イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

湖畔に夕日を追いかけて

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 昨日、日曜の夕も、トラジメーノ湖に沈む夕日を見送ろうと、湖畔の村、サンタルカンジェロに向かいました。雨の予報が出ていたのに、晴れ間の広がるペルージャを出て、湖へと車を走らせると、日はまだ高いのですが、地平線近くが雲に覆われています。

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6/5/2018 19:49

 つい先日、モンテ・デル・ラーゴを訪ねたときのように、わたしたちが湖に着く前に、夕日が雲に沈んでしまいませんようにと、祈りながら進みます。

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19:52

 ようやくトラジメーノ湖が見えてきました。今にも雲間に入っていこうとする夕日に、空と湖が茜色に染まる様子がそれは美しいのですが、目的地まではまだ距離があります。

 この辺りのどこかに駐車して、そこから夕日を見送ろうと言ったのですが、なかなか車を停められるような場所がありません。このあとの数キロメートルは、木々や建物に見えては隠れるトラジメーノ湖と夕日を眺めながら、サンタルカンジェロに向かいました。夕日は、もう雲の中に姿を消してしまったか、と残念に思った瞬間が道中あったのですが、さらに進むと、雲のすき間から、夕日が再び見えるではありませんか。

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Lago Trasimeno al tramonto, Sant'Arcangelo, Magione (PG) 20:04

 午後8時過ぎに、ようやくサンタルカンジェロの湖畔に到着し、車から降りて、すぐ桟橋に向かいました。

 雲間から大きな紅の瞳がこちらをのぞき、湖面に赤い光の道が描かれています。

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20:06

 日が沈むにつれて小さくなっていく赤い光を見やりながらら、桟橋の先に向かいました。前方に見えるのは、ポルゼーセ島(Isola Polvese)です。

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 今となっては、わずかに顔を見せるだけの夕日の光に、空も湖も赤く染まっていきます。

 黒いシルエットは、対岸の村、カスティッリョーネ・デル・ラーゴ(Castiglione del Lago)の町並みです。サンタルカンジェロはトラジメーノ湖の南岸、カスティッリョーネは西岸にあります。

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20:11

 昨日の夕べは、幸い、このあともまた夕日が雲間から姿を現し、赤くまるい夕日がきれいに見えました。写真では、夕日が黄色くなっていますが、湖の上に夕日が投げかけた赤い光は、そのままに赤い色に写っています。

 この夕景を見つめながら、夫が、「モネが、ル・アーヴルの海岸で描いた絵画の、あの空と海のようだね。」と言いました。本当に、《印象、日の出》の、あの独特の光と色の世界を見ているようです。そして、その不思議に美しい水面を、カンムリカイツブリ(svasso maggiore)のつがいが進んで行きます。

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 昨日は、漁のための網も張ってありました。この位置に並んで張ってある網を、わたしは初めて見たような気がします。

 カンムリカイツブリは、空も湖もまだ明るい色をしている東へと、向かって行きます。

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20:13

 地平線近くに、黒雲の層があるようで、大きく赤い夕日は、

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20:15

その雲の中へと、消えて行きました。「今やっと、夕日が赤く写るようになった。」と言うと、「もう日の光が弱いからね。」と、夫はそう答えました。

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20:16

 カスティッリョーネ・デル・ラーゴの北、サンタルカンジェロから見て北西の空は、暗い雲に覆われています。おそらくは雨が降っていたのでしょう。

 雲が多いときは、日が沈んでから2、30分後に、すでに沈んだ夕日に下から照らされて、雲が桜色になることが時々あります。けれども昨日は、地平線近くに雲があるので、雲は灰色のままだろうと考え、夕食もまだだったので、すぐうちに帰ることにしました。

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20:19

 東の空は晴れて明るく、岸辺の木々が、さざ波の立つ湖水に映っています。

 万一、しばらくして雲と湖がピンク色に染まったら、それは、帰りに通る道からも見えるはずと、時々空と湖を見やりながら、湖の右手を走る道路を進みました。最後の最後まで、雲は灰色のままだったので、やっぱりねと二人で言いながら、ペルージャのうちに向かいました。

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Tramonto al Lago Trasimeno.

