2018年 07月 16日
花見のつもりが山登り、カステッルッチョ



Castelluccio di Norcia, Norcia (PG) 14/7/2018 10:15
ああ、それなのに、実際にカステッルッチョに到着すると、人だかりや混雑が嫌いな夫は、いつになく人の多い高原を見て、写真に写っているシビッリーニ山脈の最高峰、ヴェットーレ山(Monte Vettore、2476m)の中腹にある松の木を指差して、「あそこまで登ろう。」と言ったかと思うと、畑を奥まで突き進み、急な斜面をどんどん登って行ったのでありました。

ノルチャから車で山を登り、高原、ピアン・グランデを一直線に走る車道を、カステッルッチョに向かって進むと、放牧された馬が草を食んでいます。
わたしたちの前を走る車が、急にひどく速度を落としたのは、おそらくは馬の写真を撮るためでしょう。夫もゆっくり車を進めざるを得なかったので、機をとらえて、わたしも車内から、馬たちを撮影しました。

カステッルッチョへ向かう一直線の道を、途中で右折して、アブルッツォ方面への道をしばらく進み、駐車場を見つけて、車を置きました。
わたしも夫も、歩きながら、これはという風景を見つけては撮影しました。

高原は、色とりどりの糸で織った錦のようで、とてもきれいです。

青く見えるのは、ヤグルマギク(fiordaliso)がたくさん咲いているところです。

数年前に参加したワイナリーでの1日写真講座で、朝11時頃までの早朝の光で撮影するのが望ましいと教わりました。けれども、ふだんは土曜はついゆっくり寝てしまい、山へと出発するのが朝10時頃、到着はその1・2時間後になりがちです。
この日は、渋滞と混雑を避けるために、うちを朝7時過ぎに出たおかげで、9時半過ぎにはピアン・グランデに着くことができました。午前11時までの朝の柔らかい日ざしの中で撮った写真の方が、ずっと色鮮やかに撮れているので、教わってはいたものの、その違いに驚きました。

赤く見えるのは、もちろん、真っ赤なヒナゲシ(papavero)が、たくさん咲いているところです。この写真を撮った場所は、首をちょこんと垂れる緑のつぼみがたくさん見えることからも分かるように、花盛りの生き生きとした花や、つぼみが多いのですが、右下の隅には、もう花が散って、種を作る準備を整えているヒナゲシもあります。
1週間前の週末に撮った人たちの写真と、この日に目にした花の様子を比べて、1週間の間に、しぼんだ花や枯れた花、散った花が多いことが分かりました。そのため、近くから撮影するために、元気のいいヒナゲシばかり咲いているところを探すのが、大変でした。
写真を大きく拡大すると、山の緑とヒナゲシの赤の境界線の中央に、ぽつんと黒い一点が見えます。わたしが足を止めては撮影している間に、はるかに先に進んでしまった夫の姿です。

幸い、花の背丈が低いので、夫があぜ道を通って、この写真に写っている緑の木の向こうに行くのが見えました。夫はさらに、木の向こうにあるヴェットーレ山の斜面を登って行きます。写真を見ると、山すその斜面にも、ヒナゲシの咲いているところがあることが分かります。

山の斜面を登り始めると、遠くの方で花が高原を彩る様子も見えてきました。

日かげがいっさいなく、太陽が照りつける下を、野の花と風景に励まされながら、

上へ上へと登っていきます。斜面が急なので、歩きやすいところを選んで、ジグザグに進んでいきます。

こんなに登ったのに、目指す松の木は、まだずっと高いところにあります。

高いところまで登ると、広い高原の向こう側を、花が彩っている様子も、よく見えます。山の斜面に生える木々が、イタリアを描き出しています。

夫がとっくに到着していた松の木に、わたしもようやくたどり着くことができました。

松の木の緑が優しい影を落としてくれる下で、腰を下ろしてゆっくり休み、夫がうちから持ってきたラベンダーケーキを、一人二切れずつ食べました。
この高さからは、ピアン・グランデを見渡すことができます。反対側にある山と違って、ここには車道や広いトレッキング・コースがないので、人もいません。右手の丘の上には、カステッルッチョ(Castelluccio di Norcia)も見えています。日かげで、心地いい風に吹かれて休みながら、大変だったけれども、ここまで登ってよかったと思いました。
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Castelluccio e il Pian Grande visti dal Versante del Monte Vettore
Invece di ammirare i fiori girovagando nell'altopiano,
mio marito sale, sale verso l'alto del Monte Vettore,
fino all'albero di pino in alto sotto il sole che cuoce.
Il versante è ripido, la salita è faticosa.
Ci allontaniamo sempre di più dalla fiorita del Pian Grande,
ma anche il versante del monte è ornato da tanti fiori.
Finalmente arriviamo al pino. Sì, è valsa la pena.
Tutto il Pian Grande con campi fioriti e Castelluccio sotto i nostri occhi.
Castelluccio di Norcia, Norcia (PG) 14/7/2018
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- 絵のように美しい花の高原を行く、カステッルッチョ / Come camminare nel dipinto impressionista


