なおこのイタリア写真草子 Fotoblog da Perugia ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ミジャーナのうちの秘めたる宝物

 わたしと夫の結婚式を執り行ってくれた神父さんは、夫の遠い親戚で画家でもあり、ペルージャ各地の教会の祭壇やステンドグラスなどを手がけた故ドン・ネッロ・パッローニ(Don Nello Palloni)です。Donはイタリアで、神父さんの名前の前につける敬称です。

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Migiana di Monte Tezio, Perugia 4/11/2017

 ペルージャでは数十年前に、山や農村から人々が町に移住して、小さな村が過疎化するようになり、40年前に、義父母や夫たちがミジャーナからペルージャに引っ越したときには、かつては人が大勢いた村に、二家族しか残っていなかったそうです。義母の兄、故・ドン・アンキーセが、それまで長い間ミジャーナの教会の教区司祭を務めていて、ドン・アンキーセや教会活動を支えるために、義父母はずっと教会に隣接する住宅で暮らし、他の多くの人々がミジャーナを去ったあとも、ミジャーナに住んでいたのです。

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17/11/2018

 ドン・アンキーセがペルージャ郊外の教区を担当することになり、義父母一家もミジャーナを後にして、ペルージャに転居したのですが、家族と共に長年暮らしたミジャーナに特別な思いがあってのことでしょう、義父はミジャーナのこの家とオリーブ園を購入し、当時オリーブの木々を取り囲んでい雑木やいばらを取り除き、手入れをして、再びオリーブが収穫できるまでにしたのです。

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2/5/2010

 こちらは8年前の5月、まだ改築を始める前のミジャーナの家の様子です。友人たちの当時はまだ小さかった子供たちが、今では成長したので、母である友人たちだけでミジャーナに来て宿泊ができるようになったのだと、今この写真を見て、改めて思いました。

 閑話休題。ミジャーナのこの家こそ、わたしたちの結婚式を執り行ってくれたドン・ネッロ(1935-2008)が、少年時代を両親と共に過ごした家でした。わたしたちが結婚したのは2007年、ドン・ネッロが亡くなる1年前で、結婚式前に、式についてあれこれ話をするために、しばしばドン・ネッロを訪ねたのですが、あるとき、こんな話をしてくれました。

 「ミジャーナの家の2階の壁に、少年だった頃絵を描いたんだ。今も残っているはずだよ。」

 2011年に改築を始めるまでは、2階に上がるための階段や入り口がまったくないため、2階には行くことができませんでした。そのため、その絵はみるすべもなかったのですが、改築作業中に、ドン・ネッロから話に聞いていた絵が、今もきれいに残っているのが見つかりました。

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3/11/2018

 高い山や白い雲の上、大空を翼を広げて飛ぶ鳥の絵です。

 何十年も前に、将来画家となる少年が描いた、夢へと大きく羽ばたこうとしているかのようなこの絵が、夫もわたしもとても好きです。今になってこの話をするのは、

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つい最近、専門家によるこの絵の修復作業が終わったところだからです。ドン・ネッロの絵は、壁の右手のくぼみにあります。今から約70年近くも前に描かれた絵である上に、左官屋による改築作業で傷んだ部分もあり、今こうして手を入れておかなければ、そう遠くないうちに、絵が崩れ落ちてしまったかもしれないとのことでした。

 長く続いた改築作業中には、こんなふうに窓辺や机の上に、必要な道具がたくさん置かれていました。

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 温かく柔和な人柄で、多くの人々を助けていたドン・ネッロ、「遠く離れて生まれても、君たちは出会うべくして出会ったのだ」と結婚式で言ってくれたドン・ネッロ、その少年の頃の夢や、大自然、広がりが感じられる絵、数十年の間人目に触れることもなかった絵が、こうしてミジャーナのうちの2階の壁にあることをありがたく思い、この絵を、大切な宝物のように感じています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2018-12-01 10:17
なおこさん、素晴らしいおじさまの鳥の絵、修復されて何よりです~
こうした壁画は、保存するのには、生活の場である壁だから大変ですよね!
でも、それを修復して残すというのには、凄い意義があると思います(^^♪
おじさまの思いが伝わる絵、いついつまでも大切にされてくださいませ♡
私もいつの日か機会があればミジャ―ナを訪ねて、絵を見せていただきたいなあ~なんて思います♪
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-12-01 11:50
本当に素敵な絵ですね。
大空に羽ばたきたい、羽を広げてゆっくりと飛んでみたい。世界を見渡したい。
そんな気持ちがこもった絵のような気がします。
本当に宝物ですね。
naokoさんの周りには素敵な人がたくさんいらっしゃる。
幸せですね。
Commented by accaesse at 2018-12-02 08:18 x
とても良いお話ですね
義両親のお気持ち、絵の上手な心温かい司祭、少年の頃の壁画、修復して大切にされているnaokoさんご夫妻
静かで温かい感動が胸に沁みました
Commented by milletti_naoko at 2018-12-03 22:46
アリスさん、大空高くを飛びゆく鳥の絵、わたしも夫もとても好きです。
お世話になった神父さんが描かれたものなので、なおさらのこと。
いろいろな意味で時を超えてきたこの絵が、これからも時を超え続けて
くれますように♪ いつかアリスさんに見ていただける日が来ますように。
Commented by milletti_naoko at 2018-12-03 22:47
PochiPochi-2-sさん、ありがとうございます。
わたしも羽ばたきたいという少年の夢や思いがいっぱいにつまった
すてきな作品だと思います♪
Commented by milletti_naoko at 2018-12-03 22:48
accaesseさん、ありがとうございます。
耳にしていた絵が出てきたとき、こんなに
すてきな絵だとは思わなかったので、なお驚きました。
Commented by m-kumatta at 2018-12-09 13:33
素晴らしい絵ですね。
思わず見入ってしまいました♪
Commented by milletti_naoko at 2018-12-09 18:43
広間空さん、ありがとうございます。
わたしたちも大好きな絵です♪
by milletti_naoko | 2018-11-30 23:49 | Umbria | Trackback | Comments(8)