イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ

 いらない紙類を処分していたら、大学の授業で配布した「テストがんばろうプリント」がでてきました。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_4561589.jpg

 試験対策にと、大切な文法事項などを一覧にまとめたプリントに、こんな絵と言葉を添えています。「やればきっとできるから、試験勉強をがんばりましょうね。」と、あのときは、そんなふうに考えてこのプリントを作成したのだと思います。

 この数年、読んだり聞いたりしてきたディーパク・チョープラの本や瞑想講座の言葉をわたしなりに解釈すると、どうも、たとえば何かしなければいけないのにできない、実現したい夢があるのに、夢に向かって歩き出せないというときは、無理に自分を奮い立たせたり、あれこれ手を必死で尽くしたりする必要はないのであって、真の自分と向かい合い、真の自分を見つめて、日々の在り方を見直し、自分や周囲の人によってよりよい選択を重ねていき、それでも、行きづまった、そういうときは、無理に何かをしようとせずに、心を鎮めて、そういう思いが自分に湧き出るとき、物事がそういう方向に自然と運んで行くときを静かに待ちなさいと、言っているように感じられるのです。「万事を尽くして天命を待つ」に通じるものがあるような、「やる気が起こるのを待てばよい」と言っているような気が、わたしにはして、「でも、フランス語の勉強を再開しなければ」、「思い切って根本的な片づけに着手しなければ」と、思いつつ動けないわたしは、最近は少し、その言葉に甘えてしまっていました。

 それが昨日日曜日の午後、夫はミジャーナに出かけたのですが、花粉症の症状がひどい上に、天気がいい日が続いて、外で過ごすのは無理と、うちに残ったわたしの心に、急に片づけるぞという思いが湧いてきました。ふだんの掃除や片づけではなく、

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_552720.jpg

 こんなふうに、しばらく前から本棚の脇に積み重なっている紙の山を、いよいよ退治しようという気に、ようやくなれたのです。両方合わせて、高さが50センチ余りにもなる紙たちが、ここに陣取っていたのは、そもそもは、右に端がわずかに見えている本棚の棚が、急に一段壊れてしまい、そこに載せていた本や文書の置き場に困ったための急場しのぎで置いたものが、「すぐに直せるよ」と言ってくれていた夫が、改築作業やら農作業やらで忙しいので、わたしも頼みそびれ、夫も直すには何が必要かなどの見当さえまだつけないままに、数年が経ってしまったからです。

 冒頭の写真のような、大学や学校、個人授業などでのかつての授業用のプリントを、保存用ファイルに保存してあるもの以外にも、ひょっとしたらいつか役に立つかもしれないと、取っておいた印刷残部がかなりの数になる上に、

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_512793.jpg

ペルージャ外国人大学のイタリア語・イタリア文化講座や学位取得課程、シエナ外国人大学の大学院のさまざまな授業中に配布されたプリントや自分が書いたルーズリーフ、ノートなどを、ほぼすべて、そのまま取っているために、紙の量がおそろしく多いのです。

 ちなみにこちらの写真は、美術史の授業中に、授業内容を文字で書くと同時に、スライドの絵をルーズリーフに描き写し、後から本で色を確認して、色を塗ったものです。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_5175373.jpg

 昨日片づけを始めた時点では、この紙の山の上には、実は、贈り物用の包装紙やリボンなどを入れた紙箱など、他のものがさらに載っていました。そういうものを取り除いたあと、一番上にあったのが、この2016年3月下旬に開催されたスペッロの催しの案内ですから、恥ずかしながら、これより下の紙の山は、2年以上、本棚の横に鎮座したまま、手をつけられることもなかったということだと思います。

 そのほか、卒業論文作成用の参考資料や、試験のために読まなければいけなかった本や研究論文のコピーも、かなりあります。昨日は勢いに乗って、約50センチあった紙の山を、約9センチ分だけ残して、あとはすべて廃棄処分としました。こんなものを今まで取っていたんですか、これからも取っておくつもりなんですかと、思われても仕方がないのですが、いつかイタリア語学習メルマガの学習教材として使えるかもしれないなどと思っていたのに、結局使わずじまいであるものが、こんなにも多いのです。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_5232053.jpg

