2017年 07月 30日
ラヴェルナの聖なる森と野の花たち、聖ヨハネの草とユリ
ブナの木々や苔むす岩の緑が美しく、聖なる森(Foreste Sacre)とも呼ばれるその森を、6月25日日曜日は、友人たちとリンボッキの川原で過ごしたあと、しばらく歩きました。
野の花や風情ある岩、静かにどっしりと立つブナの木々を愛でながら歩くのですが、時々こんなふうに、岩が重なり合って自然にできたように見える洞窟があります。洞窟には、野生動物が住んでいる可能性もあり、また、中には、聖フランチェスコがその内部で祈りを捧げたり瞑想にふけったりした洞窟もあるかもしれません。この日の散歩は約2時間かかる岩山一周が目的ではなく、気が向くところまで歩いて引き返そうというのんびりしたものだったので、友人たちや夫が時々穴を見つけては、のぞき込んでいました。
特に興味深かったのは、この洞窟で、中は暗いものの、かなりの広さと深さがあるようです。そうして、ひどく蒸し暑い日だというのに、この岩穴の前に立つと、冷たいと感じるほどの風が、洞窟の中から強く吹きつけてくるのです、
この日は、ベッチャ(Beccia)に車を置き、参詣路を登る途中にある門から森に入り、修道院や教会を頂く岩壁の下の森をしばらく歩いてから、引き返しました。
帰り道、ちょうどこの写真に写っているあたりで、
セイヨウオトギリソウ(iperico)の花が咲いているのを見つけて、うれしかったです。小さな葉を日にかざすと小さな穴がたくさん開いている(perforato)のが見えるのですが、穴があるために、学名をHypericum perforatumというこの植物は、古来薬草としても重宝されています。イタリア語の俗称が直訳すると「聖ジョヴァンニの草」(erba di San Giovanni)であるこの草の花は、ちょうど聖ジョヴァンニを記念する日である6月24日頃に、エネルギーや花の効力が頂点に達すると、薬草学講座で教わりました。夫が数年前に、この花を摘んでオリーブオイルにつけて日にさらし、真っ赤になったセイヨウオトギリソウのオイル(olio d'iperico)を作ったのも、ちょうど夏至の頃だったはずです。やけどに効き、肌にもいい、この使い道が多く、効果の高いオイルを、わたしは今も時々ありがたく使っています。
イタリアでは夏は夏至の日に、秋・春は秋分・春分の日に、冬は冬至に訪れるととらえている人が多いように思います。今年の夏至は6月22日でした。キリスト教以前から、夏至や冬至の頃に祝う習慣はヨーロッパ各地であったようですが、キリスト教の普及以後は、イタリアでは、冬至の頃の祭りは幼子イエスの誕生を祝うクリスマスに取って代わられ、一方、夏至の頃の祝いは、6月24日が祝祭記念日である洗礼者ヨハネ、イタリア語名、聖ジョヴァンニ(San Giovanni)にちなんだ祭りや慣習に、各地ですりかわったようです。聖ジョヴァンニの日に、ウンブリアでは、花びらを浸し一晩屋外に置いておいた水で顔などを洗う慣習があることは、何度かこのブログの記事でもお話ししています。
この日は、川原からラヴェルナに車で移動する途中に、道端に、イタリア語の俗称の直訳が「聖ジョヴァンニのユリ」(giglio di San Giovanni)である、こちらの自生のユリも見かけました。学名は、Lilium bulbiferumです。聖ジョヴァンニの日の翌日に、こうしてあちこちで、その名を持つ野の花が咲いているのを見られて、そんなことが妙にうれしかったりしました。
この日はさらに、ベッチャからラヴェルナへの参詣路を歩いていたら、アジサイ(ortensia)もきれいに咲いていました。イタリアでは、土壌がアルカリ性の土地が多く、日本ではよく見かけるアジサイや椿、ツツジは、酸性土を好み、アルカリ性土では育たないために、あまり見かけないので、うれしかったです。イタリアでもルッカ県の山村に椿の里があり、ボルセーナの町ではアジサイ祭りをするほど、あちこちでアジサイの花を見かけるのですが、そういう酸性土の土地はまれで、ペルージャは土壌がアルカリ性であるため、鉢植えにしていた間は元気だったツツジや椿が、夫が苦労してそういう植物が育つように工夫して、庭に植え替えてくれたものの、残念ながら枯れてしまったり、花が小さくなったり、病気になりがちだったりします。
