イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia 日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより

ノルチャ2017、イタリア中部地震の被害と復興の兆し

 土曜日は、歴史ある美しい町、ノルチャを訪ねてから、カステッルッチョに行きました。以前よく通っていた、マルケ州のヴィッソ経由でカステッルッチョに行く道が、まだ復旧されていないからでもありますが、ヨーロッパの守護聖人であり、西洋修道院制度の基盤を築いた聖ベネデットの生地であるノルチャが、今どういう状況にあるかを自分の目で見て確かめたいという思いもありました。

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Norcia (PG) 8/7/2017

 最も重要な古代の門から町へと入る通りを撮影したこの写真が、わたしが感じた今のノルチャの様子を、うまくとらえているのではないかと思います。

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Basilica di San Benedetto & Palazzo comunale, Norcia (PG)

 町の中心広場にあるこの聖ベネデット教会は、昨年8月末と10月26日の地震には持ちこたえたものの、10月30日にM6.5の地震が起こったとき、正面などわずかな部分を残して崩壊してしまいました。8月末にマルケやリエーティの町同様に度重なる震度の強い地震に襲われながら、家屋や建造物の崩壊がほとんどなく、死者が出なかったノルチャでは、

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 残念ながら、教会は今も10月末に倒壊したときのままで、さらなる余震で崩れ落ちぬように、補強がされているだけです。

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 けれども、町を取り囲む城壁や、家屋などは、亀裂が入り、崩れ落ちた箇所もあるものの、

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幾度もの地震に耐えて、修復中の箇所こそあれ、今もしっかりと建っている建造物が、少なくありません。

 そのため、危険のために近づくことができない建物や、安全・再建のためでしょう、仮設足場に覆われた建造物がある一方で、上の写真の城壁の前にジェラートの像を置いている店や、この記事冒頭の写真の通りにあるサラミ・チーズなどの特産物販売店や洋品店、レストランなどのように、以前のように営業を再開している店がいくつもありました。そうして、わたしたちのような観光客をはじめ、住民らしき人も、町を歩いていました。

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 わたしたちはこの日、昼食に、特産品店でパニーノを作ってもらい、この上の写真の広場に置かれたベンチで食べたのですが、この広場でも、一見以前のままのように見えて、右手に見える劇場は、後部がかなり崩れ落ちている一方、広場の左手には写真に見えるレストランのほか、八百屋もあって、営業していました。

 ノルチャではそんなふうに、地震の爪痕がいまだに大きく残るものの、少しずつではあっても、町の人や観光客、以前の生活が戻りつつあるという印象を受けました。

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 あくまでも、先週土曜日に久しぶりに訪ねて、特にこのあと訪れたカステッルッチョの状況とも比べての、わたしの主観的な印象です。

 ノルチャの別の門近くで見つけたこの店は、ショーウィンドウにハロウィーンの飾りつけがまだされたままです。一見それほどの被害がないように見えるのですが、ハロウィーンの飾りがあるということは、昨年10月末の地震で、大きな被害を受け、あるいはさらなる地震による被害を恐れて、その後は再び店を開けることがなく、それ以来閉店休業であるということでしょう。ノルチャでもまだ、自らの住宅に戻れない方がたくさんいるはずです。

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Panorama visto dal finestrino della macchina che sale verso Castelluccio di Norcia

 このあと、ノルチャを発ち、シビッリーニ山脈の山の斜面を登る道路を通って、カステッルッチョを目指しました。車道の端は崩れ落ちた岩の破片らしきものに覆われ、地震後新たに設置されたと思われるガードレールの向こうには、緑の山々、赤屋根が並ぶノルチャの町、そして、その手前に広がる平野が見えました。

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Norcia (PG), Umbria, Italy 8/7/2017

Ancora attendono la ricostruzione la Basilica di San Benedetto, diversi edifici e la cinta muraria, ma alcuni negozi sono aperti, stanno tornando gli abitanti e i turisti.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2017-07-11 14:41
なおこさん、一見、元に戻ったかのような街並ですが、やはり、地震の爪あとは、かなりなものだと思いました!
確かめたわけではありませんが、日本からの海外旅行の案内からもこの街はおそらく外れてることでしょう!
最近の海外の旅は、行き慣れた方が多いために珍しいまだ行ったことのない街が入る観光が増えてきたように思うのですが道が通れなかったり、危ない箇所もあったりすると外れると思うので早く復興してより多くの観光客が行けるようになると良いですね~
なおこさんが伝えてくださるとノルチャの町も助かると思います(^^♪
Commented by paradiso-norina at 2017-07-12 18:20
地震にあってもなおその中からやっとの思いで元の生活に戻ろうと歯を食いしばって頑張っている方の姿は東日本震災以来テレビなどを通じて知ることができますがそれはほんの一部でその陰でいまだに未来の見えない方達も多いと思います。
インフラや公共の建物、観光資源などはいち早く復旧に手をつけるのてしょうが大地震の後ではノルチャの教会のように何年かかるか分からないですね。
事実熊本城もいまだに崩れたままです。
このところ日本でもあちこちで地震が頻繁に起きています。
豪雨災害に見舞われた所など今地震が起きたら大変な二次災害になります。
いつ自分が合うかもわからない国の中で復興の願いをしつつ1日を大切にしていきたいです。
なおこさん、現地へ向かう際はくれぐれも気をつけて下さいね。
いつも貴重な報告ありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2017-07-13 00:28
アリスさん、きっと表面には見えない家屋や建造物の内部の崩れというものもあると思うのですが、それでも、崩れていない建物も多く、すでに営業している店もあって、うれしかったです。

他のヨーロッパの観光客は少しずつ戻ってきているのですが、大きな団体旅行での訪問が可能になるのは、まだ先だと思いますし、まずは地域の人たちの暮らしや生業に焦点を当てた再建が必要だと思います。ありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2017-07-13 00:32
norinaさん、今回の地震は最初の昨年8月末の地震の後、10月末にさらに大きな地震がたびたび起きて、すでに被害を受けていた地域で、甚大な被害をもたらしました。まだまだ活断層の動きが活発で、しかもその範囲が広いために、半年から長い予測ではひょっとしたら、1年以上、余震が続き、さらにこれまでよりももっと大きな地震があるかもしれないという予測を、昨年秋に聞きました。復興や再建も、さらなる余震が過ぎるのを待っている気配があり、けれどもそのために、カステッルッチョの農家の方たちは、道路が通行可能になるまでの間、別の山道を何倍もの時間をかけて遠回りして、毎日放牧している動物たちの世話などをするために通わなければいけなかったそうで、再建にもいろいろな問題がからんできます。熊本城もまだ崩れたままなんですね。

こちらこそ温かいコメントとお言葉を、ありがとうございます。十分に気をつけます。
by milletti_naoko | 2017-07-10 23:32 | Umbria | Trackback | Comments(4)