イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

親切なアメリカの女性たち

 先週土曜日の朝は、トスカーナの北の町から電車でいらしたアメリカからお越しのご夫妻と、アレッツォ駅の前で待ち合わせをしていました。アメリカ人のだんなさんと日本人の奥さんが乗られる電車は、アレッツォに10時44分に到着する予定だったため、前日にメールで、「10時44分前には到着して、駅前でお待ちしています。」とお返事をしていました。

 ところが何ということでしょう。この週末、アレッツォではちょうど月に一度の大規模な骨董市が開催されることは、前日に調べて知っていたため、混雑や渋滞は予想していたのですが、土曜にアレッツォに近づくと、道路がひどく渋滞している上に、あらかじめ調べて、立地がいいからと決めていた有料駐車場に空きがないようで、入るのを待つ車が、長い列をなして並んでいます。別の駐車場をと探して、渋滞する道路を通って回るうちに、駅から離れてしまい、そろそろお二人が到着する時間だからと、駐車場が決まらないまま、とりあえず車でアレッツォ駅に向かったのですが、駅は左手にあるのに、わたしたちの車がある車線では右折をしなければならず、その後右折を繰り返して、再度駅に向かおうとするのに、進入禁止で右折できない道が多く、渋滞もあって、駅に着いたときには、10時44分を過ぎてしまっていました。

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Migiana di Monte Tezio, Perugia 9/10/2018

 駅前には、乗降のための短時間の駐車のみ可能という駐車場にしか空きがなかったので、夫を車に残して、わたし一人がお二人を探しに、約束していた駅前に行ってみたのですが、姿が見当たりません。夫が、日本人女性らしき人が構内に入っていくのを見たと言うので、トイレやコーヒーのために、駅の中に戻られたのだろうかと、駅の構内のトイレやバール、新聞や雑誌を売る店などを回ってみるのですが、お二人は見当たりません。前日に、「電車が到着したホームでそのまま待っていましょうか。」というメールを受け取ったので、わたしの方からは、「到着ホームでは、電車に遮られたり遠かったりして姿が見えない可能性があるので、駅前で会いましょう。」と、お返事をし、「では、そうしましょう。」と再度連絡をいただいていました。ひょっとしたら、結局到着したホームで待たれているのかもしれないと思い、遠い奥のホームを見やるのですが、それらしい、そして、わたしを探すらしい人の姿は、見当たりません。

 途中で夫と交代して探してもらいもしましたし、わたしは駅をぐるぐる回りながら、構内の店や警備の人、旅行者に、背の高いアメリカ人男性と日本人女性のご夫婦を見かけませんでしたかと尋ねたのですが、「見かけていない」、あるいは、人が何人も来るので見たとしても意識していなかったので分からないという返事が帰ってくるばかりです。いただいた電話番号にかけてみるのですが、アメリカの番号だからか、番号が存在しないという音声が流れるばかりです。

 構内のバールでは、7、8人のアメリカ人らしい白髪の美しい女性たちが、テーブルに座って英語でおしゃべりをしていました。その女性たちには、すでに一度、どこから来たか、そして、ご夫妻を見かけたかと尋ねていました。そして、アメリカから来たという女性たちは、駅には10時半頃に到着したけれども、それらしき二人は見かけていないと、答えてくれていました。数度目に駅の中を回り、電話もつながらないと知ったあと、再びこの女性たちのところに行って、イタリアからアメリカの携帯電話に電話するとき、電話番号の前に入力する番号が分かりますかと聞いてみると、01をつけるといいとのことです。それでもつながらないので困っているわたしに、親切な女性たちは、アメリカの番号を持つ自分たちの携帯電話からかけてみましょうと申し出てくれた上に、それでも、「使われていない番号です。」という返事が聞こえると、「メッセージを書いて送ってみてはどうかしら」と、携帯電話を進んで貸してさえくれました。さらに、もしお二人から返事があったら、わたしに知らせるからと、わたしの電話番号も聞いてくれました。

親切なアメリカの女性たち_f0234936_7323714.jpg

 このあと、わたしが駐車場の夫のところに行って、お二人がまだ見つからない旨を告げ、夫がさらに「今度はぼくが」と探しに行ってくれたのですが、そのときは10時44分からすでに1時間近く過ぎていたために、どこかですれ違ってしまって、アレッツォの市内に行かれてしまったのかもしれない、ひょっとしたら、お会いできないかもしれないと、ひどく不安でした。夫を待ちながら、何とか電話連絡ができないかと、インターネットでアメリカへの電話のかけ方を確認していると、そのとき、駅でお二人を見つけた夫が、ご夫妻といっしょに、駐車場にいたわたしのところまでやって来ました。

