なおこのイタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

思い出の愛媛の町と豪雨被害、野村町・内子町・大洲市

 わたしが愛媛県立高校教師として勤めた3校目かつ最後の高校は、内子高校でした。内子高校に勤めていた頃、人里離れた山中に住むクラスの女生徒宅で家庭訪問を終え、外に出て、さあ車に乗って帰ろうと思ったら、とっぷり日が暮れていました。それは予想していたのですが、驚いたのは、周囲に外灯も街灯も一切なく、おそらくは庭が広かったために、それほど遠くなかろうところに駐車していた自分の車でさえ、闇に包まれてまったく見えなかったことです。その後、女生徒のご両親を煩わせることなく、車を見つけたように、ぼんやりと覚えているので、幸い、しばらくしたら、目が暗闇に慣れたのではないかと思います。内子高校には、内子町だけではなく、大洲市など近隣の市町村からも、多くの生徒が通学していました。今から約20年前の話です。

 初任校だった今治東高校の次に勤めたのは、野村高校でした。今治から野村への転勤が決まる直前だったか、競技がるたに興味を持ち、記憶があいまいなのですが、確か愛媛県かるた協会の会長さんを、愛媛県立高校のかるた部員を育成されている先生方から紹介していただき、その会長さんから師匠を紹介していただいて、はるばる野村から、今治の会長さん宅で行われる競技がるたの練習に、片道約3時間かけて、しばらくの間、車で通いました。野村町から、肱川沿いのくねくね道を、かなり長いこと車で走ったのですが、その際、小さな集落をいくつか通りました。春には川沿いの桜並木が美しく、冬には車の交通量が少ないために、夜間・早朝に時々積雪が凍結している箇所があり、スノータイヤをつけてゆっくり走っていても、車が滑ってひやりとしたことがありました。後に、長いトンネルが二つほど貫通し、そのくねくね道を通らず、トンネルを通って、かなり早く目的地に着くことができるようになり、前述の集落は通らなくなりました。
 
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愛媛の南予に力を!さんのツイートから引用。ツイートへのリンクはこちら

 週末ペルージャのうちを空けていたため、今日の夕方帰宅して、初めて、西日本での豪雨・洪水の被害の大きさ、亡くなった方、行方不明の方の多さを知りました。どうかこれ以上被害が拡大しないように、心から願うと共に、これは本当に単なる天災なのだろうかという思いがあります。イタリアでは、豪雨で洪水などの被害・犠牲者が出るたびに、「予告された悲劇」(tragedia annunciata)と言われています。平時から、そして、特に洪水で被害が出たあとに、土地の形状や建築物の造成、森林伐採や地面のコンクリート化から、万一豪雨が続いた場合、あるいは、雨量がひどく多い場合には、洪水などの災害が起こりうる地域や市町村が、イタリア全国で過半数を占めることが、マスメディア、専門家から、しばしば指摘されているからです。日本を離れて暮らしているため、わたしが日本のニュースに疎いだけかもしれないのですが、豪雨で洪水による被害や犠牲者が出るたび、イタリアでは必ず、万一の豪雨の場合を想定して、きちんと建築物造成や河川などを管理していなかった行政が非難されるのに、日本では、自然災害なので仕方がないという報道がなされるような気がするからです。近年では、日本・イタリアに限らず、世界各地で異常気象が発生していますが、もしかつて以上に多くの雨が降った場合でも、それで被害や犠牲者を出さずに済むように、行政に対策を取ってほしいものです。



 内子高校では、しばしば著名人を呼び寄せて、全校集会で生徒の前で話をしていただいていました。その著名人の一人に、名前は忘れてしまったのですが、作家がいて、全校集会で話をした際に、「過疎化が進むということは、逆に、住民一人当たりの土地の面積が増えるということです。」と言っていたことを、今も覚えています。内子町も野村町も、わたしが教えていた頃には、地域に人をよそから呼び寄せる産業がありませんでした。そのため、賃貸住宅というものがなく、あるいは、あってもその数が少ないために、よそから赴任してきた教職員のために、高校教職員住宅があるほどでした。さらに、内子高校・野村高校の生徒たちは、卒業後の進学先が、愛媛県内にある大学や短大、専門学校であったとしても、内子や野村から通うことが難しいという理由からか、県外に進学する生徒が多く、その生徒たちが、進学した先で就職することも多かったため、地域に若者たちが就職できる職場が少ないことと相まって、過疎化・高齢化が進んでいたのではないかと思います。


 今回の豪雨による洪水で、野村町や大洲市、内子町では、多くの人が交通の遮断や停電などで苦しみ、また、今も命の危険にあって、助けを待っている方がいるかもしれません。冒頭に述べたように、南予のこの地域では、過疎化していく山あいの市町村よりも、さらに遠く離れた小さな集落が少なくない上に、若者が都会に出て行って、お年寄りだけが残っている家も少なくないでしょうから、心配しています。被害者の数や経済的影響が少ないからと言って、救済が遅れることのないよう、早急に救出が行われ、対策措置が取られる助けになればと、ツイッターやフェイスブックなど、SNSを通じて、できるだけ被害状況と救援要請の声を拡散するように、まずは努めています。お一人でも多く、わたしの記事やツイートに限らず、行政や他の方の関連投稿の共有によって、災害の状況を拡散、かつ、支援・救出の迅速化にご協力いただければと願っています。

