2018年 07月 10日
岩越えて眺望楽しむシビッラ山、シビッリーニ山脈


標高1540mの駐車場までは、でこぼこの砂利道を、車高が高い夫の車で登ることができたので、助かりました。砂利道の車で、友人たちも夫の車に乗り込み、4人でがたがた車に揺られて登っていると、途中、路傍にいた大きなリュックと犬を連れた北イタリアの若者から、いっしょに車の乗せてほしいと頼まれ、そこからは、5人と1匹で、山小屋まで登りました。
昼食をあてにしていた山小屋は、いつ営業が再開されるか分からない状況で、給水場に水さえありませんでしたが、幸い、登山中必要なだけの水道水を、うちでペットボトルに入れて持ってきていました。わたしたち4人は軽いおなかで出発し、そのとき、若者は持っているパニーノで食事をしていました。

まずは、色とりどりの野の花に彩られた、ゆるやかな坂道を上っていきます。

右手前方に、ようやくシビッラ山の山頂付近が現れました。この位置からは、頂上付近が平たく見え、その周囲を、岩肌の層が冠のようにぐるりと取り囲んでいます。
このとき皆が右手の空を見ていたのは、上空をワシが飛んでいるのが見えたからです。

シビッリーニ山脈国立公園サイトの、このシビッラ山周遊コースの地図や説明(リンクはこちら) には、熟練登山者向け(per escursionisti esperti)と書かれているのですが、最初のうちは、上の地図に白い線で記された砂利道を通って、ひたすら長いゆるやかな坂道を、根気強く上っていきます。

ワシを見上げてから、砂利道を2時間近く歩き、一休みしたあと、今度は尾根へと続く細い道を登っていきます。前方に見える赤い岩が、山頂のように見えます。

尾根に出ると、すばらしい風景が、左右にも前方にも、そして眼下にも広がっています。

赤い岩の塊が近づいてきました。高所恐怖症ではありますが、3年前に登れたのだから大丈夫と、自信を持って進んでいきます。熟練登山者向けで、時に岩をよじ登って登らなければいけない区間が、ここから始まります。

何とか岩塊の上にたどり着くと、後方には、青く美しい山々が広がり、わたしたちが歩いてきた尾根道が白く見えています。

そうして、前方を見ると、より高い位置にある岩塊が、わたしを待ち受けていたのでありました。その岩塊を登りきると、今度は間違いなくシビッラ山頂で、2173とシビッラ山の標高が、石に刻まれています。

以後はしばらくの間、ゆるやかな緑の斜面を下り、途中で、かつてシュビッラが住んでいたと語り伝えられている洞窟、Grotta della Sibilla (Grotta delle Fate)の跡を訪ねました。

シビッラの山頂や山小屋は、マルケ州のアスコリ・ピチェーノ県の村、モンテモーナコにあります。山頂付近で出会った地元の登山者が、この付近からは前方右手にアスコリ・ピチェーノ、左手にコーネロ山が見え、奥の方にアドリア海の海岸線が見えると教えてくれました。
3年前の記憶をたぐり寄せ、この後は、見晴らしを楽しみながら、ゆっくりと小道を下っていけばいいと考えていたのですが、この写真で、前方を歩いていた夫と友人が立ち止まっている、その足元には、

数メートルの高さの、ほぼ垂直な岩壁があり、鎖を使って、下りなければいけません。

夫たちの助言に従って、足場を確保し、何とか無事、この岩の壁を下ることができました。

その先に、さらにあまり高くはない石の壁があり、そこを降りたところで、他の登山者に出会ったので、記念写真を撮ってもらいました。

シビッリーニ山脈国立公園の案内によると、このシビッラ山周遊コースは、11.8kmで、標高差710mです。長い下り道を、風景と野の花の眺めを楽しみながら、山小屋を目指して進んでいきます。山頂付近は遠ざかり、左手には、ビロードモウズイカ(イタリア語名 tasso barbasso、学名 Verbascum thapsus)の花が咲いています。

