イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

バラ園の階段・迷宮 びっくりトイレ、 Vacunae Rosae

 ラッツィオ州、山あいにあるバラ園、Vacunae Rosaeは、美しいバラの花や水の流れの間を通って歩くことで、精神的な向上が得られる庭園として設計されました。土曜日に、数千種のバラが咲きほこる2万平方メートルのバラ園を歩いている間は、園内に案内看板や順路がなかったこともあって、自分が全体のどの位置にいるのかが分かりにくかったのですが、

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Roseto Vacunae Rose, Roccantica (RI) 19/5/2018

帰宅してから、パンフレットの地図を見て、わたしたちも登った、このバラに彩られた橋は、

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バラ園中央にある、円が幾重にも取り囲む迷宮(labirinto)の外側から中心へとかけられていたことを、知りました。

 今、そう知ってから見ると、橋の上から写した写真では、

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円状に植えられた色とりどりのバラの列が、何層もの輪を描いているのが、はっきりと分かります。

 庭の迷宮の外側から、道を探しつつ、中央にたどり着くことが、精神的な成長や向上を象徴している、そういう庭は、以前にもキアンチャーノ・テルメや、フランスの元修道院などで、見たことがあります。禅庭風の枯山水があると同時に、こんなふうにキリスト教の精神的向上を象徴する迷宮を、庭園の中央に設置することで、バラ園の散策が、精神的向上(elevazione dello spirito)につながるなるような庭園を意図していたのでしょうか。

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 ガイドさんは、迷宮の外側から、わたしたちが中心を目指して迷い歩くのを待つ時間がなかったので、最初から橋を登って、見晴らしを楽しみつつ、迷宮の外から中央へと歩くように促したのかもしれません。

 今、記事を書きながら、何事においても、近道や答えを与えられて、すぐに目的を達成するよりも、回り道をしながらでも、自分で考え、迷いながら到達した方が、ずっと成長できるものなのだろうと、人生を庭園の迷宮に重ね合わせて、ふと思いました。迷宮の中にいる間、苦境にある最中には、それがなかなか分からないことが多いのではありますが。

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 閑話休題。今日は、昨日の記事では割愛したバラの写真も、いくつかご紹介します。

 このバラは、同じ木に咲く花がそれぞれ異なる模様をしていて、赤が目立つ花もあれば、黄色が鮮やかな花もあり、どの花もあでやかです。

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 野山で見かける自生のバラ、イヌバラに花の形が似ているのに、色が異なるバラも、さまざまな品種が栽培されています。めずらしいと感じたからか、こういうバラの写真がたくさんあります。

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 ミツバチは、花の間を飛び回り、蜜集めに忙しそうです。

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 このバラは、鮮やかな赤と、椿を思わせるような花の姿が美しいと思って、撮影したのだと思います。

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 バラ園のガイド付き訪問が始まるまで、しばらくの間、2枚目の写真の奥に見える館の前で、待ちました。館の前には、緑の芝生が広がる庭を取り囲むように、オリーブの古木が植えられています。ブドウ畑で、ブドウが病気にかかる可能性があれば、すぐ分かるようにと、ブドウより病気に弱いバラが、植えられているのを、イタリアではよく見かけます。一方、たくましく育ち、風雪に耐えるオリーブについては、近くにバラを植える習慣がないので、ここでは、オリーブの古木の前に、飾りとしてでしょう、バラが植えてあるのがおもしろいなと思いました。

 花盛りのバラの若木と、幹に節も穴もあるオリーブの古木との取り合わせはめずらしいのですが、色としても、また絵としても、不思議に合っていてきれいです。

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 バラ園を訪問する前に、入場料金を払った館で、お手洗いに行くと、扉に漢字で、「男」、「女」と書かれていたので驚きました。描かれている和風とも中国風とも思える絵も、風情があります。トイレの中には、男性用か女性用かが、それぞれ、スーツとスカートを身にまとった人のシルエットの絵で、示してあります。

 受付の人に尋ねると、日本を意識して、注文して作った扉だそうです。温泉や銭湯なら、男・女という漢字で、男女別を示す場所が多いでしょうが、トイレの場合は、「紳士」、「婦人」の方が多いのではないかしらと思いつつ、字面としてはこの方が簡潔で、中国の方にも分かるのでいいのだろうと、思い直しました。Tシャツなどに書かれている言葉と同じで、日本語としての的確さよりもむしろ、デザインとしてのふさわしさの方が重んじられているのでしょう。