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Acquazzoni e alluvioni in Giappone

Danni gravi e molte vittime, così anche nei paesini della regione di Ehime
nella scuola superiore dei quali ho lavorato come insegnante.
Sono paesi piccoli in campagna, tra i monti. Ci abitano molti anziani. Pare che le notizie nazionali ne parlino poco e gli abitanti ancora attendono l'aiuto, la riapertura delle vie di comunicazione. In diverse zone ancora manca l'elettricità.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by そらのいろ at 2018-07-10 01:39 x
情報をありがとうございます!
本当にお気の毒です。。
日本の友人達に拡散したいと思います

毎年くる自然災害を、記録的だからと言っても
解決しませんね 河川堤防整備や土砂崩れ防止等は
国が国民からの税金を使ってすべき 重要な仕事ですね
 
Commented by mimozacottage at 2018-07-10 04:23
なおこさん、こんにちは!

私は数年前、夫と一緒に大江健三郎さんの生家を訪ねて
内子町へ行ったことがあります。
道が分からなかったので、
立ち寄った銀行で聞こうとしたら、
なんと、一人の銀行員の方が車で先導して下さいました。
長閑で親切な人が一杯いらっしゃる町が大変なことになって辛いです。

この大災害には本当に胸が痛みます。
Commented by hillfigure at 2018-07-10 11:02
平成26年の夏に起きた広島市の土砂災害は紛れもなく人災です。
広島市は住宅ラッシュ、山を切り開いて斜面に鈴なりに家が立ち並ぶ場所がたくさんあるんです。
軽率な住宅地の開発に伴い安易に木々が伐採された山から大雨で緩んだ地盤が土砂になり
立ち並ぶ家々を押し流しました。
そのとき義母の家は通りを1本挟んで無事、通りの反対側の家々の1F部分には土砂が流れ込みました。
時を遡ってはるか昔、私が通っていた町の高校の建物の裏には手漕ぎボートが数台設置されていました。
先生が昔はよくひどい水害に見舞われこのボートを使ったんだと言っていました。
町の発展と共に水路や街並み、堤防なども整備されてそういう災害も無縁のものと思ったのか、
いつしかそのボートは撤去されていましたが、
今またそうした過去の教訓を忘れて無理な開発をし酷い災害を招くと言うような
人間の気持ちの慢心や緩みからくる悪循環に陥っているような気がします。
もう幾度となくも聞かされた「想定外」
今後行政も企業もそうした危惧をあり得ない空論と軽視せず
常に念頭に置いた対応をしていって欲しいものです。
Commented by milletti_naoko at 2018-07-10 23:33
そらのいろさん、こちらこそお気持ちと拡散をありがとうございます。
大きな地震にもびくともしない建造物や町が築ける日本は、大きな自然災害
にも耐えられる町づくりや都市開発、造成計画を、行政さえやる気があれば
行えるはずです。まずは安全な暮らしや命を最優先に、行政には動いてほしい
ものです。
Commented by milletti_naoko at 2018-07-10 23:38
ミモザさん、こんにちは。内子にいらっしゃったことがあるんですね!
優しい銀行の方でよかった。内子は銀行も確か、白壁の町並みに合わせた
趣ある建物だったように覚えています。
南予は、時間が愛媛の中でもゆっくりと流れていて、人がとりわけ温かくて
優しいという印象がわたしもあります。
商店や住宅が集中している中心街も、特に野村や大洲では浸水して大変なようですが、
がけ崩れで道路が寸断されているそうで、山間に点在している集落や、他の家から
離れた家などが特に心配です。早急に救助が行われるよう、わたしも祈っています。
Commented by milletti_naoko at 2018-07-10 23:45
Cocoaさん、広島でもそういう無謀な住宅開発のために大きな災害が起こったんですね。
イタリアでも数年前に起きたリグーリアでの土砂崩れは、法律に違反して、海辺の近くなどに
コンクリートで埋め立てて作られた家のために、川の水の行き場がなくなるなど、同様の
理由で起こったとして、そういう開発をした業者や、それを見逃していた行政が糾弾されました。
お義母さん、そういう危うい中、ご無事で本当によかったですね。
ボート数台設置、そういう昔の知恵に、今こそ倣い、奢ることなく、皆が安全に暮らすことを
第一に、行政も企業も考えて行動するべきだと、わたしも心からそう考えています。
東日本大震災の直後に、米TIME誌が、人間が想定しないような災害というものが起こりうる、
その可能性も考える必要があったというようなことを書いていましたが、予想を上回る災害があっても、
過去には実際それだけの雨が降ったことがあったようですから、対応できるような町づくり、安全な暮らしを
最優先するべきだと思います。
by milletti_naoko | 2018-07-08 23:59 | Notizie & Curiosita | Trackback | Comments(6)