Lo ammirava anche una coppia di svasso maggiore.
"I colori del sole, del cielo e dell'acqua sembrano
quelli del dipinto di Monet, Impressione, levar del sole."
ha detto mio marito ed erano proprio così.
Sant'Arcangelo, Magione (PG) 6/5/2018
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2018-05-08 10:22
なおこさん、暮れゆく夕陽を見送るため、湖畔の村、サンタルカンジェロを訪ねられたのですね!
訪ねた瞬間20:04分頃は、夕陽が拝めるものの、ちょっト残念かな?と言う感じでしたが、時間を追うごとに、見事に美しい夕陽に変わっていき、20:11分の写真は、
まさに「モネが、ル・アーヴルの海岸で描いた絵画の、あの空と海のようだね。」とご主人さまが仰った通り、「日の出」を連想させる景色に感動しました(^_-)-☆
「日の出」大好きで、モネ展の時に見てあの絵のチケットホルダーを購入したくらいです~(*^_^*)
日本では、チケットホルダーなどの商品が美術展では沢山売られていてつい買ってしまいます(^_-)-☆
カンムリカイツブリのつがいが写真をよりいっそう趣深い感じにしてくれていますね~
対岸は雨、そういう局地的なお天気、イタリアではよく有りますよね☆
Commented by tabi-to-ryokou at 2018-05-08 12:35
こんにちは
ペルージャからトラジメーノ湖まで、結構、距離があるんですね。
はるか紀元前の昔に古代ローマ軍が、ハンニバルのカルタゴ軍と戦って負けた場所がここでしたか。
でも、湖面に沈む夕日に間に合って良かった。
あのカンムリカイツブリが、黒い船を漕ぐ船頭だったら、「印象日の入り」でしたね(^。^)
Commented by taekamede at 2018-05-08 13:58
こんなに素敵な夕日が水平線に沈む光景をご主人と共感して愛でることが出来るなんて本当に素敵ですね~!
いつかトラジメーノ湖を見に行きたいと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2018-05-09 15:45
アリスさん、最初は、もっと近いトッリチェッラに行っていれば、もっと早く着けていたのにと思ったのですが、結果的には、夕日が顔を出すたびに色や風景の変わる空や湖を、存分に楽しむことができて、よかったと思います。天気は悪いものの、週末の夕方の湖畔はやはり人が多い中、サンタルカンジェロは交通が不便なこともあって、人が少ないからです。わたしたちが到着した頃は桟橋の先端に他の人が二人いて、わたしたちが戻る頃に、村人らしき人が次々にやって来たのですが、二人でじっくりと夕景を楽しむことができました。

日の出、アリスさんもお好きなんですね! ル・アーブルのモネが描いた海岸は、今は工業地帯のようになっていて、わたしたちが訪ねたときは雨が降っていたのですが、ノルマンディーでは、車体に《印象、日の出》の絵が描かれた電車も見かけることができて、うれしかったです。
Commented by milletti_naoko at 2018-05-09 16:22
旅プラスさん、古代ローマ軍がハンニバルに大敗した場所、マルパッソ(Malpasso)は、今はただ緑と湖の眺めが美しい場所で、サイクリングコースをしばらく歩かないと車では行けない上、コースが車道のすぐそばを通るので、一度だけ訪ねたことがあります。芭蕉の句、夏草や兵どもが夢の跡、まさにその感慨と共にきれいな景色を眺めた記憶があります。

マルパッソがあるトゥオーロは、トラジメーノ湖の北岸にあって、古代ローマ軍対カルタゴ軍の戦いの跡をたどる歴史探訪散歩コースや、資料館もあるんですよ。コース沿いには、そして確かマルパッソにも、その地や戦いに関連する情報を記した案内看板があって、資料館には古代ローマとハンニバルの軍がそれぞれどんなふうに配置されていたかを再現した模型があり、なんとこの戦いを題材にしたらしき漫画も売られていて、歴史ドキュメンタリー映画も見ることができました。興味がおありであれば、次の過去記事に説明がありますので、ご覧ください。
https://cuoreverde.exblog.jp/20237426/

マルパッソについては、まだ写真や記事にしていないような気がするので、いつかご紹介できたらと考えています。
Commented by milletti_naoko at 2018-05-09 16:29
たえかさん、夕日が好きで、かつうちにじっとしていられない夫のおかげで、美しい夕日を見に行く機会があって、ありがたいです。いつかぜひ訪ねてみてくださいね♪
by milletti_naoko | 2018-05-07 22:38 | Umbria | Comments(6)