標高が高いので、まだイヌバラ(rosa canina)や蘭の花も咲いています。皆に遅れつつ、それでも、時々休憩も兼ねて立ち止まって写真を獲り、この写真でも下方に見えている山小屋に、ようやく到着したのは、午後7時頃のことでした。
約5時間半にわたる長い山歩きになりましたが、美しい風景や花を眺めながら、緑の中を皆と歩くことができて、充実した登山ができました。
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- シビッラ山、震源シビッリーニ山脈の名の由来となった山登頂 (9/7/2018)
- 睡蓮と水鏡きれいコルフィオリート / Ninfee fiorite a Colfiorito, Foligno (PG) (30/6/2018)
2015年のシビッラ山登山の記事 / Escursione anello Monte Sibilla del luglio 2015
- シビッラ山と金色の花たち / Monte Sibilla & fiori di iberico
- ナデシコ美しシビッラ山1 / Monte Sibilla & fiori di garofanino
- シビッラ山周遊、山小屋から山頂へ / Anello Rifugio Sibilla - Monte Sibilla
- シビッリーニを望む部屋 / Camera con la vista dei Monti Sibillini
参照リンク / Riferimenti web
- Parco Nazionale dei Monti Sibillini - E10 sulla Montagna Magica. Itinerario: Dal Monte Sibilla al Banditella
登山ですから、こんな道もあろうとは思うのですが、やはり普段から山歩きに慣れてないと怖そうです!
でも、自性の野のお花の美しさや、尾根に出た時の眺めの素晴らしさを思えば、登れるのでしょうね~
素晴らしい眺めのお写真をありがとうございました(^^♪

岩塊を登りも垂直な岩壁下りはかなりハードそうですが
高所恐怖症をも乗り越えて遂行出来たなんてすごいです〜ヽ(*゜▽゜)ノ
(ワンちゃんもすごい!!)
ビロードモウズイカ初めて見ました! とっても可愛いお花ですね♪
珍しいお花と険しいながらも美しい山々の尾根からみる風景を
堪能させてもらいました(๑>ᴗ<๑)
実は、本当に登り下りが危険な箇所は、写真を撮る余裕がなかったので、
写真がないのですが、平坦な砂利道の部分に、一部大きな土砂崩れがあって、
3年前は、その下は通れなかったため、ずるずる滑りながら急な斜面を歩いて、土砂崩れ
部分を通過しました。今回は、かつて崩れた落ちた土砂が覆っていた砂利道は、きちんと
通れるように道が整備されていたのですが、土砂崩れの上方の道では、
道が跡形もなく崩れ落ち、急な斜面を、地面から顔を出すわずかな岩の頭などに
足を載せて、通り過ぎなければいけなくて、一番こわい思いをしました。
現在最も危険なのは、むしろこの土砂崩れの箇所で、この状態を3年も放置していることには、
問題があると思います。
何はともあれ、風景も野の花もきれいで、すばらしい登山ができました♪
スイスはやはりアルプスでしょうか。高峰が美しいことでしょうね。
こちらこそ写真を見てくださって、ありがとうございます。
この暑さでは湿度もあり、感染症の恐れもあると聞き、心配しています。
検索して見つかった記事を読んでみました。避難生活はもとより、
避難をせざるを得ないようないいかげんな環境破壊や造成を黙認する、
あるいは多くの国民が長時間労働を強いられ、労働時間に対する賃金が低いなど、
記事にもあるように、人よりも物を、国民よりも企業や経済を、行政や政治家、
企業を担う人々が重視しているという歪んだ現実に問題があり、早急に解決する
必要があると思います。
あの急な岩の塊は、ようやく左腕も上方に何とか上がるようになり、ちょうど
前回シビッラ山を登った2015年夏頃から兆候が現れ、同年秋に診断を受けた凍結肩が、
ここまで回復していなければ、登るのも下りるのもほぼ不可能だったと思います。
左腕はまだ横垂直方向には、上げるのにも痛みがあり、完全には回復していないのですが、
シビッラ山は、この病気のかかり始めと回復が終わろうとする頃に登った、そういう山なのだな
と、今気づいて、感慨深いものがありました。
ビロードモウズイカ、イタリア中部の野山では、夏にとてもよく見かける花なんですよ。
日本語名は、わたしも、この記事を書くためにウィキペディアで調べて、初めて知りました。
ワンちゃん、皆に助けられながら、本当に頑張ったと思います。