 今のところは残すことにしたものの一つが、こちらです。2002年9月から6か月間、ペルージャ外国人大学の当時のV grado(ほぼ今のC2クラスに相当)で学習することに決めていたので、その授業料を、前年11月に日本の銀行から送金したときの控えです。まだイタリアで学生の身であったこの数年後に、1ユーロが約170円と高くなって、日本で働いたときの貯金で学んでいたわたしは、授業料や生活費が円でかなりの額になって慌てたのですが、2001年11月には、ご覧のようにまだ1ユーロが約111円でした。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_5353161.jpg

 保存しておこうと思う中に、この応用言語学の授業のためのレポートもあります。イタリア人同士の自由な会話を、許可を得て録音して、その一部を文字で書き起こし、会話のメカニズムを考察するという課題があり、当時わたしは、どこでそんな会話を録音すればよいものかと、途方に暮れていました。そのときちょうど、同じアパートに同居していた若いイタリア人女性から、自分が招待されていた会に行けないから、代わりに、あなたたち3人が行ってくれないかと頼まれて、同じアパートに同居していたスペイン人・韓国人の留学生といっしょに、その会に出向いたのです。2003年12月6日、その晩にわたしたち留学生が行くことにした動機はさまざまで、スペイン人留学生は、招待の主を知っていたから、韓国人留学生は、イタリア語をイタリア人と話せる機会だから、そして、わたしは、課題用に、イタリア人同士の自由な会話を録音するいい機会だと考えて、この会に出かけました。イタリア人男性宅で、その人が最近してきた旅行について、スライドを見せながら紹介し、あとでお茶をしながらシュトゥルーデルを食べておしゃべりしようという会で、集まった人の半分が女性、半分が男性で、わたしたち3人以外は皆がイタリア人でした。わたしは家の主人に頼んで、会話を録音させてもらい、その内容をこのレポートに使ったのですが、わたしが夫に出会ったのは、このテープレコーダー片手に参加した会が初めてだったのです。イタリアではよくありがちなのですが、一度に大勢が話す場面も多く、録音テープでだれが何を言っているのかを聞き取るのは大変で、その後、夫がテープの文字起こしに協力してくれたこともあり、このレポートは、わたしと夫が出会って、つきあい始めたきっかけでもあるのです。

 閑話休題。冒頭の写真にも見えるように、本棚の下にも、紙がたくさん入った箱が並んでいる状況であり、本棚の本の上にも、本や紙が積み重なっています。これを機に、少しずつ紙の山を退治していくつもりでいます。今週から来週半ばにかけては、祝日がいくつかあることもあって、授業がないので、いい機会です。翻訳や執筆の仕事で先延ばしにしているものも、終えてしまわなければいけないのではありますが。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_5504056.jpg
22/4/2018

 庭ではヒナゲシ(papavero)の花が次々に、花を咲かせています。昨日咲いていたこの花は、花の縁が白く、おしべが金色でめずらしく、 きれいでした。今になって、何枚か撮影した写真の中から、この一枚を選んでいて、このときこの花の中で、ミツバチ(ape)が蜜を集める最中だったことに気づきました。

紙やま退治、思い出と蜂とヒナゲシ_f0234936_632352.jpg

 ミツバチは収穫に夢中、わたしは撮影に夢中で、お互いに気づかなかったのでしょう。

******************************************************************************************
Se ti sforzi, ce la farai.
Se non ti sforzi, non ce la farai.
Per qualsiasi cosa, se non ci riesci,
perché non ti sei sforzato sufficientemente.


Sono le parole di Harunori Uesugi (1751-1822),
signore feudale giapponese dell'epoca di samurai.
Ieri ho trovato queste parole scritte da me su un foglio
per motivare gli studenti a studiare il giapponese nel 2008.
Ora con lo stesso spirito cerco di sistemare
montagne di fogli, molti dei quali sono
delle lezioni che ho frequentato e ho insegnato in Italia.
*******************************************************************************************

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

Commented by ayayay0003 at 2018-04-24 09:39
なおこさん、紙をたくさんお片付けされたこと素晴らしいですね(^^♪
私も、たくさん有り、もう何年も見てないものは、処分しなかればというものが沢山有ります!見習わなければ!
銀行振り込みの時のレート、確かに想い出深いですよね♪
お庭の赤いひなげしは、ほんとに素晴らしいですね☆
Commented by ヒゲッパ at 2018-04-24 10:11 x
スゴい量の資料ですね。
なおこさんは先生だし、活動的だからなおさらかもしれません。
でも、無理にやるより、しようと感じたときにやったほうが効率が良く、体にもいいと思いますよ。

私は流され過ぎていますけど。
Commented by hillfigure at 2018-04-24 16:06
こんにちは〜!

