イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

映画 『Troppa Grazia』、驚きの聖母像と夕日にきらめくファサード

 激しい口論のあと、長年同棲していたアルトゥーロを、娘と共に3人で暮らしていた家から追い出し、稼ぐためにと、仕事で問題のある土地の測量をしていた主人公、ルチーアの前に、中東らしき衣装をまとった女性が不意に現れます。ルチーアが、「あの難民みたいな女性が…」と言っても、測量を手伝う若者の目には、その女性は見えず、ルチーアの前からも忽然と姿を消します。


 夜中に車を走らせるルチーアの前に再び現れ、さらには家にまで出現するようになった女性は、「わたしは神の母です。彼らのところに行って、あの場所に教会を建てるよう告げなさい。」と言います。ルチーアは今では不信仰で、仕事で測量をしている土地に建てられる予定なのはもちろん教会ではありません。聖母を見たと言っても、気が違っていると思われるだけだろうと、この聖母の出現について口にしないルチーアに対し、聖母マリアは、髪を引っ張ったり、噴水の水にルチーアの頭を沈めたり、暴力を振るい続けます。そして、……

 というのが、記事の題名にある今年公開のイタリア映画、『Troppa Grazia』の内容です。

 11月23日に友人たちに誘われていっしょに見た映画で、夫ともども何の予備知識もなしに出かけたわたしは、最初、測量中の土地に突然現れた聖母を見て、幽霊が出てくる話かしらと思いました。幼い主人公が亡き母と山の頂付近にいたとき、流れ星が落ちていたと母から聞いていた場所に、大きな建造物が建てられるという設定だったので、そのためにルチーアが選ばれたのかもしれませんが、現代イタリアに、そして信仰から遠ざかったルチーアの前に聖母マリアが現れ、だれも信じてくれないからと口をつぐむ様子や、力づくでルチーアに教会を建てるよう言わせようとする聖母像など、常識や予想をはるかに超え、意表をつくできごとが相次ぎ、物語が展開していったので驚きました。感動した、とてもいい映画だったとは言えないまでも、こういう奇想天外な物語を思いついて、それを映画という作品に仕上げてしまえることに、感心しました。

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L'Incoronazione della Madonna, Facciata del Duomo di Orvieto al tramonto, Orvieto (TR) 1/12/2018

 教会のミサに毎週参列する人が減少傾向にあるとは言え、カトリック教徒で聖母マリアを慕う人が多く、テレビニュースでローマ教皇の発言や行動がしばしば放映される国、イタリアでこういう映画を制作し、上映すれば見に行く人がいることがおもしろく、社会の寛容さや表現の自由を思います。

 ちなみに、夫はこの映画は、終わり方がはっきりせず、何が言いたいのか分からないので今ひとつだったと言い、いっしょに見た友人二人のうち、一人には気に入り、もう一人は夫と同じような感想を持ったようです。ちょうどこの次の日、リミニの友人宅でこの映画の話をしたら、結局翌日曜日にロマーニャの女性の友人たち4、5人で見に行ったそうなのですが、彼女たちはおもしろい映画だと思ったそうです。

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 カトリック教で信仰すべき対象を揶揄して描くと言えば、数年前に映画館で見た『神様メール』(詳しくはこちらの記事)が、ひどく意地悪な神や人々のためにと動く神の娘の様子を描いていて、おもしろかったのを覚えています。ちょうど今夜、イタリアのテレビでの初放映があるとのことで、今から楽しみにしています。3チャンネル、Rai 3で、午後9時15分から放映の予定となっています。

 聖母マリアが登場する映画についての記事なので、今日の写真は、オルヴィエート大聖堂ファサードの聖母の戴冠です。沈みゆく夕日にファサード全体がオレンジ色の光を帯びて、とてもきれいでした。

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L'Incoronazione della Madonna

Facciata del Duomo di Orvieto al tramonto 1/12/2018
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2018-12-20 19:39 | Film, Libri & Musica