 そうして、そのとき、先日の記事に書きましたように、トスカーナの駅に早めに到着して、発着案内を見てホームを確認し、電車に乗り込んでいたご夫妻が、その後発着ホームの案内の変更があったことに気づかずに、乗るはずだった電車を乗り過ごしてしまったことを、知りました。もうお会いできないのではないかと不安になっていただけに、お二人にお会いできて、本当にほっとしました。

 そして、この後すぐに、親切にあれこれと申し出て、助けの手を差し伸べてくれたバールのアメリカ人女性たちのところへ、到着したばかりのご夫妻と共に行き、「おかげさまで、お二人が見つかりました。本当にどうもありがとうございました。」と報告し、「皆さん、なんてご親切なんでしょう。」と、ハグをしながらあいさつしました。

 見知らぬ東洋人女性の質問と窮状に、旅行先でこんなに親切に対応してくれるアメリカ人女性がいるなんてと、感動しましたし、女性たちの助け舟のおかげで、何とかお会いできるだろうという希望を持ち続けることができました。夫を駐車場に待たせていたこともあり、何らかの形でその後連絡が取り合えたらと、名刺だけお渡しして、女性たちと別れたのですが、わたしもせめては他の人に、親切にして、この女性たちから受けた親切を、世の中に返していけたらなと思いました。

 写真は、今週火曜日の夕方に、ミジャーナを訪ねたときに、きれいに咲いていた庭のバラたちです。夫が果樹の点検をしている間、わたしは久しぶりに、バラを剪定しました。

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Bellissime le rose ora nel nostro giardino

di Migiana di Monte Tezio (PG) 9/10/2018
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by hillfigure at 2018-10-13 15:34
こんにちは〜!

大切なお友達との久しぶりの再会にそんな苦労があったんですね〜(;・∀・)。
遠路はるばる来られるのだし、もし会えなかったらという
不安いっぱいなお気持ちお察しします!!
そんな時の手助けはことさらに嬉しいですよね₍₍( ´ ᵕ ` *)⁾⁾♪
無事に再会できて本当に良かったですね!!
お庭に咲く薔薇はそんな人の優しさを象徴するような美しさ、
お写真からも良い香りが漂ってきそうです(*ฅ́˘ฅ̀*)♡
Commented by milletti_naoko at 2018-10-13 21:16
Cocoaさん、契約されているアメリカの携帯電話会社が、
ヨーロッパでの利用を考慮していないからか、通信システムが
違うために、電話が通じないのかは分からなかったのですが、
どうしようかと困っているときに、あれこれ親切に助けの手を
差し伸べてもらえて、本当にありがたかったです。
こういうことがあっただけに、出会えたとき、なおさら
うれしかったです。

黄色いバラも赤いバラも、これまでになく勢いよく
きれいに咲いていて、見ながらうっとりしました♪
Commented by mihayashi6 at 2018-10-13 21:39
イイネ!  
   ありがとう。
妹が国際結婚・・・アメリカNDノースダコタ州
Fargo市に・・・73歳になるよ。
私は昭和10年・・83歳だよ。
毎日blog更新すごいね。
私はボケ防止・・・拙いブログです。

     小次郎じじ

初コメントしました。
Commented by milletti_naoko at 2018-10-14 03:20
mihayashiさんも妹さんがアメリカにお住まいなんですね。
昔は国際結婚や、日本と海外で連絡を取るのも、今より
ずっと大変だったことでしょう。

畑での農作業、いろいろされていてすばらしいですね。
Commented by oliva16 at 2018-10-14 22:55
よかったですね。そして当たり前のことだけれど、どの国にも親切な人はいるんですよね。というより、親切な人の方が多いはず!最近、国際間の嫌なニュースを見てはイライラしていることも多いのですが、身近な人が親切を受けたり、人に親切にしたり、ということが大事だなと思いました。(なおこさんにはまだお会いしたことがないと思えないほど、勝手に身近に感じています。。。)
Commented by milletti_naoko at 2018-10-14 23:27
Oliva16さん、外国ではつい身構えることも多いと思うのに、
見知らぬ東洋人女性のわたしに、それは親切にしてくれた
アメリカ人女性たちに、改めて親切っていいなと感動しました。

わたしの方もとても身近に感じていますよ♪
ブログ上のおつきあい、長いですもの。
by milletti_naoko | 2018-10-12 23:58 | Fiori Piante Animali | Comments(6)