イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

フィンエアー搭乗拒否再び アオサギ飛ぶ夕焼けの湖、イタリア トラジメーノ湖

 イタリアで発行されるEU市民家族用の滞在証(Carta di Soggiorno per familiare di cittadino UE)が紙であることが原因で、イタリア人を配偶者に持つ日本の方が、フィンエアーで日本に帰国した際、イタリアに戻る途中で、ヘルシンキ空港のフィンランド国境警備から入国を拒否され、フィンランド航空にも搭乗を拒否されて、やむなく日本に戻り、イタリアへの片道の航空券を再び買い直さなければいけないという事態が、2014年6月まで頻繁に起こり、また、各大使館やフィンエアーの日本支店に問い合わせても、どうにもならないという状況が続いていました。

 そのためイタリア国内で電子情報の入った家族用滞在証を申請しようとしても、紙以外のCarta di Soggiornoが発行されるのはごく一部の地域であり、また、イタリア側は、紙の滞在証でもりっぱに国境を通過することができるはずだと言うために、イタリアとフィンランドのどちらの主張が正しいのか分かりませんでした。2014年初夏に、航空券を買ってしまった後で、そういう状況に気づいたブログの友達がいたこともあり、理不尽な事態に納得が行かなかったわたしは、6月に、ヨーロッパ連合の法律について問い合わせました。すると、理はイタリア側にあり、フィンランド国境警備が、本来は通行する権利があるヨーロッパ連合の市民の家族が、きちんと必要な書類を持っているにも関わらず、その入国・搭乗を拒否していたことが分かりました。

 最終的にはフィンランド国境警備に直接メールを書き、国境警備の担当官から、「確かに本来は通行する権利があった人々であり、今後はそのような手違いが起こらぬように、国境警備の手引きに追加事項を書き加える」という旨の返事を、担当官自らの名前と連絡先入りで受け取りました。そして、いざというときのために、そのメールの本文と電話番号や名前、メールアドレスを、公表しても構わないという許可を得て、わたしのブログ記事に掲載しました。

 その後、すでにフィンエアーの航空券を購入してしまって、航空会社や大使館に懇願しても、埒が明かない状態で困っていたブログの読者の方とブログのお友達は、幸い、フィンエアーの担当者から、「今後は問題なくフィンランド国境を通過できるようになった。」という連絡を受けたと聞いています。それが、2014年6月のことで、お二人は日本からイタリアに戻る際、ヘルシンキ空港での入国審査を無事に終え、イタリアに戻られています。その後、やはり対応が悪いことがあると見聞きしたものの、別のブログのお友達が今年の夏も無事にヘルシンキの入国審査を通過されたようだと知り、安心していました。

 それが、最近になって、わたしのブログの一連のフィンエアー搭乗拒否・フィンランド入国拒否問題に関する記事を読まれた方から、残念ながら、この夏もまた、お子さんと共に日本からフィンランド航空でイタリアに戻る途中に、紙の滞在証だから入国はできないと、入国・搭乗を拒否され、余儀なく日本に戻って、イタリアに帰るために航空券を買い直さなければならなかったのだと聞きました。

 今年も終わりに近づき、そろそろ帰国するための航空券の購入を検討されている方も多いと思いますので、

1. フィンランド国境警備の事情を知らぬ担当官に当たり、通過の権利があるにも関わらず、入国拒否、そして、イタリア行きの便の搭乗拒否を受ける可能性が、今後もないとは言えないこと、

2. その際に、法律はこちらの味方であり、紙であってもイタリアが発行するEU市民家族用滞在証はパスポートと共に、通行の権利を認めるりっぱな、そして十分な文書であること、

3. 万が一問題が生じたら、わたしにメールをくださったフィンランド国境警備の方のメールの文書を見せる、あるいは、航空券を買う前に、その方に「再びイタリア在住日本人配偶者が、滞在証が紙だからと言って、ヘルシンキで入国拒否・搭乗拒否に遭っていると聞いたが、そういうことのないように迅速に動く」ようにメールで頼むという手があること

を覚えておいてください。

 また、ヨーロッパの各空港では、テロ事件が多発しているために、取り締まりや点検がさらに厳しくなり、そのために、紙の滞在証に言いがかりをつけられることがあるかもしれませんが、りっぱに通る権利があるのだということを知っておいて、対処ができるように準備しておくことも必要かもしれません。

 直行便のアリタリアであれば、そういう心配がないという安心があったのですが、逆にアリタリアは、すでに飛行機の便の運航が保証される期間が過ぎているため、飛行機自体が飛ばない可能性があるので、現在は別の意味で避けるべきだと思います。

 本当はリンクなどいろいろ追加して、詳しく説明したいところですが、最近、そしてとりわけ今日・明日は、法律改正による仕事へのしわ寄せで、非常事態になっているため、時間がありません。とりあえずは、以下のリンクだけご紹介し、また後から追加できればと思っています。

フィンエアー搭乗拒否再び アオサギ飛ぶ夕焼けの湖、イタリア トラジメーノ湖_f0234936_740935.jpg
Aironi cenerini sul Lago Trasimeno al tramonto, Torricella, Magione (PG) 4/10/2017 18:59

 皆さんご存じのあの歌にあるように、イタリア語で「飛ぶ」を意味する動詞はvolareです。その名詞、voloは、飛行機の便を表すばかりではなく、鳥が空を飛ぶことも意味します。

 というわけで、今日の記事の写真は、昨夕のトラジメーノ湖で、夕焼け直後にアオサギ(airone cenerino)が飛ぶ様子を撮影したものです。フラミンゴかとはりきって撮影し、夫にそう言ったら、「あれはアオサギだよ。」と言われてしまったわたしです。

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Aironi cenerini sul Lago Trasimeno al tramonto 4/10/2017

Invece, l'articolo parla della Guardia Frontiera Finlandese che ha negato l'ingresso a una signora giapponese, coniuge di un cittadino italiano solo perché la sua Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE, rilasciata in Italia, è cartacea, nonostante ne avesse il diritto.
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関連記事へのリンク
- 紙の滞在証でも入国の権利あり (2014/6/3)
- フィンランド国境警備からの返事、紙でも大丈夫 / Risposta - Tipi di carta e permesso di soggiorno cartacei accettati dalla Guardia di Frontiera Finlandese (2014/6/25)
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↓ この夏フィンエアーで帰国された経験を語る、ブログ友達カンポさんのブログ記事
- けちけちイタリア徒然日記・甘辛い生活 - なんだかスイスイ行ってしまった帰りのフライト (2017/8/3)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ktoyotoyo at 2017-10-06 14:10
外国に住むと日本では知らないことがたくさん起きているんですね。初めて知ったニュースばかりです。
Commented by milletti_naoko at 2017-10-07 04:21
ktoyotokoさん、外国に暮らすと、思いがけぬ困った事態に遭遇することも、残念ながら時々あります。ずいぶん前の話ですが、世界のニュースは1日に1500もあるのに、新聞やニュースで報じる紙面や時間はごくわずかなので、そのごく一部だけが選ばれて報じられるのだと読んだことがあります。そういう中で、本当に市民にとって大切なことを、報道機関が選んで報じてくれることを祈っています。
by milletti_naoko | 2017-10-05 23:59 | Viaggi | Comments(2)