2018年 05月 07日
湖畔に夕日を追いかけて


つい先日、モンテ・デル・ラーゴを訪ねたときのように、わたしたちが湖に着く前に、夕日が雲に沈んでしまいませんようにと、祈りながら進みます。

ようやくトラジメーノ湖が見えてきました。今にも雲間に入っていこうとする夕日に、空と湖が茜色に染まる様子がそれは美しいのですが、目的地まではまだ距離があります。
この辺りのどこかに駐車して、そこから夕日を見送ろうと言ったのですが、なかなか車を停められるような場所がありません。このあとの数キロメートルは、木々や建物に見えては隠れるトラジメーノ湖と夕日を眺めながら、サンタルカンジェロに向かいました。夕日は、もう雲の中に姿を消してしまったか、と残念に思った瞬間が道中あったのですが、さらに進むと、雲のすき間から、夕日が再び見えるではありませんか。

午後8時過ぎに、ようやくサンタルカンジェロの湖畔に到着し、車から降りて、すぐ桟橋に向かいました。
雲間から大きな紅の瞳がこちらをのぞき、湖面に赤い光の道が描かれています。

日が沈むにつれて小さくなっていく赤い光を見やりながらら、桟橋の先に向かいました。前方に見えるのは、ポルゼーセ島(Isola Polvese)です。

今となっては、わずかに顔を見せるだけの夕日の光に、空も湖も赤く染まっていきます。
黒いシルエットは、対岸の村、カスティッリョーネ・デル・ラーゴ(Castiglione del Lago)の町並みです。サンタルカンジェロはトラジメーノ湖の南岸、カスティッリョーネは西岸にあります。

昨日の夕べは、幸い、このあともまた夕日が雲間から姿を現し、赤くまるい夕日がきれいに見えました。写真では、夕日が黄色くなっていますが、湖の上に夕日が投げかけた赤い光は、そのままに赤い色に写っています。
この夕景を見つめながら、夫が、「モネが、ル・アーヴルの海岸で描いた絵画の、あの空と海のようだね。」と言いました。本当に、《印象、日の出》の、あの独特の光と色の世界を見ているようです。そして、その不思議に美しい水面を、カンムリカイツブリ(svasso maggiore)のつがいが進んで行きます。

昨日は、漁のための網も張ってありました。この位置に並んで張ってある網を、わたしは初めて見たような気がします。
カンムリカイツブリは、空も湖もまだ明るい色をしている東へと、向かって行きます。

地平線近くに、黒雲の層があるようで、大きく赤い夕日は、

その雲の中へと、消えて行きました。「今やっと、夕日が赤く写るようになった。」と言うと、「もう日の光が弱いからね。」と、夫はそう答えました。

カスティッリョーネ・デル・ラーゴの北、サンタルカンジェロから見て北西の空は、暗い雲に覆われています。おそらくは雨が降っていたのでしょう。
雲が多いときは、日が沈んでから2、30分後に、すでに沈んだ夕日に下から照らされて、雲が桜色になることが時々あります。けれども昨日は、地平線近くに雲があるので、雲は灰色のままだろうと考え、夕食もまだだったので、すぐうちに帰ることにしました。

東の空は晴れて明るく、岸辺の木々が、さざ波の立つ湖水に映っています。
万一、しばらくして雲と湖がピンク色に染まったら、それは、帰りに通る道からも見えるはずと、時々空と湖を見やりながら、湖の右手を走る道路を進みました。最後の最後まで、雲は灰色のままだったので、やっぱりねと二人で言いながら、ペルージャのうちに向かいました。
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Tramonto al Lago Trasimeno.
Lo ammirava anche una coppia di svasso maggiore.
"I colori del sole, del cielo e dell'acqua sembrano
quelli del dipinto di Monet, Impressione, levar del sole."
ha detto mio marito ed erano proprio così.
Sant'Arcangelo, Magione (PG) 6/5/2018
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訪ねた瞬間20:04分頃は、夕陽が拝めるものの、ちょっト残念かな?と言う感じでしたが、時間を追うごとに、見事に美しい夕陽に変わっていき、20:11分の写真は、
まさに「モネが、ル・アーヴルの海岸で描いた絵画の、あの空と海のようだね。」とご主人さまが仰った通り、「日の出」を連想させる景色に感動しました(^_-)-☆
「日の出」大好きで、モネ展の時に見てあの絵のチケットホルダーを購入したくらいです~(*^_^*)
日本では、チケットホルダーなどの商品が美術展では沢山売られていてつい買ってしまいます(^_-)-☆
カンムリカイツブリのつがいが写真をよりいっそう趣深い感じにしてくれていますね~
対岸は雨、そういう局地的なお天気、イタリアではよく有りますよね☆
ペルージャからトラジメーノ湖まで、結構、距離があるんですね。
はるか紀元前の昔に古代ローマ軍が、ハンニバルのカルタゴ軍と戦って負けた場所がここでしたか。
でも、湖面に沈む夕日に間に合って良かった。
あのカンムリカイツブリが、黒い船を漕ぐ船頭だったら、「印象日の入り」でしたね(^。^)
日の出、アリスさんもお好きなんですね! ル・アーブルのモネが描いた海岸は、今は工業地帯のようになっていて、わたしたちが訪ねたときは雨が降っていたのですが、ノルマンディーでは、車体に《印象、日の出》の絵が描かれた電車も見かけることができて、うれしかったです。
マルパッソがあるトゥオーロは、トラジメーノ湖の北岸にあって、古代ローマ軍対カルタゴ軍の戦いの跡をたどる歴史探訪散歩コースや、資料館もあるんですよ。コース沿いには、そして確かマルパッソにも、その地や戦いに関連する情報を記した案内看板があって、資料館には古代ローマとハンニバルの軍がそれぞれどんなふうに配置されていたかを再現した模型があり、なんとこの戦いを題材にしたらしき漫画も売られていて、歴史ドキュメンタリー映画も見ることができました。興味がおありであれば、次の過去記事に説明がありますので、ご覧ください。
https://cuoreverde.exblog.jp/20237426/
マルパッソについては、まだ写真や記事にしていないような気がするので、いつかご紹介できたらと考えています。