イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ごはん日本語・イタリア語、文化を映す言葉たち

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 今日は日本語の授業で、教科書に出てきた「ごはん」という言葉を覚えるのに、生徒さんが苦労していたので、「ごはん」という言葉について、日本文化における米の大切さに言及しながら、説明してみました。

 イタリア語では、ごはんは、調理前の「米」であろうと、米を炊いたものであろうと、米が実る植物、「稲」であろうと、すべて「riso」という同じ単語を使います。一方、主食が米である日本では、植物は「いね」、料理する前の穀物は「こめ(米)」であり、炊いたり料理したりした場合、和食であれば「ごはん」、外来の料理と共に食べるのであれば「ライス」となり、日本文化における米の大切さが、言語に反映されているのですよと説明して、日本文化に興味を持ってもらいながら、「ごはん」という言葉を記憶してもらおうと試みたのです。ついでに、イタリアでは炊飯器を知らない人が多く、大型家電店でも見かけませんので、日本には、米と水を入れてスイッチを入れれば米が炊ける電気製品を使って、ごはんを炊く家庭が多いことや、わたしはイタリアに来て初めて、鍋でごはんを炊くことを覚えたことについても、話をしました。

 「ごはん」という言葉はまた、「食事」という意味で使われることにも言及しました。今日のそのあとの授業で、「あさごはん」という言葉も学ぶことになっていたからです。

 日本語の初級の教科書では、「おちゃ」を緑茶として、「こうちゃ」と共に学習することが多く、教科書『まるごと』でも、やはりそういうふうに扱われています。母語のイタリア語で、母音の長短が弁別機能を持たないイタリアの人には、母音の長短を認識することが難しく、たとえば「おさん」と「おじいさん」の違いを聞き取ることや、それぞれを正しく覚えることに苦労しがちです。「おちゃ」と「こうちゃ」(発音は「こおちゃ」)という言葉を、生徒さんが「どちらがどちらか混同してしまうんです。」と、今日の授業中に言っていたのですが、その混同は、「お」の母音の長さの違いが聞き取れないためでもあるかと思います。

 そこで、やはり脱線にはなるのですが、イタリア語では、紅茶をtè nero (the nero)と言い、茶の色を「黒(nero)」ととらえるけれども、日本語の「こうちゃ」という言葉は、漢字で書くと「紅茶」であって、色を「赤」と認識しているのだという話をしました。緑茶はイタリア語でもtè verdeで、「緑」ととらえていて同じだと説明し、「実際は日本語のお茶という言葉は、紅茶という意味でも緑茶という意味でも使われるけれども、伝統的な緑茶を指すことが多く、りょくちゃという言葉は難しいので、初級の教科書では、おちゃを緑茶としているのでしょう。」という話もしました。

 生徒さんが毎日日本語を勉強する時間数が多いので、こういう話をしたり、生徒さんの質問に答えたりして、車のハンドルの「あそび」にあたるような時間も適宜設けながら、授業を進めています。

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In giapponese esistono diverse parole che indicano il riso
; la pianta di riso si dice INE(いね), i chicchi raccolti KOME(こめ), il riso cotto mangiato in maniera tradizionale GOHAN (ごはん), il riso cotto mangiato con i piatti stranieri RAISU (ライス). Così la lingua giapponese riflette l'importanza del riso nella cultura giapponese.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by nonkonogoro at 2017-11-24 09:07
そうですね。
おなじ 「ごはん」でも
食事の意味になったり 白米の炊いたものになったり~
色々難しいですね。
リゾット というのは この米の riso の変化したもの
なのですね。

紅茶は 日本人は液体の色を指し
西洋では 葉っぱの色を指しているのだと
聞いたことがあります。
だって どう見ても カップに入った紅茶は
赤い色で 黒くはないですもんね。

イタリア語には 伸びる音が少ないのですね。
日本語はなんでも 伸びてしまいますし
関西では それがもっと 長くなります(笑)

炊飯器とウオッシュレットは
日本人のすごい発明だと思いますよねえ。(^^)/


Commented by ayayay0003 at 2017-11-24 14:40
なおこさん、外国人が日本語を学習する上で難しいのは、やっぱり発音の違いを聴き取ることなのですね~
おじいさんとおじさん、日本人にとっては何でもない聴き取りです!
お茶とこおちゃは、思いもよらなかったです~
そういえば、お茶というと緑茶のことを差しますが
友人同士でのお出掛けの時などにお茶する?
と言う会話だと、喫茶店に入って紅茶かコーヒーを飲むことです!
日本語って難しいなぁ~と思います(笑)
なおこさんの工夫のある授業は、面白そうです(*^^*)
Commented by milletti_naoko at 2017-11-25 02:56
nonkonogoroさん、おっしゃるとおり、risottoという料理名もrisoから派生してできた言葉です。日本語でも「炊き込みごはん」や「カレーライス」など、料理名の中に「ごはん」や「ライス」が登場していますよね。

紅茶の色についてのお話、興味深いです。今度時間のあるときに調べてみたいと思います。

炊飯器と、それから確かにウオッシュレットも、確かにこちらでは見かけませんね。日本を訪ねたイタリアの人で、トイレにびっくり感嘆する人がたくさんいます。
Commented by milletti_naoko at 2017-11-25 03:10
アリスさん、イタリア語でもMilanoやTorinoの後ろから2番目にある母音は長音になるので、母音の長い音と短い音はあるのですが、母音の長短に意味を識別する機能がないために、母音の長短の聞き取りが難しく、かなり優秀な学生が1年間みっちり勉強したあとでも、試験でそこだけ間違えるということがありました。

そうなんですよね。「お茶でもどうですか。」だと紅茶を指すことの方が多いかと思うので、言葉っておもしろいですよね。
by milletti_naoko | 2017-11-23 23:57 | Insegnare Giapponese | Comments(4)