Roseto Vacunae Rosae
Tenuta La Tacita
02040 Roccantica (RI)
Tel. +39 0765 639031 - 0765 63626
Sito http://www.vacunaerosae.it

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Ponte & Labirinto del Roseto Vacunae Rosae 19/5/2018

Nel centro del giardino c'è un labirinto creato
da filari di rose disposti in cerchio.
Belli anche gli olivi decorati dalle rose.
Sorpresa! Sulla porta del bagno un disegno di tipo orientale
con i caratteri cinesi, 男(uomini)& 女 (donne)
i quali vengono utilizzati anche nella lingua giapponese.
L'esistenza del labirinto l'ho saputa solo dopo la visita,
guardando la mappa del roseto a casa.
Il roseto è vasto e purtroppo senza cartelli illustrativi
per indicare il percorso, i luoghi e le spiegazioni.
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関連記事へのリンク / Link all'articolo correlato
- 古の女神の森のバラの庭園、Vacunae Rosae

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2018-05-22 16:09
なおこさん、今日のお写真で、ますます薔薇園の広大さが分かりました!
何と、中心から円を描くような迷宮になっているのですね☆
この迷宮を歩くことで、精神的な成長や向上を象徴している、
仏教で言えば、まさに修行でしょうか!
人生を庭園の迷宮に例えるあたりは、さすがなおこさんだと感じましたよ~
そして、自生の薔薇に近い薔薇を好んで撮られてるのにも共感いたします♪
私もこの形の薔薇を植物園で見かけると嬉しくなりたくさん撮影しますよー(^-^)
ぶどう畑に薔薇は、フランスの葡萄畑で拝見したので理解出来るのですが、このオリーブに薔薇は珍しいですね☆
絵になる風景ですよね~♡
美しい風景をありがとうございます(^^♪
Commented by hillfigure at 2018-05-22 16:35
こんにちは〜!
バラの階段も幾重にも円になったバラの迷宮も素敵ですネ〜(人´∀`)☆!!
お庭の迷路ですぐに思い浮かぶのは映画シャイニングのラストシーン、
そんな映画などでもときどき見る広大なお庭に作られる迷路には娯楽のみならず
そんなキリスト教の教えの精神的向上を意図した意味合いもあるんでしょうね〜!
赤いバラも朱色、紅色と実際にみたらもっと含みのある色味のバラがた〜くさんありそうですね♪
私もバラは病気に弱いのでつい敬遠しちゃうのですが、
「ブドウ畑にブドウの病気を防ぐためにバラを植える」
別な何かを守るためにバラを使う、そういう考え方もあるんですね!!
最後の和な雰囲気のトイレ表記には私もびっくりです∑(=゚ω゚=;)!
でもこんな素敵なバラ園でこうした和の物も受け入れて取り入れてくれるのは嬉しいですネ♪
Commented by milletti_naoko at 2018-05-22 23:12
アリスさん、バラ園があまりにも広いので、中にいる間は、造りが把握できていなかったのが、記事を書くにあたって、地図やドローン映像を見て、ああ、こういうふうになっていたんだと、驚きました。仏教や禅庭にあるような役割を、西洋の庭でも、迷宮などを通して、担っているというのが、おもしろいですね。

ありがとうございます。いわゆるバラらしいバラは、うちでも花市などでも見慣れているので、ついこういうバラに魅かれるのだと思います。バラとして一般に思い浮かべる人の多いバラらしい花も撮影しているのですが、どうしても赤やピンクが多いので、今回も割愛しました。

オリーブにバラは初めて見て驚きました。こちらこそ、うれしいコメントをありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2018-05-22 23:28
Cocoaさん、こんにちは♪ シャイニングは見たことがないのですが、
先日のマグダラのマリアについての記事で、ダ・ヴィンチ・コードの映画の内容に
皆さんが言及されていたように、西洋文化や暮らしの一端を、映画を通して
日本の皆さんがご存じということがよくあるのだなと、改めて感じました。
そうそう、その後ダ・ヴィンチ・コードは、イタリアでテレビ放映されたのを見ました。
日本のコタツや押入れを、アニメや漫画を通して知っているというイタリアの人も多いです。

しばらくは雨の日が多いおかげもあって、うちのバラも元気でいてくれそうです。
土壌があっているのか、うちではバラは元気なのですが、椿がやはり土が合わないからでしょう、
夫がいろいろ工夫してくれたのですが、鉢から植え替えたとたんに病気になってしまいました。

バラ園に東洋の要素を取り込んでくれる、そういう心がうれしいです♪
by milletti_naoko | 2018-05-21 23:12 | Fiori Piante Animali | Comments(4)