ありがとうございます・・・・
素晴らしい景色ですね。もう感動しまくりです。
馬の写真(9:34)も、ヒナゲシの写真(9:54)も、斜光が心地よいです。
そして圧巻は高いところまで登って撮った写真(10:32)(11:42)
自分だったら、こんな素敵な写真が撮れたら、日記を2回か、3回に分けて、
小出しにしますが、なおこさん、太っ腹(^。^)
京都市内在住の男性(77歳)です。
こんな景色は今迄見たことが無いのでもう驚きの連続です♪
申し越し拝見させていただきますね。
追記:京都では今日祇園祭で山鉾巡行が行われました。京都では7月観測史上最高の猛暑日(38.5℃)となったので自宅でTVから巡行風景見てました。
次々と続く美しい風景に驚くばかりです〜ヽ(〃゚∇゚〃)ノ!!
ヒナゲシのアップはもうウットリです〜!
山に向かって移動するごとに赤一色に彩られたり赤や緑の帯になったり
ヤグルマギクの青もとってもきれい♪
白、赤、青と混ざり合う箇所もまた違った色味が楽しめますv(o ̄∇ ̄o) ワオ♪
松の木から見下ろす風景は大地に描かれた絵画さながらに美しいですね!
ご主人の定めた目標とこまめに撮影してくれたなおこさんのお陰で
美しい花達が織り成す壮大な風景を楽しませてもらいました♪
約2時間の撮影&ハイキング、お疲れ様でしたぁ~♪(・ω・)ノ▽"フリフリ
光栄です。そんなに感動してくださったなんて!
写真を通して、みごとな風景と花を伝えられたようで、うれしいです。
写真の評価もとても参考になります。と言うより、お言葉のおかげで
インスタグラムに投稿する写真を決めるのにはずみがつきました。
写真が多く、精選しても、松に登ったところまでの写真が15枚になって
しまいました。松までの写真と松からの写真と、2度に分けて投稿しようと
考えていたのに、松までの写真の総数は、カステッルッチョ全体の写真の
総数の3分の1でしかないんです。おほめのお言葉、ありがとうございます。
光栄です。と言うわけで、最近ダイエットが必要という意味では太っ腹なのですが、
これだけ並べても記事が2回か3回にわたるので、一記事にまとめたんですよ。
こちらこそ、コメントをありがとうございます。
京都も夏が恐ろしく暑いようですね、皆さんの記事やニュースに驚いています。
京都には妹や、長く交流が続いているブログのお友達がいるんですよ。
日本に住んでいた頃は、中学校の修学旅行で訪ねたきりだったのに、こちらに来てから、
妹が暮らしていたり、夫が日本庭園に興味があるおかげで、かえって京都を
しばしば訪ねるようになりました。今も伝統の祭りが多く残っていて、すばらしいですね。
こちらにコメントをいただいているのに気づく前に、先にイイネをいただいていたのに
気づいて、貴記事を拝読して、コメントを書いてしまっています。
秀吉は小学校の頃伝記を読んでから、りっぱな人だと信じていたので、
愕然としましたが、とても興味深く、何につけても、だれにつけても、知っているつもりで、
一面しか知らないということがあるのだろうと感じました。
この日も、イタリア中部は酷暑で、カステッルッチョでさえ
最高気温が30度を超え、暑かったのですが、おっしゃるとおり、
暑さが吹っ飛ぶほど、花や風景がみごとでした♪
あぁ、この季節にこの丘の上から実際に眺めてみたいです!
山の高みから全体を見渡すと、キルトや絣によく似ていますね。
反対側の斜面の方が種をまいた畑や咲く花が多く、斜面に道やトレッキングコースもあるので、
そちらから登って写真を撮る人は多いのですが、ここは斜面も急なので、山の頂上付近には
大勢の登山客がいたようですが、この斜面にはわたしたち二人だけでした。
いつか願いがかないますように♪