2018年 06月 19日
他人が望むように生きるだけなら、映画 『Mine vaganti』
自分を押し殺し、本当に愛する人とは添い遂げられず、その兄弟と結婚することを余儀なくされた祖母が、孫に語るこの言葉には、自らが人生で背負ってきた深い悲しみと、親や世間のために、自分の愛情や将来の夢をいっときでも断念する孫への愛情が、感じられました。
人がだれかを好きになって、相手も自分を思ってくれている。
その人間の人間らしい喜びや幸せを、けれども、自分も相手も男だというだけで、「世間や親に認められない、理解されず、悲しませ、疎まれるだけだから。」と、ひた隠しにして、愛を失った兄と、父の病状のために言い出せずにいる弟。
「尋常な状態に」と、同性愛者と分かって勘当した息子に言及していて、口から出た息子の言葉に、「尋常ほどつまらない無意味なものはない」と言う母はまた、愛と両親の無理解に苦しむ孫たちの祖母でもあります。
息子たちの人生や思いよりも、世間体や人のうわさを気にし、作家志望の弟にパスタ経営を押しつけようとする両親と対照的な、孫たちの人間性を見て、あるがままのその性的指向や将来の夢を大切にする祖母。
世間や息子夫婦が何と言おうと、愛する孫たちの幸せや、その愛や将来の夢の実現を第一に思い、孫たちを応援する祖母のようでありたいなと、家族の中で、そういう機会はないかもしれないのですが、残念ながら、さまざまな点で、まだまだ偏見の多い日本やイタリア、世界の中で、何らかの形で、この映画の中の祖母のように、無理解や差別に苦しむ人の側に立ち、少しでも、皆が暮らしやすい世の中にしていく役に立てたらと感じました。
日本では『あしたのパスタはアルデンテ』という題名で上映された、このイタリア映画、『Mine vaganti』は、わたしも好きなのですが、夫がとりわけ好きな作品で、今晩もテレビ放映で見たのですが、すでに何度も見ています。
写真は、日曜日に見た、とりわけ美しかったトラジメーノ湖の夕焼けです。
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Tramonto al Lago Trasimeno, Magione (PG) 17/6/2018
"Se uno fa sempre quello che dicono gli altri, non vale la pena di vivere."
L'articolo, invece, parla del film, "Mine vaganti", partendo da queste parole della nonna del protagonista, Tommaso. L'abbiamo visto ieri sera alla tv per quarta o quinta volta.
Mi auspico il mondo senza pregiudizi infondati che rendono infelici le persone solo perché amano le persone dello stesso sesso, o sono nate in certe nazioni. Ora sembra difficile e impossibile la sua realizzazione quando si vede il recente andamento politico del mondo, ma credo che molti cittadini non condividano i pensieri dei loro leader politici discriminatori e spero che nonostante tutto il mondo continui ad andare nella direzione giusta.
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LINK
- amazon.it - Film DVD, "Mine vaganti"
- amazon.co.jp - 映画DVD、『あしたのパスタはアルデンテ』
日本でのタイトルは「あしたのパスタはアルデンテ」
この映画、私も以前見ましたヨン。・∀・)ノ
楽しく考えさせられて、その上パスタが食べたくなる良い映画ですよね〜♪
私も改めてまた見たくなりました〜٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶!!
日本では原題とは随分異なるタイトルになってたんですね〜。
美しいラジメーノ湖の夕焼けにうっとりです〜(人´∀`)☆.。.:*・
何だかうれしいです。映画の原題は、mina vaganteの複数形で、
minaは地雷や水雷のこと、mina vaganteの原義は、水中に浮遊していて、
船などの通行にとって非常に危険な浮遊機雷なのですが、そこから、政治などで、
表層には見えないけれども、何かのきっかけで一大事となりそうな問題や、
行動が予測できないので、いつ何をしでかして、どういう事態になるか
分からない人のことも、指すようになりました。
https://dizionario.internazionale.it/parola/mina-vagante
http://www.treccani.it/vocabolario/mina1/
最後にまさに驚きの行動で状況をすっかり変えてしまった祖母が、ふだんから
人々にmina vaganteと呼ばれていたことが、映画中のセリフから分かります。
題名はけれど、mine vagantiと複数形になっているのは、「実は」という告白で
皆を仰天させ、家族や会社の経営の行く末を大きく揺らがせたトンマーゾとアントーニオ
の兄弟二人も、一家にとって「浮遊機雷」的存在だからだと思います。
この日の夕焼けは、めったに見られないほど美しくて、夫と二人で感動しました♪
日本でも最近は、そういう報道がなされているんですね。
イタリアはカトリック国ではあっても、同性の人の結婚を認めている国が
近隣に多いこともあり、日本に比べれば、差別や偏見は少ないのではないかと思います。
最近はPapa Francescoが、「神は、同性愛者としての、そのままのあなたを愛している」
と語ったことが記事になってもいて、イタリアに残る根強い差別や偏見を取り除いていく
大きな一助になるのではないかと考えています。