閑話休題。今頃1か月以上前の写真を載せたのは、ようやくマックブックでの写真の利用法が分かってきたからです。ウィンドウズのデスクトップは相変わらず休眠中なのですが、これまでの休眠と違うのは、電源を入れても画面が黒いままというわけではなく、毎回きちんと起動はして、自らハードディスクなどの点検を始めるのですが、その途中で必ず突然に電源が切れてしまうのです。
もう7月も末だと言うのに、いまだに下のブログランキングのアイコンにアジサイの花があるのも、いつかこのアジサイの花を紹介してから、真夏らしいアイコンに変えようと考えていたからなのです。
最後に、マックブックでの写真の利用はまだまだ入門の入り口で、写真の明暗や大きさの変更の仕方も分からず、まだまだ道は遠い状況です。光の加減や色などを、ウィンドウズパソコンのときは、自分が実際に目で見た印象に近くなるように、必要とあらば修正していたのですが、最近の携帯電話やマックブックからの投稿では、編集がいっさいできず、そのまま投稿してしまっているので、写真の質が心残りであることが多々あるのです。
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 秋のラヴェルナ、岩山の裾野をめぐるトレッキング・コース / L'anello basso della Verna in autunno
- 夏のラヴェルナ / La Verna in estate
↑ ベッチャからラヴェルナまでの参詣路の進み方と地図。
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Passeggiata nel bosco della Verna 25/6/2017
Bello il verde del muschio, delle foglie dei faggi,
maestosi gli alberi e le rocce.
Con amici la scoperta di una grotta misteriosa
da cui usciva un'aria gelida nel giorno afoso.
Gioia di trovare i fiori del giglio di San Giovanni e dell'iperico,
dell'erba di San Giovanni all'indomani del giorno del santo.
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アッシジを僅かな滞在時間とはいえ訪れることが出来た今回のイタリア旅でしたので、聖フランチェスコにまつわるお話は興味深いです~♪
大きい岩には、植物が覆っていて神秘的ですね~☆
セイヨウオトギリソウ、黄色のお花が可憐ですが、そういう薬草としての役割を果たしているのですね~
実際に使われてるとのこと!素晴らしいです(^^♪
聖ジョバンニの自生のユリも綺麗ですね~☆
こういうお花に出会えるのが自然の醍醐味ですね(*^_^*)
紫陽花のお写真を拝見して、イタリアでも、鉢植えにされてる紫陽花が美しかったことを思い出して嬉しくなりました(^-^)
ひと月前なので私が旅を終えた頃ですね~ありがとうございます♪
岩盤をイメージしますが
この画像のは 岩を積み上げた隙間みたいな空間ですね。
洞窟と聞けば とてもワクワクしますが
入るのはちょとコワイような~
日本には鍾乳洞という大きい洞窟がいくつかありますが
あれの内部に入るのも楽しいような~今にも崩れてきそうでコワイような~ 夏場は涼しいですよね。
ピンク~薄紫~の紫陽花も
涼しげで いいですね。
セイヨウオトギリソウ、この夏は乾いた酷暑が続くので、若干しおれていますが、太陽の光のような黄色い花がたくさん山で咲いているのをあちこちの山で見かけたことがあります。聖ジョヴァンニのユリもごくまれに緑の草に紛れて咲いているので、見るとうれしくなります。アリスさんの写真の美しいチヴィタの紫陽花たち、よく覚えています♪
鍾乳洞、日本で訪ねたことがあります。イタリアにもあって、二つ訪ねたことがあります。どちらもそれぞれに美しく、興味深かったです。最近訪ねたアブルッツォの洞窟は、昨年の地震の被災地にも近く、気になって尋ねたのでが、むしろはるか昔に自然が作った洞窟の方が、数々の大地震にもほぼびくともせずに耐えているため、ずっと安心なのだということでした。意外でしたが、かなり距離を歩いたので、それを聞いてほっとしました。
ありがとうございます。紫陽花が見られてうれしかったです♪