直子サン、絵がお上手ですね!
「テストがんばろうプリント」こんなの貰えたら俄然頑張っちゃうな〜(≧∇≦*)!
スライドの絵の書き写しもアニメや映画なんかの絵コンテのラフスケッチのようですヨン!
昔からの物を整理し始めると懐かしい思い出も一緒に蘇ってきたりして
その度に片付けの手がとまったりしちゃうんですよね。
でも大事な思い出だし楽しく&慎重に吟味しないとですよね〜♪
ご主人とのなれそめなどいろいろ楽しく読ませていただきましtan(人´∀`)!!
撮影に夢中で蜂さんにさされたりしないよう気をつけてね〜!
Commented by milletti_naoko at 2018-04-24 22:16
アリスさん、ありがとうございます。まだまだ「紙山の一角」ですが、がんばります。銀行振込、あれからもう17年も経ったのだなと思うと、感慨深いです。

今日もヒナゲシがきれいです♪
Commented by milletti_naoko at 2018-04-24 22:18
ヒゲッパさん、鉄は熱いうちに、片づけは勢いに乗って、がんばりたいと思います。ちょうど明日からイタリアでは祝日が多く、土日は夫が休みなので、何かと家を出払うことが多くなってしまうかもしれないのではありますが。

わたしも流しに流されてここまで来て、毎年増える紙の量が多いので、ここは思い切って処分しなければと、ようやく重い腰を上げました。
Commented by milletti_naoko at 2018-04-24 22:23
Cocoaさん、こんにちは。おほめの言葉をありがとうございます。古文や漢文など、生徒がとっつきにくい内容を、日本の高校で教えることが多かったので、少しでも楽しくと、黒板やプリントに絵を描いたり、授業中に掃除用具入れからホウキを取り出して、刀のように構えて木曽義仲のふりをして演技をしたり、いろいろ工夫していた、その習慣が、今イタリアで教えるときにも顔を出します。

そうなんですよね。わたしは幼い頃から、そして就職してからも、転勤で、しばしば引越しをしたのですが、そのたびに箱づめの際に、つい思い出に手が止まってしまっていました。今も、あらあらと、いろいろなものが出てきておもしろいです。ブログのねたにもなり、Cocoaさんも楽しく読んでくださったようで、片づけがい、書きがいがあります♪ ミツバチには、先週末だったか、巣箱近くで義父が三箇所刺されて、かなりつらそうでした。わたしも十分に気をつけたいと思います。
Commented by nonkonogoro at 2018-04-25 08:27
本当に~
さすが国語の先生と納得させてくれる
長文で中身のある記事ですね。

やる気は突然やってくる~
そうですね。私もそう思って
自然の流れに身をまかせております。(^^)/

私の場合は 目覚めた時に
突然やる気になることが多いです。
家具の移動とか 物の整理とかの
名案が浮かぶのです。
そういう時は 早朝でも起きてただちに行動に移します。
やる気は突然現れますが 突然消えることもあるので(笑)
Commented by milletti_naoko at 2018-04-25 16:15
nonさんもそうですか。まさに思い立ったが吉日、思い立ったが吉時ですね。おととい寝しなにディーパクの本を読んでいたら、日頃の在り方に留意した上で、瞑想中など思考と思考の間のすきまに、自分の願いを強く念じ、あとは自然とその方向に向かっていくのを待つということのようでした。

名案ややる気が目覚めたときにというのはいいですね。名案が浮かぶ瞬間という言葉に、一休さんやビッケを思い出しました。
Commented by madeleine_lee at 2018-04-25 22:48
テストがんばろうプリントに添えられたイラストと言葉、とてもすてきです。
この小さな心遣いに、なおこさんの温かな人柄を感じます^^

ブログでの文章・写真だけでなく、ルーズリーフの文字と絵、勉強の仕方まで、どれをとっても非常に丁寧で美しいです♪
山積みになったプリントまでおしゃれにみえます!すごい!
Commented by milletti_naoko at 2018-04-26 18:53
madeleine_leeさん、ありがとうございます。字をていねいに書くことが、日々の生き方にもつながる気がして、最近は手帳に書く字が走り書き、手書きで書くつもりの日記もすっかり無記入になっているので、いただいた温かいお言葉を胸に、これから気をつけて、ていねいに字を書いていきたいなと思いました。
by milletti_naoko | 2018-04-23 23:05 | Altro | Comments(10)