが、大きな団体旅行での訪問が可能になるのは、まだ先だと思いますし、まずは地域の人たちの暮らしや生業に焦点を当てた再建が必要だと思います。ありがとうございます。
こちらこそ温かいコメントとお言葉を、ありがとうございます。十分に気をつけます。